中身は映画初期の歩みから始まり、名作名画のモンタージュ分析、さらには著者自身による想定シナリオと想定モンタージュからなる。シーンが引用されている映画は以下の通り。
『アメリカ消防士の生活』 エドウィン・S・ポーター
『大列車強盗』 エドウィン・S・ポーター
『國民の創生』 D.W.グリフィス
『母』 フセヴォロド・プドフキン
『ストライキ』 セルゲイ・エイゼンシュテイン
『戦艦ポチョムキン』 セルゲイ・エイゼンシュテイン
『全線―古いものと新しいもの』 セルゲイ・エイゼンシュテイン
『羅生門』 黒澤明
『夜と霧』 アラン・レネ
モンタージュの組み立てを分析するために映画のシーンを抜き書きしていくことは、勉強としては重要かもしれないが、それを読んだところでどれだけの勉強になるのかはよくわからない。映画をビデオソフトやDVDで簡単に観ることができる時代には、映画からこうして再現された文章より、実際に映画そのものを観た方が手っとり早く、かつ正確なことがわかるのではなかろうか。特にただシーン分析に終始している『羅生門』や『夜と霧』などは、それを特に強く感じさせる。
モンタージュ理論はロシアで発達したものだし、エイゼンシュテインの「衝突のモンタージュ」はその後の映画に強い影響を与えている。この本でもプドフキンとエイゼンシュテインの作品について述べている部分が多い。『戦艦ポチョムキン』のDVDは購入したのだが、『母』『ストライキ』『全線』なども観ておいた方がいいのかな。『アメリカ消防士の生活』も「映画史」的には観ておいた方がいい作品なんだろうけれど……。まあそんなわけで、この本を一読するとAmazonのカートがさらに古い映画のDVDで埋まっていくという仕組みになっている。