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2005.10.27

スカイウォーキング 完全版―ジョージ・ルーカス伝

4789711897スカイウォーキング 完全版―ジョージ・ルーカス伝
デール ポロック Dale Pollock 高貴 準三


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 デール・ポロックによるジョージ・ルーカス伝記。原著が1983年なので、情報としてはかなり古くなっている。また初版のせいか、誤字脱字誤植などがかなり多くて、読んでいて首をひねる部分も多かった。(強調のための傍点が、すべて文字化けしていたりする。)『スター・ウォーズ/ジェダイの復讐』までのルーカスについては、それなりに情報が網羅されていると思う。記述はかなりルーカス・サイドに寄っているのだが、これはこれでルーカスの「神話」を作った本として、歴史的な価値があるかもしれない。

 この本は89年に「ジョージ・ルーカス―ハリウッドを超えた映像帝国若き成功」というタイトルで邦訳が出版されたあと、93年にも「スカイウォーキング―ジョージ・ルーカスの栄光と軌跡 エンターテイメントバイブル」というタイトルで再度翻訳出版され、この「スカイウォーキング 完全版―ジョージ・ルーカス伝」が3度目の出版。情報はその後まったくアップデートされていないので、おそらくこの本が改めて邦訳されることはないと思う。(現に『スター・ウォーズ』の新3部作が発表されても、新訳は出なかった。)

 僕は同じ本だと思わずに「ジョージ・ルーカス―ハリウッドを超えた映像帝国若き成功」も買ってしまい、同じ内容なのに驚いた。まあよく確認しなかったのが悪いんだけど、出版社が違い、タイトルが違い、発行年が違っていれば、普通は違う本だと思うよな~。

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2005.10.17

ハリウッドとマッカーシズム

4480855610ハリウッドとマッカーシズム
陸井 三郎


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 ハリウッドの赤狩りの中で、映画人や作家たちはいかに生きたか。ハリウッドへの聴聞開始から、初期の反発、有名なハリウッド・テンの告発、そして映画界の屈伏(ウォルドーフ・アストリア宣言)までを時系列に描いたあと、赤狩りと格闘した何人かの人々にスポットを当てていく。取り上げられているのは、ハリウッド・テンのひとりだった脚本家アルヴァ・ベッシー、音楽家のハンス・アイスラーとその姉兄、劇作家のベルトルト・ブレヒト、若い無名の脚本家ベス・タッフェル、探偵小説の巨匠ダシール・ハメット、劇作家のリリアン・ヘルマン、裏切り者エリア・カザン、劇作家アーサー・ミラーだ。

 誰もが知っているダルトン・トランボなどをあえて外し、ハリウッド・テンの中でも無名のベッシーについてページを割いているのが面白い。そしてこのエピソードが感動的なのだ。ハリウッド・テンと共に委員会で喚問を受けたブレヒトが、とんちんかんな問答で委員会をすっかり煙に巻いてしまった話は有名。しかしそれがどのような問答だったのかを、僕はこの本で初めて知った。赤狩りと心中するような晩年を送った、ダシール・ハメットのエピソードは壮絶。その「恋人」と言われたリリアン・ヘルマンが、聴聞会で見せた態度やハメットの死後にしたことも書かれているが、これは彼女の自伝や自伝をもとにした映画『ジュリア』でリリアン・ヘルマンを知っていた人にはショッキングな内容かもしれない。これはひどい話だ!

 まったく無名の女性脚本家ベス・タッフェルのエピソードがオマケのように挿入されているのは、赤狩りによって被害を受けたのは有名人だけではなく、彼らの周囲にいた才能豊かな若者たちも多くが犠牲になったという、赤狩りの広がりの深刻さを示すエピソードだろう。『こうして、多くの高名な先輩たちに愛された一人の若い才能ゆたかな作家が、戦後アメリカ映画史にもほとんどその名の登場しないような形で抹殺されたのである』という著者の言葉には、同じようにして消えて行った多くの無名人に対する思いがあふれている。(トランボを外してベッシーにひとつの章を割いたのも、そんな著者の思いゆえだろうか。)

 この本は1990年初版なのだが、登場する固有名詞などに定訳を用いず、独自に訳している部分があるのは少し気になった。ラリー・パークスが出演したのは確かにアル・ジョルスンの伝記映画だが、そのタイトルは『アル・ジョルスン物語』ではなく『ジョルスン物語』(50年には日本公開)が正しい。ブレヒトが脚本に参加したラングの映画タイトル(Hangmen Also Die)を直訳すれば確かに『首吊り役人も死ぬ』だけれど、これは『死刑執行人もまた死す』というタイトルで87年に日本公開されている。著者は歴史家であって映画評論家ではないわけだけれど、こういうのは編集者がちょっとチェックしておいてほしいのだ。

 ついでに言えば、ブレヒトとワイルのコンビ作が「三文オペラ」だけだったような書き方も気になる。ブレヒト・ワイルには「マハゴニー市の興亡」もあれば「七つの大罪」もあるのでね……。著者がブレヒトと組んだもう一人の音楽家アイスラーを大きく評価しているのはわかるけれど、ブレヒトといえばワイルでしょ!と、ワイル好きの僕は不満に思うのである。

0252071417The Inquisition in Hollywood: Politics in the Film Community, 1930-1960
Larry Ceplair Steven Englund


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2005.10.16

ハリウッドの反逆

4877140107ハリウッドの反逆
エリック・ベントリー 小池 美佐子


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 アメリカの劇作家で評論家のエリック・ベントリーが、1947年から始まったハリウッドの赤狩り取材した戯曲の日本語訳。登場人物たちの台詞は聴聞会の記録から引用されており、当時この騒ぎに巻き込まれた犠牲者たちがどのように振る舞ったかを知る資料としても興味深いものだ。しかし著者は記録から適時証言を要約しているので、これをそのまま資料に使うわけにはいかない。それは同じ著者がまとめた「反逆の30年」という赤狩り資料集にも言えることだ。

 僕は『ジョルスン物語』のラリー・パークスがいかにして赤狩りの犠牲になったのか知りたかったので、この戯曲の中で彼の喚問の様子がかなり詳細に再現されていたのは有り難かった。そしてやはりパークスは、赤狩りの犠牲者としか言えない気の毒な人だと感じるのだ。委員会の脅迫まがいの圧力に抗いながら、最後にはついに屈伏してしまったパークスの孤独と苦悩を考えると気の毒でならない。

 ハリウッド・テンには「第一修正条項委員会」の後押しがあったが、ハリウッド・テンの追放以降、映画業界からの共産主義者追放を決めた「ウォルドーフ・アストリア宣言」のあとには、パークスを支援する人は誰もいなかった。生まれたばかりの小さな子ども二人を抱えたパークスに、それでも証言を拒否して刑務所に行くべきだったと誰が言えるのか。いや、それでも彼は証言を拒否すべきだったのかもしれない。でもそれは、赤狩りが結局は何も生み出さず、10数年後には証言拒否者たちの名誉も回復されたという、歴史の結末を知っているから言えることだろう。たったひとりでその状況に放り込まれたとき、はたしてどれだけの人がパークスほどに頑張れるものだろうか。

 パークスが気の毒なのは、彼がハリウッドで最初の「裏切り者」となった後も、結局彼の名がブラックリストから消えなかったことだ。2年後に彼は委員会に向けて、さらなる忠誠を誓う手紙を書く羽目になった。しかしそれでも、結局パークスは映画界に戻れなかった。

 この本で取り上げられている証言の中では、ライオネル・スタンダーとポール・ロブスンのものが傑出した面白さだった。饒舌な口調で時として委員の制止発言さえ無視し、皮肉でトゲのある言葉を語り続けるスタンダーの姿は痛快そのもの。逆にポール・ロブスンは、しっかりした口調で相手の質問にことごとく「修正第五条(黙秘権)」を行使していく。これもまた爽快だ。

 ただしロブスンは映画にも出ているとはいえ、映画俳優というよりも歌手だろう。「ハリウッドの反逆」という日本語タイトルからは、ちょっとはみ出てしまう人物だと思う。もっともこれは日本語タイトルの問題であって、著者には何の責任もないのだけれど……。

1560253681Thirty Years of Treason: Excerpts from Hearings Before the House Committee on Un-American Activities, 1938-1968
Eric Bentley United States Congress House Committee on Un-American Activities Frank Rich


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2005.10.12

ハリウッド―良心の勝利

440602090Xハリウッド―良心の勝利
山田 和夫


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 1940年代から50年代に猛威を振るったハリウッドの赤狩りについて解説した本。赤狩りの背景となった戦後アメリカの社会情勢から、赤狩りのはじまり、ハリウッドへの赤狩りの波及、第1回聴聞会とハリウッド・テンの抵抗、映画人たちの抵抗と挫折、第2回聴聞会での裏切り続出、その後の赤狩りの影響などを簡潔に記している。もともと講演会の記録を本にしたものなので、言葉づかいも専門的なところはなくてわかりやすく、この問題について初めて接する人にはとっつきやすい本だと思う。1時間もあれば全部読める、簡単なガイドブックのようなものだ。

 著者はハリウッド・テンのような筋金入りの抵抗者や、その後も弾圧に屈することなく抵抗を続けた人たちを殉教者か英雄のように描いている。その筆頭はダルトン・トランボであり、匿名の仕事がアカデミー賞を受賞したマイキル・ウィルスンのような人たちだ。こうした人たちにスポットライトを当てて赤狩りを語れば、「正義は最後に必ず勝利する」というわかりやすいお話になる。この本のタイトルも、そうした著者の趣旨に合致したものだろう。

 しかし赤狩りでブラックリストに載せられハリウッドから追放された人たちのほとんどは、結局映画界に戻れないまま不本意な人生を送ったのではないだろうか。こうした不運な犠牲者たちについて考えると、赤狩りの最後が「良心の勝利」に終わったとはとても思えない。まあこのボリュームの本では、そこまで手が回らなかったということかもしれないけれど……。

 僕はむしろ、赤狩りという巨大な権力の暴力の前に膝を屈してしまった人たちについて、もっと知りたいと思う。赤狩りでは証言を拒んで職を失った人も多いが、保身のために委員会に協力的な態度を取り、その結果「裏切り者」としてハリウッドから追放されてしまった人たちもいる。エリア・カザンは大物だから仲間を裏切ってもスタジオから仕事がもらえたのであって、中途半端なポジションにいる人たちは、証言してもしなくてもブラックリストに掲載されただけで身の破滅だったのだけれど……。そうした人たちにとっては、良心の勝利もへったくれもあるまいに。

真実の瞬間(とき)
B00008ILL3ロバート・デ・ニーロ アネット・ベニング マーチン・スコセッシ

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star人間性を貫きとおすハリウッド映画監督!
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2005.10.11

旧約聖書 (2)

4000263080旧約聖書 (2)
旧約聖書翻訳委員会


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 岩波の旧約聖書翻訳委員会が訳した旧約聖書の2冊目。このシリーズの文書配列はヘブライ聖書を踏まえているので、「歴史書」と銘打つこの巻は、モーセ五書以降のヨシュア記、士師記、サムエル記、列王記を収録する。一般のキリスト教の聖書だと、士師記とサムエル記との間にルツ記が入るのだが、これは岩波版だと4巻の「諸書」に入るのだ。

 列王記に書かれている南北イスラエル王国(南は正確にはユダ王国)の栄枯盛衰の様子は、それだけ読んでいたのではとても退屈だったはず。事前に「聖書時代史―旧約篇」を読んでいたおかげで、あらかじめ大まかな流れがつかめていたのはよかったと思う。この調子であと2冊読んでしまえば、旧約聖書は通読完了だ。ベッドの枕元に置いて寝る前に少しずつ読むだけなので、いったい今後どれだけの時間がかかるかはよくわからないけれど……。でも毎日少しずつは進んでいる。

 新約聖書はだいぶ以前に新共同訳で読んでいるのだが、岩波訳も購入済みなので旧約の後はそちらにとりかかるつもりでいる。たぶんこのペースだと、読了までにあと半年や1年はかかるんじゃないだろうか。しかしまあ、これで最初の山を超えたな~、という思いはある。あとはずいぶん楽になると思う。預言書は改行が多いので、読むペースはずっと早まると予想している。

聖書時代史―旧約篇
4006000987山我 哲雄

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star「旧約聖書」の歴史的理解に寄与する一冊

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2005.10.08

ぼくが選んだ洋画・邦画ベスト200

4167256134ぼくが選んだ洋画・邦画ベスト200
小林 信彦


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 週刊文春の依頼で小林信彦が選んだ洋画ベスト100と邦画ベスト100に、70年代に書かれた映画エッセイや、単行本時の書き下ろしエッセイを加えた本。ベスト100は個人選出にしてはかなりバランスのとれたものになっているのだが、それでも時々著者ならではの偏りが出てくるのが面白い。しかしそれより面白く読めたのは、後半の映画エッセイだ。特にプレスリーについての記事が面白かった。同時代を経験した人でないと、なかなかこういうことは書けないだろう。

 僕は著者の小説はほとんど読まないのだが、「日本の喜劇人」や「世界の喜劇人」(これは絶版で古本にすごい値段がついている。重版希望)など、芸能関係の本はよく読んだ。古い映画ファンのおしゃべりや蘊蓄を聞いているようで、どれもすごく楽しい本だ。何よりも、対象に対する愛情が感じられるのがいい。

淀川長治映画ベスト1000
4309264115淀川 長治 岡田 喜一郎

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star「1000」という文字で売りたかったのは分かるが・・
star愛のある批評です
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2005.10.07

預言者

4783401977預言者 ポケット版
カリール ジブラン 佐久間 彪


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 レバノン出身の詩人、カリール・ジブランの代表作。12年間にわたり流刑の身にあったひとりの賢者(アルムスタファ)が、流刑地で出会った人々に最後の言葉を残して故郷に戻って行く。人々はこの賢者に人生のさまざまな事柄について尋ね、賢者はそれに対して丁寧に答える。愛について、結婚について、子供について、苦しみについて、友情について……。そこで語られる言葉の、なんという美しさよ!

「結婚について」より

あなたがた二人は一緒に生まれた。それで、いつまでも一緒なのです。
共に過ごした月日を死の白い翼が散らしても、あなたがたは一緒なのです。
まことに、神の静かな追憶のうちでさえも、あなたがた二人は一緒なのです。
しかし、それほど一緒の二人のあいだにも、自由な空間を置きなさい。
そして、そこに、天からの風をそよがせなさい。

愛し合いなさい。しかし、愛が足枷にならないように。
むしろ二人の魂の岸辺と岸辺のあいだに、動く海があるように。
おたがいの杯を満たし合いなさい。しかし、同じひとつの杯からは飲まないように。
おたがいにパンを分け合いなさい。しかし、同じひつつの塊を食べないように。
一緒に歌い、一緒に踊り、共に楽しみなさい。しかし、おたがいに相手をひとりにさせなさい。
ちょうど、リュートの弦がそれぞれでも、同じ楽の音を奏でるように。
おたがいに心を与え合いなさい。しかし、自分をあずけきってしまわないように。
なぜなら、心というものは、あの生命の手だけがつうむもの。
一緒に立っていなさい。しかし、近づきすぎないように。
なぜなら、神殿の柱はそれぞれ離れて立ち、樫の木と杉の木は、おたがいの影には育たないからです。

 自分に関心のある項目を読むと、その言葉がすんなりと理解できる。でもわかりにくいものや、あまりピンと来ない部分もあって、それはまた、別の機会に読むと別の感慨があるのかもしれない。とりあえず半日もあれば簡単に読めてしまう本なのだが、今後も繰り返し読み返すであろう1冊だ。装丁がちょっとしゃれているので、プレゼントにしてもいいかも。

 草稿はアラビア語で書かれたそうだが、その後著者自身によって英訳され、幾度も推敲されたとのこと。初版は1923年。それ以来、30カ国語に訳されているという。英語版も簡単に手に入るので、詩人の言葉に生で触れたい人はそちらをどうぞ。

The Prophet (Wordsworth Classics)
1853264857Kahlil Gibran

Wordsworth Editions Ltd 1997-08-31
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おすすめ平均star
starあの「単なるphilosopher」ではなく、正に「prophet」と呼ばれたKahlilGibran
star人生をもう少し考えてみよう

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