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2011.11.30

映画|ルルドの泉で

Lourdes 物見遊山のつもりでルルドの泉巡礼ツアーに参加した全身麻痺のヒロインが、自分でもまったく期待していなかった「治癒の奇跡」を体験したことから生じるドラマ。ツアー客たちの中に巻き起こる感動と興奮。しかしツアーに参加しているのは全員が病人や怪我人やその家族だ。目の前で起きた奇跡への驚きは、すぐに疑惑と疑念と嫉妬に入れ替わる。なぜあの人に奇跡が起きたのか。なぜ自分ではなかったのか。どうすれば奇跡は起きるのか。信仰か。行いか。その人には何か特別な使命でもあるというのか……。映画はツアー客たちがルルドに到着するところから始まり、ツアー最後のお別れパーティーで終わる。映画を観ることで、ルルドの泉の巡礼ツアーに参加した気になれるという意味で、これはとびきり上等の「観光映画」でもあるのだ。

(原題:Lourdes)

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映画|マシンガン・プリーチャー

Machingunpreacher 荒れた生活から立ち直って牧師になった男が、ウガンダやスーダンで住民を恐怖に陥れているゲリラ組織と戦うという、実話にもとづいたヒューマンドラマ。酒・麻薬・強盗など、悪事は何でもござれの男が、突如回心して生活を建て直すという話もドラマチックだが、そこから振り子が反対に振りきれるように、今度はアフリカで孤児となった子供たちのために献身的に働き始めるというのも極端な話。しかしこれがすべて実話だというから驚く。僕はキリスト教に興味があるので、ひとりの男の回心の物語として映画を面白く見ていた。一度は回心してアフリカでのボランティア活動に精を出すようになり、やがて目の前の悪と武器を取って戦うようになった主人公。しかしそこで見た暴力のあまりの凄惨さに、「神などいない!」と言うようになる。彼は最後に再び神に出会えたのだろうか? 映画を観ていてもそこがちょっとわからないのが残念。

(原題:Machine Gun Preacher)

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2011.11.29

映画|瞳は静かに

Hitomiwasizukani 映画『エビータ』で主人公エビータの夫だったフアン・ペロンは、アルゼンチン大統領に3度就任した政治家。しかし3度目の任期開始直後に死去し、その後継者となったイゼベル・ペロン(エビータの死後ペロンの3人目の妻になった)の政治的な無策で国内は混乱した。この機に乗じてクーデターで政権を奪取したのがホルヘ・ラファエル・ビデラ将軍で、軍事政権はこれ以降「汚い戦争」と呼ばれる反対派の徹底した弾圧を行うことになる。この弾圧によって1万数千人から3万人が犠牲になったと言われている。映画は1977年の夏からの1年間を、少年アンドレスの視点から描いたホームドラマ。この映画を観ると言論弾圧や警察国家というものが、人間の生活をいかに歪め、心を蝕んでいくのかがわかる。その影響を一番に受けるのは、幼い子供たちなのだ。

(原題:Andrés no quiere dormir la siesta)

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映画|三国志英傑伝 関羽

Sangokueiketsuden 三国志に登場する英雄・関羽が、曹操の捕虜の身から劉備のもとに戻る過程を描いた歴史アクションドラマ。ドニー・イェンが関羽を演じるのはイメージがだいぶ違うと思うのだが、知的で物静かで忠義心に熱く、しかも武芸の達人という関羽を、ドニー・イェンなりに演じて新しい関羽像を作り上げている。この映画の骨子は西洋の騎士道ロマンス。武勇と忠義心に優れる男が、主君の妻や許嫁に恋をして不倫関係になるのが騎士道物語で、トリスタンは伯父の許嫁であるイゾルデと相思相愛になり、円卓の騎士ランスロッドは主君アーサー王の妃グィネヴィアと不倫関係になる。この流れで、関羽も主君であり義兄弟である劉備の許嫁に想いを寄せて苦しむのだ。こうしたバタ臭さを三国志に持ち込むことで、ドニー・イェンの関羽が成り立っているような気もする。リアリズムではなく、異種交配みたいなものだ。

(原題:関雲長 The Lost Bladesman)

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2011.11.22

映画|月光ノ仮面

Gekkonokamen 芸人であり最近は俳優としての活躍が目立つ板尾創路が、『板尾創路の脱獄王』に次いで撮った監督第2作目。タイトルは『月光ノ仮面』だが、映画の最後には画面にでかでかと『板尾創路の月光ノ仮面』と出る。昭和22年の東京落語界が舞台。戦死公報が届いていたにもかかわらず、ひょっこりと日本に戻ってきたひとりの男。彼は戦前の東京で大人気を博していた噺家らしいが、当人は戦争ですっかり記憶を失っている。師匠は彼が記憶を取り戻す助けになればと、寄席の高座に少しずつ復帰させようとするのだが……。なんとも奇妙な映画で、話自体はわからなくもないが、なぜこんな事になってしまったのかがよくわからない。ベースにあるのは古典落語「粗忽長屋」だが、この映画に登場する人々は全員が揃いも揃って粗忽者ばかり。板尾創路と浅野忠信を、どうやったら見間違えるというのだ。しかしこの全面的にズレた感じが、この映画の面白さだ。師匠を演じた前田吟のとぼけた感じ、石原さとみの大まじめにボケているところがいい。笑える映画ではないが、奇妙な後味の残る映画だ。

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映画|運命の子

Unmeinoko 古代中国の史書に書かれ、その後もさまざまな形で脚色・劇化されている「趙氏孤児」を、『さらば、わが愛/覇王別姫』のチェン・カイコーが映像化した大作時代劇。宮廷闘争に巻き込まれて皆殺しにされた将軍一族の遺児を、我が子の命と引き替えに育てることになった医者の男。15年後、成長した子供は父や一族を殺した男に復讐する。2時間8分の大作だが、子供が生き延びるまでを詳細に描く前半1時間は見応え十分。後半は感傷的なメロドラマに流れているような所もあるが、主人公たちを単なる正義の志士とせず、敵役を単なる悪党にすることなく、人間的な陰影に富んだキャラクターとして描き出しているところが見どころ。ただし運命に翻弄される将軍の息子の影が薄くなってしまったのが、大きな弱点だと思う。本当はこの子供が後半の主役にならなければならないのに、大人たちの思惑であちこち右往左往させられるばかりだ。

(原題:趙氏孤児 Sacrifice)

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2011.11.21

映画|はさみ hasami

Hasami 理容美容専門学校で講師を務めるヒロインを主人公に、学校内で起きるさまざまなエピソードを綴っていく青春学園ドラマ。撮影に使われたのは東京中野にある窪田理容美容専門学校(劇中では学校名が変えてある)。撮影は校内や校外も含めて中野のさまざまな場所が使われているようで、生活感のある学内や街頭の風景が物語に奥行きを与えている。熱血講師を演じる池脇千鶴は物語の狂言回しで、彼女を中心にして何人かの生徒の物語がゆるやかにつながっていく構成。僕自身が分野は違えど専門学校出身だったこともあるし、専門学校で少し教えていたこともあるので、この映画に出てくるいろいろなエピソードは身近でリアルなものに感じた。大学乱立で学校を選ばなければ高校生は誰でも大学に入学できる時代だが、不況の今は二流以下の大学を出ても就職がおぼつかないのが現実だ。こういう時代だからこそ、職業訓練に特化した専門学校はもっと脚光を浴びてもいいはず。専門学校を舞台にした映画がもっと増えてもいいと思うんだけどなぁ。

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2011.11.18

映画|アーサー・クリスマスの大冒険

Arthur_christmas サンタクロースが1日で配らなければならないプレゼントの数は20億個。最新のハイテク装備と忠実な妖精たちのチームワークもあり、毎年大きな事故もなく仕事を済ませているサンタだったが、その年はちょっとしたミスで大きな失敗をやらかした。プレゼントを1個だけ、配達し忘れてしまったのだ。これに気づいたサンタの息子アーサーは、おじいさんサンタと一緒に残ったプレゼントを届けに行こうとする。ところがこれが、とんだ大騒ぎを巻き起こしてしまう……という物語。サンタたちが気のいい妖精でもなんでもなく、自己顕示欲と名誉欲に取り憑かれた人間くさいキャラクターに描かれているのが面白い。サンタが出てくる映画はたくさんあるが、ここまでスーパー・ハイテク仕様のサンタも初めてだと思う。妖精たちの一糸乱れぬチームワークに舌を巻き、ひとりの少女がプレゼントを受け取って大喜びする姿にホロリと涙する。

(原題:Arthur Christmas)

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2011.11.17

映画|果てなき路

Roadtonowhere 伝説の映画監督モンテ・ヘルマンが21年振りに監督した作品。実在に起きた事件を映画化しようとする映画監督が、ヒロインとして見出した若い女優と恋仲になり、やがて決定的な破滅が訪れるという物語。単純そうな話なのに、どうにも話がわかりにくい。映画の中には3つの世界が描かれる。劇中で撮影される映画のもとになった事件そのものの世界。映画撮影を進めるスタッフやキャストの暮らす現実の世界。そして映画の中で撮影されている映画の世界。これらが特に何の説明もなく次々に入れ替わっていくので、ストーリーが追いにくいのだ。僕は映画を観ていて最後まで、ヒロインが何者なのかがよくわからなかったし、監督がどんな映画を撮りたいと考えているのかもよくわからなかった。

(原題:Road to Nowhere)

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映画|断絶

Danzetsu スティーヴン・ジェイ・シュナイダーの「死ぬまでに観たい映画1001本」はこの映画について、『モンテ・ヘルマン監督による、ヒッピー時代の到来を告げるロードムービーは、ハリウッドでの『イージー・ライダー』(1969)後の熱狂から生まれた作品群の中ではおそらく最高の出来だろう。しかし、映画会社の重役と、哀しむべきことにほとんどの観客は理解できなかった』と紹介している。この映画が撮られた1971年というのは、『時計じかけのオレンジ』や『ギャンブラー』『コールガール』『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』『フレンチ・コネクション』『ダーティハリー』『スウィート・スウィートバック』『ラスト・ショー』『わらの犬』が撮られたのと同じ年だ。各地でカーレースの賞金を稼いで回る若者二人組(ジェーム・テイラーとデニス・ウィルソン)と、最新型のスポーツカーを乗り回す中年男(ウォーレン・オーツ)が車を賭けて長距離レースをする話だが、ここにヒッチハイクの旅をする少女がからむ。

(原題:Two-Lane Blacktop)

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2011.11.16

映画|風にそよぐ草

Kazenisoyogu アラン・レネは映画史の中の人物と言ってもいいお爺ちゃん監督だが、それでも衰えぬ創作意欲と才気に打ちのめされる作品。軽妙洒脱な語り口で巧みなアクロバットを見せ、のらりくらりと観る者を煙に巻く。スリラーのような、メロドラマのような、ファンタジーのような、コメディのような、それらすべてのような、それらすべてでないような、奇妙な浮遊感と、映画的な高揚感。映画を観ながら、取り立てて何か意味があるわけでもないのに、最初から最後までハラハラドキドキさせられてしまった。ストーリーが入れ子構造になっていたり、突然物語が突拍子もない方向に進んでいったり、わけもなく不安感をあおったりするのは、デヴィッド・リンチの映画にも通じる世界。ただし『二十四時間の情事(ヒロシマ・モナムール)』や『去年マリンエバートで』のアラン・レネの方がずっと先輩なんだろうけど……。

(原題:Les herbes folles)

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2011.11.14

映画|ピザボーイ 史上最凶のお客様

Pizza_boy 2003年にアメリカで起きた、ピザ配達人爆死事件をモデルにしたであろう映画。電話で呼び出されたピザ配達人が見ず知らずの男たちから取り外しのできない時限式爆弾を取り付けられ、「銀行強盗をしないと爆発させる」と脅される。実際の事件ではこのあと男が銀行強盗をした直後に警官に取り押さえられ、その後テレビカメラが取り囲む中で爆死してしまうのだが、映画は時間の猶予をもう少し作っていろいろなエピソードを散りばめて行く。基本的にはアクションコメディなのだが、これはモデルとなった事件があることがあまりにもあからさまで、それがじつに不気味で後味の悪いものだけに(犯人は一応逮捕されたのだが内容には未解明の部分も多い)、この映画も素直に笑えないような気がするのだ。モデルになった事件を知らなければもう少し笑えたのだろうか。どうなんだろう。よくわからないなぁ……。

(原題:30 Minutes or Less)

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映画|永遠の僕たち

Eienno_bokutachi 加瀬亮が特攻隊員の幽霊役で出演しているガス・ヴァン・サント監督の新作。事故で両親を失って以来「死」に取り憑かれ、犯罪現場の死体に扮して寝そべった自分の体の周囲にチョークで線を引いたり、葬儀場や墓地で見知らぬ人の葬儀に出席したりしている少年イーノック。彼は葬儀場で出会ったアナベルと付き合うようになるが、彼女は脳腫瘍で余命いくばくもない体だった……という物語。加瀬亮はイーノックにしか見えない友達(イマジナリー・フレンド)なのだが、それはイーノックの心が生み出した空想の存在なのか、それとも実際に何者かの幽霊なのか微妙で、それがこの役柄のひとつの魅力になっていると思う。主人公の少年が死体ゴッコや葬式めぐりを繰り返すというエピソードは、『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』に似ている。主人公たちが残された日々の中で、いろいろな新しい経験に挑戦するのも同じ。ただし少年の恋人になるのはおばあさんではなく、まだあどけなさが残る美少女(ミア・ワシコウスカ)なんだけど。主演のヘンリー・ホッパーはデニス・ホッパーの息子で、本作がデビュー作とのこと。

(原題:Restless)

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2011.11.10

映画|歴史は女で作られる

Lola_montes 実在の高級娼婦ローラ・モンテスの生涯を、マックス・オフュルス監督が映画化した1955年製作のフランス・西ドイツ・ルクセンブルクの合作映画。公開当時はあまりヒットせず、監督に無断でプロデューサーたちが再編集してしまったという曰く付きの映画だ。その後監督は亡くなってしまい、1960年代に原型に近い形に一度復元。その後デジタル技術も利用して原型に復元されたのは2008年だという。今回は年末年始に3週間限定上映。たぶん劇場にかかるのはそれきりオシマイで、すぐDVDなりBlu-rayなりが発売されるのだろう。映画は全盛期を過ぎたローラがアメリカのサーカスで自分自身の人生を演じる出し物に出演し、そこで過去を回想するという形式。このサーカスの描写にかなり力が入っていて素晴らしい。貧しい少女が踊り子を経て最後は王様の愛妾になるというシンデレラストーリーと、下世話で俗悪の極みのようなサーカスの対比。彼女が檻の中で大勢の男たちのお慰みになるラストシーンは哀れを誘う。映画はその後の彼女について何も述べていないが、彼女オーストラリアで極貧の中で死んだという。

(原題:Lola Montès)

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2011.11.09

映画|ミツコ感覚

Mitsuko_kankaku 東京郊外の一戸建てにふたりで暮らす妹ミツコと姉エミの、「不穏な日常」を描いたスリル満点のホームドラマ。この映画の肝は、姉妹に近づく謎の男・三浦にある。彼は少なくとも善人ではない。(善人がはじめて上がった他人の家で、いきなりパンツ一丁になって若い女性に抱きつくはずがない。)言っていることは嘘ばかり。姉と称する女も、本当に姉なんだかよくわからない。しかし彼らが悪人なのかというと、それもよくわからない。三浦と姉はこの物語の中で特別何らかの役目を果たしているわけでもないのだが、このふたりの登場によって、この映画の持つムードが決定づけられている面があると思う。姉の不倫話にせよ、妹の就職や恋愛にまつわる話にせよ、父の再婚にせよ、不倫相手の妻との修羅場にせよ、それらを個々に取り上げれば月並みでありきたりな話なのだ。この映画を月並みなものにさせないのは、三浦である。舞台中心に活躍している俳優をずらりと揃えて醸し出される、見事なアンサンブル。今年観た映画の中では、掛け値なしに一番面白かった!

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映画|孤独な惑星

Kodokuna_wakusei アパートの隣室に住む若い男を、行きがかりから自分の部屋のベランダに住まわせることになったヒロイン。ガラス戸1枚を隔てた交流は、やがて恋に発展していくのだろうか。それは本当の恋であろうか。風変わりでリアリティのないシチュエーションだとは思うが、それが人間同士の絆が希薄な現代人の心をリアルにうつした一片の寓話になっている。スタンダードサイズのカラー画面。フィルムの質感。映画の内容とはチグハグなSE。ヒロインが勤めるシュールな職場。これらが物語の舞台装置になっている。

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2011.11.08

映画|フィフティ・フィフティ

5050 ひどい腰痛で医者にかかったら、脊髄にできたガンだと診断された27歳の主人公。とりあえず抗がん剤治療を受けることになったが、その後手術をしても生き残る確率は50%。かくして、恋人、親友、家族などを巻き込んでの闘病が始まる……。試写室の混雑にびっくり。予定時間の15分ほど前に到着したら、もう補助椅子で、しかもスクリーンのすぐ前だった。公開まで間がなくて試写が終わりに近いということもあるが、それでも空いている試写はガラガラの時もある。試写室が混むのは映画の評判がいいからで、確かにこの映画は面白い。「難病もの」「闘病もの」ではあるのだが、映画の随所に笑いがある。といって悪ふざけをして病気を軽んじているわけではない。病気は病気で、じつに深刻なのだ。実際にガンにかかってそれを克服した脚本家の実話にもとづいた物語。

(原題:50/50)

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2011.11.07

映画|無言歌

Mugonka 1956年の「百花斉放・百家争鳴」政策によって共産主義政権に対する批判を奨励した毛沢東は、翌年手のひらを返すように「反右派闘争」を開始し、政府を批判したり意見を述べたりした人々を「右派」として捕らえた。捕らえられた人々は辺境の農場で労働改造という名の強制労働に従事したが、折からの干ばつで大地は干からび(同時期の大躍進政策の影響とも言われる)、人々への食糧配給は途絶した。次々に栄養失調で倒れてゆく男たち。彼らは配給の食糧だけでは不足する栄養を補うため、ネズミから野の雑草まで食べ尽くし、さらには死んだ仲間たちの肉を食べて生き延びようとする。この映画に描かれているのはすべて実話にもとづいている。

(原題:夾辺溝 THE DITCH)

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映画|パーフェクト・センス

Perfectsense 謎の感染症によって、世界中の人々が互換を失っていくというスリラー映画。最初は嗅覚が消え、次に味覚が、次に聴覚が消える。次に消えるのは……。悲惨この上ない映画なのだが、それでもこの映画には希望がある。感覚が次々に失われていっても、人々は生きることを諦めない。ユアン・マクレガー扮する主人公はレストランのシェフ。彼は嗅覚が消えても新しい味覚を追求し、味覚が消えても他の感覚で味わう料理を開発する。絶望的な状況の中でも希望を捨てない人々が、最後の最後につかみ取ったものは愛の喜び。悲惨な映画かもしれないが、映画の後味は悪くない。

(原題:Perfect Sense)

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