2008.04.12

映画プロデューサーが語るヒットの哲学

4822243591映画プロデューサーが語るヒットの哲学
原 正人 本間 寛子
日経BP社 2004-04-01

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 戦後の独立プロブームの時代に映画業界に入り、現在はアスミック・エースの相談役、最近は『明日への遺言』で久しぶりに現場復帰した原正人さんの自伝的なプロデューサー入門講座。インタビューから書き起こした本ということもあり、文章は平易でわかりやすい。全体の流れは原さんの映画業界入りから今日まで(本が出た2004年まで)を順番に語っていきながら、それぞれの場面での人との出会いや、失敗と成功、そこから学んだこと、現在にも生かせることなどをコメントしていく形式だ。

 映画業界裏話としては、配給宣伝を担当した『地獄の黙示録』の話、プロデューサーとしての成功作『戦場のメリークリスマス』の製作秘話、日仏合作の黒澤映画『乱』にまつわる話などが面白い。『乱』は最初、三船敏郎と高倉健主演で企画されていた……なんて話は新鮮。『戦場のメリークリスマス』も、最初はビートたけしの演じた役に緒方拳が、坂本龍一が演じた役には滝田栄を考えていて、それぞれ出演交渉もしたらしい。う〜む。これが実現していると、これはまったく別の映画になっていただろうなぁ。

 プロデューサーという仕事は具体的に何をしているのかわかりにくいところもあるのだけれど、この本を読むとその全体像が具体的に見えてくる。出版当時も話題になった本だけど、こんなことならもっと前に読んでおくべきだったと、ちょっと反省。

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2008.04.03

日本映画のヒット力 なぜ日本映画は儲かるようになったか

4270002727日本映画のヒット力 なぜ日本映画は儲かるようになったか
大高宏雄
ランダムハウス講談社 2007-11-30

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 ここ数年、日本映画が盛り返してきている。人によってはそれを「邦画バブル」と言ったりもするが、この本の著者はそうした立場には立たず、こうした邦画の好況ぶりには何らかの実質が伴っていると見る。では日本映画はダメダメだった10数年前に比べて、何がどう変化してきているのか? それをレポートしたのがこの本だ。ただしこれは現状レポートであって、分析や今後の提言にまでは至っていない。日本映画の今後を考えるには、この本をひとつの踏み台として、さらに先を見ていかなければならないだろう。

 

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2008.02.24

リヨンで見た虹―映画をひっさげてきた男 稲畑勝太郎・評伝

4526040258リヨンで見た虹―映画をひっさげてきた男 稲畑勝太郎・評伝 (B&Tブックス)
岡田 清治
日刊工業新聞社 1997-05

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 明治時代に京都府の官費留学生としてフランスに渡り、帰国後は京都の織物・染色産業の発展に寄与。その後独立して事業家として大成し、大阪商工会議所の会頭、貴族院議員などを歴任した稲畑勝太郎の評伝。彼はフランス留学時代にオーギュスト・リュミエールと同級生だったことがあり、発明直後のシネマトグラフを日本に輸入している。ただし興行は自分では行わず、同じ官費留学生の仲間だった永田萬壽之助の実弟・横田永之助に譲った。この横田永之助が作った映画会社が、日本活動写真株式会社(のちの日活)だ。

 実業家・稲畑勝太郎を紹介する目的で書かれている評伝なので、映画にまつわる部分はそれほど多くのページが割かれているわけではないし、それほど詳しく書かれているわけでもない。著者は現代の社会のありようと勝太郎が生きた時代のありようを対比させながら、稲畑勝太郎というひとりの実業人のエネルギッシュな人生を浮き彫りにしていこうとしているのだが、そこに著者の価値観や時代感覚、歴史観が強く反映しすぎて、少々うっとうしく感じられることも多い。記述には繰り返しも多く、くどくどと同じことを何度も書かれている部分もある。

 肝心の映画についての記事も、それが勝太郎の人生の中でどう位置づけられているのかがよくわからない。勝太郎3度目の渡仏はモスリン紡織の研究と機械購入のためだったようだが、その仕事とシネマトグラフ輸入という映画史上の出来事が別々の章に振り分けられているのがわかりにくい。要するにこの本全体の構成やコンセプトに、かなりの難があるのだ。

 稲畑勝太郎についてまとまった記事の書かれた本はあまりないので、資料としては貴重なもの。リュミエール兄弟と稲畑勝太郎の関係、稲畑勝太郎と横田商会の関係など、これを読んでようやく納得できた部分も多い。

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2007.12.20

『フラガール』を支えた映画ファンドのスゴい仕組み

4827550085『フラガール』を支えた映画ファンドのスゴい仕組み (角川SSC新書 (008))
岩崎 明彦
角川SSコミュニケーションズ 2007-10

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 日本の映画ビジネスを資金調達の面から下支えする新しい仕組み「映画ファンド」について、『フラガール』を含むシネカノン作品のファンド化に係わったファンドマネージャーが解説した本。単に『フラガール』がらみの話だけでなく、映画業界の仕組みや、映画ファンド誕生のいきさつなど、日本の映画ビジネス全般について語られているのがいい。映画作品に興味がある人より、むしろ映画産業に興味がある人が読むべき本だろうと思う。

 映画ビジネスの解説書で資金調達について書かれた記事を読んだことは何度もあるが、ほんの数年前までは「日本では映画ファンドなど夢のまた夢」というのが常識だった。その常識がいかにして覆されたのかは、法的な問題のクリアとともに、この著者のように実際に金融畑の知識を持ち、なおかつ映画ビジネスに参入しようという熱意のある「個人」ががんばらないと話にならないのだろう。しかしこれはひとつの突破口。映画ファンドによって日本映画ビジネスの形が大きく変わるとは思わないけれど、これまで以上に柔軟な資金調達が可能になり、それは必ずや映画の企画や製作そのものも変えていくことになると思う。

 同じ著者による「コンテンツビジネスの資金調達スキーム」にも興味がわくけど、それはまた後日。

4901676962コンテンツビジネスの資金調達スキーム
ジャパンデジタルコンテンツ
九天社 2004-05

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2007.12.06

映画理論入門

4390100106映画理論入門
今村 太平
社会思想社 1993-06

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 今から半世紀以上前に書かれた映画理論の入門書。著者の今村太平はかつて一世を風靡した映画評論家であり映画理論家。今でも彼の「漫画映画論」は、映画関連の古典的書籍を復刊したジブリLibraryで手に入れることができる。それなりに読者がいるということなのかもしれない。僕が今村太平の名前を知ったのは、映画評論家の佐藤忠男さんが自伝的な著書の中で紹介していたからで、そこには「昔読んだときはすごい理論家だと思ったけど、その後は古くさく感じられるようになった」といった意味のことが書かれていた。それは今回、この本を読んで僕も感じた。理論家として映画や映画理論を一刀両断していく姿勢はすごいけど、これはもう時代遅れです。なんたって理論の根幹にあるのが、マルクス主義の唯物論だからなぁ……。

 この本は古典的な映画理論の入門書としては、それなりによくできている。取り上げられているのはミュンスターバーグ、ムウシナック、アルンハイム、ベラ・バラーズ、エイゼンシュテイン、プドフキン、ポール・ローザで、彼らの著書からその理論や思想のエッセンスを取り出して簡潔に紹介してくれているのはとてもありがたい。僕はベラ・バラージュ(バラーズ)の「映画の理論」も読んでるけど、それよりは今村太平流の抜粋と要約の方がよほど彼の理論がよくわかるような気にさせられる。おそらくそれは、他の理論家の著書についても同じことが言えるのではないだろうか。

 しかし僕はその要約の姿勢に、少し疑問を持ったりもするのだ。ここには著者である今村太平の視点が入っている。彼は古典的な映画理論を引用紹介しつつ、そこに自分自身の批判的なコメントも書き加えている。それは紹介している映画理論を相対化し、現代の読者にとってより役に立つ生きた理論にしたいという著者の願いから来るものなのだろうが、著者はなにしろ半世紀前のマルクス主義理論家だから、その批判にせよ、相対化にせよ、マルクス主義のバイアスがかかってしまっている。この本を読んでそこに書かれている理論を我がものにしようとする人は、紹介されている理論と向き合うために、今村太平というマルクス主義理論家の視点を再度自分の中で再検証し、補正していかなければならないのだ。

 現代教養文庫から出されていた本で、僕が入手したのは「現代教養文庫リバイバル・セレクション」の1冊。現代教養文庫を出していた社会思想社もなくなっている今、この本はもう復刊されることはないと思う。ただし古典的な映画理論の紹介という点では、おそらくこれに勝る本はそうそうないと思う。そうしたものが読みたい人にはよい本。ただし復刊を待つまでもなく、こんなものは古書ルートで手に入れればいいのです。数百円で買えるしね。

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2007.11.03

作劇術

4000230174作劇術
新藤 兼人
岩波書店 2006-11

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 新藤兼人のシナリオ論やエッセイをまとめた「シナリオの構成 」の延長にあるものを期待したらさに非ず。これは脚本家としての新藤兼人へのインタビュー本でした。自身の監督作だけでなく、他の監督に提供した脚本について膨大なコメントがあるのは貴重。そこから見えてくるのは、脚本と演出の関係性だったり、各監督の個性だったりするわけで、これはこれとして面白く読めるものでした。もちろんコメントの合間には、著者なりの脚本論なり方法論なりがあって、これもとても参考になるのです。著者は映画化された脚本だけでも200本以上という人だから、もちろんそのすべてについてコメントがあるわけではない。でも主だった作品についてはコメントしてあるので、これを見れば「映画人・新藤兼人」についての全体像はだいたい見えてくると思う。

 それにしても、新藤兼人の脚本執筆スピードには驚く。3日ぐらいでだいたいの構成を考えて、実際に書くのは5日間だという。仕事の依頼があってもなくても脚本だけはどんどん書いておいて、できのいいものはストックしておき、駄目なものは躊躇なく捨ててしまう。その上で「何かないか」と言われたら、「こんなのあります」とポンと出せるようにしておくのが新藤流なのだそうだ。もっともこうしてストックの中から映画に結びつくものはほとんどないようで、実際には依頼に沿って書き下ろすことが多いみたいだけど。

 これはスポーツ選手がオフの時もトレーニングを欠かさないのに似ていると思う。依頼がなくても日々シナリオを書き続けていくというのは、著者が修業時代から行っているシナリオ作家としてのトレーニングであると同時に、今も現役でいるための体力を維持するトレーニングなのだろう。新藤兼人はこの過酷な自主トレによって、誰の弟子になるわけでもなく独学で日本有数のシナリオライターになったのだ。

 新藤兼人の素地になっているのは「近代劇全集」44巻を読破したという経験だそうで、これは笠原和夫が「仮名手本忠臣蔵」と「松竹新喜劇」を読んだというのと似ている。笠原和夫も、独学の人だった。

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2007.10.30

ハリウッドの神話学

B000J7FP4Aハリウッドの神話学 (1983年)
川本 三郎
潮出版社 1983-04

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 今から20年以上も前の本だが、当時高校生ぐらいだった僕は、こういう本を読んで往年のハリウッド映画がいかなるものなのかを勉強していたのです。その後自分でも映画の歴史を勉強したりしているので、この本の書く映画の歴史が、必ずしも映画史全体を見渡したものではないことに気づいたりします。例えば著者は1950年代をハリウッドの黄金時代と言いますが、その頃のハリウッドは赤狩りで企画力が減退し、テレビに押されて観客数も激減していたはず。反トラスト法違反で興行を切り離した結果、スタジオ・システムは音を立てて崩壊しつつあったのです。

 ハリウッドの黄金時代は1930年代から40年代であって、50年代は黄昏の時代、60年代のハリウッドは廃墟です。しかしその黄昏を黄金時代と呼ぶのは、著者とハリウッド映画の出会いの原体験がその時代にあったからに違いありません。つまりこの本は、著者の目から見たハリウッドについての私的エッセイなのです。

 この本はその後文庫化もされていますが、同じ著者による「アカデミー賞―オスカーをめぐるエピソード」が今でも版を重ねているのに対して、「ハリウッドの神話学」は絶版状態です。データとエピソードに徹した「アカデミー賞」に比べると、本書はやはり個人的な思い入れが強い本であり、その分、古びてしまったということなのかもしれません。

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2007.10.26

アニメーション学入門

アニメーション学入門 (平凡社新書)

 アニメーションを学問的に研究する「アニメーション学」について、その研究領域とおまかな研究内容を概略的に記した入門書。具体的な研究内容を記した論文や読み物ではなく、あくまでも研究対象の範囲を示しているに過ぎない印象を受けた。参考文献が詳しく記してあるので、具体的な研究についてはそれらの本を読めということだろう。

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2007.08.23

白井佳夫の映画の本

B000J8P3BE白井佳夫の映画の本
白井 佳夫
話の特集 1977-11

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 映画評論家の白井佳夫がキネマ旬報の編集長だった頃の仕事から代表的なものを幾つかピックアップし、同時に彼がどのようにしてキネ旬の編集長になり、どのような編集方針で雑誌を再生させ、どんないきさつで編集長を解雇されたのかを記録した本。キネ旬時代の白井佳夫の代表的な仕事としては、黒澤明の『トラ・トラ・トラ』解任をめぐるレポートなども有名なのだが、この本にはそうした白井佳夫個人の仕事は載っていない。ここで取り上げられているのは、「編集者・白井佳夫」なのだ。だから座談会とか、インタビューとか、シナリオの採録とか、そういう裏方仕事が取り上げられている。

 年配の映画ファンと話をしていると、「白井さんがキネ旬の編集長だった頃」という話がよく出てくる。僕はそうした時代をまったく知らなかったので、この本で「キネ旬時代の白井佳夫」を知ったのは大きい。白井佳夫の解任事件そのものが今から30年も前の話(1976年)なのだが、この本はその翌年に出ている。映画についての記事は古びていないけれど、解任事件をめぐるごたごたについてまとめた部分は、読んでいてさすがに隔世の感がある。ロッキード事件の話とか出てくるし……。

 この本が出たときはキネ旬のごたごたもリアルタイムの出来事だったわけだが、その後もキネ旬は二転三転しつつ今もなお老舗の映画雑誌として続いている。この本はキネマ旬報という雑誌の歴史について記した、貴重な証言でもある。

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2007.07.30

映画三国志―小説東映

Photo映画三国志―小説東映
大下 英治
徳間書店 1990-05

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 日本のメジャー映画会社である東映の歴史を、岡田茂など会社経営社たちの側から描いたノンフィクション・ノベル。いろいろな映画関連本、インタビューなどを資料にしつつ、東映に係わった人々の姿やそこで起きた事件を紹介している。知っている話もあれば、知らなかった話もあって面白い。東映の歴史を通して見た、戦後日本映画史でもある。

 あくまでも小説なので、資料にはならない。しかし映画にまつわるいろいろな言葉やエピソードは著者が別の資料から引用しているものなので、それはそれなりに参考にはなる。

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2007.07.21

字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ

433403392X字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ
太田 直子
光文社 2007-02-16

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 字幕翻訳家の太田直子さんが、仕事を通じて日本語について感じているアレコレを書きつづったエッセイ。映画字幕についての裏話は既に幾つかの本が出ているので、それらと重複するような話は極力避けられている様子。つまり「映画字幕はこんな風に作られてます」とか、「映画字幕は翻訳とはちょっと違います」なんて話はあまり載ってない。映画字幕製作の舞台裏を知りたいなら、他の本の方が参考になるだろう。(もちろん裏話も少しは書いてあるんだけどね。)

 この本で面白いのは、字幕翻訳家と映画配給会社の綱引きや駆け引きを赤裸々に書いている部分だ。映画作品の意図をねじ曲げてでも、観客に感動を押し売りするかのような字幕を求める担当者たちと、できるだけ映画本来の意図を優先させようとする著者の攻防。(タイトルは伏せられているけれど、実話をもとにした映画ってのは『サルバドールの朝』のことかな。)映画の中に台詞がないのに、そこに無理矢理字幕を付けちゃう話とか、登場人物のちょっとした台詞を、勝手に気持ちをくみ取って超訳してしまう話とか、いかにもアリソウで苦笑いしてしまう。映画の字幕を作るのは確かに字幕翻訳家なんだけど、完成した字幕が配給会社の判断で勝手に直されてしまうことがあるとなると、下手くそな字幕があったとしても、それは字幕翻訳が悪いのか配給会社が悪いのか判断できませんな。

 まあ字幕翻訳家を選ぶのも配給会社の仕事だから、字幕がヘボならその責任は配給会社にあるんだとは思うけどね……。

 いわゆる禁止用語(不快語や差別語)の扱いについての話題もなかなか面白く読めたし、字幕版と吹き替え版についての話も面白い。ただしこの本、全体としてのまとまりはあまりない。個々の話題についても、映画に関係の深い話もあれば、まったく映画と関係のない話も出てきたりする。ものすごく面白い部分もあれば、ひどく退屈な部分もある。しかし映画を通して日々「日本語」と向き合っている著者の言葉には肯けるところも多く、読んでいて刺激にはならないけれど、「よくぞ言った!」と溜飲が下がる箇所も多い。

 著者は字幕翻訳の将来にちょっと悲観的なことも述べているが、日本が映像輸入大国である限り、今後も字幕翻訳の需要はなくならないと思う。ただし労働環境は厳しくなりそうだ。字幕翻訳の仕事はなくならなくても、職業としての「字幕翻訳家」はかなり大変だろうと思う。この本の中にも、薄給で使い捨てられていく翻訳家の話が出てくる。学生アルバイトみたいな形で、映像字幕の仕事に係わる人は増える。しかしそれは素人に毛が生えたようなものであって、長い経験と技術に裏打ちされたプロの水準には達していない。若手のギャラは安く、志望者は多いので人材は使い捨てになる。日本人は相対として国語力が落ちている。配給会社の担当者が字幕の品質にこだわらなくなれば、 字幕翻訳の質だって際限なく低下していく……。悪循環だな〜。

4768477712字幕仕掛人一代記―神島きみ自伝
神島 きみ
パンドラ 1995-11

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2007.07.11

「殺陣」という文化―チャンバラ時代劇映画を探る

4790712362「殺陣」という文化―チャンバラ時代劇映画を探る
小川 順子
世界思想社教学社 2007-04

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 日本の時代劇に特有の「殺陣」を取り上げ、ひとつの映像文化として掘り下げていこうとした本。映画ガイドではなく、中身はあくまでも硬派の研究書。殺陣やチャンバラを取り上げる本が得てして映画論や俳優論、作品論に流れるのに対し、この本は何とかして「殺陣」そのものに踏みとどまろうとしている。その心意気やよし。ただし映像作品を研究する常として、書籍では映像作品そのものを引用できないという弱点がある。この本でも、それが克服できていない。

 他の時代劇本、チャンバラ本では、殺陣のシーンを言葉で再現していこうとするわけだが、この本の著者はそれが苦手なのか、そもそもそれをする気がないのか、「殺陣」というきらびやかな映像世界を取り上げている割には、文章は素っ気なく味気ない。より具体的に言うなら、この本を読んでも取り上げられている映画を観てみたいとはあまり思えないのだ。もちろんこれは、読者を映画作品に誘うガイドブックではないから、そんなことは関係ないと行ってしまうことも出来るんだけど……。

 方法論はともかくとして、議論があまりツボにはまっていないような印象を強く受けるのだ。例えばそれは取材の姿勢にも現れていて、巻末に収録されている藤蔭静枝のインタビューが、そもそもなぜこの本に収録されているのかすらわからない。

 著者も参考にしたという永田哲朗の「殺陣―チャンバラ映画史」の足下にも及ばない本。「殺陣」は現在絶版なので、どこかが復刊してくれないかな〜。

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2007.06.30

シネマ今昔問答・望郷篇

4403210872シネマ今昔問答・望郷篇
和田 誠
新書館 2005-12

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 イラストレーターで映画監督でもある和田誠が、インタビュー形式で綴る私的映画史。前作「シネマ今昔問答」は和田誠が案内人になって世界の映画史を語るという趣向だったが、今回はそうした教科書的な内容を離れて、もっとプライベートな領域に踏み込んでいる。著者が初めて観た映画の話、子供の頃に好きだった映画の話、個人的な映画の趣味、映画の仕事との係わり、映画監督になったいきさつや撮影裏話、映画批評についての考え方、映画に出演することになった理由などなど。

 前作がオーソドックスな映画史の教科書にもなりそうな内容だったのに対して、今回はあくまでも個人的な話に終始しており、そこがこの本の魅力にもなっている。ひとりの映画ファンが、映画にのめり込み、はてはそれを職業にしてしまうまでが綴られているのだから、これが面白くないはずがない。特に面白く読んだのは、やはり「麻雀放浪記」から始まる監督作についての話。僕は和田監督の『麻雀放浪記』と『快盗ルビー』は好きだが、それ以降の作品はイマイチだな〜という印象を持っているのだけれど、この本で裏話を読んだりすると、『怖がる人々』や『真夜中まで』をまた観てみたいな〜と思ったりもする。

 映画というのは、じつは裏話の方が面白かったりするのだ。

4403210848シネマ今昔問答
和田 誠
新書館 2004-01

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2007.03.07

ヒッチコック『裏窓』ミステリの映画学

4622083035ヒッチコック『裏窓』ミステリの映画学
加藤 幹郎
みすず書房 2005-06

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 ずいぶん前に購入して、なかなか読まなかった本。まあこれはこれで、映画批評のひとつの形ではある。でも僕の趣味ではないけどね。まあ出版社がみすず書房だから、余計にこういう文体になるのかもしれないけど。

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2007.02.13

シナリオ人生

4004309026シナリオ人生
新藤 兼人
岩波書店 2004-07

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 映画監督であり脚本家でもある新藤兼人の自伝的エッセイ。生い立ち、映画界を目指したきっかけ、シナリオとの出会い、習作時代、溝口健二監督の想い出、シナリオの三段階理論など、いろいろと盛りだくさんの内容だ。しかしこの本の底に流れているのは、最初の妻・久慈孝子との短い結婚生活に対する思いだ。ふたりの出会いとプロポーズ、そして貧しかった新婚時代、ようやく世間に認められ始めたときにやってくる、妻の病気と死……。淡々とした筆致が、逆に大きな感動を呼ぶ。

 新藤兼人監督はこの「久慈さん」との想い出をもとに、映画監督デビュー作『愛妻物語』を作った。その映画で妻・孝子を演じたのが、その後の新藤監督の公私に渡るパートナーとなる乙羽信子だった。

B000I0RE4W愛妻物語
乙羽信子 新藤兼人 宇野重吉
角川エンタテインメント 2006-11-24

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2007.02.12

黒澤明vs.ハリウッド―『トラ・トラ・トラ!』その謎のすべて

4163677909黒澤明vs.ハリウッド―『トラ・トラ・トラ!』その謎のすべて
田草川 弘
文藝春秋 2006-04

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 映画監督黒澤明にとって晩年のトラウマとなった『トラ トラ トラ!』監督解任事件に、新たに発掘されたアメリカ側の資料や、プロデューサーのエルモ・ウィリアムズへの新しいインタビューなどを通してまったく新しい光を当てたドキュメント。『トラ トラ トラ!』についてはこれまでも様々な説が出されていたし、そこでは黒澤を解任に追い込んだ犯人捜しが行われるのが常だった。(例えば「黒沢明集成〈3〉」にあるレポートや「異説・黒沢明」にある、日本側プロデューサー青柳哲郎を悪役にする説。)しかしこの本は、それらとは一線を画している。これは日本とアメリカという異なった文化が出会い、互いに強く惹かれあいながらも相互を理解し得ないまま破局を迎える物語なのだ。

 黒澤監督が撮影所で起こしたとされる数々の奇行については知っていたが、この本にはそれも克明に再現されている。(コミック「クロサワ―炎の映画監督・黒沢明伝」にもその様子が描かれている。)こうした奇行ぶりを見ると、やはり黒澤明がフォックスに解任されるのもやむを得ないのかなと思う。しかしこうした奇行の出現は、それまで水面下で進行していた事柄が一気に表面に浮かび上がったものにすぎない。本書はそこに至る相互の行き違いを、映画の企画時点までさかのぼって解読していく。『史上最大の作戦』の太平洋戦争版として企画された映画が、いかにして黒澤明のもとに回ってきたのか。黒澤はどんなつもりでその仕事を引き受け、そこにどんな情報の行き違いがあったのか。本書を読めば、この映画の製作にはフォックスの側にも黒澤側にも、最初からボタンの掛け違いがあったことがわかる。そしてそのボタンの掛け違いに、なぜか互いが最後まで気が付かずにいたのだ。

 1960年代の日本には、ハリウッドの映画ビジネスがいかなるものなのかを知る人が誰もいなかった。またハリウッドの側にも、日本の映画製作事情を知る人が誰もいなかった。双方が勝手に「映画作りの方法は万国共通」だと思って、どんどん企画が進んでいったのが実情ではなかろうか。ハリウッドのプロデューサー・システムがいかなるものなのかぐらい、今ならちょっとした映画ファンでも知っているだろう。しかし黒澤明とその周辺の人たちは、それをまったく知らなかったし、知ろうとすらしなかった。

 いずれにせよ、『トラ トラ トラ!』事件については、この本が今後も決定版の底本として映画史の中に位置づけられることは間違いなさそうだ。(あとは青柳哲郎プロデューサーからの証言が聞いてみたいけれど。)黒澤明については、他にもまだなぞめいた事件がいくつかある。例えば三船敏郎との不仲はなぜ生じたのか。『影武者』での勝新太郎解任事件はなぜ起きたのかなどだ。こうした問題についても、いずれは決定的な本が出てくることを望む。

自著を語る

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2007.01.26

キム・ギドクの世界 ~野生もしくは贖罪の山羊~

4861910064キム・ギドクの世界 ~野生もしくは贖罪の山羊~
チョン・ソンイル 秋那 南 裕恵
白夜書房 2005-03-26

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 韓国映画界の異端児キム・ギドク監督についてのまとまった本で、中身は作家論あり、インタビューあり、作品紹介ありと盛りだくさん。しかし全体としては、ちょっとまとまりに欠ける。資料としての価値を期待したのだが、簡単な年譜もないのでは話にならない。ちょっと期待はずれ。

 キム・ギドク監督については、もっと多くのことが語られてもいいはずだし、おそらく今後、さまざまな場所で語られることになると思う。これはその第一弾。

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魚と寝る女キム・ギドク ソ・ジョン パク・ソンヒ

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2007.01.20

複眼の映像 私と黒澤明

4163675000複眼の映像 私と黒澤明
橋本 忍
文藝春秋 2005-10-25

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 「脚本家・橋本忍の世界」に続いて読んだ、橋本忍本人の手による自伝的な黒澤明論。黒澤明との共同作業が、具体的にどのような方法で行われていたのかという詳細が手に取るようにわかるのは、さすがに脚本家の手によるものと言うべきだろうか。『七人の侍』までの脚本作りと、『生きものの記録』以降の脚本作りが、同じような脚本家連名の共同作業であっても、内実はまったく別物であることがこれを読むとよくわかるのだ。これは黒澤明を研究する人にとって、必読の資料となることだろう。またシナリオライターを目指す人にとっても、よい手引き書になるに違いない。橋本忍は戦前の名監督であり名脚本家でもあった伊丹万作にとって、唯一の例外的な弟子となった人でもある。本人のキャリアの中では、黒澤明、小國英雄、菊島隆三など、やはり超一流の書き手たちと共同で作業をしている。だからその脚本哲学の中には、戦前から戦後にかけての日本映画黄金時代を支えた脚本作りのエッセンスが詰まっている。

 黒澤明の作風が大きく変化して行った理由としては、さまざまな問題が考えられると思う。必ずしもそのすべてを、脚本作りにのみ結びつけることはできないだろう。しかし映画の青写真である脚本をいかにして作るかというのは、映画の土台をどうするかということであって、これに着目した、しかもその現場にいた当事者の視点からの黒澤明論という点で、これはとてもユニークであり、黒澤明と共同で脚本を書いた当事者たちが(この本を書いた橋本忍を含めて)全員が亡くなっていることを考えると、今後決して書かれることのない唯一無二の本となるだろう。

 『七人の侍』や『生きる』など、著者と黒澤明の共同作業についてはもちろん詳しく書かれているし、黒澤明に対する野村芳太郎監督の評価や、挫折した国立映画劇場と国立映画撮影所の建設計画など、これまでに聞いたことのない話題が出てくるのも新鮮。これはじつに面白い本だった。

B00006ITSR七人の侍
黒澤明 橋本忍 三船敏郎
東宝 2002-10-25

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2007.01.18

脚本家・橋本忍の世界

4087203050脚本家・橋本忍の世界
村井 淳志
集英社 2005-08

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 戦後日本映画界を代表する脚本家・橋本忍の代表作9本を取り上げ、作品誕生の背景、執筆の裏話、作品の反響などについて論じた本。随所に橋本忍本人へのインタビューがあるのが貴重だ。研究書と呼ぶには軽すぎるし、映画ガイドブックとしてはマニアックすぎる。また評伝としては、取り上げていない作品が多すぎる。1冊の本としてはちょっと中途半端にも思えるが、個々の作品につての記事は読み応えがあって面白かった。取り上げられている作品は、『七人の侍』『羅生門』『真昼の暗黒』『私は貝になりたい』『切腹』『白い巨塔』『日本のいちばん長い日』『八甲田山』『砂の器』。

 ここで取り上げられた作品は確かに橋本忍の代表作ばかりだが、著者自身が後書きで述べているとおり、『生きる』や『張込み』などの作品が取り上げられていないのは残念。インタビューも断片的で、まとまった読み応えのあるものになっていないのは残念。しかし黒澤明との共同脚本がどのように書かれていたのかなど、これまで映画ファンにもなかなかわかりにくかった部分を解明しているのはありがたい。(ただしこれらの共同作業の詳細については、この本と同時期に書かれた橋本忍自身の自伝的著書「複眼の映像 私と黒澤明」に、より克明な記事があるので、黒澤映画のファンはそちらも参考にすべきだと思う。

B0007W7GPS日本のいちばん長い日
橋本忍 岡本喜八 三船敏郎
東宝 2005-07-22

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2007.01.10

パパ、黒澤明

416355890Xパパ、黒澤明
黒沢 和子
文藝春秋 2000-01

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 黒澤明が亡くなり、遺作シナリオの『雨あがる』が小泉堯史監督に映画化された直後、黒澤監督の長女である黒澤和子が書いた父・黒澤明との思い出の記録。事前に「回想 黒沢明」を読んでいたのだが、内容的にはこの「パパ、黒澤明」の方が重く悲しい。天才とも天皇とも呼ばれて戦後の日本映画界を背負った黒澤明が、挫折し、年老い、ケガで寝たきりになって衰弱し、死んでいく様子が、ごく身近で世話をしていた娘の視線で克明に描かれているのだ。

 しかしながら、他の映画本やインタビューではうかがい知ることの出来なかった「家庭人としての黒澤明」の姿が記録されているという意味で、これはなかなか読み応えのある本でもある。黒澤明にまつわる数々の伝説や逸話も、なるほど黒澤明がこんな人だったからこそ生まれたのかと納得できる点が多い。

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2007.01.06

回想 黒澤明

4121017617回想 黒澤明
黒沢 和子
中央公論新社 2004-08

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 黒澤明監督の思い出を、娘の黒沢和子が綴ったエッセイ集。他の映画本やインタビューには現れない、黒澤明の日常が描かれているのが面白い。

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2006.11.30

トットチャンネル

4101334021トットチャンネル
黒柳 徹子
新潮社 1987-03

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 大ベストセラーとなった黒柳徹子の自伝「窓ぎわのトットちゃん」の、いわば続編として書かれた著者の青春記。テレビ放送開始直後の放送局の様子を、生き生きと描いたエッセイ風の自伝だ。先日これを映画化したものをDVDで見て、面白かったので原作を読んでみようと思った。映画では多くのエピソードを割愛しているので、原作の方がエピソードの数は豊富で面白い。特に殺された忍者が「それは拙者の扶持でござる」と言って絶命するエピソードは傑作。

 おそらくテレビ放送初期のエピソードというのは多くの人たちが書き残していると思うのだが、これはその中でも間違いなく面白さナンバーワンだと思う。映画を事前に見ていたので、文字でエピソードを読みながらも情景が手に取るように見えてくるのが楽しい。

トットチャンネル
トットチャンネル斉藤由貴 黒柳徹子 大森一樹

東宝 2006-11-23
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恋する女たち 「さよなら」の女たち 君は僕をスキになる 吾輩は主婦であるDVD-BOX 下巻「たかし」 吾輩は主婦であるDVD-BOX 上巻「みどり」

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2006.10.05

映画・映像業界就職ガイド (2006)

4873766133映画・映像業界就職ガイド (2006)
キネマ旬報社
キネマ旬報社 2004-11

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 キネマ旬報がここ数年、毎年出している映画業界就職ガイドの2006年版。現在は最新の2007年版が出ているが、じきに2008年版も出るだろう。就職希望の学生は毎年入れ代わるし、会社案内などのデータも毎年差し替えなければならないので、この手のガイド本には毎年決まった一定数の需要がある。キネマ旬報は、いい商売をしているよな~。まあそれはともかくとして、これはこれでよくできたガイドブックだ。映画業界の仕事の内容や、どうしたら就職できるか、企業側はどんな人材を求めているのかなどを、完結にまとめている。これを見れば、映画業界の全体像がなんとなくわかるのだ。「就職」を切り口にした映画業界の案内本として、就職を考えていない普通の映画ファンが読んでも興味の持てる内容になっていると思う。

 巻末には映画会社や配給会社の連絡先リストがあるので、ライターやメディア関係者が、配給会社に問い合わせをしたり試写の案内を聞いたりする時も便利だと思う。(配給会社や宣伝会社には、タウンページに載ってないところも多いからね。)

映画・映像業界就職ガイド (’07)
映画・映像業界就職ガイド (’07)キネマ旬報映画総合研究所

キネマ旬報社 2005-12
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映画プロデューサーの基礎知識―映画ビジネスの入り口から出口まで 映画・アニメ・CMの全仕事 (2006) 映画の仕事はやめられない! きらめく映像ビジネス! 映画検定公式テキストブック

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2006.09.25

外国映画ビジネスが面白い

4873765188外国映画ビジネスが面白い
キネマ旬報社
キネマ旬報社 1999-09

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 キネ旬ムックの1冊として1999年に発行された本で、内容的には今見るとちょっと古びたトピックが散見されるものの、洋画配給や宣伝の仕事について知りたい人や、それらの仕事に就きたいと思っている人が読めばとても参考になるであろう本。外国映画の輸入から劇場公開、二次セールまでの流れを簡単に紹介するイントロダクションに続き、本書のほとんどを占めていてるのは、映画配給会社で実際に仕事をしている人たちへのインタビュー。これがじつに面白い。取材テープをもとに詳細に作られた記事からは、時として喋っている人の息づかいまで伝わってくるような気がする。

 この本ができたころと比べると映画業界もかなり様子が変わっていて、会社が統合したり別会社になったりして、取材した配給会社の幾つかは姿を消している。(例えば日本ヘラルド映画など。)紹介されている各種のデータも、ちょっと古めかしい。しかし配給会社の仕事自体はそれほど大きく変わっていないので、語られている中身は今でも参考になるだろう。アマゾンのマーケットプレイスなら百数十円で購入できる(送料がかかるけど)本なので、配給会社への就職を目指している学生などは必読だ!

映画・映像業界就職ガイド (’07)
映画・映像業界就職ガイド (’07)キネマ旬報映画総合研究所

キネマ旬報社 2005-12
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外国映画 ハラハラドキドキぼくの500本

4166604767外国映画 ハラハラドキドキぼくの500本
双葉 十三郎
文藝春秋 2005-11

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 「外国映画ぼくの500本」「日本映画 ぼくの300本」に続く、文春新書判の双葉十三郎流映画ガイド。いわゆる名作名画に限らず、観ていてハラハラドキドキできる娯楽映画を中心に、映画史初期のサイレント映画から最近の作品まで500本を選び出して紹介している。内容紹介と評価を兼ねる簡潔な文章も歯切れがよく、紹介文を読んでいるとついその映画を観たくなってしまうような記事も多い。しかしそうした気分にさせられる映画ほど、DVDにはなっていなかったりするんだよな~。

 いずれにせよ、たったひとりの選者による映画ガイドという点では価値のある本。複数の選者が投票形式でベスト作品を選ぶと、どうしても無難な名作名画に票が偏って教養主義の匂いがしてくるものだが、この本にはそうした傾向がまったくないのがヨロシイ。サスペンス映画やホラー映画、B・C級のアクション映画など、映画ファンがにやりとするような選出ぶり。探偵映画がご贔屓なのは双葉さんの個人的な趣味だろう。

外国映画ぼくの500本
外国映画ぼくの500本双葉 十三郎

文藝春秋 2003-04
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日本映画 ぼくの300本 映画検定公式問題集―2級・3級・4級全300問 ぼくが選んだ洋画・邦画ベスト200 外国映画 ハラハラドキドキぼくの500本 映画検定公式テキストブック

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2006.09.21

モンローもいる暗い部屋

4106017229モンローもいる暗い部屋
和田 誠
新潮社 1985-08

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 昭和60年(1985年)に編集された映画エッセイ集。エッセイというのはかなり幅の広い概念で、中身は20数人の著者による、コラム、随筆、映画評論、映画批評、映画論、女優論、ジャンル論、はたまた対談、短編小説までが収録されている。映画にまつわる文章のショーケースとでもいった内容で、これは映画にまつわる文章で飯を食っている僕にもとても勉強になる本だった。

 近所のブックオフで100円棚から拾ってきたものだが、これはまさに予想外の拾い物でした。

それはまた別の話
それはまた別の話和田 誠 三谷 幸喜

文藝春秋 2001-02
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これもまた別の話 仕事、三谷幸喜の 俺はその夜多くのことを学んだ 気まずい二人 オンリー・ミー―私だけを

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2006.09.20

たたかう映画―ドキュメンタリストの昭和史

4004300827たたかう映画―ドキュメンタリストの昭和史
亀井 文夫
岩波書店 1989-08

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 戦時中に監督したドキュメンタリー映画『戦ふ兵隊』が上映禁止になり、その後に撮った何本かの作品とソビエト留学の経歴から治安維持法違反で逮捕拘禁され、戦後は『日本の悲劇』がGHQの手で上映禁止にされ、東宝争議では契約社員であるにもかかわらず社員並に会社から解雇された亀井文夫監督の自伝。とはいえこれは、著者があちこちに書いた記事の断片を寄せ集め、時系列にまとめて編集された「モンタージュ自伝」だ。

 亀井文夫の名前は日本のドキュメンタリー映画(映像)史をひもとけば必ず登場するので、その人柄や映画についての考えには興味があった。特にドキュメンタリー映画における「やらせ」の問題は、海外のドキュメンタリーならロバート・フラハティの昔から、日本のドキュメンタリーなら亀井文夫の時代から行われていたというので有名。ドキュメンタリー映画の中の「フィクション」については、この本の中にもちゃんと書かれている。

マンモスの骨が発掘された時、学者たちはこの骨を組み立てるために、不足の骨を模造して全体の型を再現する。この場合、全体の型を正確につくり出すことが必要なのである。模型の骨は、そのための一つの手段なのであって、模型を使ったから全体が偽物だという人はいないだろう。記録映画のフィクションは、ちょうどこのような骨の作用をすると考えればよいと思う。(P140)

 『戦ふ兵隊』や『日本の悲劇』についてはある程度知っていたので、この本では著者がソビエトで映画の勉強を始めた経緯や、戦後の活動などについて書かれている部分が面白かった。

戦ふ兵隊
戦ふ兵隊亀井文夫

ビデオメーカー 2004-11-21
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