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2006.03.12

メディア・コントロール―正義なき民主主義と国際社会

メディア・コントロール―正義なき民主主義と国際社会
ノーム チョムスキー Noam Chomsky 鈴木 主税
集英社 (2003/04)
売り上げランキング: 17,299
 イラク戦争勃発直後の2003年4月に初版が出た本。民主主義とは少数の権力者が多数の民衆を欺く制度であると一刀両断にし、普通の人々がいかに本当の情報から遮断され、社会正義がその時々の権力者によっていかに都合よく運用されているかを多くの実例を引用しながら論証している。そこで批判されている対象はアメリカとその同盟国。確かにここで著者が主張している話に嘘はあるまい。しかしその言葉は勢いがよすぎて、少数の例によって全体を批判するような部分があるようにも思えてしまう。

 要するに物事の善悪をきっぱり断言しすぎなのだ。この本は国際政治を論じているわけだが、国際政治の世界はこれほどきっぱり善悪理非を判断できる世界なのだろうか? 著者はそこで「火星人のジャーナリスト」という比喩を出す。こうして白黒きっぱり分けて理論的・合理的に政治を語るのは普通の人間にとっては非常識で、それを是とするのは火星人ぐらいのものだと本人も承知の上なのだ。

 チョムスキーの言葉は鋭い。しかしその鋭さは、まったく実際の政治の領域には届かない。チョムスキーは地球で暮らしている火星人なのだ。それを本人が完全に自覚しているのが、この本の持つ凄味なのかもしれない。

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