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2004.01.24

世界No.1詐欺師が教える 華麗なる騙しのテクニック

華麗なる騙しのテクニック スピルバーグの映画『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』の原作者フランク・W・アバグネイルが、自分自身の経験とその後の防犯コンサルタント活動での経験をもとにして書いた詐欺と詐欺予防のノウハウ集。映画は主人公のフランクがFBIのコンサルタントになるところで終わるが、この本はちょうど同じ場面からはじまる。つまりこれは『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』の続編なのだ。(映画の原作は「世界をだました男」という邦題で新潮文庫から発売されている。)

 この本に書かれていることは、「詐欺ほど美味しい商売はない」ということだ。著者はこう言い切る。『昔からのやり方で、覆面をして、銃を持ち、いちるの望みを抱いて銀行を襲うのは割があわない。誰かの顔に拳銃を突きつけたらどうなる? それは武装強盗で、十年から二十年の罪になる。誰かを撃ってしまうかもしれないし、逆に撃たれるかもしれない。それだけやって何を得るのだろうか? 一九九八年と九九年における銀行強盗の平均強奪額は千五百ドルにも達していない。それならば、ペン先を使って盗みを働いたほうがはるかにいい。では、銀行に歩いて行って、二万ドルの偽造小切手を換金したらどうなるだろうか? 郡の刑務所に六カ月入ることになるかもしれないが、それは捕まって、起訴されて、さらに刑務所に送られたときだけだ』(P33)。アメリカでは詐欺事件を起こしてもほとんどの犯人は逮捕されることがないし、仮に逮捕されても起訴されず、万が一逮捕起訴されたとしても実刑を受けずに執行猶予になるのだという。1999年に詐欺事件で逮捕されたのは1,474人。そのうち有罪判決を受けたのは10分の1以下の122人。さらに刑務所に入るのはそのうち26人。しかも会社の金を横領した犯人は、多くの場合会社に懲戒解雇されるだけで訴えられることすらないという。まさに詐欺師万歳!なのだ。

 だがもちろんこれは、「詐欺のテクニックを覚えて皆さんもウハウハ儲けましょう!」という本ではない。詐欺がはびこる世の中だからこそ、詐欺犯罪から身を守るにはまず敵を知らねばならない。この本に書かれた一通りの詐欺テクニックを頭に入れておけば、同様の詐欺にひっかかる可能性はずっと減るに違いない。だがこうした啓蒙活動が、新たな詐欺師を増やしているのもまた確かなことだ。それはテレビや新聞で「オレオレ詐欺」や「架空請求詐欺」の被害をいくら報道しても、被害が増えるばかりで一向に減らないことからもわかる。この本も詐欺師の教則本になり得るし、おそらくこの本を読んで実際に詐欺に手を染める者も多いだろう。それについて著者はこう述べている。『犯罪者の頭脳を持つ私は、これが素人詐欺師にとってのバイブルとなり、偉大な教科書になるのではないかと危惧する意見が出てくることを覚悟している。しかし、広く市民を啓蒙するために、それはやむをえないリスクだと思う。犯罪者だけが手口を知っているべきではないだろう』。

 この本では小切手詐欺や文書偽造(これらが著者のかつての本業)のさまざまなテクニックが紹介されているのだが、日本は小切手があまり一般的ではないので、このあたりは「ふ~ん」とか「へ~」と感心しているだけだ。会社の金をちょろまかす横領犯の話も、会社経営者ではない僕にとって遠い話に過ぎない。しかしクレジットカードの偽造や変造になると話題はずっと身近になる。インターネットを使ったさまざまな詐欺話も同じだ。これらは日本でもしばしば摘発されている事件だ。詐欺の技術に国境はないらしい。

 しかしこの本で読んでいて一番恐ろしいのは、著者が未来の犯罪と呼んで最終章で紹介するID盗難だろう。身分証明書を偽造して他人になりすますなんて、これまではそれこそ北朝鮮の工作員でもなければやらなかったことかもしれないが、現在のように個人情報が簡単に手に入るようになるとそれが誰にでも可能になる。自分の知らないどこかで、誰かが自分の名前でサラ金から金を借りたり、クレジットカードで買い物をしたりしているかもしれない。世界のどこかで自分の名をかたるドッペルゲンガーのような存在が、「自分ではない」ことを証明するのは困難だ。著者はこう指摘している。『これは実におぞましい犯罪である。なぜなら、犯罪者は有罪が確定しないかぎりは無罪と推定されるが、ID窃盗の被害者はみずからの無罪を証明しないかぎりは有罪とされるからだ』。個人情報の流出には、くれぐれもご注意を……。

11:35 午前 | 固定リンク

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