ハリウッドの神話学
![]() | ハリウッドの神話学 (1983年) 川本 三郎 潮出版社 1983-04 by G-Tools |
今から20年以上も前の本だが、当時高校生ぐらいだった僕は、こういう本を読んで往年のハリウッド映画がいかなるものなのかを勉強していたのです。その後自分でも映画の歴史を勉強したりしているので、この本の書く映画の歴史が、必ずしも映画史全体を見渡したものではないことに気づいたりします。例えば著者は1950年代をハリウッドの黄金時代と言いますが、その頃のハリウッドは赤狩りで企画力が減退し、テレビに押されて観客数も激減していたはず。反トラスト法違反で興行を切り離した結果、スタジオ・システムは音を立てて崩壊しつつあったのです。
ハリウッドの黄金時代は1930年代から40年代であって、50年代は黄昏の時代、60年代のハリウッドは廃墟です。しかしその黄昏を黄金時代と呼ぶのは、著者とハリウッド映画の出会いの原体験がその時代にあったからに違いありません。つまりこの本は、著者の目から見たハリウッドについての私的エッセイなのです。
この本はその後文庫化もされていますが、同じ著者による「アカデミー賞―オスカーをめぐるエピソード」
が今でも版を重ねているのに対して、「ハリウッドの神話学」は絶版状態です。データとエピソードに徹した「アカデミー賞」に比べると、本書はやはり個人的な思い入れが強い本であり、その分、古びてしまったということなのかもしれません。
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