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2012.10.25

映画|シルク・ドゥ・ソレイユ 3D 彼方からの物語

Cds3d 映画は貧乏人の娯楽だ。劇場で観れば何万円も取られかねない一流のショーを、2千円に満たない入場料で観られるのだから。この映画はラスベガスで上演されているシルク・ドゥ・ソレイユの7つのショーから見どころを抜粋し、ひとつの物語風にまとめ上げたスペクタクル・エンタテインメント。もちろん実際のショーを生で見た方が迫力はあると思うが、この映画は同時に複数のショーのハイライトシーンが観られるのに加え、クロースアップからロングショット、あおりや俯瞰など、さまざまな角度からショーを観ることができる。3Dだから臨場感もたっぷりだ。ところどころにハイスピード撮影やCGによる世界観の描写など映画ならではの演出も加え、冒頭からラストまで見どころ満載の構成になっている。これを観れば、シルク・ドゥ・ソレイユのショーを実際に観た気分になれると同時に、本物のシルク・ドゥ・ソレイユのショーを観たくもなる。台詞は英語で日本語字幕が入るが、全体に台詞は極端に少ないパントマイムの世界だ。

(原題:Cirque du Soleil: Worlds Away)

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映画|ゲットバック

Getback 銀行強盗で8年の服役を終えた主人公。だが彼を待っていたのは、「隠した金から俺の分け前を寄こせ」とごねるかつての仲間たちだった。奪った金は逮捕される直前に、証拠品になるのを避けるため焼き捨ててしまった。分け与える金などないのだ。だが昔の仲間は主人公の娘を誘拐して、分け前がないなら娘を殺すと脅迫する。男に残された道は、再度の銀行強盗しかなかった……という物語。ストーリーは面白いのだが、2度目の強盗があっさり成功しすぎてしまって拍子抜け。ここが後半最大の見せ場になりそうなのに、そうならないので映画が尻すぼみになっているような気がする。そうは言っても十分満足できる内容ではあるが、満足と満腹は違うんだよな。2度目の強奪シーンがもっとしっかり仕上がっていれば、映画を観た後に満腹になれたのになぁ……。

(原題:Stolen)

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映画|少女と夏の終わり

25tiff かつて林業が栄えた山間部の村で、中学生の少女たちが少し大人への一歩を踏み出して行く。大人になって行くことへの憧れや楽しさではなく、大人になって行くことに対する不安や恐れを描いている作品。いつまでも子供のままでいたいと思っていても、否応なしに少女たちは大人になっていく。自分も変わり、それに連れて周囲も変わっていく。その変化に抗おうとしても、抗い続けることは出来ない。そんな人生の節目の時期を、小さな事件を積み重ねながら描いていく作品だ。村は平穏な場所ではあるが、10年前に起きた忌まわしい事件を通して、この物語の背後には目に見えない「死」がじわりと暗く不吉な影を落とす。寂れて行く林業。枯死して行く森。死んだ熊。村は少しずつ死んでいくのだ。この暗さが、この映画の特徴でもある。だが映画はこの村がそのまま滅んでしまうと言っているわけではない。村の再生に向けたかすかな希望を見出したところで、映画は幕を閉じるのだ。

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映画|恋の紫煙2

Loveinthebuff 2年前の東京国際映画祭で上映された香港中国合作映画『恋の紫煙』(原題:志明與春嬌 Love in a Puff)の続編。僕は前作を未見だが、続編が作られるぐらいだからおそらくヒットした人気作なのだろう。今回の続編だけ観てもとても面白く、これはぜひ前作も観てみたい。どこかで配給権を買って、2部作同時上映にしてくれないだろうか。仲の良かった恋人同士が気持ちのすれ違いから別れてしまい、男はひとり北京に赴任して行く。現地で新しい彼女も出来て、それなりに充実した毎日。ところがそこに、偶然北京に赴任してきた元カノがやって来て、映画のような偶然の再会となったことから(映画なんだけど)焼けぼっくいに火が付いてしまう。男は新しい彼女と元カノの二股交際。女の方もそれはそれで割り切ろうとする。だってまた付き合っても、前と同じようにダメになるのは目に見えている。ところが会ったり離れたりしているうちに互いの思いは募り、お互いが今一番必要としているのが誰なのかが見えてくる……という、実際にありそうなストーリー。僕自身は元カノとぐだぐだという経験はないんだけど、男の未練がましい気持ちはわかるような気がしました。

(原題:春嬌與志明 Love in the Buff)

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2012.10.24

映画|あかぼし

25tiff 夫が突然失踪して戸惑いと悲観と絶望と怒りで心をすり減らしていた主婦が、新興宗教に勧誘されて家庭集会に参加し、週末ごとに小学生の息子と行う戸別伝道活動の中に自分の居場所を見出す。だが自分が勧誘した新会員が自分以上の勧誘成績を上げると、自分の居場所がなくなることを恐れて組織を飛び出し、独自の活動を始めるようになる。母親の宗教活動にウンザリしている息子ではあるが、母親を愛するがゆえにその活動と行動を共にする……という映画。劇中に登場する新興宗教は「しるべの星」という架空の名前になっているが、子連れの戸別訪問や教団パンフの配布などのスタイルからは、エホバの証人をモデルにしていることが明らか。ただし映画の作り手の関心はエホバの証人の活動や信仰にあるわけではなく、家庭の中で疎外されながらも親の愛にすがろうとする子供の姿を追うことにある。低予算ながら2時間20分の大作。見応えのある映画だった。

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映画|ブワカウ

Bwakaw 一人暮らしをしているゲイの老人レネと、彼の飼う愛犬ブワカウの物語。レネは糖尿病の持病があるようだが、それ以外は至って健康。しかし身辺の荷物を整理したり、遺品の分配について遺言状を準備したり、挙げ句には死んだ時のために自分の棺まで買っておくなど、自分が死ぬことばかり考えている。死に取り憑かれた男なのだ。そのレネが、いかにして生きる気力を取り戻すかというのがこの映画の筋立てだが、全編笑いあり涙ありの人情ドラマで、観ていて実に楽しい。決して豊かに暮らしているわけではない種々雑多な人々が、ゴチャゴチャと入り交じりながらひとつの世界を作っていくのは、昔の日本映画によくあったコメディのパターン。寅さん映画などにも通じる世界かも。犬の映画なので、犬好きはたまらんだろうと思う。登場する役者たちは皆芸達者な芝居を見せるが、一番の演技派は犬のブワカウだろう。これは映画の完成度も高いし、社会情勢や歴史についての予備知識も不要。日本人にもちゃんとわかる映画だと思う。日本でも公開してほしい。観られて良かった。

(原題:Bwakaw)

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映画|兵士、その後

Iniavan 1983年から2009年まで断続的に続いたスリランカの内戦。独立を目指すタミル人武装勢力は政府軍に敗北して長い内戦はようやく終わり、かつての兵士たちは故郷の村や町へと帰還する。この映画の主人公もそんな帰還兵のひとりだが、彼は故郷で快く迎え入れられたわけではない。「お前が声をかけて戦場に連れて行った男たちはみんな死んでしまったのに、なぜお前だけが生きて帰ってきたのだ!」と非難され、石つぶてを投げられる暮らしが待っている。将来を誓い合った恋人は別の男と無理やり結婚させられた挙げ句、子供を生んで未亡人になっている。仕事はない。金がない。近所の住人たちからは嫌がらせを受ける。そんな彼がようやくつかんだのが、貴金属店のガードマンの仕事だったのだが、この店の店主には裏の顔があった……。主人公が非合法な商売に巻き込まれていくあたりからは、かなりハードボイルドなタッチ。「なぜ自分は戦争で死ななかったのだろうか」と気に病む主人公と、「何が何でも生き抜いた者が勝ちだ」と啖呵を切るヒロインの対比。サスペンス映画としてはぬるいところもあるが、これはこれで面白いのだ。

(原題:Him, Here After)

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2012.10.22

映画|ニーナ

25tiff バカンスシーズンのローマ。人影もまばらになった市内でペットシッターのアルバイトをしているヒロインが、ひとりの青年に出会って恋をするという物語。しかしこの恋は成就しない。彼女が交際のわずらわしさを嫌って、彼との関係に距離を置いてしまうためだ。誰かと新しい関係を作ることで、自分自身を変えたくないし、変えられない。この映画のヒロイン像は、結婚したいと婚活に精を出しつつ、いつまでたっても結婚できない多くの日本の女性たちに相通じるところがあると思う。誰かと付き合えば、自分の生活は、自分の生き方は、否応なしに変化するだろう。その変化を受け入れて自分の予期できない世界に踏み出して行くより、自分自身の足で、自分の思うように人生を歩いて行く快適さを選ぶ。付き合うとしたら年下の男の子がいいかも。そうすれば、男に振り回されることなく、自分のペースで仕事も趣味もエンジョイできるしね……。この映画は交際に踏み出せないヒロインの「悲劇」を描いているわけじゃない。交際に踏み出さない生き方もアリだよね、と、ヒロインの生き方を肯定しているのだ。まあ若いうちはそれでもいいけどさ、このヒロインも40歳になったら考え方が変わるかもね。

(原題:Nina)

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映画|アクセッション — 増殖

Accession 何度か関係を持った女友達から「あたしHIVに感染してんの。あんたも調べた方がいいわよ」と言われた青年が、病気への恐怖からとんでもないことをしでかすという話。全編主人公の青年のクローズアップが延々続き、それ以外のショットがほとんどない。映像は最初こそカラーだが、主人公が心理的に追い詰められて行くにつれて荒涼としたモノトーンの映像に変化し、最後は完全にモノクロームになってしまう。作り手の狙いはわかるが、観ていてもぜんぜん楽しくない映画。楽しくない映画があってもいいし、アンハッピーエンドでもいいし、主人公が人倫に反する行為をしたって構わない。そんな映画はこれまでに山のように作られていて、その中には傑作だってあるだろう。しかしこの映画はやりきれない。結局これは、映画的に楽しいところがないからなのだ。映画的な興奮。映像作品としての醍醐味。スクリーンを観ていて「まさにこれが映画だ!」と唸るような場面が、主人公周辺にひとつもない。主人公は徹底して嫌なやつで、嫌悪感しか感じられない。その嫌悪感はどんどん高まり、殺意すら感じてしまう。まあそういう意味では、映画が観客の期待に応えるという意味で、これは一風変わったハッピーエンドなのかもしれないな。

(原題:Accession)

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2012.10.21

映画|宇宙刑事ギャバン THE MOVIE

Gyaban メタルヒーロー30周年を記念して作られた、往年の人気特撮ヒーロー番組「宇宙刑事ギャバン」の映画版。今回はリブートではなくテレビ版の続編になる。テレビの続編は主演の大葉健二を招いて映画『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』が作られているし、今回の『THE MOVIE』とのコラボ作品として現在放送中の「特命戦隊ゴーバスターズ」へも新ギャバン役の石垣佑磨がゲスト出演している。これらのゲスト出演作がかなり盛り上がっていたので今回の映画は大いに期待していたのだが、結論から言えば少しガッカリさせられた。地球の危機だ、宇宙の危機だと大きな風呂敷を広げながら、やっていることが幼なじみ同士での女の取り合い。しかも女性本人の気持ちをまったく無視して、男たちだけが勝手に盛り上がっているというバカバカしさ。男ふたりと女ひとりの三角関係というのは、『突然炎のごとく』や『冒険者たち』などでも取り上げられている定番の人物配置だから、作りようによってはもっとドラマチックに、面白い映画が作れたと思うんだけど。

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