« 図解映像編集の秘訣 | トップページ | モンタージュ探究―映画の文法入門 »

2006.02.12

魔術師メリエス―映画の世紀を開いたわが祖父の生涯

魔術師メリエス―映画の世紀を開いたわが祖父の生涯
マドレーヌ マルテット・メリエス Madeleine Malthete Melies 古賀 太
フィルムアート社 (1994/04)
売り上げランキング: 612,182
 リュミエール兄弟と共に映画の父と讃えられ、代表作『月世界旅行』(1902)で映画史に永遠にその名を残すであろう幻想映画の開拓者、ジョルジュ・メリエスの伝記。著者のマドレーヌ・マルテット・メリエスは幼いころにメリエスと生活を共にしていたという孫娘だが、祖父の業績を一方的に礼賛するのではなく、その人間的な欠陥(女性関係は相当でたらめ)や映画作家としての限界(最後は時流に取り残されて破産)なども、愛情のこもった筆致で丁寧に描写されている。これを読むとメリエスの本職はあくまでも魔術師であり、映画も彼にとっては魔術の一種でしかなかったのではないかと思えてくる。彼がパテやゴーモンなどの大手資本と提携できなかったのも、彼の魔術師としての立場ゆえだったのではなかろうか。

 メリエスは世界で最初のインディペンデント映画作家のひとりであり、最後までインディペンデントであり続けた。彼は1896年から1912年まで映画を作っていたわけだが、その映画作家としての全盛時代はおそらく10年に満たないだろう。1897年に世界最初の本格的な映画製作スタジオを建設し、1906年ごろにはもう観客から飽きられている。メリエスの何かが変わったというより、これは観客の嗜好が幻想からリアリズムに変化して行った結果なのだろう。

 巻末には500本以上にもなるメリエスの作品リストがあるが、そのほとんどは現在失われている。しかしそのうちの100本以上が現在は発見されていて、この本の著者であるマドレーヌ・マルテット・メリエスは、世界各地でメリエス映画の上映会を行っている。その様子は「メリエス・マジック・ショー」というタイトルで記録され、映画ガイドブック「死ぬまでに観たい映画1001本」の特典DVDになっている。アメリカでは「Melies the Magician」というドキュメンタリーの特典になっているようだ。この伝記を読めば、メリエスの実際の映画を見たくなること請け合い。僕も何枚かDVDを持っているが、その作品の多くは今でも驚きと喜びに満ちている。

Melies the Magician
Melies the Magician
Facets 2002-01-15
Sales Rank : 28759

Average Review star
starReal movie magic
starA good introduction.
starBest Collection there is

See details at Amazon
by G-Tools

|

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/4474/8637395

この記事へのトラックバック一覧です: 魔術師メリエス―映画の世紀を開いたわが祖父の生涯:

コメント

コメントを書く