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2013.02.15

映画|愛してる、愛してない

13021503 離婚を決めた若い夫婦。妻が荷物をまとめて家を出て行くというその日、家の外は大雨になって、妻はなかなか家を出て行けない。そんな破綻したカップルの風景を、1時間45分かけて描写する韓国映画。原作は井上荒野の短編小説「帰れない猫」だというが未読。基本的に何も事件が起こらない映画なので、観ていて辛い。これで1時間45分は長すぎる。同じ話は普通なら20分あれば描けるはずで、それを1時間45分に伸ばすなら、伸ばすだけの内実がなければならない。そこに何らかの企みや意図がほしいのだ。でもこの映画からはそれが見えない。だらだらと、ただ長い。その長さには必然性がない。おそらく演出に力のある監督が撮れば、同じ1時間45分がもっと充実したものになるのだろう。でも僕はこの映画に、そうした充実を感じることはできなかった。

(英題:Come Rain, Come Shine)

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映画|ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの

13021502 モダンアートの個人コレクターとして4,000点もの作品を集めたハーブとドロシーのボーゲル夫妻。コレクションの散逸を防ぐためすべてを国立美術館に寄贈したのだが、結局そこでも全コレクションの保管展示は不可能で、コレクションのうち2,500点を、50点ずつ、全米50州50ヶ所の美術館に寄贈することになった。これが「50×50」というプロジェクト。この映画はそのプロジェクトが立ち上がり、全米各地の美術館で実際に展示が行われる様子を追いかけていくドキュメンタリー映画。前作を観ていなかったのだが、それはあまり支障にならなかった。ただし前作を観ていれば、主人公ふたりの人柄などがより深く理解できて、映画の楽しみもまた大きくなったように思う。さほど広くない試写室だったが、ほぼ満員の盛況ぶり。映画のあとに監督の挨拶もあって、来場者は拍手喝采だった。

(原題:Herb & Dorothy 50X50)

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映画|ブルーノのしあわせガイド

13021501 試写室に駆け込んだのが上映開始直前で、場内に入った時はもう明かりが落ちていた。ほぼ満席で空き席を探すのも先に来ている方々の迷惑になると思い、そのまま試写室の一番後ろで立って観た。映画を丸々1本立ち見するなんて、いつ以来のことだろうか。最近はシネコンも指定席入れ替え制だから立ち見なんてできないもんな。映画は初老のB級作家が、元恋人から15年前に生まれたという息子を押しつけられて右往左往する話。ところがその少年は落第寸前の成績で、何やらよからぬ友だちと付き合ってヤバイ状況になっているらしい。主人公ブルーノが売れない物書きという点で、もう何となく感情移入してしまうのだが、彼がセクシーなポルノ女優と親しくなるあたりは「こんなことがあってよいものか!」と思ってしまった。僕の焼き餅ですね。

(原題:Scialla!)

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2013.02.14

映画|汚れなき祈り

13021402 2005年にルーマニアで起きた悪魔祓い事件を映画化した作品。モデルになった事件では、悪魔祓いを受けた若い女性が疲労と衰弱で死亡し、神父や修道女長が逮捕されて実刑判決を受けている。映画に登場する神父や修道女たちは、迷信深い中世の人間ではない。しかし精神疾患の人間を間近に見た時、彼らはそれを「悪魔憑きだ」と信じてしまう。いや、そう信じることで自分たちを納得させ、何らかの打開策が見つかると信じたかったのだ。このあたりは悲劇と言うしかないが、その悲劇は亡くなった女性の悲劇でもあり、何の因果か彼女を受け入れざるを得なかった修道院の悲劇でもある。弱い人間が社会の歪みのしわ寄せを受けて苦しみ、その苦しむ人間を宗教が受け入れる。それは宗教のひとつの機能ではあるのだろうが、この映画で修道院に押しつけられている役目はあまりにも負担のかかりすぎるものだった。悪魔祓いはナンセンスだが、では彼らはそこでどうすればよかったのだろうか? たぶん似たようなことは、日本の中でも形を変えて起きているような気がする。

(原題:Dupa dealuri)

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映画|シャドー・ダンサー

13021401 北アイルランド問題は今ではすっかり落ち着いて過去の扮装になってしまった気配だが(実際にはまだ時々散発的に事件が起きる)、北アイルランドが最もきな臭かったのは1970年代だった。この映画は1970年代の紛争で家族を失ったアイルランド系一家の20年後を描く。イギリスの対テロ諜報組織MI5に捕らえられ、IRA側からの内通者になるよう強要されたヒロインを中心に、スパイを巡る冷酷非情な駆け引きを描いていく。主演はアンドレア・ライズブローとクライヴ・オーウェン。「X-ファイル」シリーズのジリアン・アンダーソンガ、クライヴ・オーウェンの上司役で出演しているのだが、ぜんぜん気付きませんでした……。なぜ今になってIRAと北アイルランドなのかという気もするが、映画の中では1973年のあと20年後の1993年になるが、そこからさらに20年たつとちょうど今年なのだ。(映画の製作は2011年だけど。)20年で時代は変わる。だが人の心に刻みつけられた傷跡は、たかが20年程度で癒えることはない。

(原題:Shadow Dancer)

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2013.02.13

映画|桜並木の満開の下に

13021303 成瀬巳喜男最後の作品『乱れ雲』(1967)の現代版みたいな映画だが、物語の舞台が地方の小さな町工場なので、物語のスケールが45年前の映画よりずっと小さくなっている。結婚してささやかな幸福を手に入れたヒロインが、突然の事故で夫を亡くしてしまう。だが事故を起こした加害者の青年は無罪に。加害者はヒロインに謝罪するが、彼女は相手を許さない。だがやがて彼の誠実な態度に少しずつ心を開き、やがてふたりは互いに愛し合うようになっていた……という話。本当に『乱れ雲』と同じなのだ。最後に加害青年が遠方に引っ越すことになり、ヒロインの心が強くかき乱されるというのも同じ。『乱れ雲』は随分昔に一度観たきりなので内容はうろ覚えだが、男女それぞれの感情のあやにメリハリが付いたいい映画だったと思う。この『桜並木の〜』はどうもそのへん、煮え切らないというか、全体にぼんやりした映画なのが気になる。

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映画|世界にひとつのプレイブック

13021302 主人公は妻の浮気相手を半殺しにしたことから警察に逮捕され、躁うつ病と診断されて精神病院に入院していた男。退院して両親と一緒に暮らし始めたものの、彼はいまだに逃げた妻と愛し合っているという妄想の中にいる。感情の起伏も大きく、夜中に大騒ぎを起こして警察が飛んでくることだってある。そんな彼が出会ったのは、少し前に夫を亡くして未亡人になったばかりの若い女。彼女はそのショックでやはり精神療法を受けており、今でも少し情緒不安定なのだ……。かなり風変わりなラブストーリーだが、主人公たちがとにかく真剣なのがいい。変わっている。ぶっ飛んでいる。しかし彼らは大まじめなのだ。主演のブラッドリー・クーパーとジェニファー・ローレンスが素晴らしい。しかし父親がロバート・デニーロ、母親が『アニマル・キングダム』のジャッキー・ウィーヴァーって、これはすごい家庭だな……。

(原題:Silver Linings Playbook)

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映画|ダーク・タイド

13021301 南アフリカ沖にあるアザラシのコロニーは、世界最大級のサメの生息地でもある。その海でシャークダイビング中に事故で仲間を失ったヒロインが、世界的な大富豪に依頼されて再び海に挑む。だがそこには、再び思いがけない事故が待っていた……。ハル・ベリーがヒロインのケイトを演じているが、サメと泳ぐ場面などは当然すべてスタントだろう。ウェットスーツとマスクを付けているから、誰が誰だかわかりはしない。それでもダイバーたちが巨大なサメたちと泳ぐ場面はすごい迫力。大きな口を広げて接近してくるサメを、鼻先を軽くタッチしてかわしてゆくスリル満点の芸当だ。サメと泳ぐ映画は、以前『シャークウォーター/神秘なる海の世界』というドキュメンタリー映画を観たことがある。しかしサメは人間に決して飼い慣らされることなく、意思の疎通もできない海の猛獣だ。優雅で美しく、しかし獰猛で残酷。サメは人間に決してコントロールされない、海の自然そのものなのだ。

(原題:Dark Tide)

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2013.02.12

映画|ダークホース リア獣エイブの恋

Darkhorse 出来のいい弟に比べてパッとしない兄エイブ。35歳にもなって両親と同居し、給料のほとんどをフィギュア購入に注ぎ込むオタクだ。そんな彼が、友人の結婚式で出会った美女に一目惚れ。彼女に猛然とアタックするのだが……という話。主人公のダメっぷりに、まるで自分を見ているかのような嫌な気持ちになってしまう。何と言ってもこの映画、主人公の両親が立派すぎる。母がミア・ファローで、父がクリストファー・ウォーケンだよ。こんな両親と同居していたら、息子がダメになるに決まっているじゃないか。主人公が惚れ込む美女を演じたのはセルマ・ブレア。最初から最後までずっと情緒不安定な顔をしているのがいい。不機嫌な顔が似合う女優なのだ。でも少し年取ったな……。主演のジョーダン・ゲルバーも上手かった。

(原題:Dark Horse)

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映画|コズモポリス

Cosmopolis デイヴィッド・クロネンバーグ監督の最新作。ドン・デリーロの同名小説を、ロバート・パティンソン主演で映画化している。若き大富豪がリムジンに乗ってニューヨークを走り回り、その間にいろいろな人や事件に出くわすという話。物語は朝から始まって夜に終わる。幾多のエピソードをリムジンの移動で串刺しにしているのだが、全体を通して何らかの大きな物語があるかというと、特にない。各エピソードがどのように関連してどんな作用を起こしているかというと、それも特にない。窓の外でどんな大事件が起きようと、リムジンの中は無風状態。周囲から閉ざされた、自分だけの世界。主人公がさまざまな人と語る言葉はいつも空回りし、どこでも噛み合うことがない。離人症的な光景だと思うのだが、この感覚は現代人なら誰もが経験したことのあるものかもしれない。ロバート・パティンソンは先日の『ベラミ』もそうだったが、感情を表に出さない冷血な役柄が続く。これを乗り越えないと、役柄が広がらないだろう。ここしばらくが俳優としての正念場だろうな。

(原題:Cosmopolis)

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