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2006.04.12

ユダの福音書を追え

Yuda 「ユダによる福音書」がらみだが、5月2日に日経ナショナル ジオグラフィック社から、この福音書の発見と解読のドラマを伝える書籍「ユダの福音書を追え」が緊急出版されるという。そのあおり文句は以下の通り。

『これはユダの名誉回復だけでなく、イエスの死と復活を重視するキリスト教を揺るがしかねない衝撃的な内容です。』

 そんな馬鹿な! この福音書が本物だとしても、新約聖書正典の権威はびくともしないに決まっているではないか。ユダはやはり裏切り者であって、その名誉が回復されることは永遠にあり得ないだろうね。

 ナショナル・ジオグラフィックのHPには「ユダによる福音書」の専門ページが作られていて、そこから修復作業を行った学者のインタビューや、ナショナル・ジオグラフィックによるプレスリリースなども読むことができる。プレスリリースに意見を述べている学者の中に、エレーヌ・ペイゲルスの名前が出ていた。さすがにこういう専門家は、今回の福音書発見についてもあまりセンセーショナルなことは言わない。

 「この見解に同意するかどうかはともかく、きわめて興味深い見方です」と、グノーシス福音書の世界的権威である米国プリンストン大学ハリントン・スペアー・ペイン研究所のエレーヌ・ペイゲルス教授(宗教学専攻)は指摘します。「『トマスの福音書』や『マグダラのマリアの福音書』など、2000 年近くほとんど知られていなかった他の古代の文書と同じように、『ユダの福音書』もなじみ深い福音書の物語に斬新な見方を与えてくれます。これらの発見は、キリスト教の始まりに対する私たちの理解を変えつつあります」
 米国チャップマン大学のマービン・マイヤーはこう語っています。「これまで未発見だった福音書の文書が世に出ることはめったにありません。特に初期キリスト教の文献で言及されている文書の発見は、きわめて珍しいことです。『ユダの福音書』は、キリスト教の発展の道筋を知る重要な史料であり、初期キリスト教の豊かな多様性に改めて光を当てるものです」
 カナダ・アカディア大学神学大学院のクレイグ・エバンズ教授(新約聖書研究者)も、『ユダの福音書』の修復と出版を高く評価しています。「『ユダの福音書』は、キリスト教徒の中にイエスと弟子たちに対する多様な見方があったことを示す、重要な2 世紀の証言です。この発見によって、新約聖書に収められた正典福音書の内容に対する理解がさらに進む可能性もあります」

 要するにこの発見は現在のキリスト教そのものを揺るがすわけではなく、紀元2~3世紀の初期キリスト教史を研究する人たちにとって、貴重な資料になるということ。これはこれで歴史的な大発見ではあるけれど、これによってキリスト教の教義が改められるといった性格のものではないのだ。専門家は当然のことながらそれを知っているし、初期キリスト教やグノーシス思想に興味のある人も、そんなことは百も承知のことだろうけれど……。

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トマスによる福音書 グノーシス―古代キリスト教の“異端思想” 新約聖書外典 禁じられた福音書―ナグ・ハマディ文書の解明 マグダラとヨハネのミステリー―二つの顔を持ったイエス

11:18 午前 | 固定リンク

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