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2005.05.26

彰義隊遺聞

410410003X彰義隊遺聞
森 まゆみ


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 上野といえば動物園や博物館が有名だが、その上野は江戸が明治に変わる年に戦争の舞台になった。官軍と戦ったのは、幕臣と浪人たちからなる千人あまりの彰義隊。最新式の火器と洋式装備で武装した官軍と、間に合わせの武器弾薬で上野寛永寺に立てこもる彰義隊との戦いは、わずか半日ほどで官軍の圧倒的な勝利に終わったという。彰義隊側の死者は300人以上。生き残ったものは散り散りになって各地に逃げ延びた。この戦争によって、江戸随一の規模を誇る東叡山寛永寺はほとんどが消失してしまった。

 「彰義隊遺聞」はその上野戦争と彰義隊の全体像を、同時代の資料、戦史、日記、手紙、碑文、聞き書き、そして現代に伝わる各種の言い伝えなどをもとにして、立体的に再現している。そこから伝わってくるのは、時代の大きな荒波の中で、精一杯に自分たちの生活を生きた人たちの姿だ。ここでは旧幕臣、郷士、浪人、寺侍、百姓、商人、町人など、さまざまな角度からそれぞれの上野戦争が描写されている。

 上野戦争と彰義隊は、江戸から明治に写る時代の中で、小さな句読点のような役割を果たしているのかもしれない。文章の中の句読点にそれだけでは意味がないように、上野戦争や彰義隊にもそれだけでは歴史的な意味などない。しかし句読点のあるなしで、文章の意味が大きく変わってしまうことがある。歴史の流れの中には、上野戦争や彰義隊が必要とされたのかもしれない。

 この本を読んで、江戸から東京へ流れがなんとなく腑に落ちたような気がする。江戸と東京の間に立ちふさがり、ふたつをつないでいるのが彰義隊なのだ。

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