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2008.04.05

戦艦ポチョムキン

 アマゾンから「戦艦ポチョムキン」の新しいDVDが届いたので、早速観てみる。DVDは2枚組で、1枚には英語の字幕が入った本編とドキュメンタリー、もう1枚にはロシア語の字幕が入った本編が収録されている。これまで発売されていたほとんどのDVDは、全編モノクロで、音楽はショスタコーヴィチ、字幕はロシア語と英語のチャンポンになっていたりしたはず。僕も同様のものを持っている。しかし今回のDVDは、音楽がエドムント・マイゼル。そしてポチョムキン号のマストに高々と翻る赤旗を、赤く着色したパートカラー版なのだ。この赤旗が、黒澤明の『天国と地獄』に流れ込み、さらにそれが『シンドラーのリスト』や『踊る大捜査線 THE MOVIE』につながっていく。まさに映画史に燦然と輝く赤い旗なのだ。

戦艦ポチョムキン おそらく世界中から最良のプリントをかき集めて復元したであろう、画質の鮮明さは驚くほどだ。有名なオデッサの階段の場面では、我が子を抱き上げて泣き叫ぶ母親の、顔の細かなシワの1本1本が、毛穴が、産毛までが克明に見て取れる。オデッサの階段は映画史の中でモンタージュ理論の教科書とも言える有名な場面だから、このシーンだけでも観たことがある人は多いはず。でも観た人の多くは「なるほど、これが有名な階段か」と思ったぐらいで、それ以上の感慨はさほど持たなかったのではないだろうか。確かに編集はすごいけれど、ひとつひとつのショットはシャープさに欠けて迫力不足だったのだ。これはビデオやDVDの原盤が、かなり擦り切れたプリントだったからだろう。

 しかし今回の「ポチョムキン」はまるで違う。モブシーンでは逃げまどう群衆のひとりひとりの顔まで、はっきりと見えるのだ。僕が今回このDVDを観て改めて思ったのは、映画は確かにモンタージュだけれど、それいぜんに個々のショットの力が大きいということ。そして「戦艦ポチョムキン」という映画の迫真性が、今でもまったく衰えていないことに驚くのだ。

 たぶん同じマスターを使ったと思われる「クリティカル・エディション」と銘打ったものが、日本でも紀伊國屋書店から発売されている。これから『戦艦ポチョムキン』を観るなら、まずこれを観ないとなぁ……。

B000P5EQZA戦艦ポチョムキン 復元(2005年ベルリン国際映画祭上映)・マイゼル版 クリティカル・エディション
アレクサンドル・P・アントノフ ウラジミール・G・バルスキー セルゲイ・M・エイゼンシュテイン
紀伊國屋書店 2007-06-30

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12:19 午後 | 固定リンク

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