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2008.02.24

リヨンで見た虹―映画をひっさげてきた男 稲畑勝太郎・評伝

4526040258リヨンで見た虹―映画をひっさげてきた男 稲畑勝太郎・評伝 (B&Tブックス)
岡田 清治
日刊工業新聞社 1997-05

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 明治時代に京都府の官費留学生としてフランスに渡り、帰国後は京都の織物・染色産業の発展に寄与。その後独立して事業家として大成し、大阪商工会議所の会頭、貴族院議員などを歴任した稲畑勝太郎の評伝。彼はフランス留学時代にオーギュスト・リュミエールと同級生だったことがあり、発明直後のシネマトグラフを日本に輸入している。ただし興行は自分では行わず、同じ官費留学生の仲間だった永田萬壽之助の実弟・横田永之助に譲った。この横田永之助が作った映画会社が、日本活動写真株式会社(のちの日活)だ。

 実業家・稲畑勝太郎を紹介する目的で書かれている評伝なので、映画にまつわる部分はそれほど多くのページが割かれているわけではないし、それほど詳しく書かれているわけでもない。著者は現代の社会のありようと勝太郎が生きた時代のありようを対比させながら、稲畑勝太郎というひとりの実業人のエネルギッシュな人生を浮き彫りにしていこうとしているのだが、そこに著者の価値観や時代感覚、歴史観が強く反映しすぎて、少々うっとうしく感じられることも多い。記述には繰り返しも多く、くどくどと同じことを何度も書かれている部分もある。

 肝心の映画についての記事も、それが勝太郎の人生の中でどう位置づけられているのかがよくわからない。勝太郎3度目の渡仏はモスリン紡織の研究と機械購入のためだったようだが、その仕事とシネマトグラフ輸入という映画史上の出来事が別々の章に振り分けられているのがわかりにくい。要するにこの本全体の構成やコンセプトに、かなりの難があるのだ。

 稲畑勝太郎についてまとまった記事の書かれた本はあまりないので、資料としては貴重なもの。リュミエール兄弟と稲畑勝太郎の関係、稲畑勝太郎と横田商会の関係など、これを読んでようやく納得できた部分も多い。

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