英語嫌いの言い訳
もうだいぶ前になるけれど、英会話教材の電話セールスを受けたことがある。「英語が喋りたいと思いませんか?」と言われたので「特に思わないですね」と答えたら、「なぜですか?」と本気で不思議がられてしまった。セールスマンとしてはここで「英語が喋りたい」という回答を得て、そこを手がかりに教材を売りつけたいのだろうが、あいにく僕は「英語なんて喋れなくてもいいだろうに」と本気で考えているのだ。
僕は周囲に外国人の友達がいるわけではないし、外資系の企業で働いているわけでもない。英語を話さなければならない機会としては海外旅行が考えられるけれど、それにしたって海外でも英語が通じるのはきわめて限定された範囲のことだ。ヨーロッパの観光地じゃ、売店や屋台のおじさんは英語なんて喋らないもんね。それに日本で日常の生活を送っている時だって、実際には「日本語の会話」が必要とされることなんてほとんどない。スーパーで買物するとき、店員と「会話」してますか? しないよな。だったら海外のスーパーで買物するときだって同じ。買物かごに商品を入れてレジに並べば、ちゃんと買物はできるのです。
日本に負けず劣らず韓国でも英語熱が高まっているようだけれど、映画『英語完全征服』を観ても、韓国の英語熱が何に由来するのかはよくわからなかった。主人公たちが苦労しながらも英会話学校に通い続けなければならない理由が、それなりに切実なものだったりするわけです。でも英語学校に通う人の多くは、そうした切実な理由なしに、ただ漠然と「英語が喋れたらいいのに」と思っているだけなんじゃないだろうか。なぜ「英語が喋れたらいい」のか、その理由が僕にはよくわからないけどね。
英語を勉強する時間があるならば、僕なら同じ時間を使って本を読むとか、映画を観るとかしたほうがいいようにも思うけど……。僕は映画の中でヒロインが叫ぶ「私は中学2年で英語をあきらめた。それでも英語ができなくて困ったことなんて1度もない。英語なんてできなくてもいい!」という台詞に大いに共感するわけですが、この台詞は映画の中で彼女の泣き言として挿入されているだけ。ヒロインは結局、英語の勉強を続けてペラペラになるわけです。
この映画は英語教育の啓蒙ではなく、英会話熱をモチーフにしたコメディということもあるせいか、「英語ができないと困りますよ」「英語ができるとこんなにいいことがあるよ」というエピソードが皆無。むしろ英語抜きにコミュニケーションが成立してしまうシーンが多いし、それが十分な説得力を持っているのだ。これじゃかえって、「英語なんて喋れなくても困らない」というヒロインの叫びが、きわめて正当なものに思えてきてしまったりして……。
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