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2012.03.30

映画|ラム・ダイアリー

Rumdiary 『ラスベガスをやっつけろ』の原作者でもあるハンター・S・トンプソンの自伝的な小説を、ジョニー・デップ主演で映画化したもの。1960年のプエルトリコを舞台に、飲んだくれ新聞記者の目の前で展開する支離滅裂でデタラメな日々を描く。当時のプエルトリコの様子や新聞社の様子などが興味深く再現されているのだが、映画としては高く飛翔することなく低空飛行。1937年生まれのトンプソンが1960年にプエルトリコに行った時は、まだ20代前半の若造だった。若造ライターだからこそ成立する話を、間もなく50に手が届こうかというジョニー・デップが演じるのは苦しい。これは主人公を別の若い俳優に演じさせて、ジョニー・デップが出演するなら別の役を演じればよかったのだ。劇中でアーロン・エッカートが演じた怪しいブローカーのサンダーソンでもいいし、マイケル・リスポリが演じたカメラマンでもいい。何ならリチャード・ジェンキンズが演じた編集長役だってよかった。たぶんそんなことはジョニー・デップも百も承知なんだろうけど、この企画を実現するためには自分が出演しないと出資者が集まらないと判断したんだろうなぁ……。

(原題:The Rum Diary)

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2012.03.22

映画|ももへの手紙

Momoheno 『人狼 JIN-ROH』の沖浦啓之監督の新作は、瀬戸内の小さな島を舞台にしたファンタジー映画。劇中に出てくる汐島は架空の存在だが、舞台のモデルになっているのは広島県呉市の大崎下島だという。本作は良くも悪くも『となりのトトロ』のフォロワー作品。『トトロ』のフォロワーとしてはレベルの高い作品だと思うが、『トトロ』を凌駕するのは難しい。しかし「昭和30年代ノスタルジー」抜きに、現代の日本を舞台にして『となりのトトロ』を再現して見せたのは大したもの。小学生の女の子が、田舎に行って妖怪に出会う話は今でも作り得るのだなぁ……と感心してしまった。実写で作ってもいいような映画だと思うが、『トトロ』におけるネコバス的クライマックスシーンはやはりアニメならではのものか。(これもネコバスに勝っているかというと微妙だが……。)CGを使えば何でもできてしまうけれど、瀬戸内を舞台にファンタジーを作ると、大林宣彦の『あの、夏の日-とんでろ じいちゃん』みたいになってしまうかも。

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映画|アポロ18

Apollo18 1972年12月に打ち上げられたアポロ17号を最後に、人類の月着陸計画は中止された。映画『2001年宇宙の旅』では月面に恒久的な大型基地が建設されているが、そんなことは今となっては夢のまた夢。アポロは20号まで計画されていたが、なぜ中断されてしまったのか。予算不足が表向きの理由になっているが、それは本当なのか。ソ連は宇宙開発競争に敗れて月面への有人旅行を断念したとされているが、それは事実か。そんな米ソ宇宙開発史の謎や疑問にメスを入れる、極秘映像が発見されていた……という前提ではじまるフェイク・ドキュメンタリー。以前も似たような映画を観たと思って映画瓦版を検索したら、出てきたのは『アルマズ・プロジェクト』という映画。これは映画のコンセプトもほぼ同じ。違うのは『アポロ18』がアポロ計画という超メジャーな宇宙開発の秘話という体裁なのに対して、『アルマズ・プロジェクト』はソ連の有人宇宙ステーションが舞台になっていることぐらい。『アポロ18』は当時の映像のムードをかなり忠実に再現しているのだが、当時の環境では任務の全行程を音声付きのムービーカメラで記録し続けることは不可能。1970年代を舞台にするなら、静止画やインタビューや当時のニュース映像を用いて前半を組み上げ、後半で「当時の記録映像らしきもの」を挿入した方がよかったかも。

(原題:Apollo 18)

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映画|道 -白磁の人-

Hakujinohito 日本統治下の朝鮮半島に渡り、荒れ果てた朝鮮半島再生のための植林事業と、朝鮮の伝統的な生活道具の中に息づく美の周知に努めた浅川巧の伝記映画。日韓合作映画で、韓国側の主役として浅川の仕事を手伝った朝鮮人技師チョンリムをペ・スビンが演じている。映画は浅川巧という人物の視点を通して、当時の日本人が持っていた朝鮮人に対する蔑視感情、植民地支配の合理化、日本支配に反発する朝鮮の独立運動などを描いて行く。扱っている題材が多岐にわたっているためか、物語の焦点が絞りきれず、主人公たちの人物像も曖昧になっている部分が感じられた。周辺のエピソードが多すぎて、結果として主人公のエピソードが痩せてしまった印象だ。主演の吉沢悠は韓国語の台詞などもあってがんばっているのだが、彼の演じる浅川からは多くの人を引き付ける人間的な魅力、カリスマ性のようなものが伝わってこない。美を愛する理想主義の青白いインテリのように見えてしまうのだ。巧の母を演じた手塚理美が、貫禄たっぷりでじつに良かった。

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2012.03.21

映画|SR サイタマノラッパー3 ロードサイドの逃亡者

Sr3 『SR サイタマノラッパー』『SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』に続く、『SR』シリーズの3作目。僕は1作目を観ていなくて、2作目から観始めている。2作目は1作目と世界観を共有させつつ、話が直接はつながっていない番外編のような作品だったが、今回の映画はもろに1作目の続編。登場人物たちの関係やキャラクターがいまいち飲み込めなかったが、ストーリー自体はわかりやすて混乱なし。ただしこれはやはり、1作目を観といた方がいいんだろう。2作目は関係なし。1から2が派生し、1の続編が3という関係。1作目の埼玉から、2作目の群馬、そして今回の舞台は栃木。これで『SR』の北関東三部作が完結し、次回作を作るならまた全然違ったたちになるだろうとのこと。

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2012.03.15

映画|別離

Betsuri ベルリン国際映画祭で金熊賞(最高賞)と銀熊賞(男優賞・女優賞)など5つの賞を受賞したほか、世界各地の映画祭や映画賞で次々大きな賞を受賞しているイラン映画。アメリカでもゴールデングローブ賞とアカデミー賞の外国語映画賞を受賞している。2時間強の映画だが、離婚協議で口論する主人公夫婦の姿をとらえた冒頭のショットから、裁判所で裁定を待つラストショットまで、一瞬たりとも緊張感が途切れない。互いに愛し合っているであろう夫婦が、何度もやり直す機会を持ちながら結局は破局してしまう悲劇。そこにある愚かさに誰もが気づいているのに、それを改められない不条理。誠実に生きようとしながら、保身のために、あるいは相手を傷つけまいとして口をつく小さな嘘。しかしそれが周囲の人を傷つけ、自分自身を傷つける。個々の問題は小さなことなのに、それが重なり合って込み入った話になってしまう奇々怪々な現実。生活を律する宗教の存在。イランの普通の人々の暮らしぶりが、丁寧に描かれているという意味でも面白い映画。

(原題:Jodaeiye Nader az Simin)

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2012.03.13

映画|ジェーン・エア

Janeeyre シャーロット・ブロンテの代表作「ジェーン・エア」の映画化。過去に何度も映画化されている古典だけに、今回また映画化する意義が問われるのだが、古典を丁寧に映画化しているという以上の意味はあまり感じられなかった。細かなエピソードがぎっしり詰め込まれていて、いかにも長編のダイジェストという印象になっているのも気になるところ。例えば学校で親友が死ぬエピソードは原作では大切なものだろうが、この映画には不要かもしれない。物語のクライマックスであるロチェスターからの逃走から物語をはじめ、セント・ジョンに保護されてから回想シーンになるという構成。しかしこの序盤は時間があちこちに飛んでわかりにくく、話の流れもギクシャクしているように思う。せっかくジュディ・デンチが出ているのだから、このベテラン女優にもう少し見せ場がほしいとも思う。マイケル・ファスベンダーが演じるロチェスターが、複雑なキャラクターとして見事に仕上がっているのに比べると、ヒロインのジェーンには説得力がやや欠けるような気もする。

(原題:Jane Eyre)

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映画|ベイビーズ 〜いのちのちから〜

Bebes アメリカ、アフリカ、モンゴル、日本。別々の国、別々の文化の中に生まれ落ちた、人種も民族も異なる赤ちゃん4人を取材したドキュメンタリー映画。赤ちゃんが生まれてから、ひとりで歩き始めるまでの約1年ほどを取材している。ところ変われば赤ちゃんの育て方もさまざまで、おむつの当て方から既に大違いなのに驚かされる。この映画を観ると、「子育てに正解はない」ということがよくわかるはず。生まれたての赤ん坊を厚手のタオルでぐるぐるに縛り上げ、おむつも股に当てずに腰から下をぐるりと包み込むように布を当てるモンゴルの赤ちゃん。赤ん坊の頃から頭をツルツルにそり上げて、スキンクリームがわりに泥を塗りつけられるアフリカの赤ちゃん。赤ん坊が遊んでいる環境もさまざまなら、離乳食もいろいろだ。正直アフリカの子育ては僕にはもう理解不能。アメリカも日本とあまり変わらず面白味に欠け、結局僕にとって一番面白かったのはモンゴルだった。

(原題:Bébés)

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2012.03.12

映画|REC/レック3 ジェネシス

Rec3 スペイン製のPOVホラー映画『REC』は恐かった。しかし僕は2作目の『REC2』を観ていない。で、やってきたのが3作目。事前に『REC2』をレンタルDVDで観ておこうとも思ったのだがあいにくその時間が取れず、少し不安に感じながら試写室へ。しかしこれは全然問題なかった。『REC』や『REC2』と同時刻に起きている別の事件という設定なので、1・2作を観ていないままいきなりこの3作目から観ても構わないはず。しかし作品テイストのギャップを味わうなら、これはやはり1作目か2作目を観た上でこれを観た方がいいと思う。この映画はサム・ライミの『死霊のはらわた』シリーズみたいなものだ。僕は『死霊のはらわた』も1作目を観た後に2作目を飛ばして、3作目の『キャプテン・スーパーマーケット』を観た。1作目が低予算のシリアスなホラー映画だったのに対して、3作目は完全にコメディになる。本作と『死霊のはらわた』シリーズの共通点は多いので、比較すると面白いと思う。チェーンソーを振り回すのは一般的には『悪魔のいけにえ』なんだろうけど、男性主人公が甲冑を着込むのも含めて、これは『死霊のはらわた II』や『キャプテン・スーパーマーケット』だな……。いや〜、笑った笑った。久しぶりにこの手の映画を観て大満足なのだ!

(原題:[REC]³ Génesis)

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映画|カエル少年失踪殺人事件

Kaerushonen 1991年に韓国大邱で起きた小学生5人の失踪事件を映画化した作品。この事件は韓国でマスコミの脚光も浴びて、誰も知らぬもののない社会的大事件だったらしい。消えた小学生たちが最後に「カエルを捕まえに行く」と言って姿を消したことから、「カエル少年事件」などと言われているらしい。映画はテレビ局の敏腕プロデューサーを主人公にして、彼が埋もれかけていたこの事件に首を突っ込むところから話を始める。ソウルの本社で悪質なヤラセ番組を作り地方に左遷された主人公は、ここで事件の真相を暴く番組を作って本社に返り咲く手土産にしたいと願うのだ。彼と共に事件の真相を探る相棒となるのは、独自のアプローチから理知的に事件の隠された真実をあぶり出そうとする心理学者。彼らは証拠の再検証と独自調査の末に、それまで誰もが見落としていた意外な犯人像を割り出すのだが……というのが映画の前半。この前半に比べると後半はやや失速気味なのが残念。

(英題:Children...)

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2012.03.06

映画|孤島の王

Kotonoou マーティン・スコセッシの『シャッターアイランド』はひとつの島が丸ごと全部精神病院という話だったが、この映画はひとつの島が丸ごと少年院という話。1900年から1970年までこの島は実在していて、映画はそこで起きた実話がベースになっているという。少年院の所長をステラン・スカルスガルドが演じている以外は、日本ではまったく無名のキャスティング。しかしこれが、先々何が起きるかわからないというサスペンスを盛り立てる。入所者に対する虐待が恒常化して、入所者たちが無気力になっているところに、反抗的な新参者が入ってきて全体が活気づくという展開は『カッコーの巣の上で』にも似ている。古参の入所者が何かと新入りの世話を焼き、やがて親友のような関係になるというのは『ショーシャンクの空に』だろうか。キリスト教主義の施設で子供たちが大人に苦しめられるという点では、『マグダレンの祈り』の少年版みたいでもある。孤島の刑務所は『アルカトラズからの脱出』だ。しかしこの映画をこの映画たらしめているのは、雪や霜に包まれ凍てつく島の風景だろう。

(原題:Kongen av Bastøy)

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映画|アーティスト

Artist 今年のアカデミー賞で、作品賞・監督賞・主演男優賞・音楽賞・衣装デザイン章の5冠を達成した話題のフランス映画。映画界がサイレントからトーキーに移行する1920年代末から1930年代初頭のハリウッドを舞台に、サイレント映画の大スターがトーキーを拒絶してあっと言う間に過去の人になり、彼に恋する新人女優がみるみるうちに大スターへと駆け上がっていく様子を描く。プロットだけ見ると過去に何度も映画化された『スタア誕生』の焼き直しみたいだが、ヒロインが人気スターの手助けなしに自力でスターになってしまうあたりが現代の映画かもしれない。全編モノクロサイレント(音楽がシンクロするサウンド版)で、スクリーンサイズもスタンダードというのがオールド映画ファンには嬉しいではないか。サイレントからトーキーに差し掛かる時代のハリウッドを描いた映画としては『雨に唄えば』が有名だが、『アーティスト』の導入部はまるっきり『雨に唄えば』をなぞっている。映画史的には『雨に唄えば』の方が正確に当時の様子を描いていて、『アーティスト』はちょっと時代背景をごまかしてるけど、まあそれはそれとして許容範囲だろうな。

(原題:The Artist)

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2012.03.02

映画|第九軍団のワシ

Theeagle ローズマリー・サトクリフの同名歴史小説を、『ラストキング・オブ・スコットランド』のケヴィン・マクドナルドが映画化した歴史アドベンチャー映画。物語の舞台はローマ帝国の属州だった2世紀半ばのブリタニア。小さな砦の守備隊長として赴任してきた百人隊長のマーカスは、20年前に5,000人の部下を率いたまま行方不明になった父と紛失した大隊のシンボルであるワシの行方を捜していた。戦闘で負傷したマーカスは、奴隷のエスカとたったふたりでハドリアヌスの長城を越え、ローマに服属することのないスコットランドに潜入する……。時代考証がじつに丁寧に行われているようで、当時のローマ人の暮らしや戦いぶりがリアルに再現されている。こういうリアルさはその時代の知識がなくても、映像の緻密さで観る者に伝わってくるのだ。ただし物語の方は、脚本の構成が悪いようでいまひとつうまく転がっていかないんだよなぁ……。

(原題:The Eagle)

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映画|キリング・ショット

Killingshot 若い女3人組が一攫千金を狙って、麻薬取引が行われるという街道沿いのさびれた食堂を襲う。ところがそれが、とんだ思惑違いになってしまった……という、話としてはそれだけの映画。しかし物語を襲撃シーンからはじめて、そこに至る過程に時間を巻き戻し、そこからまた襲撃シーンにして、さらにまた過去を描くという、時間軸を行ったり来たりしながら少しずつ物語を先に進めて行く構成が面白い。サスペンスの基本は結論を先延ばしすること。しかし現代の観客は結論を先延ばしされると待ちきれなくて飽きてしまうので、ある程度の結論はあらかじめ観客に知らせておかなければならない。そのためいろいろな構成上の工夫をするわけで、この映画もそうした工夫を凝らした映画と言えそうだ。オスカー俳優のフォリスト・ウィテカーが、奇っ怪な殺し屋をオーバーアクト気味に演じているのが見もの。アーロン・ハーヴェイ監督はこれが2本目の監督作だが、演出センスに才気を感じさせる。語りのテクニックで映画を最後まで引っ張っていく。

(原題:Catch .44)

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