2014年9月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
無料ブログはココログ

« 2011年8月 | トップページ | 2011年10月 »

2011.09.30

映画|アンダー・コントロール

Unterkontrolle 脱原発に向かって進むドイツの現状を取材したドキュメンタリー映画。今もなお稼働する原子力発電所の状況から始まり、運転中止で廃墟になった原発や、廃炉となって解体作業を行っている原発施設の様子を淡々と紹介してゆく。福島原発事故以前に作られた(取材された)映画なのだが、この映画が福島原発や日本の原発の今後について考える際の大きな材料になることは間違いない。この映画を観ると、原発は建設や運転よりも、廃炉や解体作業の方がよほど手間がかかることがわかる。原発から出る使用済み燃料も大問題だが、これは規格化されたゴミなので、処分方法もある程度考えられている。ところが原発というのは使い終わると、建物の中心部が放射能汚染されたゴミのかたまりになる。これは一定の大きさに切断した後、物によっては一定期間保管して放射線レベルが下がってから通常のスクラップと同じように処理し(それでも50年以上は保管が必要)、その他のより高濃度な汚染物質は深い穴を掘って埋めるしかないのだ。現在は日本で脱原発を求める声が大きくなっているし、それはある意味では当然のこと。しかし脱原発の後に、より大きな問題があることにも目を向けるべきだと思う。

(原題:Unter Kontrolle)

続きを読む "映画|アンダー・コントロール" »

映画|不惑のアダージョ

Fuwaku 普通の人より早い更年期を迎えた中年の修道女が、何人かの男性たちの出会いと別れを通して危機を脱してゆく話。ある種の「通過儀礼」の話だが、性や肉体といった問題とはまったく異なった次元に住まう存在であるはずの修道女に、人間なら誰しも関わりを持たざるを得ない人間関係のしがらみや、老いの問題をぶつけているのが面白い。それによってテーマになっている問題が、物語の中からスッキリと浮かび上がってくる。よくできた映画で演出も安定しているが、演出技法が古風でレトロな感じさえする。これがある種の狙いなのか、それとも監督の個性なのかは不明だが、同時上映された短編『大地を叩く女』を見ると、これもちょっと古風な装いの映画なのだなぁ……。ただし『不惑のアダージョ』に関して言えば、この古風なムードが映画の内容にマッチしていたと思う。

続きを読む "映画|不惑のアダージョ" »

2011.09.29

映画|スマグラー おまえの未来を運べ

Smuggler 違法な荷物を運ぶスマグラー(運び屋)に雇われた青年が、中国マフィアの殺し屋と暴力団の抗争に巻き込まれて大変な目に遭うという話。石井克人の映画では一番バイオレンス描写がキツイと思うのだが、そのバイオレンス描写にいくばくかのユーモアがまぶしてあって、飛び散る血しぶきを見ながらついクスクス笑ってしまったりする。出演俳優の中には我修院達也など、石井組とでも言いたくなるような顔ぶれもいるわけだが、主演の妻夫木聡含めて全員がなかなかいい感じ。高島政宏にはぶっ飛んだ。役者としての新境地だ。松雪泰子や永瀬正敏もさすがに上手い。舞台設定が1999年で、小道具としてポケベルが出てくるのが懐かしい。携帯電話も出てくるけどデカイ。だからといってレトロというわけでもない、今現在とは違う、異世界の感じがいいのだ。

続きを読む "映画|スマグラー おまえの未来を運べ" »

映画|GOMORRA ゴモラ

Gomorra イタリアの犯罪組織カモッラの実態を描いた、ノンフィクション小説の映画化。原作の著者はカモッラの内情を暴露したことで、組織から暗殺のターゲットになっているらしい。映画に描かれていることのすべてが実話というわけではないにせよ、かなりの部分が実態に沿った内容になっているのだろう。『ゴッドファーザー』と『シティ・オブ・ゴッド』を合わせたような映画というのが売り文句だが、映画の印象はこれらの先行作品とは大きく異なっている。中心となる主人公がいない群像劇で、しかも登場人物の誰にも共感できないし、感情移入もできないのだ。これは映画の作り手がわざわざ、狙いとしてそのような手法をとっているのだろう。ドキュメンタリーを見ているようなリアリティがある。映画の中で比較的感情移入しやすいのは、中国人と取引して制裁を受ける仕立て職人の男と、違法な産廃投棄に足を踏み込む若い男。あとは組織に加わるのを拒んで暴れ回るバカな二人組。どうやら僕は、組織に馴染めない男たちに共感してしまうらしい。

(原題:Gomorra)

続きを読む "映画|GOMORRA ゴモラ" »

2011.09.28

映画|ヴァンパイア・ストーリーズ CHASERS編

Vs_chasers メロドラマは事件がすべて外部から主人公の身に降りかかるが、悲劇は主人公の自発的な考えや行動によってもたらされる。『BROTHERS編』がヴァンパイアの血を引く兄弟たちのメロドラマだとしたら、この『CHASERS編』は己の身に降りかかった運命を自らの力で打破して行こうとする男たちの悲劇だ。しかしこれも脚本が弱すぎる。話のアイデアとしてはこちらの方が『BROTHERS編』よりずっと面白いのだが、ディテールの詰めが甘くて日常のリアリティがない。日常描写の足もとがしっかり固まっていないと、ファンタジーはそれを土台にして飛躍できないのだ。『BROTHERS編』同様、川本直弘のアクション演出はスピード感があってなかなかいい感じだ。カメラがやたらと動きまわるのはうっとうしいが、俳優がアクション専業ではない人たちだから、それを補う意味合いもあるのかもしれない。

続きを読む "映画|ヴァンパイア・ストーリーズ CHASERS編" »

映画|ヴァンパイア・ストーリーズ BROTHERS編

Vs_brothers かつて金子修介監督は「日本人に絶対似合わないのが吸血鬼だ!」という確信を持って、普通のサラリーマンが突然吸血鬼になってしまうコメディ映画『咬みつきたい』を作った。それから20年たって吸血鬼映画のバリエーションも随分と増え、日本人が大まじめに吸血鬼を演じる映画が作れるようになったらしい。しかしこれは、話としては随分と物足りない。太古からの吸血鬼の血を引く純血種の兄弟と、彼らの血を狙う混血種の群れ。生き別れの肉親。血のつながらない兄妹の純愛。血の宿命。盛り込まれているアイデアがいちいちメロドラマ調なのだ。同じ発端から物語が『BROTHERS編』と『CHASERS編』の2系統に分岐して行くのだが、これは両方を1時間ちょっとの長編2本に無理矢理仕立てず、ひとつのエピソードを50分ぐらいにして1本の映画にまとめてしまった方がよかったと思う。(ひょっとすると、もともとはそういう映画だったのを2本に分けたのかもしれないけれど……。)

続きを読む "映画|ヴァンパイア・ストーリーズ BROTHERS編" »

2011.09.18

映画|スパイキッズ4D:ワールドタイム・ミッション

Spykids4d 前作『スパイキッズ3-D:ゲームオーバー』が日本で公開されたのは2003年10月。それからほぼ8年振りに公開された、仕切り直しの第4弾。前作までの3部作でシリーズが一度完結し、アントニオ・バンデラスやカーラ・グギノの出演はなし。しかし3作目まで主役の子供スパイを演じたアレクサ・ヴェガとダリル・サヴァは、成長したカルメンとジュニ役で再登場。他には秘密兵器担当のダニー・トレホが、1シーンだけ特別出演しているのも嬉しい。今回の映画は『スパイキッズ』と言っても、子供スパイ単独での活躍はあまり多くないし、登場する秘密兵器も新作はほとんど出てこない。これは新シリーズの次回作以降のお楽しみだろうか。今回の売りはこするとニオイの出るシートだが、これの効果がどの程度あったものか……。ただし映画に観客を参加させるギミックとしては楽しい。画面に数字が出てくると、映画館のあちこちでシートをごしごしこする音が聞こえるので、映画館全体が一体感に包まれる。3D映像は『スパイキッズ3-D』のアナグリフ式とは比較にならないほど進歩して、映像技術の進歩を痛感させられた。いずれニオイの出る映画もより技術的に洗練されて、「昔はシートこすってたよね〜」なんてことになるのかも。

(原題:Spy Kids: All the Time in the World in 4D)

続きを読む "映画|スパイキッズ4D:ワールドタイム・ミッション" »

2011.09.17

映画|アジアの純真

Pureasia 通勤通学客が多い駅の地下道で、暴漢に姉を殺された在日朝鮮人の少女と、その出来事を目の前にしながら何もできなかった日本人の少年。ふたりは旧日本軍が遺棄した毒ガスを使って、日本社会に復讐しようとする。自分たちの手では社会の有り様を何も変えられそうにないという閉塞状況に、無差別テロで風穴を開けようとする一種の「テロ容認映画」なのだが、この閉塞感と行き場のない怒りには共感せざるを得ない。「こんな腐った世の中なんてぶっ壊れちまえばいい!」という中二病的な破壊願望であり終末願望だが、そうした思いをこれまで一度たりとも持ったことがないという大人は、生育環境に何らかの欠陥があったに違いない……と僕などは考えてしまうのだ。そういう意味で、僕はこの映画の主人公たちに共感する。無差別テロ、大いに結構。しかし僕がこの主人公カップル以上に共感してしまうのは、毒ガスを手にしながらそれをついに社会に向けては使用できなかった青年のヘタレっぷりだ。社会をぶっ壊せない時、人は自分自身をぶっ壊してしまう。

続きを読む "映画|アジアの純真" »

2011.09.16

映画|密告・者

Mikkokusya 警察に協力する密告者になるべく犯罪組織内部に送り込まれた男と、彼を通じて組織の情報を得ようとする警官の苦悩を描くサスペンス・ドラマ。主演はニコラス・ツェーとニック・チョン。監督はダンテ・ラム。一種の潜入捜査ものなのだが、仕事が終われば警官の身分に戻れる潜入捜査官と違って、密告者の立場は不安定。警察からそれなりの報酬をもらって仕事をしているとはいえ、一歩間違えれば犯罪組織と警察の双方から命を狙われかねない。犯罪組織の報復は、自分の家族や縁者にも及ぶのだ。警察はこうしたリスクをすべて告発者に負わせる。彼らはいつでも使い捨てられる存在なのだ。「告発者とは友人のように振る舞え」「友人になるのではなく、友人のようになるのだ。彼らとは常に距離を取れ」と後輩の警官たちに説く主人公ドンが、配下の密告者たちを切り捨てられずに苦しむ様子をニック・チョンが好演。彼が颯爽としたエリート刑事ではなく、よれよれのしょぼくれたスーツ姿なのもいい。

(原題:綫人 The Stool Pigeon)

続きを読む "映画|密告・者" »

映画|マネーボール

Moneyball 貧乏球団オークランド・アスレチックスが、2000年代に導入したセイバーメトリックス理論によるチーム編成。それまでの野球の常識を覆すこのチーム編成は「マネーボール」と呼ばれ、これを強硬に押し進めたGMのビリー・ビーンは球界の異端児扱いされた。だが「マネーボール」は着実な成果を出し、今では多くの球団がこの理論を取り入れてチーム作りをしているという。映画はブラッド・ピットがビリー・ビーンを演じ、彼の野球人生を追いながら、「マネーボール」の導入にまつわる周囲との軋轢を描いて行く。野球映画ではあるが、これはチーム編成や球団経営というマネジメントにまつわる映画。「マネーボール」はビジネス書としてもかなり読まれているようなのだが、この映画はそうした組織論やマネジメント論ではなく、ビリー・ビーンという個人のキャラクターを掘り下げていく映画になっている。終盤のまとめがあまりうまく行っていないような気もするが、全体としては好印象。ブラピも渋い大人の役者になってきた。

(原題:Moneyball)

続きを読む "映画|マネーボール" »

2011.09.14

映画|やがて来たる君へ

Yagatekitaru 第二次大戦末期の1944年9月から10月にかけて、北イタリアのボローニャ近郊で、パルチザン掃討を名目に住民700人以上が虐殺される事件が起きた。この映画は村に住むひとりの少女の視点から、事件が起きるまでの村人たちの暮らしを描いた実録ドラマ。1940年代のイタリアの貧しい農民たちの暮らしを丁寧に再現しながら、平和な暮らしの中に少しずつ戦争が忍び寄り、やがて大殺戮が始まる様子を描いている。映画の「視点」になるのは8歳の少女で、彼女の視点で大きな物語の一部を切り取っている。この映画を観ると「ナチスってひどいね」ということになるわけだが、アフガニスタンやイランなどで、今も戦争の犠牲になっている一般民間人がいることも、作り手の視野に入っている。

(原題:L'uomo che verrà)

続きを読む "映画|やがて来たる君へ" »

2011.09.09

映画|ブリッツ

Blitz ジェイソン・ステイサム扮する暴力刑事が、警官ばかりを狙う連続殺人犯を追跡するサスペンス・アクション。犯人が早々に姿を現してしまうので、ひねったミステリー映画ですっかりスレてしまった僕は「他に犯人がいるのかも」と思ってしまったのだが、そういうひねりは特にない。性格異常の連続殺人犯を暴力刑事が追い掛けるという展開は、クリント・イーストウッドの『ダーティハリー』(1971)と同じ。今回は犯人がスコルピオではなくブリッツなのだ。暴力刑事ブラントと、ゲイの上司ナッシュのコンビが面白い。キャラクターが面白いので、シリーズ化してもいけるかも。ライオンズゲートUKの第1回製作作品とのこと。日本もそうだが、ハリウッドの映画会社は多拠点化している。ハリウッドの映画会社が、MADE IN USAの作品を世界中に輸出するという一元体制は、少しずつ変化しているようだ。

(原題:Blitz)

続きを読む "映画|ブリッツ" »

映画|ハートブレイカー

Heartbreaker 狙ったターゲットは必ず落とす百戦錬磨の「別れさせ屋」が、恋を仕掛けた相手に本気で惚れてしまう……というありきたりなお話。「別れさせ屋」という設定は新しいが、これは偽の恋を相手に仕掛けてお金に換えるわけだから、一種の結婚詐欺みたいなもの。結婚詐欺師が本当の恋に落ちる話は、プレストン・スタージェスの『レディ・イブ』からこちら枚挙にいとまがないほど作られているに違いない。シガニー・ウィーバーとジェニファー・ラブ・ヒューイット主演で、同じ『ハートブレイカー』という映画も作られている。しかしながらこの映画、手垢の付いた素材に思えてなかなか面白い。「別れさせ屋」が次々に繰り出すあの手この手の手練手管に笑い、ピンチを切り抜けるチームワークに舌を巻く。ミステリーとサスペンスがあり、ちょっぴりお色気があって、恋の行方にハラハラドキドキ。ヴァネッサ・パラディの前歯の隙間が気にならなくなった頃には、観ているこちらもすっかり映画に引き込まれてしまうのである。

(原題:L'arnacoeur)

続きを読む "映画|ハートブレイカー" »

2011.09.08

映画|ちづる

Chizuru 立教大学現代心理学部映像身体学科の学生が、卒業制作として製作したドキュメンタリー映画。自閉症の妹、母親、そして自分自身。映画の中では、妹と母は何も変わらない。しかし監督は学生から社会人になる時期であり、否応なく変化を求められる。親に庇護されて育ってきた子供が、自分自身で人生の第一歩を踏み出そうとする、これはひとつの青春映画だ。そして映画の最後に、母親が突然下したある決断にも驚かされる。人は変わっていく。家族も変わっていく。その変わっていく様子を、この映画はリアルタイムに記録してゆく。しかし主役であるはずの「ちづる」は変わらない。彼女はこの物語のトリックスターなのだ。監督の赤﨑正和は、卒業後に福祉関係の仕事に就いたとのこと。彼が今後も映画を撮り続けるのかどうかはわからないが、撮影編集機器がデジタル化して低価格化していることで、絵を描いたり小説を書いたりするのと同じ程度には、映画作りについてもプロとアマチュアの差はなくなっているのかもしれない。

続きを読む "映画|ちづる" »

映画|ステイ・フレンズ

Stayfriends LAで働くアートディレクターのディランは、ヘッドハンターのジェイミーに誘われてNYの雑誌社に移籍。ふたりはすっかり意気投合して親友になるが、どちらも恋人に振られたばかりのふたりは「テニスのようにセックスも楽しむ」関係に。その関係はとても理想的なものに思えたのだが……。ラブコメは主人公の男女が最終的に恋人同士になるのは誰にでもわかっているので(『ベスト・フレンズ・ウェディング』など少数の例外はある)、そこまでの紆余曲折をどうやって見せていくかに作り手の手腕が問われる。この映画は物語がはじまって早々に、主人公たちがベッドを共にしてしまうというところにヒネリがあるわけだが、これも別にものすごく新しいというものではない。もっともこの映画を観ていると、セックスの問題というのは実際にものすごく軽いものになっているのだなぁ……とは感じるけれど。セックスの問題が物語作りの中で「しばり」として使えないというのも、映画の作り手にとってはいろいろと難しい課題ではあるのかもしれない。ところで映画に登場する「フラッシュモブ」というものを僕はぜんぜん知らなかったのだが、YouTubeで検索するといろいろと動画が出てくる。これは楽しいや。

(原題:Friends with Benefits)

続きを読む "映画|ステイ・フレンズ" »

2011.09.02

映画|MADE IN JAPAN—こらッ!—

Madeinjapan 高橋伴明監督が、京都造形芸術大学映画学科の学生と一緒に作ったホームドラマ。おばあちゃんが死んだことで、夫婦と娘ひとりの3人家族が崩壊して行く。僕はこのプロットからすぐに石井聰亙の『逆噴射家族』を思い出したが、あれは親子で暮らしている家庭におじいさんがやってくることで、家族間の軋轢が高まり家族崩壊する話だった。本作はそれとは逆に、おばあさんが抜けることで家族が崩壊する。家族や家庭という「幻想」を持っていた世代はこの映画の両親と祖母世代までで、そこではまがりなりにも「親子」を軸とした家族が成り立っている。ところがこの祖母が抜けてしまうと、両親は「夫婦」という単位で家族を維持できないし、子供との間に「親子」としての確固たるつながりも持てない。結果として家族はバラバラに崩壊して行く。映画にはもうひとつの崩壊する家族が登場するので、それについても少し考える必要はありそう。

続きを読む "映画|MADE IN JAPAN—こらッ!—" »

映画|アクシデント

Accident 偶然の事故を装ってターゲットを抹殺するプロの殺し屋集団。しかし完璧に仕上げたはずの現場で、ひとつの「事故」が起きてメンバーのひとりが死んだ。これは本当に偶然の「事故」なのか? グループのリーダー宅は、彼の留守中に何者かに荒らされていた。彼は自分たちを狙う何者かの正体をさぐるべく、事故が起きた最後の仕事を洗い直す。そして彼は、それまで気づかなかったある事実を知るのだった……。ジョニー・トーが製作、ソイ・チェンが監督したサスペンス・スリラー映画。プロの犯罪集団が疑心暗鬼から崩壊して行くという定番パターンだが、その疑心暗鬼がグループ内にではなく、外部に向かっているのが新しい。主演のルイス・クーは、心の内側が読めない慎重なキャラクターを好演。ジョニー・トーの『MAD探偵 7人の容疑者』に少し似ているかも。いや、話はぜんぜん似てないんだけど、根っこにあるアイデアが似てると思う。

(原題:意外 ACCIDENT)

続きを読む "映画|アクシデント" »

映画|新少林寺 SHAOLIN

Shaolin 中国・香港映画史上初めて、本物の嵩山少林寺が協力して作られた少林寺映画。少林寺はロケ撮影への全面協力を快諾したが、現在は少林寺が世界各地からの観光客を集める中国有数の観光地になっており、1928年の大火で消失した伽藍がここ数十年で続々再建されていることもあって、建物には数百年の風雪に耐えた雰囲気がない。そんなわけで映画では2億円以上かけて実物大のオープンセットを作り、そこで思う存分撮影している。このセットがじつに立派。エンドロールに登場するのもセットだというのだが、まるで本物の古寺だ。美術監督は『孔子の教え』と同じイー・チュンマン。この大がかりなセットは、映画の最後に木っ端微塵に吹き飛ばされる。降り注ぐ砲弾の中で続くアクションシーンはやや大味だが(監督は『ジェネックスコップ』のベニー・チャン)、もちろん水準以上の大迫力。アンディ・ラウ、ニコラス・ツェー、ジャッキー・チェンと出演者も豪華。ドラマ部分にも厚みがあって、セットやアクションに負けていない。

(原題:新少林寺 SHAOLIN)

続きを読む "映画|新少林寺 SHAOLIN" »

2011.09.01

映画|孔子の教え

Koshinooshie 古代中国の思想家・孔子の生涯を、チョウ・ユンファ主演で描く伝記映画。ユンファ主演なら孔子がいきなりカンフー技で政敵や刺客を血祭りに上げたり、ワイヤーアクションで空を飛んだりするのかといらぬ期待をしてしまったが、そんなことは一切なく、内容はいたってオーソドックスな伝記映画になっている。魯の有力政治家として頭角を現すが、権力闘争に敗れて国を追われることになる孔子。彼が10数年の諸国放浪に疲れ果て、再び魯に帰国するまでを描く。「西の聖書、東の論語」などと言われ、イエス・キリストと同じぐらい立派だと称される孔子だが、これまできちんとした伝記映画は作られたことがないとのこと。映画の中に描かれている歴史的な事実は必ずしも史実に沿っているわけではないようだが、挫折の多い孔子の生涯をドラマチックに描いている。一番弟子の顔回や長年の弟子だった子路を相次いで失う場面は、観ているとちょっと涙が出る。しかしこの涙には、半分ぐらい中島敦の「弟子」が混じっているような気がするけれど……。

(原題:孔子 Confucius)

続きを読む "映画|孔子の教え" »

« 2011年8月 | トップページ | 2011年10月 »