2007.11.21

神と科学は共存できるか?

4822245721神と科学は共存できるか?
スティーヴン・ジェイ・グールド 新妻 昭夫
日経BP社 2007-10-18

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 僕はキリスト教徒ではないが、聖書やキリスト教は面白いと思っているし、それに関する本をよく読んだりもする。身近なところにクリスチャンがいたりもするし、クリスチャンたちと信仰について話すこともある。しかし僕は一部のクリスチャン(保守的な信仰の人が多い)が、生物の進化(進化論)という、いわば科学の常識に類する事柄をかたくなに拒絶することが不思議でならなかった。本書「神と科学は共存できるか?」の著者は、世界的な古生物学者であり進化生物学者。そんな著者の主張は「科学と宗教は対立しない」というものだ。科学と宗教は互いに守備範囲が違い、その境界に重なり合う部分はないから対立しようがないのだという。科学の側にいる人間と宗教の側にいる人間がそれを尊重しあえれば、科学と宗教はこの世界の中で仲良く共存できるというのだが、それは本当だろうか?

 僕自身も著者と同じで、科学と宗教は矛盾することがないと考えている。科学と宗教は人間の両目のようなもので、同じものを見つめていても左右の目が見ているものはちょっとずつ違うわけだ。その違いは決して埋まらない。右目の見ているものが正しくて左目が間違いだということではないし、左目が正しくて右目が誤りだということでもない。ふたつの視線は決して交わらず、だからこそ人間は世界を豊かな立体感の中でとらえることができるわけだ。

 著者のグールドの主張も、結局はそれと同じことなのだと思う。科学の世の中で宗教が役割を終えたということではない。宗教には今後も人間の生きる世界の「意味」を考え続ける役割がある。一方で科学は、人間が生きる世界の「仕組み」について考え続けるだろう。(進化論も「仕組み」のひとつだ。)ふたつは手を取り合って、人間の世界を豊かにしていくことができればいい。

 この本は原著にはない日本語版だけの解説が掲載されていて、そこにはアメリカにおける進化論裁判の流れや、アメリカの教育界を蝕みつつあるID論(インテリジェント・デザイン論)についての紹介が書かれている。これだけでも興味深いレポートだと思うので、この分野の事柄に興味を持つ人はまずここから読んでみるのもいいと思う。

 僕自身は最近の進化論にあまり詳しくないのだが、この本をきっかけに、グールドやドーキンスの本を読んでみてもいいなぁと思うようになった。(でも買い込んで手を付けていない本があまりに多いので、進化論については後回しになりそうだけど。)

4480088784ドーキンス VS グールド (ちくま学芸文庫)
キム・ステルレルニー 狩野 秀之
筑摩書房 2004-10-07

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2007.08.15

『新約聖書』の「たとえ」を解く

4480063307『新約聖書』の「たとえ」を解く (ちくま新書)
加藤 隆
筑摩書房 2006-11

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 福音書にあるイエスのたとえ話を詳細に分析しながら、各福音書がそれらのたとえ話を通じて何を訴えようとしたのかを分析した本。加藤隆の本はこれまでにも何冊か読んでいるのだが、この本はまだ一般読者に読ませるまでのレベルに達していない「私的なノート」という印象を受けた。体調の問題もあるのかも知れないが、読み始めるとすぐに眠くなってしまう。福音書本文の私訳が何度も繰り返し出てくるのもわずらわしい。既存の訳に問題があって引用を避けているなら、既存の訳に問題がある場所だけ私訳を提示すればいいのに。

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2007.06.27

バチカン・エクソシスト

4163691804バチカン・エクソシスト
トレイシー・ウィルキンソン 矢口 誠
文藝春秋 2007-05

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 カトリック教会の悪魔祓いを取材したルポルタージュ。カトリック教会内部でも、エクソシストについての解釈や考え方がずいぶん違うということが面白い。法王の代替わりという歴史的な転換期を踏まえて、世界最大の教派であるカトリックが「悪魔」をどのように考えているのかという一端が伺える。ただし具体的な悪魔憑きや悪魔ばらいの様子は、島村菜津の「エクソシストとの対話」の方が面白かったように思う。

 訳文はまずまずこなれているが、聖書やカテキズムの引用が独自訳になっているのは少し気になる。カテキズムは日本語訳が出版されているのだから、それを参考にしてほしかった。主の祈りなども、独自訳されると気分が出ない。

4093792194エクソシストとの対話
島村 菜津
小学館 1999-05

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2007.02.15

パワー・フォー・リビング

Mis_20070207_powerforliving1

 正月早々、テレビや新聞などへの大規模な広告出向で話題となった「パワー・フォー・リビング」だが、その実態はキリスト教系伝道団体による文書伝道だ。申し込むと送られてくる無料冊子には、キリスト教の基本的な教理や聖書の言葉、聖書を読むことの推奨などが書かれている。主張の内容は保守的なプロテスタント信仰に沿ったもので、特に原理主義的だったり、過激だったり、カルト的なものではない。広告の段階でキリスト教の名を少しも出さなかったことで、かえって一般の人に不審に思われたり不気味に思われたりしたようだが、これは日本の事情をよく知らないまま海外の方法論を持ち込んだ結果であって、まあ自業自得だろう。

 ところで「パワー・フォー・リビング」がどの程度、日本におけるキリスト教の伝道に役立つかなのだが、僕は正直言って、これではまるで役に立つまいと考える。細かいところで日本向けに手を入れてはいるものの、この本の内容はある程度聖書やキリスト教について予備知識を持っている欧米人向けなのだ。少なくとも一神教的な「神」の概念を持ち合わせている人でない限り、この本に書かれているイエス・キリストという概念が理解できないのではなかろうか。

 日本に霊的なことを語る土壌がないわけではない。むしろ最近はスピリチュアル・ブームで、さまざまなところで人間の霊性について語られる機会が多い。テレビでもその手の番組をたくさん放送している。雑誌にも記事が出ている。でもスピリチュアリズムというのは、結局のところ「人間が神様になれる」という考えなんだよな〜。それに対してキリスト教は、人間と神の間に絶対的な距離を置き、神と人とを結ぶ唯一の道としてイエス・キリストを置く。これが日本人には馴染めないと思う。まあ中にはこの本を読んでキリスト教に導かれる人もいると思うけれど、それはこの本を配布した団体が期待するものをずっと下回るだろう。

 僕自身はこうした文書伝道を否定はしないし、キリスト教を知る人が日本にもっと増えてもいいと思っている。(キリスト教を信じる必要はないけどね。)でもせっかくこれだけの費用をかけて大々的なキャンペーンをするなら、もっと日本人の現状に適合したやりかたや表現があってもいいんじゃないかな。「パワー・フォー・リビング」はジェイミー・バッキンガムという人が書いているんだけど、これは日本人のキリスト教作家にでも頼んで全面的に書き直してもらうべきだったかもしれない。保守的なプロテスタント信仰を持つ作家として今は誰がいるのか知らないけど、探せば誰かいるんじゃないの?

 あるいは広告のプロであるコピーライターなどに依頼して、キリスト教の魅力をたっぷりと伝えられる冊子を作ってもいい。単なる翻訳ではない、日本独自の何かを作らない限り、日本でキリスト教が理解されることはないんじゃないかな。「パワー・フォー・リビング」にいくらの金をかけたのかは知らないけれど、これはほとんどお金をどぶに捨てたようなものだと思う。

 それにしても、「パワー・フォー・リビング」は露骨に福音派だな〜。巻末の推薦図書で、聖書として「新改訳」と「リビング・バイブル」を勧め、日本で最も流通していると思われる「新共同訳」を無視してしまうというのがすごい。引用する聖書も「リビング・バイブル」だしな〜。「リビング・バイブル」は、果たして聖書と呼べるのか? 僕はあれを、聖書に限りなく忠実な「聖書物語」だと思っているんだけど……。

リビングバイブル―旧新約
リビングバイブル―旧新約
いのちのことば社 1993-11
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リビングバイブル 英和対照 新版 新約聖書入門―心の糧を求める人へ 人生を導く5つの目的―自分らしく生きるための40章 旧約聖書入門―光と愛を求めて 新改訳聖書―注解・索引・チェーン式引照付

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2007.02.03

聖書がわかれば世界が読める―Bible Reality

4907737270聖書がわかれば世界が読める―Bible Reality
石井 希尚
岳陽舎 2002-01

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 一言で言えばトンデモ本。聖書の中には現在の世界情勢がすべて予告されており、まもなく世界戦争が始まるのだそうだ。こうした愚にも付かぬ本でも、とりあえず最後まで読んでしまう自分の性格が恨めしい。途中で放り出せばいいのに……。ああ〜。

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2006.12.29

聖書翻訳の歴史と現代訳

4872070895聖書翻訳の歴史と現代訳
尾山 令仁
暁書房 1989-09

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 現代日本人が解説なしに読める旧新約聖書として「現代訳」を翻訳出版した著者が、聖書翻訳の歴史をひもときながら、現代訳の必要性と意義を述べた本。現代訳聖書(第9版)は@niftyの聖書フォーラムでボランティアによって電子データ化され、現在同フォーラムのホームページからダウンロードして読むことが出来る。(@niftyのIDがあればダウンロード可能。)僕はこの敷衍訳がどうにも好きになれないのだが、今回はこうした翻訳がどのような考えによってなされたものなのかを知りたくてこの本を読んだ次第。

 本書は3つの部分に分かれていて、第1部は古代から現代までの聖書翻訳について解説した部分。第2部は聖書の記述がなぜ現代人にとってわかりにくいのかを、ユダヤ的表現とギリシャ的表現の違いという切り口から解説したもの。第3部はそうした聖書の特徴をふまえて、現代訳聖書が聖書本文をいかに訳しているかという実例を示している。この中で役に立つのは第1部で、聖書翻訳の歴史をざっくりと紹介した部分ぐらい。

 第2部に出てくるユダヤ的表現とギリシャ的表現という説明は、僕にはまったくピンと来なかった。聖書の記述に比喩や象徴が多用されていることや、古代人の比喩表現が現代人のそれと違っているのは当たり前のことで、それをわざわざ「ユダヤ的」だの「ギリシャ的」だの呼ぶ必要も必然もないのではなかろうか。こうした説明は、聖書の釈義を自分にとって都合のいい方向に持って行くには便利そうだ。聖書のある部分は「ユダヤ的表現」なのでそのまま文字通りに受け取るべきではなく、聖書の別の部分は「ギリシャ的表現」なので歴史的事実である……と勝手に振り分けられる。しかしそれは、表現がユダヤ的だから、ギリシャ的だからそのように分けているのか、それとも象徴的に理解したい部分にはユダヤ的表現のレッテルを貼り、歴史的事実だと考えたい部分にはギリシャ的表現のレッテルを貼ることとどう違うんだ? 僕はこうした聖書解釈に、なにかしらインチキくさいものを感じる。

 第3部では他の翻訳と比べながら現代訳聖書のわかりやすさを論じているのだが、わかりやすくするためにかなり聖書本文の「解釈」にまで踏み込んでしまっている部分が多いのは一目瞭然。また聖書本文にもともとない言葉を補って現代人にとって読みやすいものにするという手法には、僕は大きな違和感を持ってしまう。例えば最後の晩餐で当時のユダヤの習慣を説明するために、「当時」とか「この当時は」などと言葉を補うのは、福音書自体がその説明を必要としない時代に成立していたことから考えて明らかに不自然なのだ。こうした解説的文言は、聖書本文ではなく、欄外に解説として記述しておく方がよほどスマートなのではないだろうか。あるいは一般の翻訳書のように、「訳注」として括弧に入れて区別するべきだと思うけどな。

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2006.12.02

私たちにとって聖書とは何なのか―現代カトリック聖書霊感論序説

478960229X私たちにとって聖書とは何なのか―現代カトリック聖書霊感論序説
和田 幹男
女子パウロ会 1986-01

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 著者は先日読んだ「聖書Q&A」と同じ和田幹男。この本は第2バチカン公会議の「啓示憲章」を紹介した後、そこに至るまでのカトリック教会の啓示観の発展を紹介したものだ。啓示の中心は「聖書」であり、この本はカトリック教会が聖書をどのように扱ってきたかを紹介する優れた読み物になっている。

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2006.11.06

聖書の謎 聖書の疑問 誰も教えてくれなかった544の話

4062134896聖書の謎 聖書の疑問 誰も教えてくれなかった544の話
S.J. ラング 大森 洋子
講談社 2006-06-28

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 有名な聖書の言葉、名場面、登場人物、教会用語、地名、歴史、天使や悪魔、暦、芸術作品との関わり、などなど、聖書やキリスト教にまつわるさまざまな事柄をテーマに沿って並べ、わかりやすい解説を付けた、聖書とキリスト教についての読む辞典。解説はちょっと保守的かな~とも思うけれど、この程度の方がキリスト教信者にはちょうどいいかも。伝統的な信仰に沿いつつ、信仰をきっかけにそれ以外の世界もかいま見させてくれるような好読み物だ。

 原著では1001項目あったという見出しを、約半分の544に減らしている。しかし一般の出版社(講談社)が、日本の一般の読者に向けて、そこそこリーズナブルな値段で発行しようとすれば、こうしたダウンサイジングもやむを得ないかも。枕元に置いて、寝る前に少しずつ読むには、このぐらいのボリュームでちょうどよかった。

07852679051,001 More Things You Always Wanted to Know About the Bible
J. Stephen Lang
Thomas Nelson Inc 2001-02-13

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2006.11.02

聖書Q&A

4789603407聖書Q&A
和田 幹男
女子パウロ会 1990-09

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 カトリックの立場から書かれた、一問一答形式の聖書入門。聖書の成り立ちから読み方まで、わかりやすく解説している。ただし読者として想定されているのは、ある程度聖書に親しんでいる人だろう。「聖書にはこんなことが書いてある」という表面的な知識以上のものを求める人にとっては、この本はとても役に立つと思う。


 世界史で習った宗教改革のエピソードや、旧教・新教という教派名の和訳などの影響もあり、カトリックは保守的な信仰をかたくなに守っていると誤解している人も多い。しかし実際は、カトリックは1960年代の第二バチカン公会議以降、信仰内容はラディカルに変化しているのだ。その影響は、この本の中にも読み取ることができる。

 僕はキリスト教徒ではないのだが、この本を読むと、「ここまで言っちゃっていいのかな~」と心配になってしまうほど、批判的な聖書の解釈をしている。特に旧約聖書の記述については、歴史書としての聖書の限界をはっきり記しているのが痛快。しかし、その切れ味鋭い歴史解釈は、新約聖書の解釈になると切れ味が鈍ってくる。聖母マリアの処女懐胎なんて、別に歴史的な事実でなくてもいいんじゃないの?

4873952905新共同訳 聖書辞典
木田 献一 和田 幹男
キリスト新聞社 1997-03

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2006.10.23

マタイ福音書によせて―宗教とは何か〈下〉

4862480454マタイ福音書によせて―宗教とは何か〈下〉
田川 建三
洋泉社 2006-07

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 「宗教批判をめぐる―宗教とは何か〈上〉」の下巻。マタイによる福音書にテーマを絞っているので、とても読みやすく、また面白い。

宗教批判をめぐる―宗教とは何か〈上〉
宗教批判をめぐる―宗教とは何か〈上〉田川 建三

洋泉社 2006-05
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マタイ福音書によせて―宗教とは何か〈下〉 イエスという男 書物としての新約聖書 原始キリスト教史の一断面―福音書文学の成立 キリスト教思想への招待

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2006.10.05

宗教批判をめぐる―宗教とは何か〈上〉

4862480292宗教批判をめぐる―宗教とは何か〈上〉
田川 建三
洋泉社 2006-05

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 1984年に出版された「宗教とは何か」を、新書判で再刊したもの。ただし内容には著者自身の手がかなり入れられているようだ。個人的には第三部で、遠藤周作の「イエスの生涯」を徹底的に批判しているのが面白かった。遠藤周作流の「無力な愛の人=イエス」というイエス・キリスト像は、日本のキリスト教社会の中でかなり広く受け入れられているものではないだろうか。少なくとも「王の王」「万軍の主イエス」という勝利者のイメージより、遠藤流のイエスの方が日本人にはしっくり来るような気がする。その本では「イエスの生涯」を批判することで、そうしたイエス像をバッサリ批判するのだ。

 じつは僕も遠藤周作の「イエスの生涯」や、その続編「キリストの誕生」には感銘を受けた口だ。僕の考えるイエス像も、遠藤流のイエス・キリスト像に影響を受けている面が大きい。それだけに、この本の「イエスの生涯」批判は、ダイレクトに僕自身の聖書理解や認識にも届くものとなった。

イエスの生涯
イエスの生涯遠藤 周作

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キリストの誕生 沈黙 死海のほとり 私のイエス―日本人のための聖書入門 イエス・キリストの生涯

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2006.10.04

旧約聖書入門―光と愛を求めて

433404204X旧約聖書入門―光と愛を求めて
三浦 綾子
光文社 1995-10

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 同じ著者による「新約聖書入門―心の糧を求める人へ」の姉妹編。著者によればこの2冊は、『二冊合わせて一本』とのこと。先に「新約入門」を読んでしまったからには、この「旧約入門」も読まねばならぬ道義なのだ。内容は「信徒の友」というプロテスタント系新聞に、昭和47年から49年まで連載されていたものがベース。聖書の解釈が保守的だとか、最新の聖書学の知識が盛り込まれていないなどと文句を言っても仕方がない。これはそもそも30年以上前に書かれているのだ。この保守的で時代後れな本は、当時の日本にあったプロテスタント信仰のありかたを正直に記録しているという意味では大きな意味がある。しかし同時にこの本は、今もなお多くの読者を持つロングセラーでもあるのだ。書かれている内容の情報としての鮮度や解釈の当否はさておき、聖書と真正面から向かい合い、それを自分自身の信仰生活の糧にしようとする著者の姿勢が今でも多くの読者を引きつける力になっているのだと思う。

 クリスチャン向けの新聞に連載されていたこともあって、読者が手元に聖書を持っていることを前提としての記述が多い。この本を本当に楽しむには、聖書についての簡単な知識が不可欠だし、それがなければ手元に1冊の聖書が必要だ。自分自身の聖書理解と比べながら、著者の考えに時に肯き、時に首をかしげながら読み込んでいくといい。そうすることで、著者と読者の距離はずっと近づくに違いない。

新約聖書入門―心の糧を求める人へ
新約聖書入門―心の糧を求める人へ三浦 綾子

光文社 1984-11
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旧約聖書入門―光と愛を求めて イエス・キリストの生涯 光あるうちに―道ありき第3部 信仰入門編 明日のあなたへ―愛するとは許すこと 道ありき―青春編

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2006.09.23

新約聖書入門―心の糧を求める人へ

4334003443新約聖書入門―心の糧を求める人へ
三浦 綾子
光文社 1977-12

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 「氷点」などで有名なキリスト教作家・三浦綾子による新約聖書入門。内容はかなり保守的。初版が1977年と古いこともあって、今では常識となっている新しい聖書学の知識は反映されていない。信仰者の目から見た聖書の読み方を綴ったものなので、キリスト教信仰とは別に、聖書についてきちんと勉強しようとする人にはあまりお薦めできない。しかし作家・三浦綾子の信仰に興味がある人にとっては、彼女がどのように聖書と接していたかを知るよい資料だと思う。

 読んだのは光文社のカッパブックス版だが、これは現在文庫になっているので、これから読もうとする人は文庫版の方が手軽だと思う。いずれにせよ、これは新約聖書入門というよりは、新約聖書を通してキリスト教に入門しようとする人のための本。まあキリスト教徒にとって聖書とは「信仰の書」以外の読みようがないわけで、これはこれでひとつの役割は果たしているのだと思う。

新約聖書入門―心の糧を求める人へ
新約聖書入門―心の糧を求める人へ三浦 綾子

光文社 1984-11
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旧約聖書入門―光と愛を求めて イエス・キリストの生涯 光あるうちに―道ありき第3部 信仰入門編 明日のあなたへ―愛するとは許すこと 道ありき―青春編

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2006.08.19

信徒必携 新改訂版

4818403180信徒必携 新改訂版
日本基督教団東京教区
日本キリスト教書販売 1998-07

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 日本最大のプロテスタント教団である日本基督教団系の教会において、受洗者に配布される信仰生活の手引き。教会の機能や地域と社会で果たすべき役割、信仰生活と教会や聖書の関係、信徒としてふさわしい生活態度などについて、時に聖書の言葉を引用し、時に教団の規約を引用しつつ、丁寧な言葉で解説してある。日本基督教団というのはさまざまな教派の寄り合い所帯なので、個々の教会ではここに書かれた内容に沿いながら、それぞれ独自の教会運営をしているはず。この手引きに書かれているのは教団系の各教会が保持している最大公約数的な規範でしかないのだが、それだけに、日本におけるプロテスタント教会のおおまかな方向性が、ここから読み取れるのだ。

 教理についてはほとんど書かれていないこともあり、これは外見的な教会運営と信徒生活のマニュアルとして読むこともできる。教会の中にあるさまざまな部会や組織の役割など、教会員には当然知られていても、外部からはちょっと見えにくい内容が細かく書かれているのは面白かった。記述の中にはしばしば「現在の教会」が抱えているさまざまな困難や問題についても書かれていることがあり、それもまた「現代日本のキリスト教」の偽らざる現状を示す証言になっている。初版は1953年だが、現在の新改訂版は1998年に編纂されたものだ。これを初版から順に追っていくと、日本における戦後プロテスタント教会の歩みがなんとなく見えてくるのかもしれない。

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2006.06.26

捏造された聖書

4760129421捏造された聖書
バート・D. アーマン Bart D. Ehrman 松田 和也
柏書房 2006-05

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 聖書の「本文批判」の歴史や方法論について、一般向けにわかりやすくまとめた本。日本語タイトルはちょっと挑発的だが、原題は「MISQUOTING JESUS: The Story Behind Who Changed the Bible and Why」(イエスの誤引用―聖書を改変した人々とその理由の背後にある物語)で、内容もきわめて真面目で真っ当なもの。青年時代に熱心な福音派信仰を持ち、聖書の無謬を信じていた著書が、聖書を研究する中で本文批判の問題に行き着き、それを一生涯の研究課題にしようとするエピソードに始まり、聖書の写本の歴史、聖書の異文の問題、異文が生じる理由、その背景にあった思想問題、聖書のオリジナルテキストを復元することは可能か否かなどについて、わかりやすくまとめている。

 本文批判(正文批判)の概略は聖書学の本では必ず触れられていることであり、僕も他の本でその内容についてはだいたい知っていた。しかし本文批判だけをテーマにした本は珍しく、これは聖書に興味を持つ人なら必読書かもしれない。原著も新しいものなので、「ダ・ヴィンチ・コード」や映画『パッション』など最近の聖書関連ネタについても触れられていて親しみやすい。2,200円+税という値段分だけの楽しさと知的興奮が味わえることは保証できる本だ。

 ただちょっと残念なのは、本文批判という研究が現代のキリスト教信仰にとってどんな意味を持つのかが、ちょっとわからないことだ。聖書は一言一句すべてが神の霊感による誤りなき書物であるという説(逐語霊感説にもとづく聖書本文の無謬説)が誤りであることや、欽定訳聖書が正しいとか、ウルガタ訳が正しいといった保守的見解が間違っていることはわかる。しかし聖書本文のテキストがこうもあやふやなものだとしたら、キリスト教徒はいったい聖書をどう扱えばいいのだろうか? 聖書本文が信頼するに値しないものなら、キリスト教信仰は信頼できない前提の上に立つ、砂上の楼閣ではないのか?

 著者は自分自身がかつては超保守的な聖書理解と解釈をしていたことを告白し、それが聖書の本文批判研究によって木っ端みじんに粉砕されたことを告白している。では著者は聖書の本文批判を通して、今現在はどのような信仰理解に至っているのか。個人的な信仰の歩みを振り返る導入部を受ける形で、今現在の著者の信仰について最後に少し触れてほしかったような気もする。

書物としての新約聖書
書物としての新約聖書田川 建三

勁草書房 1997-02
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キリスト教思想への招待 聖書―旧約・新約 イエスという男 どう読むか、聖書 使徒教父文書

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2006.05.24

The Gospel of Jesus: According to the Jesus Seminar

0944344747The Gospel of Jesus: According to the Jesus Seminar
Jesus Seminar Robert Walter Funk
Polebridge Pr Westar Inst 1999-03

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 イエス・セミナーの「The Five Gospels: The Search for the Authentic Words of Jesus」にもとづいて、新約聖書の四福音書と「トマスによる福音書」から、歴史上のイエスが実際に語ったと思われる言葉や行動を抽出してまとめたもの。聖書にある有名なエピソードやたとえ話からの引用で構成されているので、聖書に馴染みのある人なら、英語力がさほどなくても内容はほぼ理解できると思う。(僕がその証拠だ。)

 内容的には「The Five Gospels」のダイジェスト版とでも言うべきもので、要するに「The Five Gospels」で赤とピンク色で印刷されている部分(間違いなくイエスの言葉と思われる部分と、たぶんイエスの言葉だと思われる部分)を抜き出して並べたものになっている。なぜその言葉が選ばれているのか、なぜ他の記述は抜け落ちてしまったのか、引用元となった資料の評価など、簡単な解説は巻末にまとめられているが、それ以上の細かな注や解説は「The Five Gospels」を見る必要がある。

 イエス・セミナーの本としてはとっつきやすいものなので、邦訳をどこかの出版社の新書で出すといいと思う。「The Five Gospels」も邦訳が欲しいところだけれど、これは本の大部分を占める聖書本文をギリシャ語の英訳から日本語に重訳することになってしまって、学術的な価値という意味では劣るものになってしまう。多色刷りにするなど手間がかかる割には、あまり意味のない翻訳になりそうだ。その点で「The Gospel of Jesus: According to the Jesus Seminar」は一色で刷れるし、全体のボリュームも大きくないので、翻訳しても新書サイズで納まると思う。リベラルな聖書学者の解説を付けて、一般の出版社から出せばそれなりに売れそうな気もするんですけどね……。。

006063040XThe Five Gospels: The Search for the Authentic Words of Jesus
Jesus Seminar Robert W. Funk Roy W. Hoover
Harper San Francisco 1997-01

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2006.05.03

それでも神は実在するのか?―「信仰」を調べたジャーナリストの記録

それでも神は実在するのか?―「信仰」を調べたジャーナリストの記録それでも神は実在するのか?―「信仰」を調べたジャーナリストの記録
リー ストロベル Lee Strobel 峯岸 麻子


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 「ナザレのイエスは神の子か?―「キリスト」を調べたジャーナリストの記録」と同じ著者による護教論的なインタビュー集だが、これは前作よりずっと面白い読み物になっていた。最初にビリー・グラハムの同僚説教師から無神論に転じたチャールズ・テンプルトンを取材し、無神論者(実際には懐疑論者と呼ぶべきだろう)から見たキリスト教の疑問点をいくつもあげていく。その上で、キリスト教の神について誰もが抱くであろう疑問点や謎を8つ取り上げ、それぞれの項目について神学者(肩書は哲学者になっている人も多いが、すべてキリスト教の立場から発言している)たちの反論を取材して回るという構成だ。そして著者は最後に取材結果をまとめて、それをテンプルトンに送ることを決意する。

 テンプルトンが登場するのは冒頭の序章だけなのだが、彼の懐疑論はこの本の全体を支配している。「テンプルトンならどう言うだろうか?」「その答えにテンプルトンは満足するだろうか?」。テンプルトンは著者の旅に同行し、著者にささやきかける陰の声となる。著者はいわば、テンプルトンの名代として著名な神学者たちを訪ねているのだ。そして長い旅の果てに、テンプルトンの名代として無神論・懐疑論の立場をとっていた著者は、疑いを持ちつつも神を信頼する信仰に留まることを決意する。

 この本のよさは、小説めかしたこの構成のよさだ。すべての問いかけに一応の答えを示した後で、なお残る神への疑いを否定しないのもいい。疑いつつ人は神を信じることができる。むしろ疑いがなければ、それは信仰とは呼べない。疑問の余地なくすべてが明るみになったとき、そこにあるのは単なる「知識」でしかないという説明はその通りだろう。

ナザレのイエスは神の子か?―「キリスト」を調べたジャーナリストの記録
ナザレのイエスは神の子か?―「キリスト」を調べたジャーナリストの記録リー ストロベル Lee Strobel 峯岸 麻子

いのちのことば社 2004-03
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それでも神は実在するのか?―「信仰」を調べたジャーナリストの記録 人生を導く5つの目的 The Case for Faith: A Journalist Investigates the Toughest Objections to Christianity 人生を導く5つの目的 祈りの日記 ~40日の心の旅~ イエスのように

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2006.04.04

聖書を読む 新約篇

聖書を読む 新約篇聖書を読む 新約篇
新約聖書翻訳委員会


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 岩波版新約聖書の訳者たちが、訳業の中で気になった点や心がけた点などについて記した論文集。論文といっても、中身は聖書エッセイのようなものもあれば、翻訳の専門的な事柄に寄ったもの、翻訳の歴史についての論考など、多岐にわたっている。巻末には異読・転釈の解説もまとめられているので、岩波版新約聖書を持っている人は、こちらも是非目を通しておかなければならないだろう。

 僕は岩波訳新約聖書を購入したもののまだ読んでおらず、今は本棚の肥やしになっている。岩波訳は旧約聖書も全巻買い(しかもハードカバーの机上版)、福音書共観表も買い、「聖書を読む 旧約篇」も買うなど、かなりのお金を注ぎ込んでいるのだが、それもこれも、この翻訳が日本で一番正確なものだと信じているからだ。まあ翻訳というものはどこでも必ず訳者の解釈が入り込み、そこから必然的に不正確な部分を含んでしまうわけだが、それでもこの翻訳のいいところは、訳者たちが自分たちの仕事の不完全さに対して十分に自覚的なところだと思う。新約聖書は最初に分冊で発売されたのだが、それも版を重ねる中で幾度か訳文を訂正し、合本になる際にはまた細かな修正が加えられているという。異読・異訳の可能性について触れたこの「聖書を読む」も、訳文の不完全さや曖昧さ、翻訳には別の可能性と解釈が可能であることを公言している点で潔いものだ。

新約聖書
新約聖書新約聖書翻訳委員会

岩波書店 2004-01
売り上げランキング : 324,947

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諸書(普及版) 旧約聖書〈1〉律法 旧約聖書〈2〉歴史書 諸書(普及版) 福音書共観表

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2005.12.10

禁じられた福音書―ナグ・ハマディ文書の解明

4791761707禁じられた福音書―ナグ・ハマディ文書の解明
エレーヌ ペイゲルス Elaine Pagels 松田 和也


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 カトリック教会(カトリック信仰)成立以前の多様で多彩なキリスト教の世界を、「トマスによる福音書」に代表される正典外資料や、エイレナイオスの「異端反駁」に記載されている異端論争を通して浮かび上がられる初期キリスト教史。異端の福音書とされた「トマスによる福音書」と新約聖書正典となった「ヨハネによる福音書」を比較しつつ、初期カトリシズム信仰におけるキリスト論の発達を論じる視点はユニークで新鮮。いわゆる正統派キリスト教はその後、ヨハネのキリスト論を通してマタイ・マルコ・ルカの共観福音書を解釈しているという指摘は、当たり前のようだけれど目から鱗が落ちるようなものだった。

 キリスト教の誕生から数百年の間、キリスト教内部にはさまざまなキリスト論があり、それにもとづいた教会論と教会運営が存在した。しかしそれらをひとつの「普遍的な教会」にまとめるために、それまで数百年にわたって「正統」とされてきた信仰の多くを「異端」として切り捨てたのだ。これは周囲から迫害され続けたキリスト教が一致結束して生き延びるために必要な歴史的な必然だったのかもしれないが、それによって失われたものも多い。

 「トマスによる福音書」の再読を迫る本だと思う。「トマス」の描くイエスを通して、共観福音書を再読してみたい。それによって、我々は2~3世紀に確かに存在した、別のキリスト教に出会うことができるのかもしれない。

ナグ・ハマディ写本―初期キリスト教の正統と異端
4560028990エレーヌ ペイゲルス Elaine Pagels 荒井 献


おすすめ平均 star
starグノーシスか、或いはナグ・ハマディか。
star感動的で歴史的な力作、、、を貶める訳者の傲慢
starグノーシス派についての適切な解説書
star仏教の理念がイエスの教えとして表現された
star大胆で魅力的な本

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2005.10.11

旧約聖書 (2)

4000263080旧約聖書 (2)
旧約聖書翻訳委員会


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 岩波の旧約聖書翻訳委員会が訳した旧約聖書の2冊目。このシリーズの文書配列はヘブライ聖書を踏まえているので、「歴史書」と銘打つこの巻は、モーセ五書以降のヨシュア記、士師記、サムエル記、列王記を収録する。一般のキリスト教の聖書だと、士師記とサムエル記との間にルツ記が入るのだが、これは岩波版だと4巻の「諸書」に入るのだ。

 列王記に書かれている南北イスラエル王国(南は正確にはユダ王国)の栄枯盛衰の様子は、それだけ読んでいたのではとても退屈だったはず。事前に「聖書時代史―旧約篇」を読んでいたおかげで、あらかじめ大まかな流れがつかめていたのはよかったと思う。この調子であと2冊読んでしまえば、旧約聖書は通読完了だ。ベッドの枕元に置いて寝る前に少しずつ読むだけなので、いったい今後どれだけの時間がかかるかはよくわからないけれど……。でも毎日少しずつは進んでいる。

 新約聖書はだいぶ以前に新共同訳で読んでいるのだが、岩波訳も購入済みなので旧約の後はそちらにとりかかるつもりでいる。たぶんこのペースだと、読了までにあと半年や1年はかかるんじゃないだろうか。しかしまあ、これで最初の山を超えたな~、という思いはある。あとはずいぶん楽になると思う。預言書は改行が多いので、読むペースはずっと早まると予想している。

聖書時代史―旧約篇
4006000987山我 哲雄

岩波書店 2003-02
売り上げランキング : 79,542

おすすめ平均star
star「旧約聖書」の歴史的理解に寄与する一冊

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2005.09.16

聖書時代史 新約篇

4006000995聖書時代史 新約篇
佐藤 研


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 イエス誕生の時代から初期カトリシズムのはじまりまで、要領よくコンパクトにまとめたガイドブック。「聖書時代史―旧約篇」に続く新約篇だが、著者が違うこともあって趣が少し違う。個人的には旧約篇のほうが面白かったような気もするけれど、それは僕が新約時代についてあらかじめ多少の知識を持っていたため、新鮮味があまりなかったからかもしれない。

 記述の公平さを保つためだとは思うが、内容には大胆な仮説や推測があまりなく、全体として淡々とした印象を受けた。出来事の点と点を結びつけていくダイナミックさがあまり感じられず、点としてしかわからないものは、あくまでも点のままで書いている感じだ。

 ただパウロの宣教については少し踏み込んだ記述をしている印象を受ける。ここは面白かった。ただしパウロとエルサレム教会の関係や、ペテロの行動などについては、僕は聖書からまた違った印象を持っていたりするんだけれど……。

聖書時代史―旧約篇
4006000987山我 哲雄

岩波書店 2003-02
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おすすめ平均star
star「旧約聖書」の歴史的理解に寄与する一冊

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2005.09.08

聖書時代史―旧約篇

4006000987聖書時代史―旧約篇
山我 哲雄


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 旧約聖書は歴史書ではない。イスラエル民族と神がいかなる関係にあるのかを、歴史的な事件や出来事を通して解釈した信仰の書だ。そこに書かれている事件や出来事は、信仰というフィルターを通して変形されている。伝説や虚構、脚色や錯誤も多い。この本は聖書に書かれた時代に実際のところ何があったのかを、聖書以外の資料や考古学的成果を取り入れながら論じている。

 扱われいてる時代はイスラエルのカナン定着から、ヘロデ大王の登場まで。聖書の記述はかなり批判的に検証されており、複数の有力な学説が存在するものについては、なるべく均等に紹介するという配慮もされている。聖書ではイスラエルの黄金時代とされているダビデやソロモンの王国が、じつは内部に大きな不安を抱えたものだったという指摘など、読んでいて目からうろこが落ちるような思いがする。

 後半になるにしたがって人名が頻出し、それがややこしくてとてもいちいち覚えていられないのだが、それでもエジプト、バビロニア、ペルシャ、マケドニア、ローマ帝国など、周辺の大国に翻弄されるイスラエルの不安定な境遇は十分に伝わってくる。聖書の記述があくまでもイスラエルの視点による一人称だとすれば、これはそれを離れた位置から三人称で語ってくれる。これは聖書通読の有効なガイドブックだ。

聖書時代史 新約篇
4006000995佐藤 研

岩波書店 2003-05-16
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おすすめ平均star
star基本から理解するために
star聖書の時代を鳥瞰の視点で見れて良かった。
starユダヤ教イエス派の運動から 「キリスト教」 成立までを扱う

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2005.08.20

キリスト教の本質と展開

4902211076キリスト教の本質と展開
百瀬 文晃


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 以前読んだ「キリスト教の原点―キリスト教概説〈1〉」の続編。前作はイエスの生涯と死(そして復活)までを扱っていたが、今回はその直後に起きた原始キリスト教会の成立やパウロの宣教から、現代までのキリスト教史を扱っている。著者はカトリックの神学者だが、前作同様、今回もあまり教派色を前面に押し出すことのないバランスの取れた筆致。キリスト教の歴史が持つ輝かしい側面だけでなく、歴史の中で犯してきた数多くの「罪」や「過ち」にも言及しているのがいい。このあたりはキリスト教の入門書で、得てして口を濁してしまう部分なのだ。

 立場としてはカトリック寄りではあるのだが、宗教改革の評価なども極端に一方に肩入れするわけではなく、事実をありのままに淡々と記述している印象を受けた。教理の紹介なども、ことさら固定化したドグマにとらわれることなく、時代の流れの中で教理も相対化されていくという解釈をとっているようだ。聖書の文言にしろ、教理や信条にせよ、その表面にある個別の事柄ではなく、その裏側にある福音の本質を見ろということだろう。

 前作とあわせて、日本語で書かれたキリスト教の入門書としてはもっとも優れたもののひとつだと思う。クリスチャンでも教会史やキリスト教史について知らない人は多いし、他教派の信仰についてはまったく無知ということも多い。キリスト教に興味を持つ未信者だけでなく、キリスト教の信仰を持つクリスチャンの人にもぜひ読んでほしい本だ。

 ただし小さな出版社から出ている本であることもあり、ちょっと値段が高いのは残念。新書サイズにして、1冊1,000円ぐらいになるといいんだけどな~。そうすれば教会のキリスト教講座などでも使える、いいテキストになると思うんですけれど……。

490221105Xキリスト教の原点―キリスト教概説〈1〉
百瀬 文晃


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2005.08.10

悲劇と福音―原始キリスト教における悲劇的なるもの

4389411608悲劇