2019年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ

« 2013年5月 | トップページ | 2013年7月 »

2013.06.28

映画|ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界

13062802 1960年代前半(劇中に出てくるニュースなどから1962年だとわかる)のロンドンを舞台にした青春映画。子供時代を抜け出して少女が大人になっていく物語だが、この痛ましさには頭がクラクラしてくる。子供が大人になるというのは、結局「親が完璧ではないことを知る」「自分の住んでいる世界が美しくないことを知る」ということなのかもしれない。アレッサンドロ・ニヴォラが演じる大人になりきれない父親と、ティモシー・スポール、オリヴァー・プラット、アネット・ベニングなどが演じる大人たちの対比……。しかしアネット・ベニングは婆さんになったなぁ〜。婆さんになって迫力が増して、でもやっぱり美人だね。ヒロインを演じたエル・ファニングは、出演していた時点で役の年齢(17歳)より少し年下のはず。上手いなぁ。この映画を観ると、海外にもDQNネームがあるということがわかる。

(原題:Ginger & Rosa)

続きを読む "映画|ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界" »

映画|キャプテンハーロック

13062801 松本零士原作の「宇宙海賊キャプテンハーロック」の3DCG映画。制作費27億円!(3,000万ドル)というのが売りだが本当だろうか。本当かもしれない。映像はかなりたいへんなものになっている。ただ最近のフォトリアリスティックなCGに慣れた目から見ると、ゲームのムービー画面みたいではあるけれど。しかし絵や声にはすぐに慣れる。今回の映画のためのオリジナル設定やストーリーも、まあ好き嫌いはありそうだけれど、僕自身は「ハーロック」にそれほど大きな思い入れがないので構わない。だがこの映画は、結末がどうもよくわからない。話として辻褄が合わないのだ。映画全体の構成もチグハグだし、ギクシャクしている。これは脚本をもう少し練った方がよかったような気がする。

(英題:Space Pirate Captain Harlock)

続きを読む "映画|キャプテンハーロック" »

2013.06.27

映画|処女の泉

13062901 娘が浮浪者たちに殺されたと知った父親が、復讐のため浮浪者たちを殺す話。結構残酷な話で、娘がレイプされるシーンや殺されるシーン、父親が浮浪者たちを肉切り包丁で突き殺す場面などは今観てもぞっとするようなリアリズムだ。たぶん当時の観客には、相当ショッキングな場面だったに違いない。浮浪者たちが殺した娘の衣服を剥ぎ取る場面や、娘を殺されたことを知った母が浮浪者たちを家に閉じ込めるためかんぬきをかける場面、さして罪のなさそうな幼い少年を、父親が怒りに任せて投げ殺してしまう場面など、印象的に残る場面は多い。少年が殺される場面は痛ましいのだが、これがないと復讐が正当なものに見えてしまう。復讐は必ず行きすぎるものであり、復讐は必ず虚しいものに終わる。それを象徴するのがこの少年なのだろう。「なぜ娘は殺されたのだ!」「あなたは見ていたのになぜ助けてくれなかったのだ!」と神に問いかけながら、しかしその神に自らの罪の赦しを請い、神の栄光を讃えることでしか人は生きられない。泉が湧き出るのはそんな人間に対する神の応答だが、なんというか、ひどく残酷な神だなぁ……。

(原題:Jungfrukällan)

続きを読む "映画|処女の泉" »

映画|第七の封印

13062901 タイトルの『第七の封印』とは、新約聖書のヨハネの黙示録に登場する。中世のヨーロッパを舞台にした寓話風の物語。十字軍の遠征から戻った騎士が10年ぶりに故郷に戻ったら、そこでペストが猛威を振るっていた。騎士を演じるのはマックス・フォン・シドー。この人、まだ生きているのが凄いな……。『野いちご』にもガソリンスタンドの主人役でワンシーンに出演しているのだが、この映画と『処女の泉』では主役になる。しかしこの映画の騎士以上に存在感たっぷりなのは、黒衣に身を包んだ死神だろう。このビジュアルのインパクトは凄い。『吸血鬼ノスフェラトゥ』に登場するドラキュラ伯爵などと並んで、映画史に残る姿だと思う。不気味な話で残酷なシーンもたくさんあるが、随所に出てくるユーモアにクスクス笑ってしまいそうになることもある。死神も笑いの対象だ。そういや落語の「死神」も、恐ろしさとユーモアがない交ぜになった存在だった。ちょうどあんな感じだ。最後に主人公が死神を出し抜くことが出来ず死んでしまうのも落語と同じ。

(原題:Det sjunde inseglet)

続きを読む "映画|第七の封印" »

映画|野いちご

13062901 高齢の学者が自動車で息子の住む町までドライブ。その間に若い頃に夏を過ごした家の前を通ったり、老母が住む家を訪ねたりしながら、自分の過去に思いを馳せるというロードムービー。過去と現在が白日夢のような幻想の中でつながり、また過去と現在とが呼び合うように悪夢が忍び寄る。この日は続けざまに3本のベルイマン作品を観たのだが、その中では唯一の現代劇。といってもここに描かれているのは1950年代だから今から半世紀以上も昔のこと。その映画の中で、主人公がさらに半世紀も前の過去を思い出す。思い出の中で、主人公は老人の姿をしている。思い出の中で過去に戻ろうとも、人は人生の「今この時」から自由になれない。

(原題:Smultronstället)

続きを読む "映画|野いちご" »

2013.06.21

映画|最後のマイ・ウェイ

13062101 フランク・シナトラの大ヒット曲であり、晩年の彼のテーマソングともなっていた「マイ・ウェイ」の原曲は、フランスの歌手が歌ったまったく別の歌詞の曲だった。たまたまその曲を知った歌手のポール・アンカが英語でオリジナルの歌詞を作り、シナトラに提供したところ大ヒット。そんなエピソードを知っている人も、オリジナルのフランス語版を作った歌手についてどれだけ知っているだろうか。この映画は「マイ・ウェイ」の原曲「いつものように」を作詞作曲したフランスの人気歌手、クロード・フランソワの伝記映画。この歌手のことはほとんど知らなかったが、なんともすごい歌手が実在したものだ。伝記映画としては主人公の少年時代から、その死までを時系列に描くストレートな切り口。歌手として成功して行くサクセスストーリーを縦軸に、そこに歌手になるのに反対した父との確執や主人公のロマンスをからめていく構成は、世界初のトーキー映画『ジャズ・シンガー』以来の伝統を踏まえている。劇中にはクロクロことクロード・フランソワのヒット曲が散りばめられているのだが、これは『ジャズ・シンガー』の主演俳優アル・ジョルスンの伝記映画『ジョルスン物語』以来の伝統だ。主演のジェレミー・レニエは本人そっくりで、歌うシーンもまったく違和感がない。歌手の伝記映画としては極上のデキだ。2時間半が短く観じられる。『ジョルスン物語』みたいに続編を作れないのが残念。

(原題:Cloclo)

続きを読む "映画|最後のマイ・ウェイ" »

7月1日は電子書籍を無料にします

20130621_81603_2

 KDPで発行している電子書籍のうち、KDPセレクトに登録している本を7月1日に無料で配信します。無料になるのはこの1日だけで、翌日からまた通常価格に戻ります。ご興味のある方は7月1日のうちにアマゾンからダウンロードしてください。ただし電子書籍ではない一般書籍と、KDPセレクトに登録できなかった電子書籍については無料の対象となりません。無料キャンペーンは今後も時々やりますので、そのつどブログやFacebookでお知らせしたいと思います。

2013.06.20

映画|囚われ人 パラワン島観光客21人誘拐事件

13062001 9.11テロと同じ年、2001年5月にフィリピンで起きた、観光客21人(20人?)の誘拐事件を実話にもとづいて映画化した作品。事件については今でも謎に包まれている部分が残っているそうで、そうした不可解な部分をフィクションで埋めていくために必要な人物として、イザベル・ユペール演じるフランス人の人質が設定されている。事件解決まで1年以上かかっているのだが、テログループと人質たちの道中はまるでピクニック。町の中を堂々と移動して病院で一休みしたり(病院ならベッドもシャワーも食料もあるから便利)、軍隊を見かけて意味もなく発砲して大銃撃戦になったり、かと思えば衆人環視の中で堂々とその場を脱出して逃げおおせたり……。なんというか、犯人グループ側もユルユルだし、それを追う警察や軍の側もユルユルなのだ。ジャングルに逃げ込んだテログループを少数の軍隊が追って返り討ちに遭う場面を見ていると、散発的な兵員投入で犠牲になった兵士たちが気の毒でしょうがない。もっと大規模に軍隊を送って、一気に片付けてしまえばいいのになぁ……と思っていると最後はそうなるわけだが。でもこのユルユルのところが、実録ドラマとしてはひどく生々しい。ハリウッド映画みたいに年がら年中緊迫していたら、1年以上もジャングルの中で暮らせないだろうしな。

(原題:Captive)

続きを読む "映画|囚われ人 パラワン島観光客21人誘拐事件" »

2013.06.19

映画|台湾アイデンティティー

13061901 台湾は1895年から1945年まで日本統治下にあった。台湾国内では子供たちが日本語で教育を受け、成績優秀な者は日本に留学して台湾のリーダーになることを期待された。戦争中に台湾人は兵役を免除されていたが、多くの台湾人の若者たちが「祖国日本のため」に自ら兵になることを志願して前線に向かった。(戦争末期の1944年には台湾でも徴兵制が始まる。)だが戦争が終わると、台湾統治は日本から蒋介石の国民党に委譲される。しかしその統治はひどく差別的であり、役人たちの不正も多かった。台湾人たちは法による秩序が整っていた日本統治時代を懐かしみ、国民党に抗議の声をあげるが、これは武力で鎮圧され、やがて台湾全土に戒厳令が施行される。かつての反政府主義者や日本シンパは白色テロの標的となり、多くの台湾人たちが命を落とした。この映画はそんな時代をくぐり抜けてきた、日本語世代の台湾人たちを取材したドキュメンタリーだ。

続きを読む "映画|台湾アイデンティティー" »

2013.06.17

Kindle|読書感想文の書き方 〜目からうろこの宿題攻略法

 Kindleブックの第4弾「読書感想文の書き方 〜目からうろこの宿題攻略法」をKDPに登録しました。最近は映画も観ずに何をやっているのだと思われそうですが、こんなことをやっていたのです……。今週からはまた映画を観に行きます。そっちが本業だもんね。

2013.06.04

Kindle|印刷通販のすすめ

印刷通販のすすめ
印刷通販のすすめ
posted with amazlet at 13.06.04
服部弘一郎 (2013-06-01)
売り上げランキング: 11,578

 Kindleブックの3冊目です。印刷通販を知らない人、知っているけれど使ったことはない人のための、簡単なガイドブックです。映画批評家なのに映画以外の本ばかり出していますが、自分ではまだ実験的な出版だという意識があるのです。そのうち映画の本も出します。

映画|もうひとつの世界

13060401 見習修道女が公園で捨て子を押し付けられて病院に連れて行くのだが、何度か子供を見舞っているうちにすっかり情が移ってしまう。子供をくるんでいたセーターがとあるクリーニング店経営者のものだったことから、この経営者は昔ちょっとだけ付き合ったことがある女性との間に生まれた自分の子供ではないかと疑い出す。こうして本来なら出会うはずのなかった人間たちが出会い、そこでそれまでの人生が決定的に変わる。自分の中にありながらも目を背け、自分自身で否定していた自らの願いや本音が明らかになる。ドラマとしての面白さはもちろん、女子修道会の仕事や修道女の生活振りが丁寧に描かれているのが面白い。

(原題:Fuori dal mondo)

続きを読む "映画|もうひとつの世界" »

映画|ハートの問題

13060401 ローマで同じ夜、同じ時間帯に心臓発作を起こし、同じ病院で治療を受けて、同じ病室で療養することになった、同じ世代の男ふたり。しかしふたりの性格は正反対だった……という、ユーモラスなドラマ作品。かなりシリアスなテーマを扱っているが、語り口は軽やか。これは昨年ヒットした『最強のふたり』に通じる世界かもしれない。主人公のひとりが映画の脚本家という設定だが、彼が子供にせがまれて「お話しの作り方」をレクチャーする場面は面白い。たぶんこれが、この映画の脚本家なりの物語作りのメソッドなのだろう。この脚本家は中年のハゲ男なのだが、口八丁手八丁で女をまめに口説きまくる。しかもかなりの確率で成功(性交?)しているのだから恐れ入る。世の中年男性は自分がもてないのをハゲのせいにしちゃいかんよ。

(原題:Questione di cuore)

続きを読む "映画|ハートの問題" »

2013.06.03

映画|ハード・ラッシュ

13060301 危険な犯罪稼業から足を洗って堅気になり、家族と共に平和な日々を送っていた男が、弟分や昔の仲間を助けるために再び危険な世界に戻っていく……という定番の筋立て。この映画では男の稼業が「運び屋」になっているのがミソ。よくあるパターンの映画はそのままストレートによくあるパターンをなぞれば力強い映画になるが、一方でそれはマンネリのワンパターンにもなりかねない。そこで脚本をあちこち触ってひねりをきかせるのだが、ひねりすぎると本来のシンプルな物語のダイナミズムが消えてしまう。この映画はいじくりすぎたケースで、観客を驚かせよう、面白がらせようとあれこれアイデアを注ぎ込んだ挙げ句、最初から最後まで全部が見せ場の総花的な映画になってしまった。マーク・ウォルバーグ演じる主人公の家族団らんとか、仲間同士のユーモアとか、映画の中で観客がホッとできる場面をもっと作ってくれるとよかったんだけどな。

(原題:Contraband)

続きを読む "映画|ハード・ラッシュ" »

« 2013年5月 | トップページ | 2013年7月 »