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2011.02.24

映画|引き裂かれた女

Hikisakareta クロード・シャブロル監督が、リュディヴィーヌ・サニエとブノワ・マジメル、フランソワ・ベルレアン主演で描くラブ・サスペンス。初老の有名作家が若い女を手玉に取ったと思ったら、そこに大きな落とし穴が待っていた……という話。20世紀初頭のアメリカで起きた「スタンフォード・ホワイト殺害事件」を、現代のフランスで再現するというのが作品の趣旨だったようだが、僕はそうした部分よりもサニエ分するヒロイン像に大いに興味を持った。たぶんこの映画はこのヒロインの存在によって、今現在の映画になり得ているのだと思う。作家の背徳的な暮らしはいささか図式的だが、リュディヴィーヌ・サニエを愛人にできるとはうらやましい。ブノワ・マジメル演じる御曹司が嫉妬に狂うのも、相手がサニエならまあ気持ちはわかる。それもこれも、僕がサニエのファンだからなんだけど。このヒロインに何かしらの魅力を感じられない人は、この映画はまったくダメだろう。春公開、シアター・イメージフォーラム。

(原題:La fille coupée en deux)

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2011.02.23

映画|唐山大地震 -想い続けた32年-

Tozan 1976年7月28日、中国の唐山市で直下型の大地震が起こり、死者行方不明者24万人という大災害となった。この映画はその地震と、地震で家族を失った人々のその後を描く物語。離ればなれになった家族が最期に再会するという話だが、未曾有の天変地異で引き裂かれる家族、生と死の葛藤、母と子の愛情、家族の情愛などを、1980年代以降急激な経済成長を遂げる中国現代史を背景に描いて行く。この映画に登場する1970年代末から80年代の中国は、40歳代以上の日本人ならNHK特集「シルクロード」などでおなじみのもの。こうして観ると、中国がいかに猛スピードで経済発展を遂げたのかがよくわかる。物語の中には悪人が出てこないのがいい。(弱い人間は出てくるが、弱さが必ずしも悪というわけではないだろう。)映画の中には感動のポイントが何カ所も用意されているのだが、僕は2回ぐらい涙が出た。最初は母親が息子の乗るバスを見送るシーン。次はトマトにやられた。それで思ったのだが、要するにこの映画って「母もの」なんだよな……。生みの母と育ての母。自分が親になって知る母の愛……とか、そういう世界。3月26日公開、丸の内ピカデリーほか全国公開。

(原題:唐山大地震 AFTERSHOCK)

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映画|キラー・インサイド・ミー

Killerinside ジム・トンプスン「おれの中の殺し屋」を、マイケル・ウィンターボトムがケイシー・アフレック主演で映画化した犯罪スリラー。1950年代のテキサスを舞台に、温厚で紳士的な保安官助手でありながら次々に冷酷な犯罪に手を染めて行く男を描く。主人公をめぐる2人の女性をジェシカ・アルバとケイト・ハドソンが演じているが、ジェシカ・アルバは男を手玉に取るセクシーな娼婦役なのに、ベッドシーンでもバストトップは決して見せない堅牢なガードぶり。ウィンターボトム監督の映画だと、『日陰のふたり』でケイト・ウィンスレットが一糸まとわぬ瑞々しいヌードを披露したりしていたので、ジェシカ・アルバへのこの気配りは、別に監督の演出意図や好みの問題ではないはず。ウィンターボトムには『9 Songs ナイン・ソングス』なんて作品もありました。ケイシー・アフレックとケイト・ハドソンはよかったな。4月16日より、ヒューマントラストシネマ渋谷にて公開。

(原題:The Killer Inside Me)

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2011.02.22

映画|ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路

Nannerl 天才作曲家モーツァルトには、子供時代から仲のよい姉ナンネルがいた。姉弟は父レオポルトに連れられてヨーロッパ各地を演奏旅行し、時には弟より姉の方が人気を得ることもあったようだ。しかし彼女は少しずつ弟に比べて目立たない存在となり、やがて表舞台から消えてしまう。この映画はそのナンネルを主人公にした物語。息子の才能に有頂天になる一方、「女に作曲は無理」と頭ごなしにナンネルの才能を否定する父。フランスの王太子ルイ・フェルディナンとのロマンス。ナンネルについての記録は少ないため、物語の多くはモーツァルト一家の記録から逆算されたフィクション。劇中でナンネルが作曲する楽曲などは、音楽担当のマリー=ジャンヌ・セレロが新たに書き起こしている。目に見えない女性差別や女性蔑視によって、ひとりの少女が自らの才能を封印して日常に埋もれて行く様子を描く悲劇……という点ではフェミニズムの匂いがする映画なのだが、何と言ってもこれは音楽映画として素晴らしい。4月上旬より、Bunkamuraル・シネマにて公開。

(原題:Nannerl, la soeur de Mozart)

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2011.02.18

映画|ガクドリ

Gakudori 雑誌「ドリフト天国」が主催する学生限定のドリフト走行コンテスト「全日本学生ドリフト王座決定戦」(略して「ガクドリ」)をモチーフにした青春映画。主演は「仮面ライダーW」で仮面ライダーアクセルを演じていた木ノ本嶺浩。アクセル役はニヒルで大人っぽい二枚目が売りで、先日公開された映画版完結編では結婚までしている。しかし今回はお調子者で軽薄な大学生役だから、ずいぶんイメージが違うなぁ。映画自体は脚本のできが悪くて、並行して描かれる複数のエピソードが合流しないまま最期に放り出されてしまうのにはびっくり。こういう作りで映画が面白ければ「こういう作り方もあるのか!」となるわけだが、この映画はあまり面白くないので「基本がなってないぞ!」ということになる。もう少し作り方として、明快なセールスポイントがあってもいいような気がするけど。4月9日より池袋シネマロサにて公開。

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映画|ザ・ホークス/ハワード・ヒューズを売った男

Hoax 映画『アビエイター』のモデルとなったアメリカの大富豪ハワード・ヒューズ。世界的に知られながらその素顔がわからない変人の自伝をでっち上げ、大手出版社に売り込んだ男がいた。可能な限りの情報を集め、隙間を作家の想像力で埋めたその自伝はセンセーションを巻き起こすが、発売直前に贋作であることがばれて男は逮捕されてしまう。この実在の事件を、逮捕された作家本人の手記を原作にして描く実録犯罪映画。主演はリチャード・ギア。監督はラッセ・ハルストレム。共演にアルフレッド・モリーナ、マーシャ・ゲイ・ハーディン、スタンリー・トゥッチなど豪華なメンバー。しかしこの映画、製作されたのは2006年で日本公開は今年。監督とキャストの顔ぶれだけ見れば豪華なのに、映画自体の印象が意外なほどに地味なのがその原因だろう。大手出版社にコケにされた売れない作家が、その大手出版社に一泡吹かせようと仕掛けたコンゲーム……といった筋立てになれば痛快なのだろうが、この映画では主人公たちにコンマン(詐欺師)としての覚悟がまるでない。事実関係を大幅に改変して、実話をもとにした途方もないホラ話にしてしまえばよかったのに。G.W.公開。シアターN渋谷。

(原題:The Hoax)

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2011.02.10

映画|ブラック・スワン

Blackswan 『レスラー』で過去の栄光にすがって落ちぶれていく男の世界を描き、ミッキー・ロークを第一線に返り咲かせたダーレン・アレノフスキー監督の新作。今回は『レスラー』の逆で、バレエ団という女の子の世界。若いバレリーナが主役に抜擢されて栄光の座を駆け上がっていくサクセス・ストーリーだが、そこれはやはりアロノフスキーだから一筋縄では行かない。バレエ『白鳥の湖』のストーリーと映画の中のヒロインの姿が重ね合わされるという仕掛けはバレエ映画の古典『赤い靴』に似ているが、登場する親子関係は『キャリー』であり、悪夢のような幻想世界はジャン・コクトーの『オルフェ』と監督自身の『レクイエム・フォー・ドリーム』を混ぜ合わせたようなタッチ。脇役でウィノナ・ライダーが出てくるのだが、その様子はもう『エクソシスト』なのだ。要するにこの映画、ジャンル分けするなら「ホラー映画」になると思う。5月13日(金)公開。TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー。

(原題:Black Swan)

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映画|アメイジング・グレイス

Amazing_grace イギリスの奴隷貿易廃止のために尽力した実在の政治家、ウィリアム・ウィルバーフォース(1759〜1833)の伝記映画。20代の青年議員だった彼が信仰に目覚めて牧師になろうとするが、当時イギリスに莫大な富をもたらしていた奴隷貿易の非人間性を知って、奴隷貿易廃止運動の中で信仰と政治の一致を目指すことになる。だがこの時彼は、その戦いが20年もの長きに渡ることを予想もしていなかった。若い理想主義者は何度も挫折し、仕事の激務とストレスの中で体を壊す。そんな彼を支えたのは、賛美歌「アメイジング・グレイス」の作者でもある元奴隷船の船長ジョン・ニュートン牧師と、運動の中で出会った同志、そして彼の志に賛同する妻だった。映画のタイトルを見たときは「アメイジング・グレイス誕生秘話」みたいな話かと思ったが、それとはまったく異質の実録政治映画だった。法案成立のため命をかける主人公の姿に感銘を受ける。日本の政治家たち、そしてこれから政治を志す人たちにぜひ観てほしい作品。3月5日公開。銀座テアトルシネマ。

(原題:Amazing Grace)

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2011.02.08

Facebookと格闘中

 まだわからないことだらけですが、なるべく早くFacebookを使いこなせるようになりたいと思っています。

2011.02.03

映画|世界のどこにでもある、場所

Sekainodokonidemo フィリップ・ド・ブロカが1966年に撮ったカルトムービー『まぼろしの市街戦』を、現代の日本に翻案したような映画。投資詐欺の犯人として警察とやくざに追われる男が、山奥の寂れた遊園地(動物園併設)で行われる精神病院の屋外療法に紛れ込んでしまうという話。監督・脚本は大森一樹。出演者のほとんどが劇団スーパー・エキセントリック・シアターのメンバー。映画というより、舞台の屋外上演をそのまま撮影したようなライブ感のある作品になっている。いろいろと工夫している映画ではあるのだろうが、僕はこの映画に不満を感じる。それはこれが、現代社会の批判や批評としては稚拙だと思うからだ。映画に登場する心に病を持つ患者たちは、病息になった理由と病気の関係が直線的すぎてつまらない。元ネタである『まぼろしの市街戦』は、戦争という狂気の中で精神病の狂気こそが逆に正常であるという逆説に至るわけだが、本作『世界のどこにでもある、場所』にそうした逆説はない。社会は病んでいて、患者たちも同じように病んでいる。それだけの話だ。患者たちの告白や証言は、そうした社会の病巣を絵解きしているだけ。やたらと説明口調の台詞が鼻についてしまう。2月26日公開、シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷。

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映画|英国王のスピーチ

Eikokuono_2 現イギリス国王、エリザベス2世の父であるジョージ6世と、その妻エリザベスを主人公にした、実話に基づくドラマ。ジョージ6世は父王ジョージ5世の次男として生まれ、もともとは国王になるはずではなかった。体が弱く、吃音癖もあり、人前に出るのが苦手だったのだ。父の死後エドワード8世として王座を継いだ兄は、離婚歴のあるアメリカ人女性ウォリス・シンプソンと結婚するため自ら退位いてしまう。かくしてジョージ6世に次の国王としてのおはちが回ってきた。この時ジョージ6世は、国王になりたくなくて泣いたという。映画はコリン・ファース演じるジョージ6世と、ジェフリー・ラッシュ演じる話し方コーチ、そしてヘレナ・ボナム=カーター分する王妃エリザベスを軸に、世評に名高い「王冠を賭けた恋」の裏側にあったジョージ6世の苦悩と、国王一家の気さくな人柄や夫婦愛を描いていく。映画の中ではウォリス・シンプソンがひどく高慢で鼻持ちならない女として描かれているのだが、それが一層、エドワード8世退位の理不尽さを強調することになる。コリン・ファースも好演だが、ヘレナ・ボナム=カーターがじつに良かった。2月26日公開。TOHOシネマズシャンテ、Bunkamuraル・シネマほか。

(原題:The King's Speech)

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2011.02.02

映画|わたしを離さないで

Watahana これはどこからがネタバレになってしまうのか、細心の注意を払いながら語らねばならない映画。主人公たちが抱えている「秘密」は映画の宣材で伏せてあるものの、じつは映画開始から数分でわかってしまうのだ。似たようなアイデアはこれまでにもなかったわけではないと思うが、それを未来の出来事として描かず、戦後の1950年代から分岐したもうひとつの歴史として描いているところがユニーク。確かにこれは未来のテクノロジーが必要な話ではなく、社会的な合意さえ取り付けられれば実現可能なものでもある。徹底的に抑圧され、管理され、決定づけられた運命を生きる子供たち。懐かしのディストピアSF。しかしこれは、主人公たちのグループに属さない人間たちにとってはユートピアでもある。少数の犠牲者の上に成り立つ、豊かな反映と輝かしい未来。一方で犠牲を強いられる側は、それを当たり前の事として受け入れて、そこから逃れ出るため戦うことはない。この物語の構造から、現代社会の何らかの縮図を読み取ることも可能。しかし物語はそうした社会批判に向かうわけではなく、あくまでも青春映画であり恋愛映画として成立している。『17歳の肖像』のキャリー・マリガン、『ソーシャル・ネットワーク』のアンドリュー・ガーフィールド、そしてキーラ・ナイトレイ。主演3人のアンサンブルが見事。3月26日よりTOHOシネマズシャンテほかにてロードショー。

(原題:Never Let Me Go)

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映画|コリン LOVE OF THE DEAD

Colin 直接制作費45ポンド(約6千円)という、破格の低予算で撮影されたゾンビ映画。手持ちの機材を使い倒し、出演者もスタッフも手弁当でギャラの支払いゼロ。(制作費を限りなく切り詰める秘訣は、友だちを大勢作っておくことである!)本当は制作費ゼロにしたかったのだが、撮影現場に使いかけのDVテープを持って行くのを忘れてしまい、仕方なく近くで新品のテープを購入したのが45ポンドということらしい。フィルムを使って自主映画を撮っていた頃は、ちょっとした映画でも数百万円かかっていたことを考えると(フィルムはどこかから半端物を入手するにしても現像にどうしてもお金がかかってしまう)、今は夢のような時代だなぁ……と感じさせる話。映画はゾンビになってしまった青年の視点を通して語られるゾンビ映画。生き残った人間たちの略奪対象になったり、殺されそうになったり(もう死んでるんだけど)、かつての顔見知りでも噛みついちゃったり、もう大変なのだ。本筋に関係のない「お食事タイム」に脱線したりするのは、ゾンビ映画にとって「お食事シーン」が売り物だからしょうがない。多少冗長なところがあるし、基本的にワンアイデアの映画なので、これはもっと短く70分〜80分ぐらいにした方がよかったかも。3月5日、ヒューマントラストシネマ渋谷で公開。

(原題:Colin)

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