« 2006年6月 | トップページ | 2006年8月 »

2006.07.25

映画はやくざなり

4104609013映画はやくざなり
笠原 和夫
新潮社 2003-06

by G-Tools
 以前も一度読んでいるので今回は再読。全体は三部構成。第一部は著者が任侠映画の脚本に関わり始めたきっかけから、実録やくざ映画の終焉、そして著者が筆を置くまでを綴った自伝的エッセイ。第二部はシナリオ・ライターとしての心得をまとめた「シナリオ骨法十箇条」。シナリオに取りかかるまでの準備なども解説してあり、シナリオに興味のある人にはバイブルとなり得る内容だと思う。第三部は未映画化シナリオ「沖縄進撃作戦」。事前に「十箇条」を読んでいると、シナリオを見ながらそれを再検証できる。つまりここにあるのは、理論(十箇条)と実践(シナリオ)だ。

 第一部の自伝エッセイ部分は、膨大なインタビューをまとめた「昭和の劇」や、自伝小説「『妖しの民』と生まれきて」ともだいぶ重なり合っている。しかし「やくざ映画の脚本家」として知られる著者がまさにやくざ映画と格闘していたその時代を切り取っているという意味で、本書の第一部は著者の人生の凝縮されたエッセンスとも言えそうだ。それにしてもここに登場する映画人たちのなんと魅力的なことか。『仁義なき戦い』などで暴力の中にある人間喜劇を描いた著者の人間観が、こうした部分にも反映しているように思う。

昭和の劇―映画脚本家・笠原和夫
昭和の劇―映画脚本家・笠原和夫笠原 和夫 スガ 秀実 荒井 晴彦

太田出版 2002-10
売り上げランキング : 185327

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
「仁義なき戦い」調査・取材録集成 『仁義なき戦い』をつくった男たち―深作欣二と笠原和夫 破滅の美学 映画はやくざなり 「妖しの民」と生まれきて

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.07.23

映画ビジネス最前線―新たなる挑戦!GAGA

4750001562映画ビジネス最前線―新たなる挑戦!GAGA
大高 宏雄
B!インターナショナルブックス 2003-06

by G-Tools
 日本の映画ビジネスを精力的に取材している著者による、配給会社GAGAの歩み。3年前(2003年6月)に出た本なので、GAGAがUSENの子会社になる2004年以降の出来事についてはまったく触れていない。USENと提携して以来、GAGAには配給会社としてかつての勢いがなくなっているように感じられる。配給半数も激減したし、内容的にも地味になった。これが一時的なものなのか、それとも会社の方針に大きな変化があってのことなのかはわからないが、角をためて牛を殺すということにならなければいいのだけれど……。

 インターネットの普及や全国津々浦々に至るシネコンの浸透によって、映画ビジネスは大きく変化している。今後はテレビがハイビジョン化、多チャンネル化し、各家庭に張りめぐらされているインターネット配線も過渡的なADSLから光ケーブルに変わっていく。映画ビジネスは、3年や5年という短いスパンで、その勢力図や業界地図を大きく書き換えるダイナミックな世界になっているのだ。(それだけ市場の規模が小さいということでもあるのだけれど……)GAGAとUSENの関連の中で、GAGAが既存の配給会社とは違うどのような道をたどっていくのかについては、著者によるさらなる取材を期待したい。

482224508XUSEN宇野康秀の挑戦!カリスマはいらない。
和田 勉
日経BP社 2006-04-20

by G-Tools

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.07.22

目からウロコのシナリオ 虎の巻

4779111323目からウロコのシナリオ 虎の巻
新井 一
彩流社 2005-11

by G-Tools
 老舗のシナリオ・ライター養成所「シナリオ・センター」の主催者だった著者が、シナリオ・センター発行の「月刊シナリオ教室」に書いた巻頭言の中から、シナリオ執筆の秘訣やアドバイスとなる記事を選りすぐったもの。著者の考えのエッセンスが語られていて参考になるが、これはあくまでもシナリオの書き方を学んでいる人向けの記事であって、この本を読めばシナリオの書き方がわかるというものではない。シナリオの書き方を学びたい人は、同じ著者の「シナリオの基礎技術」から読み始めるのがいいと思う。

 読んでいて気になる点がいくつかある。まず第一に、映画界で伝えられている名言や金言として著者が紹介している言葉の出典が、間違っているのではないかという疑問だ。例えば著者は松竹の故城戸四郎社長の言葉として「一筋、二抜け、三役者」という言葉を紹介しているのだが(P.103)、これはもともと牧野省三の「一スジ、二ヌケ、三ドウサ」が本当なのではないだろうか。また著者はこの「二抜け」の部分をシーンとシーンの間にある「明暗」や「対照」と解釈し、映画のメリハリのことだと解説しているのだ。これは少なくとも、牧野省三の述べた「ヌケ」(フィルムの現像技術=映像のヌケ)とは違う。しかし長年映画界で働いてきた著者が、こうした重要なことをまったく勘違いしているとも思えないので、ひょっとすると城戸四郎は牧野省三の有名な言葉を、自己流に再解釈していたということなのかもしれないけれど……。

 著者の明らかな勘違いに思えるのは、豊田四郎監督が『雪国』(1957)のカットを会社から命じられて、「どこを切っても不完全になる。それでよけれどフィルムをタテに切りたまえ」と言ったというエピソード(P.185)。これは黒澤明の『白痴』(1951)のエピソードと完全に混同している。著者は『雪国』が上映時間4時間だったと言うのだが、『雪国』の上映時間は2時間14分。それに対して『白痴』の上映時間はオリジナルで4時間だったと言われているから、ピッタリと符合するのだ。

 こうなると、著者が引用する他のエピソードや解釈もなにやら怪しげなものに見えてくる。例えば近松門左衛門の「虚実皮膜」を、著者は『事実と虚構の中間(皮膜の間)に人生の真実があるのだ』と解説する。虚実の間にあるのは「芸の真実」だから、それを「人生の真実」としてしまうと誤解を招きそうな気がする。ひょっとすると「月刊シナリオ教室」にこの記事が発表される前に、近松の演劇論について詳しい記事が載っていたかで、当時の読者にはこの説明で意味が通じたのかもしれない。でもそれならそれで、単行本化する際にきちんとそれを補う工夫は必要だろう。

 全体としてはシナリオと映画(あるいはテレビ)について語った実践的好エッセイで、読んでいて今でもためになく部分は多いと思う。シナリオ・ライターを目指している人、映画やテレビに関わる仕事に就きたいと思っている人、映画をもっと楽しみたいと思っている映画ファンなどは、読めば必ず発見があるだろう。少なくとも僕は、読んでいて「ああなるほど」と思うところが少なくなかった。それだけに、著者の勘違いや思い違いを、まったく何の解説もなしにそのまま再掲載している(らしい)編者や編集者の姿勢がちょっと残念だと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.07.21

キリング・フォー・カルチャー―殺しの映像

4845998785キリング・フォー・カルチャー―殺しの映像
デヴィッド ケレケス デヴィッド スレイター David Kerekes
フィルムアート社 1998-02

by G-Tools
 映像メディアの中にはこれまで多くの「人の死の瞬間」が描かれており、その中には撮影のためのトリックもあれば、本当にカメラの前で人が死ぬ様子を記録したものもある。人間の死は究極の見世物映像として、その後も多くの場面で引用され、中には作り物の映像が本物として流通している例もあるという。この本はそうした「死の瞬間の映像」について、細かく調査し検証を加えたものだ。特に大きく繰り上げているのは、「スナッフ映画」と「モンド映画」だ。前者は一部の裕福な好事家のために、地下組織が製作し流通していると言われる本物の殺人ポルノ映画。後者は世界中からさまざまな残酷映像を集めて編集した、いかがわしい(疑似)ドキュメンタリー映画だ。

 本書は全体で三部構成になっている。第一部は『スナッフ』『血を吸うカメラ』『食人族』から『ありふれた事件』に至る、フィクション映画の中に描かれた「本物の殺人映像」についての解説。(この延長に井坂聡の傑作『[Focus]』があるのだが、執筆時期の関係でこれには言及されていない。)第二部は『世界残酷物語』に始まるモンド映画の網羅的な年代記。これを見ると、石井輝男監督の『猟奇女犯罪史』など一連の作品も、モンド映画の文脈の中で語る必要があるように思えてくる。そして第三部が、ニュースや監視カメラなどに収録された、本物の死の映像についてだ。(最近ならこの中に、インターネットで配信されるイスラム過激派の人質殺害映像などを加えるべきかもしれない。)

 次々出てくるタイトルの中には、70年代に『グレート・ハンティング』の洗礼を受け、80年代スプラッタ映画ブームの真っ只中で育った僕にとって懐かしいものも多い。この手の映画が好きな人は、資料として持っていてもいい本だと思う。(巻末に作品リストでもあれば完璧だったのに。)

ヤコペッティの世界残酷物語<ノーカット完全版>
ヤコペッティの世界残酷物語<ノーカット完全版>グァルティエロ・ヤコペッティ ロッサノ・ブラッツィ

ジェネオン エンタテインメント 2004-01-23
売り上げランキング : 6645

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
続・世界残酷物語 ノーカット完全版 ヤコペッティの世界女族物語 ヤコペッティの残酷大陸 グレートハンティング 残酷猟奇地帯

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.07.17

スピリチュアルワーキング・ブック

4837962386スピリチュアルワーキング・ブック
江原 啓之
三笠書房 2004-04

by G-Tools
 テレビなどでもお馴染みのスピリチュアル・カウンセラー江原啓之が、働く女性向けに書いたスピリチュアリズムと仕事についての本。(著者が言う)スピリチュアリズムの8つの法則から始まり、職場での人間関係や仕事への取り組み方などについて、親切丁寧にアドバイスしている。内容的には世の中の常識的なことがほとんどで、スピリチュアリズムにからめて何かが語られている部分は全体の3割ほどではないだろうか。スピリチュアリズムの言葉で語られている部分も、それを一種の権威付け(根拠)として、常識的な仕事のマナーや取り組みについて語っているに過ぎないと思う。しかしこれはこれで、それを信じる人には役に立つに違いない。

 「職場での人間関係を大切にしろ」とか「相手に好かれようと思う前に、まず相手を好きになれ」とか、「仕事をやめたいと思う前に、その仕事の中で自分がどれだけ成長できるかをよく考えろ」とか、「趣味を仕事にするのは大変だ」とか、「本当の生きがいは誰かのために働くことだ」とか、そんなことはもうずっと前からいろんなところで語られていた。しかしこれを頭ごなしに語っても、それはただの道徳的なお説教になってしまう。この本の著者は、そこにスピリチュアリズムの用語を混ぜていくのだ。それはスピリチュアリズムの法則にもとづいたアドバイスであって、決してお説教でも、著者個人の価値観や人生観にもとづいた押し付けではないのですよ……という姿勢。それがこの著者の人気の秘密なのかな~、という気がする。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006.07.05

図解コーチングスキル

4887593899図解コーチングスキル
鈴木 義幸
ディスカヴァー・トゥエンティワン 2005-07-08

by G-Tools
 コーチングの具体的なテクニックやポイントを、図解と豊富な実例を交えて解説した本。目的別の目次が作られていたりするので、コーチングで何か壁にぶつかったときや悩みが生じたとき、問題解決のマニュアルとして手にとっても役立つものだと思う。「コーチングってなんですか?」という人に向けた本ではなく、あくまでも実際にコーチングをしている人や、コーチングの基本的な考え方を知っている人向けの実践的な本だ。値段は安いけれど(1,000円+税)、使い方によってはその何倍もの価値を生み出すと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.07.03

コーチングのプロが使っている質問力ノート

4887592949コーチングのプロが使っている質問力ノート
ルパート・イールズ=ホワイト
ディスカヴァー・トゥエンティワン 2004-02-15

by G-Tools
 最近立て続けに読んでいるコーチングの本の中の1冊。コーチングは質問を使って相手から答えを引き出していくのだが、具体的にどんな質問をすればいいのかを中心にまとめられたのがこの本だ。質問の「5W1H」や、「Why」を「What」にする質問法など、とてもわかりやすくて参考になる。モデルとして出てくる会話はできすぎだと思うけれど、こうした具体例を示しながらの解説がわかりやすいのも確かだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)