« 2007年9月 | トップページ | 2007年11月 »

2007.10.30

ハリウッドの神話学

B000J7FP4Aハリウッドの神話学 (1983年)
川本 三郎
潮出版社 1983-04

by G-Tools

 今から20年以上も前の本だが、当時高校生ぐらいだった僕は、こういう本を読んで往年のハリウッド映画がいかなるものなのかを勉強していたのです。その後自分でも映画の歴史を勉強したりしているので、この本の書く映画の歴史が、必ずしも映画史全体を見渡したものではないことに気づいたりします。例えば著者は1950年代をハリウッドの黄金時代と言いますが、その頃のハリウッドは赤狩りで企画力が減退し、テレビに押されて観客数も激減していたはず。反トラスト法違反で興行を切り離した結果、スタジオ・システムは音を立てて崩壊しつつあったのです。

 ハリウッドの黄金時代は1930年代から40年代であって、50年代は黄昏の時代、60年代のハリウッドは廃墟です。しかしその黄昏を黄金時代と呼ぶのは、著者とハリウッド映画の出会いの原体験がその時代にあったからに違いありません。つまりこの本は、著者の目から見たハリウッドについての私的エッセイなのです。

 この本はその後文庫化もされていますが、同じ著者による「アカデミー賞―オスカーをめぐるエピソード」が今でも版を重ねているのに対して、「ハリウッドの神話学」は絶版状態です。データとエピソードに徹した「アカデミー賞」に比べると、本書はやはり個人的な思い入れが強い本であり、その分、古びてしまったということなのかもしれません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.10.29

誰にでもできる「セミナー講師」になって稼ぐ法

4495571419誰にでもできる「セミナー講師」になって稼ぐ法 (DO BOOKS)
松尾 昭仁
同文舘出版 2006-06-23

by G-Tools

 ビジネス・セミナーの講師や主催者として、実際にセミナーを企画・運営していくノウハウが書かれた本。「セミナー講師」という言葉から、専門学校の講師などにも応用が利く記事があるかなと思ったのだが、内容のほとんどはビジネスよりで、あまり参考にはならなかった。映画批評家じゃビジネス・セミナーも開けそうにないし、そういう意味ではちょっと的外れな買い物をしてしまった。

 ただしこの本、つまらないかというとそんなことは全然ない。ビジネス・セミナーという僕の知らなかった世界を、裏側から見させてくれるという意味ではきわめて興味深い読み物だった。いずれ何か映画がらみのセミナーを考えついたら、こうした本を参考に何かやってみてもいいかもしれない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.10.28

しろうとでも一冊本が出せる24の方法

4396312695しろうとでも一冊本が出せる24の方法 (祥伝社黄金文庫)
横田 濱夫
祥伝社 2001-09

by G-Tools

 銀行に勤めながら銀行業界の暴露本を出版して人気作家になった著者が、作家になったいきさつから、作家になるためのノウハウ、出版業界の実態、作家稼業の内情までを語った本。軽い文体でサクサク読めるが、書かれている内容は結構シビアだったりする。読者としては漠然と「本を出したい人」が対象のようで、ビジネス書についての話と、文芸書についての話が入り交じるのが中途半端な印象につながる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.10.26

アニメーション学入門

アニメーション学入門 (平凡社新書)

 アニメーションを学問的に研究する「アニメーション学」について、その研究領域とおまかな研究内容を概略的に記した入門書。具体的な研究内容を記した論文や読み物ではなく、あくまでも研究対象の範囲を示しているに過ぎない印象を受けた。参考文献が詳しく記してあるので、具体的な研究についてはそれらの本を読めということだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.10.09

官邸崩壊 安倍政権迷走の一年

官邸崩壊 安倍政権迷走の一年

 安倍首相の唐突な退陣をきっかけに購入した本。タイトルは既に安倍政権の崩壊をうたっているわけだが、ここで取り上げられているのは安倍首相が辞任するより前の2007年夏、参院選惨敗と赤城農相の更迭までだ。その段階で、この本は安倍政権が事実上崩壊したのだと断言している。安倍政権の崩壊を見事に予言しているわけだ。

 内容は事実に沿っているのだが、人物の内面に深く切り込んでいく筆致はドキュメントというより小説に近い。それだけ面白く読めるが、これを額面通りに受け取るのも考え物だろう。首相のご機嫌取りに終始する側近たちの描写などは、政治家というより首相相手の幇間(たいこもち)だ。毛並みのいいお坊ちゃん政治家をおだてて首相に祭り上げ、その周囲で覚えめでたき幇間たちが歌い踊ってご祝儀の分け前にあずかる。なんと滑稽な話か。

 安倍政権の屋台骨が徹底的にぐらついたのは、政治と金の問題や、年金問題での揺さぶりが致命的だったことは間違いないと思う。しかしこの本はそうした表向きの問題よりも、政権内部の人間関係や、首相とその周囲に群がる人々の「人間性」に焦点を当てているのがユニーク。面白い。面白すぎる。

 これは小説のようなものだと思う。しかしその小説的手法によって、安倍政権の実態を深くえぐり出しているのも事実なのだ。この本を読んで、「ああなるほど、そういうことだったのか!」と思うことは多かった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)