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2005.04.17

反日中国の背景

 中国の反日デモがほとんど暴徒化してひどいありさまなのだが、中国政府がこれをまったく取り締まる気配がないことに日本国内の不満が高まっている。中国政府が取り締まりに本腰を入れない理由については、反日運動の矛先が反政府運動につながるのを恐れてのことだという分析もあるが、確かにそういう側面もあるだろう。でもここまで平然と「日本に対して悪いことをしていない」と言い切るのは、中国政府の中に何か別の思惑もあるのではないだろうかと勘繰ってしまう。僕が考えたのは以下の2つ。

 まず最初に考えられるのは、一連の反日運動の背後には中国市場における日本の立場を不利にしようとする欧米や他のアジア諸国(筆頭は韓国か)の後押しがあり、それが反日デモを勢いづかせる後ろ楯になっているのではないかということ。反日運動呼びかけが、もともと中国国外から持ち込まれたものだという一部の報道もある。デモ隊にペットボトル入りの水を配ってる映像などがニュースでも報じられたが、そうした費用は誰が受け持っているのか。

 中国市場を狙って世界中の国々が仁義なき戦いを繰り広げている中、日本が標的になっている状態は他の国にとっては喜ばしいことだろう。中国版新幹線の建設に日本が参加できなかったのは、小泉首相の靖国参拝が原因だという話もある。外国資本の導入なしに中国の経済発展は望めないが、中国政府は日本だけをスケープゴートにして、国民の愛国心を満足させる気かもしれない。

 上記は先週考えていたことだが、今週は反日デモがより広がりを見せたことに合わせて、さらに考えが「陰謀論」めいてくる。それは中国政府が、日本企業が中国に投資した設備や技術を、そっくり取り上げるつもりなのではないかということだ。

 日本は官民合わせて莫大な資本を中国に投資しているわけだが、今のような騒乱状態(としか言えないだろう)が続けば、日本企業の中には中国市場からの一時撤退を余儀なくされるところが出てくるかもしれない。しかし「中国は日本に対して何も悪いことをしていない」のだから、日本企業が資本を引き上げることに中国側は抗議するはず。日本政府は中国に弱腰なのでその筋からのお達しもあって、中国から撤退する企業は工場設備や技術をすべて現地に残したまま去ることを要求されるに違いない。日本は中国にただで最先端技術を明け渡し、後釜には中国の技術者なり、他の国の技術者なりが座ることになる。

 共産国というのは、似たようなことをこれまでにもやっているのだ。外国資本を積極的に受け入れて工場を誘致したり合弁事業を立ち上げ、事業が軌道に乗って利益が出始めると、経済制度を変更して外国の経営陣を締め出してしまう。こうしてほとんど元手をかけずに、海外の最新技術と大きな工場が手に入る。北朝鮮投資ではこれで痛い目にあっている人が大勢いるので、たぶん中国も似たようなものだろう。ただし中国はWTO加盟であまり露骨なことができないので、反日デモの呼びかけというからめてに出てくるのかも。もしそうだとすれば、中国に進出した日本企業は、強盗に身ぐるみはがれるようにして中国に一切合切持っていかれるかもしれない。

 今回の反日デモの背景に中国の「反日教育」の存在があることは間違いないが、今この段階でそれが社会の表面に吹き出してきたのは、経済発展と都市化が原因だと思う。デモはほとんどが都市部で起きており、参加者の姿を見ると全体にこざっぱりとした身なりの若い人たちが多い。彼らの中には学生時代に都市部で教育を受け、そのまま都市に定住した農村や地方出身者が多く含まれていると思われる。彼らは結婚して核家族を作り、急速に発展した都市部で欧米化した豊かな生活を享受する。日本でも昭和30年代に起きていた現象が、中国でも今起きているのだ。

 一度都市部で豊かな生活を手に入れた人たちは、もう二度と生まれ故郷には戻れない。都市化は常に一方通行。一人っ子政策の中国では、都市化と同時に地方の過疎化と高齢化が一気に進む。あまり報道されることはないが、中国の農業地帯はかなり荒廃しているはずだ。それがますます、地方から都市部へという流れを加速させる。

 しかし地方各地から新たに流入した若年層は、自分たちのアイデンティティに漠然とした危機を感じ始める。彼らは生まれ故郷を失った流民であり、頼るべきものが何もない根無し草になってしまった。こうなると、人がたどり着くのはナショナリズムだ。「〇〇省〇〇村出身の誰それ」というアイデンティティを喪失した人々は、いきなり中華人民共和国という「国家」と直接結びつこうとする。

 ところがその中華人民共和国にも、「国家」としての確固たるアイデンティティが存在しないのだ。中国共産党は反日運動の勝利者という立場にしか自らの存在意義を見いだせないのが現状で、それが歴史教科書の反日愛国教育につながっているのはよく知られている。「国家」に自らのアイデンティティを求めた都市住民たちも、同じように「国家」の中に反日愛国しか見いだせない。それが、中国の都市部で反日デモが加熱する原因になっているように思う。

 中国政府は「国家」として、都市部住民の中で高まるアイデンティティをどうするかという問題に取り組まねばならないと思う。それは「〇〇省〇〇村出身の誰それ」という人々の意識を、それぞれの都市の中で消化解消して新しい都市住民としてのアイデンティティを作り出す方法を探すことだと思う。

 いずれにせよ、現在の反日デモはちょっとやりすぎだ。グロテスクですらある。日系の企業、日本料理屋、日本車に乗っているというだけで投石され、ガラスを割られたり、ペンキで落書きされるという光景をテレビで見て、僕はかつてドイツで起きたユダヤ商店の襲撃事件「水晶の夜」を連想した。このまま反日デモがエスカレートすれば、遠からず日本人に対する組織的な暴力ざたが起きるだろう。日本政府は中国に対してもっと毅然とした態度をとってほしいものだ。

中国はなぜ「反日」になったか
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09:40 午後 | 固定リンク

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» 中国の反日現象をちょっと考える [酔うぞの遠めがね から]
新佃島・映画ジャーナルさんの記事「反日中国の背景」の記事に刺激されてわたしの見解を(^_^)生煮えながら書いてみます。 新佃島・映画ジャーナルさん(服部さん)は「二つの考えがある」として、ひとつは中国市場をめぐって日本追い落とし運動の現れだろう、というのものと高度成長・社会の激変の現れだろう、という二つの考えです。 わ... 続きを読む

受信 2005/04/19 20:08:12

コメント

 所詮は北朝鮮・イラン等と同じ社会主義・アルカイダとおなじ。悪いことを反省せず、暴力団みたいに脅すことしかやらない。
 中国政府は何を考えてるのかさっぱりわからん。

投稿者: 宮崎人 (2010/09/21 22:58:08)

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