フランス映画史の誘惑
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リュミエール兄弟による映画の発明から現代に至るまで、100年以上に渡るフランス映画の歴史を概説したフランス映画史ハンドブック。映画の歴史はハリウッド中心に語られがちだが、この本を読むと第二次大戦前のフランス映画のものすごさというものが伝わってくる。
ただし本書がフランス映画を大きなまとまりとして語れるのは、1950年代までに限られている。50年代末から60年代に登場したヌーヴェル・ヴァーグ以降は、個々の作家について断片的に語ることしかできなくなってしまうようなのだ。そもそも「ヌーヴェル・ヴァーグ」が一体なんなのか、それすらもこの本を読んでしいてはわからない。映画のテーマにしろ表現手法にしろ、ヌーヴェル・ヴァーグはあまりにも広範囲に拡散しているからだ。
僕の印象からすると、フランス映画にはフランス映画なりの「まとまり」というものが今でも存在していると思うのだが、この本はヌーヴェル・ヴァーグ以降のフランス映画についてその「まとまり」をつかみかねている。ヌーヴェル・ヴァーグが提唱した「作家主義」というドグマにからめ捕られて、フランス映画を一個のカタマリとして見ずに、個々の作家の特徴を描写することにばかり熱心になっているようにも思う。ただしこれは、作家論や作品論という固有名詞の世界を映画史という普遍的な世界に定着させるには、1970年代以降というのがまだ余りにも近い過去に過ぎるということなのかもしれない。
僕自身はフランス映画にまったく不案内だったので、フランス映画史というひとつの地図をこの本によって手に入れられたという意義は大きい。フランス映画が好きな映画ファンは、読んで損のない本だと思う。
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