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2010.09.09

映画|白いリボン

Shiroiribon 『ファニーゲーム』や『ピアニスト』のミヒャエル・ハネケ監督の新作で、昨年のカンヌ映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した作品。第一次大戦前夜の北ドイツを舞台に、小さな村に起きた不穏な出来事の連鎖を描いていく。秘められた悪意。隠された醜聞。無邪気な殺意。モノクロームの画面の中では、具体的に何かが起きている。だがそれが何かがよくわからない。誘拐、暴行、不倫、近親相姦、虐待、自殺、事故死、放火。最後まで謎は残り、明らかにされない。謎は謎として放置され、犯罪者が白日のもとにさらされることはない。物語の語り手は少し離れた村からやって来た独身の教師であり、村で暮らしてはいても「よそ者」なのだ。よそ者に村の実態はわからない。村人たちは大きな秘密を飲み込んだまま、小さな村の中で生きていく。
(原題:Das weisse Band - Eine deutsche Kindergeschichte)

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映画|パートナーズ

Pertners 盲導犬普及と社会的な理解を得るためのPR映画みたいなものだが、1匹の犬が盲導犬として成長してゆく姿に重ね合わせるように、ひとりの盲導犬訓練士の成長を描いていく青春映画にもなっている。犬が好きなわけでも、社会に貢献したいというわけでもない、ただ「安定した食いっぱぐれのない仕事に就きたい」というだけの動機で訓練士になった青年が、さまざまな人と出会い、壁にぶつかり、それを乗り越えながら成長してゆく姿は観ていて清々しい。この手の動物映画では「動物の気持ち」に感情移入を誘うような描写がしばしばあるものだが、この映画では最初から「犬の気持ちなんてわからない」「人間同士だって相手の気持ちなんてわからない」ということが前提になっているせいか、そうしたベタベタした描写がない。人に他人の気持ちはわからず、ましてや犬のことなんてわからない。でもやっぱり、人は誰かに寄り添いながら生きるしかない。人間が持つ根本的な矛盾と葛藤だ。訓練士の青年、盲導犬の育ての親であるパピーウォーカーの家族、盲導犬のパートナーとなる若い盲目の歌手などの話を同時進行させてゆく序盤が、ちょっともたついた印象になるのが残念。最後に出てくる歌も、あまり僕の趣味ではなかったなぁ……。

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2010.09.08

映画|海炭市叙景

Kaitanshi_2 函館出身の小説家である佐藤泰志(故人)の同名連作短編集を原作に、函館の地元住民らが出資して製作したオムニバス風の映画。監督は北海道帯広出身の熊切和嘉。劇中の海炭市というのは、いわば藤沢周平における海坂藩みたいなもの。あるいは宮澤賢治におけるイーハトーブみたいなもの。現実の函館の上に築かれた虚構の地方都市だ。映画はもちろん函館でロケ。物語はいくつかのエピソードがオムニバス風につながっていくのだが、エピソード同士はゆるやかに重なり合って、同じ「海炭市」の風景を共有している。大きなドラマはない。ハッピーなドラマもない。どれも暗く、冷たく、やりきれないような寂しさと、孤独と、生きることの苦しさに満ちている。映画を観てもちっとも幸せな気持ちになれない。しかも困ったことに、この映画に描かれる暗さ、冷たさ、寂しさ、孤独、苦しさに共感してしまう。劇的な何かがあるわけでもないので、ここには「涙」というカタルシスさえない。いい映画なのだが、デートで観たりしたらその後は無言の気まずい空気が流れそう。

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2010.09.07

映画|うまれる

Umareru 子供が生まれるとはどういうことなのか。子供を産むとはどんなことなのか。親になるとはどんなことか。望んでも子供に恵まれない人もいれば、芽生えた命を産み落とすことなく中絶してしまう人もいる。この映画は4組の夫婦に取材しながら、「生命の誕生」について描くドキュメンタリー映画。子宮の中の胎児には体内記憶があって……だとか、子供は生まれる前に親を選んできて……などというヨタ話にはゲンナリするが、それでもこうした物語が「子供が生まれるという神秘」を何らかの形で翻訳したものだと思えばそう嫌な気分にもならない。出産と共に命が始まるのではなく、お母さんのお腹の中にすでに命はある。それは感じたり、考えたりしている。それが胎内記憶という物語になる。また誰もが子供時代に「なぜ私はこの両親のもとに生まれてきたのか」と考えたことがあるだろうし、親になった人なら目の前にいる子供の「他者」としての人格と対峙するたびに「この子はいったいどこからやって来たのだろうか?」と思うだろう。それが生まれる前に親が子供を選ぶというスピリチュアルな物語になる。あくまでも物語だが、そう考えることで何かしら腑に落ちるようなことがあるのも事実だ。映画の中ではちょっと特殊な夫婦を取り上げすぎているかなぁ……という感じもする。もちろんそのエピソードの中には、どんな夫婦にもある普遍的な事柄が含まれてはいるんだろうけどね。インタビューイーの中には未婚で出産したという女性もいたけど、映画の中では全部夫婦の話になっている。この映画の隠れテーマは「夫婦」なんだろうな。

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