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2010.06.04

『ザ・コーヴ』上映中止へ

 新聞各紙の報道によれば、6月26日(土)からシアターN渋谷での公開が予定されていたアメリカのドキュメンタリー映画『ザ・コーヴ』が、劇場への度重なる抗議の結果、急遽上映中止に追い込まれたとのこと。こうしたことを「言論の自由の侵害だ」などと大げさに騒ぎ立てる気はさらさらないのだが、映画の内容に異論をとなえるならまだしも、映画そのものを観客から遠ざけて観られない状態にしてしまうという方法が、僕はどうも気にくわない。反日的な映画だのなんだのと理屈はあるようだが、この映画はアカデミー賞を受賞して海外では大っぴらに公開されているわけだから、内容が日本の国益に反するものだと抗議したいのであれば、むしろ海外でこの映画が公開されることに抗議するべきなのだ。そしてむしろ、日本人はもっとこの映画をよく観なきゃいけない。観た上で、この映画の内容に反論できるように理論武装しなきゃならない。抗議団体はこの映画の上映を中止させることではなく、むしろこの映画の内容に抗議・反論するメッセージを映画のパンフレットやチラシに掲載させることを配給会社に求めたり、自分たちで独自に作った反論用の資料を観客に配布するよう劇場に働きかけたりするべきだったのだ。

 僕はこの映画を観ていないので(昨年の東京国際映画祭で観そびれて、今回の劇場公開にあたっても配給会社のアンプラグドからは試写の案内がなかった)、映画の内容についてどうこう言うつもりはない。しかし内容の是非はともかくとして、劇場に圧力をかけて上映を中止させてしまうという手法が僕はちょっと嫌な感じだ。これは2004年に『コンクリート』を上映中止に追い込んだのと同じ手法だが、その方式に従うのなら、今後『ザ・コーヴ』がDVDになった際も、販売店やレンタルショップに抗議して取扱いを中止させる方向に動くのだろうか。こうした「上映を止めさせてしまう」という手法は、その後も映画『靖国 YASUKUNI』で繰り返されている(『靖国 YASUKUNI』はDVD販売中止にまでは至っていない様子)。僕が知る限り、『ザ・コーヴ』で3度目だ。

 それにしても、映画館というのはこうした抗議に弱い。『コンクリート』の時は抗議のFAXで劇場のFAX受信があっと言う間にパンクしてしまったのだが、映画館というのは少人数でいろいろなことを切り盛りしなければやっていけない仕事であるため、数本の抗議電話が来るとそれで他の仕事にも支障が出てしまう。また繁華街の中にあったり、商業ビルの中にテナントとして入っていることも多く、『上映するなら街宣車で抗議するぞ」などと言われると、近隣の他の店舗への配慮から早々に上映をあきらめざるを得なくなってしまう。「言論の自由を守れ」だの「抗議に屈するな」などと言うのはたやすいけれど、映画館というのは言論機関ではなくまず第一に興行施設なのだ。そこに「民主主義の基本である言論の自由を守るための砦となれ」と、本来の役目ではない事柄を押しつける方が筋違いのような気もする。

 こうした映画の場合、映画を作る側は確信犯だからどんな抗議もドンと来いという覚悟がある。配給会社も、当然なにがしかの抗議があることは覚悟の上だろう。しかし映画観は違う。映画館はこうした抗議に弱いのだ。しかしだからこそ今後もこの映画に限らず、自分たちの気にくわない映画を上映されそうになると映画館に抗議するという手法が幅をきかせそうな気もする。『コンクリート』以来この方法はすっかり抗議手法として確立されていて、「映画館を脅せばチョロイものだ」と抗議する側もすっかり要領を得ているように思うのだ。

 繰り返しになるけれど、『ザ・コーヴ』はアメリカ映画であり、アカデミー賞受賞作品であり、海外では多くの国で公開されて高い評価を受けている作品だ。この映画が「反日的」だというのなら、その反日的なメッセージは既に世界中にばらまかれている。IMDbでは現時点で7千人以上がこの映画の評価に投票し、その平均点が10点満点で8.6だ。今さら日本国内での上映を止めたところで、この映画の評価がどうにかなるわけでもない。アメリカでは堂々とDVDを売っていて、日本からもそれを購入することができる。Amazon.comで『The Cove』を調べてみればいい。ちなみにわざわざアメリカのアマゾンから並行輸入しなくても、日本のアマゾンでも買えますけどね。

 日本人がこの映画の存在を知らなければ、日本人がこの映画を観なければ、それでこの映画の存在が世界から消えてなくなるんでしょうか? 映画館に抗議して「反日宣伝映画の蔓延を防いだぞ!」とちっぽけな達成感を味わっている間にも、こうした日本国内でのドタバタ騒ぎがこの映画に対するさらなる「高い評価」を生み出すという図式がわからないんだろうか? 例えばサルマン・ラシュディという作家は「悪魔の詩」という作品を書いて、イランの宗教指導者から死刑判決を受けた。これによって「悪魔の詩」を読んだことがない人までが、「そこまで強い反発を招くのだから、きっとスゴイ作品に違いない」と思い込むことになった。『ザ・コーヴ』に対して日本で強い上映反対運動が起きたという話は、それと同じ宣伝効果を生み出すに違いないのだ。

 何度も言うようだけど、『ザ・コーヴ』の内容に抗議したいのなら、反論用のパンフレットを刷って配布するなどもっと別のことを考えるべきなのだ。ドキュメンタリー映画の劇場公開なんてものは、それほど多くの観客が足を運ぶわけでもない。刷ったパンフレットを配給会社経由で全国の劇場に配布し、入場客ひとりひとりに漏れなく配布したとしても、1万部も刷ればたぶん半分以上余ると思う。こうした費用は、この映画に抗議している太地町などに出してもらえばいい。あるいは農林水産庁の広報予算や、その外郭団体、水産業界など、声をかければその程度の費用を出してくれるところはあるだろう。反論用の短編ドキュメンタリー映画を作って、『ザ・コーヴ』のDVD発売時に特典映像として収録してもらうという手もある。これも制作予算は太地町なり他の団体なりに掛け合えば出てくるはず。

 いずれにせよ、映画館に圧力をかけて上映中止に追い込むなど、方法としては下の下だ。こんなものはかえって映画の評価を高め、日本の評価を貶めるだけ。むしろその方がよほど国益に反するよ。

09:37 午前 | 固定リンク | コメント(0) | トラックバック

2010.05.30

スカイツリーに展望台出現

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 すっかり新たな観光名所化している東京スカイツリー(建設中)ですが、展望台らしきものが見えてきました。

11:43 午前 | 固定リンク | コメント(0) | トラックバック