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2013.02.28

映画|ザ・マスター

13022802 ポール・トーマス・アンダーソンの新作は、新興宗教サイエントロジーの教祖をモデルにした男と、その家族や信奉者たちが織り成す人間ドラマ。主人公は第二次大戦をきっかけに酒浸りになった青年で、彼が偶然「コーズ」という新興宗教グループと関わりを持ったことから、団体の教祖であるマスターとの愛憎に満ちた日々が始まる。モチーフはぜんぜん違うのだが、アンダーソン監督の映画としては、ポルノ業界を舞台にした『ブギーナイツ』に似ているのかな……という気もする。閉鎖的な小さな世界があって、そこにひとりの青年が迷い込んで大きな役割を担っていくようになる。そこは家族的な平和な世界ではあるが、社会的にはいろいろと風当たりの強い世界でもある。フィリップ・シーモア・ホフマンは『ブギーナイツ』にも出てたなぁ……。

(原題:The Master)

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映画|ベルヴィル・トーキョー

13022801 タイトルに「トーキョー」の文字があるが、この映画には東京が出てこない。この映画は主人公が東京に行く話ではなく、主人公の夫が東京に行かなかった……という話なのだ。若い夫婦が夫の浮気が原因で別れそうになるが、一度よりを戻したものの、やはり関係がギクシャクしてしまうという話。ヒロインが働いているのがアメリカ映画専門の名画座だったり、夫の仕事が海外での映画の買い付けだったりするのが、映画ファン的には面白い展開になりそうなのに、結果としてあまり面白くなっていない。基本的に恋愛映画というのはしんどいもので、それでも「結ばれる話」はしんどさの先に幸せがあるから我慢できるが、「別れる話」というのはしんどい思いをしても先に得るものが何もない。1時間15分しかない短い映画だが、なんだか疲れたなぁ……。

(原題:Belleville-Tokyo)

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2013.02.26

映画|三姉妹 〜雲南の子

13022602 中国雲南省の山間部にある小さな村。村は貧しく、村人たちはブタやヒツジ、ヤギなどの家畜を飼いながら、痩せた土地にジャガイモを作ってどうにかこうにか生活している。この映画はそんな小さな貧しい村で、母親に去られ、父親が町に出稼ぎに行って、幼い子供たち3人が残されている様子を描いたドキュメンタリー映画。親に捨てられて子供が可哀想とか、そういう話ではない。子供たちは親戚の支援を受けて暮らしているし、学校にも行くし、仕事もあるし、友だちもいる。ただし、とんでもなく貧しい村の中でも、この子供たちの家がことさら貧しいのは事実だろう。学校の前で子供たちが群がるお菓子の露天の前で、お金を持っていない10歳の少女がうらやましそうに立ち尽くしている様子が印象的。しかし貧しくて不潔な生活(子供たちはシラミだらけ)を描いたこの映画の、なんと美しいことか。柔らかい光に包まれた映像はとてつもなく綺麗なのだ。

(原題:三姉妹 Three Sisters (San-Zimei))

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映画|ヒッチコック

13022601 サスペンス映画の神様アルフレッド・ヒッチコックが、代表作『サイコ』をいかにして作ったかというメイキング映画。単なる映画裏話ではなく、ヒッチコックと夫人アルマの夫婦愛と葛藤をからめた物語にしてあるところがミソだ。夫妻には娘のパトリシアがいて『サイコ』にも出演しているのだが、この映画では娘の存在について一切何も語らない。それはこの物語を「夫婦のドラマ」に収斂させていくためなのだ。なお『サイコ』はパラマウントの作品だが、今回の映画は20世紀フォックスの映画。そのため『サイコ』の本編映像やサウンドトラック(音声)は一切使われていない。この映画を観るためには、事前に『サイコ』を観ておかなければならない。しかし『サイコ』が好きな人にはたらまない映画。残念なのは本編の引用がないことではなく、むしろ主演のアンソニー・ホプキンスがヒッチコック本人にあまり似ていないことだろう。共通点はイギリス人だということぐらいだったりして……。なお音楽はバーナード・ハーマンがヒッチコックのために作曲した楽曲を随所に使っている。これもヒッチコックのファンには嬉しい!

(原題:Hitchcock)

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2013.02.25

映画|ガレキとラジオ

13022503 津波で壊滅的な被害を受けた南三陸町で震災から間もない5月から翌年3月まで、町の臨時職員として雇われた9人のメンバーによるローカルFM局「FMみなさん」が開局していた。この映画はその立ち上がり直後から解散までを、1年近く取材したドキュメンタリー映画。素人ラジオ局のドタバタぶりは滑稽であると同時に、その必死さが観ているこちらに感動を与える。1時間10分しかないコンパクトな映画だが、ナレーターに役所広司を起用したり、空撮カットを挿入するなど作りは贅沢。ラジオ局のメンバーや何人かのリスナーを南三陸町の縮図にして、復興に向かう人々の前向きな姿を描いている。クライマックスはFM局の解散を間近に控えた2月に行われた「出発式」の様子。それからちょうど1年たつわけだが、メンバーたちは今どうしてるんだろうか。そんなことがちょっと気になったりする映画だった。

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映画|百年の時計

13022502 ミッキー・カーチス演じる天真爛漫なモダンアートの巨匠が、故郷香川で回顧展を企画した美術館学芸員を振り回すというドラマ作品。高松琴平電気鉄道(ことでん)が撮影に全面協力した鉄道映画でもある。楽しい映画ではあるが、江戸っ子口調のミッキー・カーチスが香川県出身に見えないという欠点も。言葉はその土地のローカルな雰囲気を醸し出す重要なツールなので、なんとなくそれらしくしてくれるとよかったんだけどな。若い頃に海外に行っちゃった人は、離日前の言葉遣いが抜けないので、この映画のミッキー・カーチスは40年前の古い言葉を使っているはず。映画はこういう細部が大事だと思うのだな。でも映画自体は面白かった。アートをモチーフにした映画ではあっても、アート作品ではなく一般的な娯楽映画。でも技法としては映画ならではの表現を多用して、この映画自体がアートであることを主張している感じ。

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映画|ゼロ・ダーク・サーティ

13022501 ビンラディンを追い続けたCIAの女性分析官を主人公にした、実録インテリジェンス・サスペンス映画。映画は2001年の9.11テロから始まり、その2年後にヒロインが物語に登場し、2011年にビンラディンを暗殺して終わる。2時間40分かけて10年間の歴史とヒロインの成長を描いていく大河ドラマだ。物語の視点がほぼヒロインの一人称に徹していて、大きな政治の話などに広げていかないところがストイックでタイトでシャープな印象を与える。最初は捕虜の拷問に涙ぐんでいたヒロインが、少しずつタフで図太くなっていく。最初は同僚から美人だがまだ子供だなどと言われていたのが、最後の方では最前線の兵士たちからも一目置かれる肝っ玉姉ちゃんに変貌している。だがそんなヒロインも、すべてが終わってひとりになると涙がポロリ。この涙の意味は何なのか?というのが、おそらくはこの映画のテーマに深く関わってくるものなのだろうなぁ……。

(原題:Zero Dark Thirty)

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2013.02.15

映画|愛してる、愛してない

13021503 離婚を決めた若い夫婦。妻が荷物をまとめて家を出て行くというその日、家の外は大雨になって、妻はなかなか家を出て行けない。そんな破綻したカップルの風景を、1時間45分かけて描写する韓国映画。原作は井上荒野の短編小説「帰れない猫」だというが未読。基本的に何も事件が起こらない映画なので、観ていて辛い。これで1時間45分は長すぎる。同じ話は普通なら20分あれば描けるはずで、それを1時間45分に伸ばすなら、伸ばすだけの内実がなければならない。そこに何らかの企みや意図がほしいのだ。でもこの映画からはそれが見えない。だらだらと、ただ長い。その長さには必然性がない。おそらく演出に力のある監督が撮れば、同じ1時間45分がもっと充実したものになるのだろう。でも僕はこの映画に、そうした充実を感じることはできなかった。

(英題:Come Rain, Come Shine)

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映画|ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの

13021502 モダンアートの個人コレクターとして4,000点もの作品を集めたハーブとドロシーのボーゲル夫妻。コレクションの散逸を防ぐためすべてを国立美術館に寄贈したのだが、結局そこでも全コレクションの保管展示は不可能で、コレクションのうち2,500点を、50点ずつ、全米50州50ヶ所の美術館に寄贈することになった。これが「50×50」というプロジェクト。この映画はそのプロジェクトが立ち上がり、全米各地の美術館で実際に展示が行われる様子を追いかけていくドキュメンタリー映画。前作を観ていなかったのだが、それはあまり支障にならなかった。ただし前作を観ていれば、主人公ふたりの人柄などがより深く理解できて、映画の楽しみもまた大きくなったように思う。さほど広くない試写室だったが、ほぼ満員の盛況ぶり。映画のあとに監督の挨拶もあって、来場者は拍手喝采だった。

(原題:Herb & Dorothy 50X50)

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映画|ブルーノのしあわせガイド

13021501 試写室に駆け込んだのが上映開始直前で、場内に入った時はもう明かりが落ちていた。ほぼ満席で空き席を探すのも先に来ている方々の迷惑になると思い、そのまま試写室の一番後ろで立って観た。映画を丸々1本立ち見するなんて、いつ以来のことだろうか。最近はシネコンも指定席入れ替え制だから立ち見なんてできないもんな。映画は初老のB級作家が、元恋人から15年前に生まれたという息子を押しつけられて右往左往する話。ところがその少年は落第寸前の成績で、何やらよからぬ友だちと付き合ってヤバイ状況になっているらしい。主人公ブルーノが売れない物書きという点で、もう何となく感情移入してしまうのだが、彼がセクシーなポルノ女優と親しくなるあたりは「こんなことがあってよいものか!」と思ってしまった。僕の焼き餅ですね。

(原題:Scialla!)

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2013.02.14

映画|汚れなき祈り

13021402 2005年にルーマニアで起きた悪魔祓い事件を映画化した作品。モデルになった事件では、悪魔祓いを受けた若い女性が疲労と衰弱で死亡し、神父や修道女長が逮捕されて実刑判決を受けている。映画に登場する神父や修道女たちは、迷信深い中世の人間ではない。しかし精神疾患の人間を間近に見た時、彼らはそれを「悪魔憑きだ」と信じてしまう。いや、そう信じることで自分たちを納得させ、何らかの打開策が見つかると信じたかったのだ。このあたりは悲劇と言うしかないが、その悲劇は亡くなった女性の悲劇でもあり、何の因果か彼女を受け入れざるを得なかった修道院の悲劇でもある。弱い人間が社会の歪みのしわ寄せを受けて苦しみ、その苦しむ人間を宗教が受け入れる。それは宗教のひとつの機能ではあるのだろうが、この映画で修道院に押しつけられている役目はあまりにも負担のかかりすぎるものだった。悪魔祓いはナンセンスだが、では彼らはそこでどうすればよかったのだろうか? たぶん似たようなことは、日本の中でも形を変えて起きているような気がする。

(原題:Dupa dealuri)

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映画|シャドー・ダンサー

13021401 北アイルランド問題は今ではすっかり落ち着いて過去の扮装になってしまった気配だが(実際にはまだ時々散発的に事件が起きる)、北アイルランドが最もきな臭かったのは1970年代だった。この映画は1970年代の紛争で家族を失ったアイルランド系一家の20年後を描く。イギリスの対テロ諜報組織MI5に捕らえられ、IRA側からの内通者になるよう強要されたヒロインを中心に、スパイを巡る冷酷非情な駆け引きを描いていく。主演はアンドレア・ライズブローとクライヴ・オーウェン。「X-ファイル」シリーズのジリアン・アンダーソンガ、クライヴ・オーウェンの上司役で出演しているのだが、ぜんぜん気付きませんでした……。なぜ今になってIRAと北アイルランドなのかという気もするが、映画の中では1973年のあと20年後の1993年になるが、そこからさらに20年たつとちょうど今年なのだ。(映画の製作は2011年だけど。)20年で時代は変わる。だが人の心に刻みつけられた傷跡は、たかが20年程度で癒えることはない。

(原題:Shadow Dancer)

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2013.02.13

映画|桜並木の満開の下に

13021303 成瀬巳喜男最後の作品『乱れ雲』(1967)の現代版みたいな映画だが、物語の舞台が地方の小さな町工場なので、物語のスケールが45年前の映画よりずっと小さくなっている。結婚してささやかな幸福を手に入れたヒロインが、突然の事故で夫を亡くしてしまう。だが事故を起こした加害者の青年は無罪に。加害者はヒロインに謝罪するが、彼女は相手を許さない。だがやがて彼の誠実な態度に少しずつ心を開き、やがてふたりは互いに愛し合うようになっていた……という話。本当に『乱れ雲』と同じなのだ。最後に加害青年が遠方に引っ越すことになり、ヒロインの心が強くかき乱されるというのも同じ。『乱れ雲』は随分昔に一度観たきりなので内容はうろ覚えだが、男女それぞれの感情のあやにメリハリが付いたいい映画だったと思う。この『桜並木の〜』はどうもそのへん、煮え切らないというか、全体にぼんやりした映画なのが気になる。

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映画|世界にひとつのプレイブック

13021302 主人公は妻の浮気相手を半殺しにしたことから警察に逮捕され、躁うつ病と診断されて精神病院に入院していた男。退院して両親と一緒に暮らし始めたものの、彼はいまだに逃げた妻と愛し合っているという妄想の中にいる。感情の起伏も大きく、夜中に大騒ぎを起こして警察が飛んでくることだってある。そんな彼が出会ったのは、少し前に夫を亡くして未亡人になったばかりの若い女。彼女はそのショックでやはり精神療法を受けており、今でも少し情緒不安定なのだ……。かなり風変わりなラブストーリーだが、主人公たちがとにかく真剣なのがいい。変わっている。ぶっ飛んでいる。しかし彼らは大まじめなのだ。主演のブラッドリー・クーパーとジェニファー・ローレンスが素晴らしい。しかし父親がロバート・デニーロ、母親が『アニマル・キングダム』のジャッキー・ウィーヴァーって、これはすごい家庭だな……。

(原題:Silver Linings Playbook)

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映画|ダーク・タイド

13021301 南アフリカ沖にあるアザラシのコロニーは、世界最大級のサメの生息地でもある。その海でシャークダイビング中に事故で仲間を失ったヒロインが、世界的な大富豪に依頼されて再び海に挑む。だがそこには、再び思いがけない事故が待っていた……。ハル・ベリーがヒロインのケイトを演じているが、サメと泳ぐ場面などは当然すべてスタントだろう。ウェットスーツとマスクを付けているから、誰が誰だかわかりはしない。それでもダイバーたちが巨大なサメたちと泳ぐ場面はすごい迫力。大きな口を広げて接近してくるサメを、鼻先を軽くタッチしてかわしてゆくスリル満点の芸当だ。サメと泳ぐ映画は、以前『シャークウォーター/神秘なる海の世界』というドキュメンタリー映画を観たことがある。しかしサメは人間に決して飼い慣らされることなく、意思の疎通もできない海の猛獣だ。優雅で美しく、しかし獰猛で残酷。サメは人間に決してコントロールされない、海の自然そのものなのだ。

(原題:Dark Tide)

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2013.02.12

映画|ダークホース リア獣エイブの恋

Darkhorse 出来のいい弟に比べてパッとしない兄エイブ。35歳にもなって両親と同居し、給料のほとんどをフィギュア購入に注ぎ込むオタクだ。そんな彼が、友人の結婚式で出会った美女に一目惚れ。彼女に猛然とアタックするのだが……という話。主人公のダメっぷりに、まるで自分を見ているかのような嫌な気持ちになってしまう。何と言ってもこの映画、主人公の両親が立派すぎる。母がミア・ファローで、父がクリストファー・ウォーケンだよ。こんな両親と同居していたら、息子がダメになるに決まっているじゃないか。主人公が惚れ込む美女を演じたのはセルマ・ブレア。最初から最後までずっと情緒不安定な顔をしているのがいい。不機嫌な顔が似合う女優なのだ。でも少し年取ったな……。主演のジョーダン・ゲルバーも上手かった。

(原題:Dark Horse)

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映画|コズモポリス

Cosmopolis デイヴィッド・クロネンバーグ監督の最新作。ドン・デリーロの同名小説を、ロバート・パティンソン主演で映画化している。若き大富豪がリムジンに乗ってニューヨークを走り回り、その間にいろいろな人や事件に出くわすという話。物語は朝から始まって夜に終わる。幾多のエピソードをリムジンの移動で串刺しにしているのだが、全体を通して何らかの大きな物語があるかというと、特にない。各エピソードがどのように関連してどんな作用を起こしているかというと、それも特にない。窓の外でどんな大事件が起きようと、リムジンの中は無風状態。周囲から閉ざされた、自分だけの世界。主人公がさまざまな人と語る言葉はいつも空回りし、どこでも噛み合うことがない。離人症的な光景だと思うのだが、この感覚は現代人なら誰もが経験したことのあるものかもしれない。ロバート・パティンソンは先日の『ベラミ』もそうだったが、感情を表に出さない冷血な役柄が続く。これを乗り越えないと、役柄が広がらないだろう。ここしばらくが俳優としての正念場だろうな。

(原題:Cosmopolis)

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