映画の理論
ただし著者のマルクス主義的な立場や、紹介作品が半世紀以上前の作品に偏っていること(しかもソ連や東欧の作品も多い)、著者の理論を1950年代以降の映画の歴史が一部乗り越えてしまっている部分も多いこと、テレビジョンという新しい映像表現についてまったく記述されていないことなどを考えると、この本の歴史的な限界というものも見えてくる。映画史的には意味のある本だし、理論の多くは現代にもそのまま通じ、あるいは応用が利くものだと思う。したがってそうした理論のふるい分け作業ができる読者には、この本はとても有益なものだろう。そういう意味では、ちょっと上級者向けなのだ。
現代の読者がすぐとっつきやすいという意味では、ルイス・ジアネッティの「映画技法のリテラシー」など、最近書かれた本の方が優れていると思う。映画というのはその時代性や、技術発達に大きく制約され、影響を受ける芸術なのだ。(このことはベラ・バラージュも論じている。)いずれそう遠くない未来、新しい技術の登場によって、現在の映画も「過去の遺物」になってしまわないとも限らない。映画やそれについての理論は常に発展途上であり、常に書き替えられるべき対象だ。この本を読むと、そんなことが見えてくる。
| 映画技法のリテラシー〈1〉映像の法則 | |
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