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2007.08.23

白井佳夫の映画の本

B000J8P3BE白井佳夫の映画の本
白井 佳夫
話の特集 1977-11

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 映画評論家の白井佳夫がキネマ旬報の編集長だった頃の仕事から代表的なものを幾つかピックアップし、同時に彼がどのようにしてキネ旬の編集長になり、どのような編集方針で雑誌を再生させ、どんないきさつで編集長を解雇されたのかを記録した本。キネ旬時代の白井佳夫の代表的な仕事としては、黒澤明の『トラ・トラ・トラ』解任をめぐるレポートなども有名なのだが、この本にはそうした白井佳夫個人の仕事は載っていない。ここで取り上げられているのは、「編集者・白井佳夫」なのだ。だから座談会とか、インタビューとか、シナリオの採録とか、そういう裏方仕事が取り上げられている。

 年配の映画ファンと話をしていると、「白井さんがキネ旬の編集長だった頃」という話がよく出てくる。僕はそうした時代をまったく知らなかったので、この本で「キネ旬時代の白井佳夫」を知ったのは大きい。白井佳夫の解任事件そのものが今から30年も前の話(1976年)なのだが、この本はその翌年に出ている。映画についての記事は古びていないけれど、解任事件をめぐるごたごたについてまとめた部分は、読んでいてさすがに隔世の感がある。ロッキード事件の話とか出てくるし……。

 この本が出たときはキネ旬のごたごたもリアルタイムの出来事だったわけだが、その後もキネ旬は二転三転しつつ今もなお老舗の映画雑誌として続いている。この本はキネマ旬報という雑誌の歴史について記した、貴重な証言でもある。

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2007.08.15

『新約聖書』の「たとえ」を解く

4480063307『新約聖書』の「たとえ」を解く (ちくま新書)
加藤 隆
筑摩書房 2006-11

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 福音書にあるイエスのたとえ話を詳細に分析しながら、各福音書がそれらのたとえ話を通じて何を訴えようとしたのかを分析した本。加藤隆の本はこれまでにも何冊か読んでいるのだが、この本はまだ一般読者に読ませるまでのレベルに達していない「私的なノート」という印象を受けた。体調の問題もあるのかも知れないが、読み始めるとすぐに眠くなってしまう。福音書本文の私訳が何度も繰り返し出てくるのもわずらわしい。既存の訳に問題があって引用を避けているなら、既存の訳に問題がある場所だけ私訳を提示すればいいのに。

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2007.08.13

大阪ハムレット

4575940100大阪ハムレット (1)
森下 裕美
双葉社 2006-05-12

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 これは面白い。全編大阪弁のセリフが心地いいのに加えて、シンプルで無駄のない線で構成された絵柄がいい。それでいて、人間の心の奥底にある恐い部分を、容赦なく引き出している。人間の怖さを描けるから、人間の優しさもリアルに描けるのだろう。

 まだ連載中のようなので、今後のエピソードも楽しみ。一度主役になったキャラクターが、別のエピソードに脇役で登場するので、各登場人物たちの「その後」が見られるのだ。

4575940615大阪ハムレット 2 (2)
森下 裕美
双葉社 2007-01-12

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自虐の詩

4812401267自虐の詩 (上)
業田 良家
竹書房 1996-06

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 名作の誉れ高い作品。特に下巻が素晴らしいのだが、それも上巻で主人公たちのキャラクターを十分に掘り下げていればこそ。下巻になって周辺人物たちのエピソードが伸び始めても、作品としての中心軸がぶれないんだろうな。それにしても、最後の数十ページでの壮絶な展開にはうなりました。これは計算して作ったものではなくて、作り手の創造的な馬鹿力みたいなものが一気に噴出してのものだと思う。こういう馬鹿力が出せる人を、天才と呼ぶのである。

 登場人物はかなり考えられていて、万引きで捕まった幸江を家まで送り届けたお巡りさんが、銀行強盗で幸子の父が捕まったあと、彼女にずっと寄り添っているあたりもいい。幸江が上京する列車の中で自分の髪を切ったところでそのシーンを終えて、その後しばらく別のエピソードを続けた後に、再び髪を切った後のエピソードを続けていくあたりは涙なくしては読めません。

4812401275自虐の詩 (下)
業田 良家
竹書房 1996-06

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2007.08.08

保育園民営化を考える

4000093517保育園民営化を考える (岩波ブックレット (No.651))
汐見 稔幸 近藤 幹生
岩波書店 2005-05-11

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 保育園民営化についてまとめたブックレット。短時間でこの問題の要点をつかむにはいい小冊子だと思う。ただ、この問題を考えるときにいつも思うのだが、保育園の民営化には多くの問題があるにも係わらず、なぜ行政は民営化を進めるのかがいまひとつわからない。この本の中でも、行政側の言い分というのは、生の声として紹介されていない。「行政は子育てのことなんてちっとも考えてない」「行政は効率優先で現場のことを考えてない」など、行政悪玉論を論じるのは簡単なこと。でも役人というのは、役所というのは、そんなに馬鹿なところなのかな〜。行政側には行政側なりの理屈や動機があって、抵抗があっても保育園の民営化を進めようとしているのではなかろうか。その理屈と動機の正直なところをぜひ聞いてみたいものだけれど……。

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