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2013.07.31

映画|黒いスーツを着た男

13073102 働いている自動車ディーラーの社長令嬢と10日後に結婚する主人公は、同僚たちと独身最後のバカ騒ぎをした帰りに車で人をはねてしまう。とっさに逃げてしまったが、この事故には目撃者がいた……。

 主人公たちは誰も悪人ではない。だが、誰も正しい人間ではない。黒と白の間のグレーの領域を漂いながら、それでも真面目に、誠実に生きようとしてきた人たちが、ひとつの交通事故で結びつけられる。事故の一件を使って主人公を脅迫しようとする人もいなければ、死んだ男のために血の復讐をしようとする者もいない。そうしたものを出さないところにこの映画のリアリズムがあるのだが、しかしそれはわかりやすいサスペンスを否定するということでもある。

 『人は、たとえ全世界を手に入れても、自分の命を失ったら、何の得があろうか。自分の命を買い戻すのに、どんな代価を支払えようか』(マタイ16:26)。このテーマの映画は山ほどあるのだが、この映画もそんな作品の中の1本。しかし結末はちょっと意外なものだった。

(原題:Trois mondes)

8月31日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷

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映画|ジェリー・フィッシュ

13073101 新潮社主催の「女の女のためのR-18文学賞」で受賞の最終候補になったという雛倉さりえの同名短編小説を、思春期の女の子描写には定評のある金子修介監督が映画化。

 主演の花井瑠美と大谷澪はどちらも映画初出演に近くて演技は拙い。台詞のすきまからキャラクターの感情が見えない、ぼんやりとした語りだ。しかしその演技のぎこちなさや頼りなささえも、思春期の少女の恋愛に対するぎこちなさや、存在の頼りなさなどに重ね合わせていくため、ここでは演技が拙いことがマイナスになっていない。この手は何度も使えるわけではないのだが、少なくともこの映画ではうまくツボにはまって抜群の効果を生み出している。

 彼女たちが周囲に溶け込めない、浮いた存在であること自体が、この映画においてはひとつの財産なのだ。

8月31日(土)シネマート六本木

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2013.07.29

映画|最愛の大地

13072901 アンジェリーナ・ジョリーの初監督作で、脚本と製作も彼女自身が行っている。ボスニア紛争直前に出会って恋に落ちたセルビア人の青年警官とムスリム人の女性画家が、戦時中に再会したことで起きる悲劇。再会しなくても戦争は悲劇なのだが、再会したことで彼らの人間関係はずたずたにひき裂かれてしまう。いや、再会しなくてもどのみち人間関係は破壊し尽くされてしまうのかもしれないが……。ボスニア紛争についての映画は何本も作られ公開されているため、僕はそのたびにWikipediaなどで紛争の概略を調べ直す。でも何度調べても、やっぱりよくわからない。これは一度、ちゃんと本を読んで勉強した方がよさそうだな。アンジェリーナ・ジョリーはこの映画で、紛争の中で起きた女性に対する性暴力を大きくクローズアップしている。20世紀の終わりになって、こんなことが平気でまかり通っていたことに驚くしかないのだが、戦争というのはそもそもがそういうものなのかもしれない。

(原題:In the Land of Blood and Honey)

8月10日(土)新宿ピカデリーほか全国ロードショー

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2013.07.26

映画|恋の渦

13072602 劇団ポツドールの同名舞台作品を、原作者である三浦大輔本人が脚色した辛辣なラブコメディ。コメディ……なのだろうか。たぶんコメディ……なんだろうな。導入部で登場人物全員を狭い部屋に集めてしまうのだが、その後はドロドロの愛欲模様。こうした群像劇ではたいてい誰かひとりぐらいは「この人が好きだ」とか「この人は俺に似ている」という人物がいるものなのだが、僕は登場人物たちの誰も好きになれないし、誰にも感情移入できない。しかし出てくるエピソードにはいちいち「こういうことって、あるよなぁ」とうなずいてしまう困った状態になってしまった。映画を観ていてとても不快だ。激しく不快感を覚える。それは出てくる不愉快なエピソードの多くに、自分なりに心当たりがあるからかもしれない。登場人物たちの多くが破滅的な結末を迎える中で、映画の最初にカップルになったブス女(失礼な言い方だが映画の中でそういう役なのだ)と冴えない男は、何となく今後もうまく続いていくんじゃないだろうか。割れ鍋に綴じ蓋。まあ、男女の仲なんてそんなもんだよな。

8月31日(土)オーディトリウム渋谷

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映画|HOMESICK ホームシック

13072601 勤務先の会社がつぶれ、住んでいる家も再開発で取り壊しが決まって引き渡しが間近に迫っている状況の中で、行くあてのない男が近所の子供たちと一緒に過ごす夏の日を描く。彼は自分の家に住んではいるが、不法占拠者でありホームレスなのだ。正直この主人公にはまったく共感も感情移入もできないのだが、それよりよくわからないのが、主人公を家から追い出す側に立つかつての同級生の女だ。地元に残り続けた主人公に対して、早々に地元を去って優良企業に勤務しているわけだが、この対比の意図がわかりにくい。この女が事あるごとに主人公を笑うのだが、その笑いの意味もわからない。演じている女優の芝居が曖昧なのだ。もう少し力のある女優が演じていれば、この役の意味合いはまったく違ったものになっただろう。それに比べると、子役たちの芝居はとてもいい。じつに自然だ。

8月10日(土)オーディトリウム渋谷

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2013.07.25

映画|マリリン・モンロー 瞳の中の秘密

13072503 新たに発見されたマリリン・モンロー本人のメモ書きをもとにしたドキュメンタリー映画。映画の中でも述べられているが、彼女について語る人は多く、本も書かれすぎている。語る人ごとに、書く人ごとにまったく違うマリリン・モンロー像が描かれるため、彼女についての印象も人それぞれだ。この映画では残されていたメモ書きから、マリリン・モンロー本人に自分の人生を、生き方の哲学を、悩みを、苦しみを、葛藤を語らせようとしている。ハリウッド映画で活躍する有名女優たちが、それぞれの言葉と肉体を通してマリリン・モンローになりきり、マリリン・モンローの肉声を蘇らせる。関係者のインタビューなどもあるが、それはマリリンの言葉を肉付ける二次的な素材に過ぎない。この映画の主役は、マリリン・モンロー本人なのだ。ただし全体の構成は従来のマリリン・モンロー像を大きく抜け出すものではなく(そもそも彼女について新たに語るべきものはほとんどないのだ)、映画を観ても新しい発見が何かあるわけではないが、ドキュメンタリー映画の作り方としては新鮮なものだったと思う。

(原題:Love, Marilyn)

10月5日(土)新宿ピカデリーほか全国ロードショー

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映画|月の下まで

13072502 自閉症の息子を抱えた漁師の男。妻は数年前に家を出て行ったまま戻らない。家の仕事や息子の世話は年老いた母親に任せきりだった。その母親が、急に亡くなってしまう。手のかかる息子を抱えて、男は思うように漁にも出られない。買って間もない船のローンはまだたっぷり残っている。男は精神的に追い詰められていく。高知新聞の記者だった奥村盛人監督の長編デビュー作。高知県を舞台にしたローカルムービーで、先行上映されている高知ではとても評判がいいとのこと。ローカルムービーはたくさん作られているが、本当に「ローカル」を感じさせる映画はあまりない。でもこの映画はちゃんと、その地方・地域の匂いがするような気がする。だからこそ、この映画は地元高知で受けているのだと思う。

9月14日(土)ヨーロスペース

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映画|地獄でなぜ悪い

13072501 刑務所から出所してくる妻に、娘の主演映画をプレゼントしようとするやくざの組長が、自主製作映画のスタッフたちと一緒に本物の抗争をそのまま映画化しようとする話。映画の冒頭から床一面の血糊。鮮血が頭上からシャワーのように降り注ぐスプラッタ描写。クライマックスでは戦う男たちの腕が飛び、足が飛び、首が飛び、銃撃で片っ端から人間たちが蜂の巣になって、血糊が所狭しとまき散らされる。園子温の映画だと、『自殺サークル』で女子高生たちが電車に飛び込むシーンの血糊の量も凄まじかったが、今回の映画はその何十倍だろう。それでいて、これは荒唐無稽なコメディなのだ。スプラッターはスラップスティック。長谷川博己のハイテンションぶりがすごい。堤真一がヘン顔で笑わせるのにも参った。やくざ映画のパロディであり、映画への偏愛がぎっしり詰まった作品であり、権力への不信をあらわにした作品でもある。2時間10分は長いか短いか。まあ『愛のむきだし』は4時間近くあったわけで、それに比べればぜんぜん短いわけだけど……。

9月28日(土)新宿バルト9ほか全国ロードショー

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2013.07.24

映画|ストラッター

13072403 全編モノクロの青春映画。恋人に振られたロック青年が、バンド仲間や、友人たちや、母親の恋人や、恋敵の男などとすったもんだの末に、新しい恋人と結ばれてめでたしめでたし……という単純明快なストーリー。小規模な低予算映画だが、物語はともかく、出演している役者たちの面構えがいい、硬質なモノクロ映像よし、音楽よしで、なかなかいいムードなのだ。劇中には主人公たちが自主映画を撮ったり、PVを録ったりするシーンも出てきて、これは「映画についての映画」でもある。自主映画やPVを8ミリや16ミリで撮影しているというのも、今となってはかなりマニアックだなぁ。ガールフレンドが働いているのがサイレント映画専門映画館というのも同じ。サイレント専門館は日本でも作ってくれないかなぁ。無理か。日本映画に限ると、作品がほとんど残ってないもんね。

(原題:Strutter)

9月14日(土) ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田

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映画|ハンナ・アーレント

13072402 良いことをする人は善人で、悪いことをするのは悪人だ。我々は子供の頃から、素直に、素朴に、そう信じてきた。だが「イェルサレムのアイヒマン」を書いた政治哲学者のハンナ・アーレントは、それは間違いだと言う。ナチスの戦犯アイヒマンは、なぜユダヤ人の大量殺戮を平然と行えたのか。それは彼が悪人だったからではない。彼はただ自分の仕事に忠実なだけだった。彼は自分の仕事が、どんな結果を生み出すのかも知っていた。だがそれはもはや、彼の仕事の管理下にはない。彼の仕事はユダヤ人たちを貨車に乗せて旧姓収容所に送ることだけで、その後のことは知ったことではないのだ。こうした悪を、アーレンとは「凡庸な悪」と呼び、これこそが人類史上もっとも巨大な悪だと言った。だがアーレントのこの意見は、当時の人々にはほとんど理解されない。世間の人々にとって、アイヒマンは血も涙もない極悪人でなければならかった。それを「平凡な男」と言ったアーレントは、「アイヒマンをかばっている」「ナチスを擁護している」と社会全体から袋だたきにされる。だがどうだろう。現在の我々はこうした「凡庸な悪」を身近に見てよく知っているのではないだろうか。原発事故後の政府と電力会社の振る舞いはどうだろう。沖縄を巡る政治家たちの振る舞いはどうだろう。そこにはアイヒマンと同じ「凡庸な悪」がうごめいている。

(原題:Hannah Arendt)

10月26日(土) 岩波ホール

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映画|天心

13072401 近代化を急ぐあまり日本固有の文化や芸術を「旧弊」として捨て去ろうとした明治期の日本で、日本美術の再興と改革に尽力した岡倉天心の伝記映画。東京を終われた天心が弟子たちと共に茨城県五浦(いづら)海岸で過ごした日々が中心で、物語の軸になるのは若くして亡くなった天才画家・菱田春草と、五浦組の中では最後まで長生きした横山大観の友情だ。映画としてはわかりにくいところも多いのだが、それはWikipediaを調べたりして補っていくしかない。天心の伝記映画としては、天心その人の心中をはかりかねるところもあって不可解。青春映画と呼ぶにはいささかトウが立っているが、それでもこれはやはり青春映画だと思う。ここに描かれているのは、近代日本画の青春時代なのだ。

10月 MOVIXつくばほか茨木先行公開
11月 シネマート新宿ほか全国順次公開

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2013.07.22

映画|風立ちぬ

13072201 ゼロ戦の設計者であり、戦後は国産旅客機YS-11の設計に携わった飛行機設計技師・堀越二郎の青春時代を、フィクションを大幅に織り込んで描いた宮崎駿の最新作。先日別の試写会に出かけて最初の30分で中座してしまったので、今回は改めて劇場で全編観てきた。これまでにない力作。1992年の『紅の豚』と同じく、宮崎駿の飛行機趣味が全開になっている作品だが、これは子供向けのお話し一切なし。映画は主人公二郎の少年時代から、関東大震災(1923年)を経て、設計者としての会心作である九試単座戦闘機の試験飛行(1935年)までをひとつの区切りにしている。翌年から日本はアメリカとの戦争を始めて日本中をメチャメチャにしてしまうのだが、この映画には戦争そのものは出てこない。ゼロ戦は最後に少しだけ、夢の中の場面に幻影として出てくる。映画の中では結核のヒロインが主人公に「美しいところだけを見せたい」という気持ちから、病気が重くなるとひとり高原のサナトリウムに戻ってしまうのだが、この映画の構成もそれと同じだ。映画は戦争が始まる前の、近代日本の最後の輝きを垣間見させて終わる。大きな物語と、小さな物語の見事な融合が果たされている。

7月20日(土)TOHOシネマズ スカラ座ほか全国

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2013.07.10

映画|JAPAN SHORTS 2013

10分程度の新作ショートフィルムを6本集めた特集上映の試写。映写順にごく簡単な感想。

『少女と、女』。ストーリーは面白い。アイデアもいいし、展開にも意外性がある。ただ映画を観ていてちょっと不快な印象しか残らないのは、ここにいる人間たちにリアリティを感じられないからだろう。

『Nostalgic woods』は、映研で映画を撮っている男が彼女に振られてふて腐れ、郊外ロケをしている時にずんずん森の中に入って行くという話。正直、最後の1シーンのオチ以外は余り面白くないのだが、このオチが人を食っていて面白い。

『夢を見た』。これも最後の1シーンでそれまでの前提をひっくり返すという映画。なんか、このパターンが多いなぁ。

『りんご』は殺伐とした近未来を舞台にした映画で、池脇千鶴が終始無言でサバイバルするホームレス女(?)を演じている。

『隕石とインポテンツ』。これはさんざん期待させておいて、最後のオチがなぁ……。なんだかコントみたいなアイデアの映画が多いのかなぁ。冒頭のシーンなんかはすごいと思ったし、その後もかなり高いテンションを維持するんだけど、最後の最後がバシッと決まらなかったのが残念。

『I’m home』は福島の被災地を舞台にしたドラマ。面白いし、凄みが感じられる。これは今回観た6本の中では一番良かったかもしれない。

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映画|スター・トレック イントゥ・ダークネス

13071001 出演者を大幅に若返らせた『スター・トレック』シリーズの第2作目。ロンドンにある宇宙艦隊の文書保管庫で大規模なテロが発生し、対策を話し合うため集まった幹部会議もまた襲撃を受ける。犯人はジョン・ハリソンという男だが、犯行直後に逃走してしまった。カークは仲間たちとともにハリソンの後を追うのだが、じつはハリソンはとてつもない秘密を抱えていた……。映画冒頭から見せ場がたっぷり。2時間12分の上映時間はあっと言う間に過ぎていく。僕はこのシリーズのファンというわけではないのだが、テレビシリーズやかつての映画シリーズなどを観ている筋金入りの人たちにとってはうれしい映画だろうと思う。悪役ハリソンを演じたベネディクト・カンバーバッチのカリスマ性がすごい。主役であるはずのクリス・パインやザッカリー・クイントを完全に食ってしまっている。

(原題:Star Trek Into Darkness)

8月23日(金)全国ロードショー

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2013.07.09

映画|パニック・マーケット3D

13070903 洪水(津波)で浸水した大型スーパーに、外から入り込んだ海水と一緒に大型のホオジロザメが侵入。店の中に閉じ込められた人間たちが、ひとりまたひとりとサメの餌食になって行く……という動物パニック映画。どこを取ってもどこかで観たことがあるような既視感に襲われる映画で、海水浴場に突然サメが!という展開は当然『ジョーズ』だろうし、建物の中にサメが入り込むのは『ディープ・ブルー』があったし、中国映画『超強台風』も同じようなネタだ。しかし娯楽映画にオリジナリティなんてものは必要ない。要するに面白ければそれでいいのだ。その開き直りにおいて、この映画は結構あの手この手で工夫をしている。「そんなもんあり得ねえよ!」というシーンも多いのだが、人格的に問題のある人物から殺されていくという、とても道徳的な展開。これもまた、娯楽映画には必須ですな。

(原題:Bait)

8月24日(土)シネマート新宿

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映画|野獣死すべし

13070901 大藪春彦の同名ハードボイル小説を映画化したものだが、同じ原作を1980年に松田優作主演で映画化した作品が有名だと思う。優作版『野獣死すべし』は間違いなく傑作なのだが、仲代版はそれとはまた違った凄みがあって強烈な印象を残す。この映画の伊達邦彦は、要するに生まれながらの人殺しなのだ。人を殺すことに何の良心のとがめも感じていない。松田優作版の伊達邦彦は内に宿る「狂気」によって殺人を合理化していたわけだが、仲代版の伊達にはその狂気が感じられない。しかし狂気なき殺人というのが一番狂っているわけで、その点ではこの映画の伊達邦彦は松田優作が演じた伊達の何倍もおかしな人間だ。松田版の伊達は、人間だった男が狂気の力を借りて人間以外の何者かになろうとしていた。だが仲代版の伊達はそもそも最初から人間ではない。根本的に立ち位置が違う異星人みたいな存在だ。それが怖い。ひどく怖い。

7月9日(火)新文芸坐

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映画|股旅三人やくざ

13070901 新文芸坐の仲代達矢特集。『股旅三人やくざ』は1965年(昭和40年)の東映作品。3話オムニバスで、監督は沢島忠。童謡「どじょっこふなっこ」の合唱に合わせて、秋・冬・春の3つのエピソードが綴られていく。仲代達矢が出ているのは最初の秋のエピソードで、偶然出会った宿場女郎を助けるために体を張る、旅暮らしに疲れた渡世人を演じている。駆け落ちしようとする男の顔も体も覚えていないのに、自分と所帯を持ちたいという男の一言にすがりつく女の悲しさ。おんぼろ船に仲代扮する渡世人と閉じ込められながら、その間「2日間だけきれいでいられた」と言う切なさ。社会の最底辺に生きる男と女が、互いに社会の最底辺にいるという共通点で結びつく。この第1話は他の2話に比べても徹底したリアリズム。これはどうも脚本を笠原和夫が書いているらしい。第2話は、松方弘樹扮する若いやくざと、志村喬扮する老やくざが登場する冬編。これは物語の舞台が限定されているワンセットドラマ。舞台劇のような雰囲気もある。第3話は中村錦之助主演のコメディ風作品。

7月9日(火)新文芸坐

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2013.07.04

映画|メキシカン・スーツケース

13070402 漫画の神様が手塚治虫なら、報道写真の神様はロバート・キャパだ。この場合「神様」というのは、たったひとりであるジャンルを開拓して確立しつつ、自らが確立したその分野で傑出した仕事をして、今も多くの人たちの目標となっている人のことだろうか。今でもキャパに憧れて報道写真家を目指す人は多いはずだし、キャパは今でも多くの報道写真家たちの目標であり続けている。そのキャパがスペイン内戦を取材して撮影した大量のネガフィルムが、2007年になってメキシコで発見された。なぜキャパの写真がメキシコにあったのか。なぜそれが今になって発見されたのか。この映画はキャパの写真を通して、今も多くの人たちの心の傷となっているスペイン内戦と、そのスペインから大量の亡命者を受け入れたメキシコの関係を紹介していく。キャパやその写真の話であると同時に、これはスペイン内戦と亡命者たちの話でもある。

(原題:The Mexican Suitcase)

8月24日(土)新宿シネマカリテ

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映画|女たちの都 〜ワッゲンオッゲン〜

13070401 熊本県天草市牛深を舞台にしたローカルムービー。確たる地場産業もなく、地盤沈下して行く町を救おうと、大竹しのぶ扮するヒロインが友人たちと一念発起して新事業を立ち上げる。それは廃業して長く廃屋同然になっていた元遊郭を、料亭として再オープンさせることだった。募集広告を打って人を集め、新しい仕事は軌道に乗り始めたのだが……。ローカル映画で方言なども盛り込まれているが、出演しているのは東京の俳優ばかりでキャスティングに地域色がないのが残念。こういうのはやはり映画の中から伝わってきてしまうものなのだなぁ……。随所に面白いところもあるのだが、それが映画としての大きなうねりにならずに終わってしまう。感心したのはラストシーン。雪が舞う中でのやけくその乱舞からは、未来への「希望」だけは捨てまいとする地方都市の心意気を感じる。

秋公開予定 シネスイッチ銀座

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2013.06.28

映画|ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界

13062802 1960年代前半(劇中に出てくるニュースなどから1962年だとわかる)のロンドンを舞台にした青春映画。子供時代を抜け出して少女が大人になっていく物語だが、この痛ましさには頭がクラクラしてくる。子供が大人になるというのは、結局「親が完璧ではないことを知る」「自分の住んでいる世界が美しくないことを知る」ということなのかもしれない。アレッサンドロ・ニヴォラが演じる大人になりきれない父親と、ティモシー・スポール、オリヴァー・プラット、アネット・ベニングなどが演じる大人たちの対比……。しかしアネット・ベニングは婆さんになったなぁ〜。婆さんになって迫力が増して、でもやっぱり美人だね。ヒロインを演じたエル・ファニングは、出演していた時点で役の年齢(17歳)より少し年下のはず。上手いなぁ。この映画を観ると、海外にもDQNネームがあるということがわかる。

(原題:Ginger & Rosa)

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8月公開 シアター・イメージフォーラム

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映画|キャプテンハーロック

13062801 松本零士原作の「宇宙海賊キャプテンハーロック」の3DCG映画。制作費27億円!(3,000万ドル)というのが売りだが本当だろうか。本当かもしれない。映像はかなりたいへんなものになっている。ただ最近のフォトリアリスティックなCGに慣れた目から見ると、ゲームのムービー画面みたいではあるけれど。しかし絵や声にはすぐに慣れる。今回の映画のためのオリジナル設定やストーリーも、まあ好き嫌いはありそうだけれど、僕自身は「ハーロック」にそれほど大きな思い入れがないので構わない。だがこの映画は、結末がどうもよくわからない。話として辻褄が合わないのだ。映画全体の構成もチグハグだし、ギクシャクしている。これは脚本をもう少し練った方がよかったような気がする。

(英題:Space Pirate Captain Harlock)

9月7日(土)公開

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2013.06.27

映画|処女の泉

13062901 娘が浮浪者たちに殺されたと知った父親が、復讐のため浮浪者たちを殺す話。結構残酷な話で、娘がレイプされるシーンや殺されるシーン、父親が浮浪者たちを肉切り包丁で突き殺す場面などは今観てもぞっとするようなリアリズムだ。たぶん当時の観客には、相当ショッキングな場面だったに違いない。浮浪者たちが殺した娘の衣服を剥ぎ取る場面や、娘を殺されたことを知った母が浮浪者たちを家に閉じ込めるためかんぬきをかける場面、さして罪のなさそうな幼い少年を、父親が怒りに任せて投げ殺してしまう場面など、印象的に残る場面は多い。少年が殺される場面は痛ましいのだが、これがないと復讐が正当なものに見えてしまう。復讐は必ず行きすぎるものであり、復讐は必ず虚しいものに終わる。それを象徴するのがこの少年なのだろう。「なぜ娘は殺されたのだ!」「あなたは見ていたのになぜ助けてくれなかったのだ!」と神に問いかけながら、しかしその神に自らの罪の赦しを請い、神の栄光を讃えることでしか人は生きられない。泉が湧き出るのはそんな人間に対する神の応答だが、なんというか、ひどく残酷な神だなぁ……。

(原題:Jungfrukällan)

7月20日(土)ユーロスペース

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映画|第七の封印

13062901 タイトルの『第七の封印』とは、新約聖書のヨハネの黙示録に登場する。中世のヨーロッパを舞台にした寓話風の物語。十字軍の遠征から戻った騎士が10年ぶりに故郷に戻ったら、そこでペストが猛威を振るっていた。騎士を演じるのはマックス・フォン・シドー。この人、まだ生きているのが凄いな……。『野いちご』にもガソリンスタンドの主人役でワンシーンに出演しているのだが、この映画と『処女の泉』では主役になる。しかしこの映画の騎士以上に存在感たっぷりなのは、黒衣に身を包んだ死神だろう。このビジュアルのインパクトは凄い。『吸血鬼ノスフェラトゥ』に登場するドラキュラ伯爵などと並んで、映画史に残る姿だと思う。不気味な話で残酷なシーンもたくさんあるが、随所に出てくるユーモアにクスクス笑ってしまいそうになることもある。死神も笑いの対象だ。そういや落語の「死神」も、恐ろしさとユーモアがない交ぜになった存在だった。ちょうどあんな感じだ。最後に主人公が死神を出し抜くことが出来ず死んでしまうのも落語と同じ。

(原題:Det sjunde inseglet)

7月20日(土)ユーロスペース

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映画|野いちご

13062901 高齢の学者が自動車で息子の住む町までドライブ。その間に若い頃に夏を過ごした家の前を通ったり、老母が住む家を訪ねたりしながら、自分の過去に思いを馳せるというロードムービー。過去と現在が白日夢のような幻想の中でつながり、また過去と現在とが呼び合うように悪夢が忍び寄る。この日は続けざまに3本のベルイマン作品を観たのだが、その中では唯一の現代劇。といってもここに描かれているのは1950年代だから今から半世紀以上も昔のこと。その映画の中で、主人公がさらに半世紀も前の過去を思い出す。思い出の中で、主人公は老人の姿をしている。思い出の中で過去に戻ろうとも、人は人生の「今この時」から自由になれない。

(原題:Smultronstället)

7月20日(土)ユーロスペース

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2013.06.21

映画|最後のマイ・ウェイ

13062101 フランク・シナトラの大ヒット曲であり、晩年の彼のテーマソングともなっていた「マイ・ウェイ」の原曲は、フランスの歌手が歌ったまったく別の歌詞の曲だった。たまたまその曲を知った歌手のポール・アンカが英語でオリジナルの歌詞を作り、シナトラに提供したところ大ヒット。そんなエピソードを知っている人も、オリジナルのフランス語版を作った歌手についてどれだけ知っているだろうか。この映画は「マイ・ウェイ」の原曲「いつものように」を作詞作曲したフランスの人気歌手、クロード・フランソワの伝記映画。この歌手のことはほとんど知らなかったが、なんともすごい歌手が実在したものだ。伝記映画としては主人公の少年時代から、その死までを時系列に描くストレートな切り口。歌手として成功して行くサクセスストーリーを縦軸に、そこに歌手になるのに反対した父との確執や主人公のロマンスをからめていく構成は、世界初のトーキー映画『ジャズ・シンガー』以来の伝統を踏まえている。劇中にはクロクロことクロード・フランソワのヒット曲が散りばめられているのだが、これは『ジャズ・シンガー』の主演俳優アル・ジョルスンの伝記映画『ジョルスン物語』以来の伝統だ。主演のジェレミー・レニエは本人そっくりで、歌うシーンもまったく違和感がない。歌手の伝記映画としては極上のデキだ。2時間半が短く観じられる。『ジョルスン物語』みたいに続編を作れないのが残念。

(原題:Cloclo)

7月20日(土)Bunkamuraル・シネマ

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2013.06.20

映画|囚われ人 パラワン島観光客21人誘拐事件

13062001 9.11テロと同じ年、2001年5月にフィリピンで起きた、観光客21人(20人?)の誘拐事件を実話にもとづいて映画化した作品。事件については今でも謎に包まれている部分が残っているそうで、そうした不可解な部分をフィクションで埋めていくために必要な人物として、イザベル・ユペール演じるフランス人の人質が設定されている。事件解決まで1年以上かかっているのだが、テログループと人質たちの道中はまるでピクニック。町の中を堂々と移動して病院で一休みしたり(病院ならベッドもシャワーも食料もあるから便利)、軍隊を見かけて意味もなく発砲して大銃撃戦になったり、かと思えば衆人環視の中で堂々とその場を脱出して逃げおおせたり……。なんというか、犯人グループ側もユルユルだし、それを追う警察や軍の側もユルユルなのだ。ジャングルに逃げ込んだテログループを少数の軍隊が追って返り討ちに遭う場面を見ていると、散発的な兵員投入で犠牲になった兵士たちが気の毒でしょうがない。もっと大規模に軍隊を送って、一気に片付けてしまえばいいのになぁ……と思っていると最後はそうなるわけだが。でもこのユルユルのところが、実録ドラマとしてはひどく生々しい。ハリウッド映画みたいに年がら年中緊迫していたら、1年以上もジャングルの中で暮らせないだろうしな。

(原題:Captive)

7月6日(土)シネマート新宿

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2013.06.19

映画|台湾アイデンティティー

13061901 台湾は1895年から1945年まで日本統治下にあった。台湾国内では子供たちが日本語で教育を受け、成績優秀な者は日本に留学して台湾のリーダーになることを期待された。戦争中に台湾人は兵役を免除されていたが、多くの台湾人の若者たちが「祖国日本のため」に自ら兵になることを志願して前線に向かった。(戦争末期の1944年には台湾でも徴兵制が始まる。)だが戦争が終わると、台湾統治は日本から蒋介石の国民党に委譲される。しかしその統治はひどく差別的であり、役人たちの不正も多かった。台湾人たちは法による秩序が整っていた日本統治時代を懐かしみ、国民党に抗議の声をあげるが、これは武力で鎮圧され、やがて台湾全土に戒厳令が施行される。かつての反政府主義者や日本シンパは白色テロの標的となり、多くの台湾人たちが命を落とした。この映画はそんな時代をくぐり抜けてきた、日本語世代の台湾人たちを取材したドキュメンタリーだ。

7月6日(土)ポレポレ東中野

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2013.06.04

映画|もうひとつの世界

13060401 見習修道女が公園で捨て子を押し付けられて病院に連れて行くのだが、何度か子供を見舞っているうちにすっかり情が移ってしまう。子供をくるんでいたセーターがとあるクリーニング店経営者のものだったことから、この経営者は昔ちょっとだけ付き合ったことがある女性との間に生まれた自分の子供ではないかと疑い出す。こうして本来なら出会うはずのなかった人間たちが出会い、そこでそれまでの人生が決定的に変わる。自分の中にありながらも目を背け、自分自身で否定していた自らの願いや本音が明らかになる。ドラマとしての面白さはもちろん、女子修道会の仕事や修道女の生活振りが丁寧に描かれているのが面白い。

(原題:Fuori dal mondo)

6月29日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町

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映画|ハートの問題

13060401 ローマで同じ夜、同じ時間帯に心臓発作を起こし、同じ病院で治療を受けて、同じ病室で療養することになった、同じ世代の男ふたり。しかしふたりの性格は正反対だった……という、ユーモラスなドラマ作品。かなりシリアスなテーマを扱っているが、語り口は軽やか。これは昨年ヒットした『最強のふたり』に通じる世界かもしれない。主人公のひとりが映画の脚本家という設定だが、彼が子供にせがまれて「お話しの作り方」をレクチャーする場面は面白い。たぶんこれが、この映画の脚本家なりの物語作りのメソッドなのだろう。この脚本家は中年のハゲ男なのだが、口八丁手八丁で女をまめに口説きまくる。しかもかなりの確率で成功(性交?)しているのだから恐れ入る。世の中年男性は自分がもてないのをハゲのせいにしちゃいかんよ。

(原題:Questione di cuore)

6月29日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町

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2013.06.03

映画|ハード・ラッシュ

13060301 危険な犯罪稼業から足を洗って堅気になり、家族と共に平和な日々を送っていた男が、弟分や昔の仲間を助けるために再び危険な世界に戻っていく……という定番の筋立て。この映画では男の稼業が「運び屋」になっているのがミソ。よくあるパターンの映画はそのままストレートによくあるパターンをなぞれば力強い映画になるが、一方でそれはマンネリのワンパターンにもなりかねない。そこで脚本をあちこち触ってひねりをきかせるのだが、ひねりすぎると本来のシンプルな物語のダイナミズムが消えてしまう。この映画はいじくりすぎたケースで、観客を驚かせよう、面白がらせようとあれこれアイデアを注ぎ込んだ挙げ句、最初から最後まで全部が見せ場の総花的な映画になってしまった。マーク・ウォルバーグ演じる主人公の家族団らんとか、仲間同士のユーモアとか、映画の中で観客がホッとできる場面をもっと作ってくれるとよかったんだけどな。

(原題:Contraband)

6月15日(土)丸の内ルーブル、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか

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2013.05.29

映画|ベルリンファイル

13052902 豪華キャストの大型スパイアクション映画なのだが、もうひとつスッキリしないのはなぜだろう。北朝鮮と韓国のスパイ同士がしのぎを削る話で、これ自体は昔からあるパターン。ただこの映画ではハン・ソッキュが演じる韓国側の情報局員が狂言回しで、実際の主人公はハ・ジョンウが演じている北朝鮮側の諜報員なのだ。北朝鮮のスパイが明らかにこの映画のヒーロー。だが韓国ではそれをあまり露骨にも描けないので、ハン・ソッキュを出してきてダブル主演の体裁でそのあたりをぼかしてある。しかしこのぼかし方がどうも言い訳がましい。物語自体を北朝鮮スパイの視点で描き、韓国側をまるっきり脇役か敵役にしてしまった方が、サスペンスとしては盛り上がったような気がするのだ。その上で、最終的にはやはり北朝鮮の非人間性が浮かび上がってくるような映画にすることは可能だったと思うし、その方がずっと残酷な映画になったと思うけどなぁ……。

(原題:베를린 The Berlin File)

7月13日(土)新宿ピカデリーほか全国ロードショー

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映画|クロワッサンで朝食を

13052901 名奉行大岡越前がある事件の取り調べの参考にと「女はいつまで性欲があるのか」と老母にたずねたところ、母は黙って火鉢の灰を火箸でならしていたという。越前はこれを見て「なるほど、女の性欲は灰になるまで(死ぬまで)続くのか」と悟ったらしい。本当か嘘かは知らないが、わりとよく知られている話だ。でも死ぬまで性欲がある女の人ってどうなんだ?と思ったら、この映画の主人公がまさにそういうタイプだった。ジャンヌ・モローが演じるフリーダという老女は、いつまでも「女」であることをやめない。訪ねてきた昔の恋人に「わたしってモンスターかしら?」とたずねると、彼は一言「そうだな」と答える。この会話にまったく違和感がないのだからすごい。このあとの場面もすごかったのだが、それはさておき、ジャンヌ・モローは年を取ってもチャーミング。しわくちゃの婆さんなんだけど、ふと笑顔を見せたときのその表情に、若かりし日の面影が今もしっかり残っている。輝かしい華やかな笑顔。ああ、ジャンヌ・モローだ!と思う瞬間だ。

(原題:Une Estonienne à Paris)

7月頃 シネスイッチ銀座

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2013.05.24

映画|G.I.ジョー バック2リベンジ

13052401 1作目は観ていないのだが、2作目から見てきた『G.I.ジョー』。いろいろと見どころの多い映画だったが、一番の見どころは断崖絶壁の上をロープ1本で飛び回りながらのチャンバラシーン。これは以前、シルク・ドゥ・ソレイユの映画で似たようなものを見たことがある。おそらくアイデアのもとは同じだと思う。面白かったのは、映画の終盤で悪の組織が「世界中の核兵器を廃絶しよう」という提案を行い、強引に世界中にその提案を飲ませてしまうというエピソード。やり方は物凄く強引なのだが、このエピソードの真意がよくわからない。このぐらい強引にやらないと核廃絶などできないのだから、現実には核兵器全廃なんて無理だよな……という意味なのか。それとも悪の組織が提案する核廃絶自体が、そもそも悪だという理屈なのか。世界中の核保有国の中に、ちゃっかり北朝鮮が入っているのが意味深だ。おそらく北朝鮮の政治指導者たちは、この映画を観て涙を流して喜ぶに違いない。何しろアメリカやロシアやフランスやインドや中国などと共に、自分たちの代表も核保有国の一員として扱ってもらっているのだから。でも北朝鮮の核兵器がミサイルに搭載されるのは時間の問題だろうから、いずれ同じような場面が現実の政治の世界でも見られるようになるのかも。

(原題:G.I. Joe: Retaliation)

6月7日(金)先行ロードショー
6月8日(土)TOHOシネマズスカラ座ほか

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2013.05.17

映画|インポッシブル

13051701 2004年の年末に起きたスマトラ沖地震は、地震による大規模な津波で30万人とも言われる死者・行方不明者を出した。この映画はタイのリゾート地でその大津波に襲われ、家族全員が津波の濁流に呑み込まれながら奇跡的に全員が生き延びて再会を果たした実話の映画化。モデルになったのはスペイン人一家のようで、映画自体もスペイン映画。しかし世界マーケットを意識して、ナオミ・ワッツとユアン・マクレガー主演の英語作品になっている。事実の歪曲だと言うなかれ。ヨーロッパの映画界がある程度の大作を作ろうとすれば、こうやって世界のマーケットに出さないと成り立たないのだ。この点で日本映画は日本語のままでも商売が成り立つのだから恵まれているのかもしれないし、世界に進出する機会が減っているのかもしれない。まあこれは映画自体とは別の話ではあるけれど……。この映画はやはり観ていて痛々しい。スマトラ大地震での津波の様子はイーストウッドの『ヒアアフター』にも描かれていたが、被害の様子をどうしても東北の被災地に重ね合わせて見てしまう。行方不明になった家族を探してあちこちの避難所や病院を回り、掲示板に目を通す人たちの姿は、2年前の日本でも見られたものだろう。奇跡的に家族全員が助かった家族の物語はハッピーエンドが約束されているのだが、この生還は本人たちの努力云々ではなく偶然のなせるわざ。感動的なドラマだが、失われたものの大きさを思うと苦い結末だ。

(原題:Lo imposible)

6月14日(金)TOHOシネマズシャンテほか

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2013.05.15

映画|トゥ・ザ・ワンダー

13051502 良くも悪くもテレンス・マリックの作品だ。素晴らしい映像美と、その上にかぶせられた出演者たちの心の声のようなナレーション、管弦楽曲。『ニュー・ワールド』から『ツリー・オブ・ライフ』、今回の『トゥ・ザ・ワンダー』までそれは一貫しているように思う。今回の物語はシンプルだ。ヨーロッパで子持ちの若いフランス人女性と知り合ったアメリカ人男性が彼女と恋に落ち、いろいろあって彼女と結婚することになるが、その後は気持ちのすれ違いから別れてしまうという話。基本的に「駄目になっていく男女関係」の話なので、映画を観ていてもちょっと気が滅入ってくる。映画には「なぜそうなったのか」「他に方法がなかったのか」という話がまったく出てこない。描かれているのは「状況」ではなく、既にある状況の中で右往左往している人間の「気持ち」なのだ。この映画は登場人物たちの置かれた状況に寄り添うのではなく、登場人物たちの気持ちにぴったりと寄り添っている。状況説明はないけれど、本人の気持ちだけが垂れ流しなのだ。これって何かに似ていないか? 酔っ払いのよくわからないグチである。気持ちはわかる。でも済まない。お前の言っていることはさっぱりわからないのだよ……。この映画が酔っ払いのグチと違うのは、映像が途方もなく美しいということだ。

(原題:To the Wonder)

8月公開予定 TOHOシネマズシャンテほか

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映画|夏の終り

13051501 瀬戸内寂聴について、僕の母親はずいぶん昔だが、「瀬戸内晴美でしょ? あの人の書く小説はイヤラシイ」と言った。本作はその瀬戸内晴美(後の寂聴)が昭和37年に発表した小説の映画化。これを観ると、瀬戸内作品をリアルタイムで読んでいる人たちが「イヤラシイ」と言う理由が、なんとなくわかるような気がするのであった……。本作は原作者の実生活を色濃く反映した自伝的小説で、登場人物にはそれぞれモデルになる人物がいる。宮沢りえが主演した瀬戸内寂聴の伝記ドラマ「出家とは生きながら死ぬこと」では、実在の人物名を小説「夏の終り」の人名と入れ替えており、瀬戸内作品を読む人にとっては、この作品が著者の自伝そのものに近い扱いを受けていることがわかる。主演は満島ひかりだが、この人はこの年でもう大女優の貫禄が出てきている。男女の腐れ縁を描いた作品ということで、この映画を観ていると成瀬巳喜男の『浮雲』を思い出してしまうのだが、満島ひかりに僕は往年の高峰秀子を感じてしまうし、この作品の小林薫にも森雅之を多少感じないわけではない。時代的にも昭和20年代から30年代が舞台だから、少し重なり合うところもあるんだけど……。熊切和嘉監督は『海炭市叙景』に通じる落ち着いたタッチ。監督インタビューを読むと、やはり成瀬巳喜男や小津安二郎の映画をかなり参考にしたとのこと。

8月31日(土)有楽町スバル座、テアトル新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷

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2013.05.02

映画|モネ・ゲーム

13050201 美術品コレクターの大富豪に煮え湯を飲まされ続けている美術品鑑定士が、モネの贋作でコレクターを一杯食わせようとする話。計画はよく練られていたが、騙そうとする側がまるで素人なので話は計画通りに進まない。話をそれらしく演出するためアメリカから呼びよせた女が、コレクターに気に入られてしまったことから話はさらにややこしくなる……。詐欺映画にしては軽やかさに欠けるが、これはもともとそういう男を主人公にした映画なのだからそれ自体が欠点というわけではない。ただ全体として、必要以上にボリュームたっぷりの印象は受ける。配役が豪華であることは別に悪いことではないのだが、話がもたつくので(そういう話だからしょうがない面もあるのだが)その豪華さが重荷になってしまう。豪華キャストの詐欺映画といえば『オーシャンズ11』があるけど、あっちはプロフェッショナル集団だから話がサクサク進んでいく楽しさがある。でも『モネ・ゲーム』はそれがない。まあこれはこれで面白いんだけれど。

(原題:Gambit)

5月17日(金)TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー

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2013.04.24

映画|フィギュアなあなた

13042403 石井隆監督のエロチック・ファンタジー。石井作品だから当然バイオレンスもあるのだが、今回はそれがファンタジーのフィルターにかけられているのであまりギョッとすることはない。むしろギョッとさせられるのは、ここに出てくるエロチックな妄想の部分だろう。佐々木心音のおっぴろげジャンプには胸が躍る以前に、呆れ果てて開いた口がふさがらない。映画監督はここまであからさまに、己の欲望をストレートに表現してしまっていいものなのだろうか。多少なりとも恥じらいというものはないのか。若いグラビアアイドルにあられもない格好をさせて、それを舐めるようにカメラで撮影してゆくシーンの連続は、ポルノと呼ぶにしては即物的な視点に過ぎる。タイトル通り、ここにあるのは生身の女の肉体というより、ひとつのフィギュアであり生けるオブジェなのだ。そんなヒロインになりきった、佐々木心音の根性には感心する。石井監督にここまでいじめ抜かれて、よく頑張りました。

6月15日(土)池袋シネマ・ロサ

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映画|アンコール!!

13042402 妻を失った頑固ジイサンが、妻の所属していた老人コーラスグループに参加。意外な美声を披露してコンクール出場を目指すという、コメディタッチのヒューマンドラマ。主演のテレンス・スタンプ本人が何曲か歌っているが、ラストでしっとりと歌い上げられる「眠りつく君へ」(ビリー・ジョエル)が感動的。ヴァネッサ・レッドグレイヴが歌う「トゥルー・カラーズ」(シンディ・ローパー)も良かった。素材としては地味なのだが、大スターの存在感で最後まで見せ切ってしまう映画でもある。日本でリメイクするなら誰が主役になるのがいいだろうか。頑固で憎まれ口ばかり、息子との関係がギクシャクして心を痛めているが、それを修復することができない不器用な男。高倉健や菅原文太クラスの俳優が出てくれないと、これはもたないだろうなぁ。日本でリメイクするとなると、ドラマに織り込んでいく楽曲を何にするかがまた悩ましいけれど、こういうのをごちゃごちゃと頭の中で考えるのは楽しいものです。

(原題:Song for Marion)

6月28日(金)TOHOシネマズシャンテ
7月5日(金)全国公開

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映画|旅立ちの島唄 〜十五の春〜

13042401 沖縄本島から360キロ離れた南大東島は、明治に開拓されたサトウキビの島だ。島には小中学校があるが高校はない。そのため島の子供たちは中学を卒業すると、親元を離れて沖縄本島や本土の高校に進学する。この映画はそんな南大東島で暮らす、中学3年生の少女を主人公にしたドラマ作品。思春期の少女がたった1年で子供から大人へと成長してゆく姿を、バラバラに暮らす家族の姿とからめながら丁寧に描いていく。重たいドラマだが、音楽演奏シーンなどを効果的に使っていて印象は軽やか。子供が大人になるための「通過儀礼」の物語とも言える。爽やかな青春映画。主演の三吉彩花が素晴らしく、両親役の大竹しのぶと小林薫もベテランらしい好サポートを見せる。

4月27日(土)那覇・桜坂劇場にて先行公開
5月18日(土)シネスイッチ銀座

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2013.04.22

映画|グランド・マスター

13042201 ウォン・カーウァイ監督が描く、伝説の武術家でブルース・リーの師匠だった葉問(イップ・マン)の伝記映画。葉問の伝記はドニー・イェンの『イップ・マン』二部作があって大ヒットしているのだが、『グランド・マスター』はそれより実話に近いのかもしれない。映画の予告編ではもっと激しいカンフーバトルになるような気もしたが、物語は1930年代の佛山から始まり、1960年代の香港で終わる実録大河ドラマだった。バトルシーンは、一応あることはある。しかしあまり強い印象を残すものではない。武術指導がユエン・ウーピンだから、どうしても先行する他の映画と似てしまうのだ。実録だからあまり荒唐無稽なこともできない。映像はきれいなのだが、なんだか眠たい映画だなぁ……という印象。要するに痛快娯楽活劇ではなくて、芸術映画なのだなぁ。芸術文芸畑のアン・リーが『グリーン・デスティニー』が撮った例もあるが、この映画については良い意味でも悪い意味でもウォン・カーウァイの映画であった。『楽園の瑕』(1994)に戸惑った、当時の映画ファンの気持ちがわかるような気がする。ちなみに僕が一番戸惑ったのは、エンディングに近い場面で流れてくるエンニオ・モリコーネの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」のテーマ曲。いいのか、これで!

(原題:一代宗師 The Grandmaster)

5月31日(金)TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー

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2013.04.18

映画|欲望のバージニア

13041801 1930年代初頭の禁酒法時代に、バージニア州で密造酒を造っていたボンデュラント兄弟の実話を映画化。大不況時代のアメリカで、自分たちの食い扶持を稼ぐため稼業として密造酒造りに精を出していた男たちにとって、取り締まり当局との関係は持ちつ持たれつだった。だがそこに新任検事の特別補佐官レイクスは、賄賂の大幅アップを要求。これに従わない者たちを、捜査権限を使って容赦なく叩き潰していく。ボンデュラント兄弟はこの要求を突っぱねたことから、レイクスに徹底的にマークされることになるのだった……。禁酒法時代に捜査当局と対立する男たちと言えばアル・カポネのようなギャングたちが有名だが、この映画は都市部の酒密売で巨万の富を築いた男たちではなく、都会を遠く離れた山の中で密造酒造りをしていた無名の男たちが主人公。彼らは法を破ってはいるが、ギャングではなく、本質は農民なのだろう。

(原題:Lawless)

6月29日(土)丸の内TOEI、新宿バルト9

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2013.04.17

映画|私のオオカミ少年

13041701 父親を亡くした少女が、引っ越し先の田舎の村で出会ったのは、言葉を喋れない不思議な少年だった……。「オオカミ少年」と言うから嘘つき少年の話かと思ったら、これは少年が狼男だったというお話。映画が始まる前に宣伝会社の前説で「女性の方は涙に備えてハンカチをご用意ください」などと言っていたのだが、映画を観てなるほどと思った。物語の設定自体はいささか古風すぎるし不可解なところもあるのだが、SF風、あるいはファンタジー風のメロドラマとしては面白く観られる。でもこれって、韓国版の『トワイライト』みたいなものかもな……。映画を観ていて一番不思議だったのは、物語の時代背景が47年前になっていること。なぜ47年前なんだろうか。特にその必然性があるエピソードはなかったと思うけどなぁ。

(原題:늑대소년)

5月25日(土)新宿シネマカリテ、109シネマズ川崎ほか全国ロードショー

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2013.04.11

映画|イノセント・ガーデン

13041102 『オールド・ボーイ』のパク・チャヌク監督が、ハリウッドで撮ったサスペンス・スリラー映画。資産家一家の父親が交通事故死し、それと入れ替わるようにやってきた父の弟。家族の周辺にいる人々が少しずつ消えて行き、最後には主人公さえ消えてしまうという不思議な構成の物語だ。ストーリーは面白いのだが、登場人物たちが全員感情を押し殺し、作り笑いや作られた無表情さを装っているような映画でもある。ミステリーがあり、スリルもあれば、サスペンスもある。出演している俳優たちも立派な顔ぶれ。しかしこの映画にはエモーションがない。ほとばしるような、感情の爆発がない。ヒロインのインディアを演じるミア・ワシコウスカは、小さなイモムシがサナギになりチョウへと変身するように、この映画の中で大きく華麗に(?)変身を遂げる。しかしその変身の過程に、劇的なものが感じられない。最後の最後に、いつの間にか変身していた感じだ。

(原題:Stoker)

5月31日(土)TOHOシネマズシャンテ、シネマカリテほか全国ロードショー

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映画|セレステ∞ジェシー

13041101 タイトルは「セレステ・アンド・ジェシー」と読む。原題が「セレステ・アンド・ジェシー・フォーエバー」なので、「フォーエバー(永遠)」にかこつけて無限大記号を使っている。プレスやポスターのタイトルロゴでは、「&」が横に倒れて「∞」に見えるような形のデザインにして、「∞」の下に小さく「and」とフリガナ(?)が添えてある。ちょっとシャレてるけど、記事などでタイトルをどう表記すればいいのかわかりにくい。映画の中身もちょっとわかりにくい。友達夫婦みたいなカップルが、「夫婦でいるといろいろ面倒なこともある。ケンカもあるし、互いの仕事についても口出ししたくなる。これならいっそ別れて友達同士になった方がマシ!」ということで別れて親友になる話だ。なぜここで「夫婦はやめて恋人同士に戻る」という選択肢がなかったのかは謎だけど、まあとりあえず友達の関係にまで後退する。この選択をリードしたのは妻のセレステで、夫のジェシーはそれに賛成したものの、じつはまだ妻に未練たらたらで復縁の機会を狙っているのだが……。別れた夫は妻を忘れるために別の女性と交際を始め、そうなって初めて妻は自分が夫との暮らしを望んでいたことに気付く。ありがちな気持ちのすれ違い。僕の感想は一言でいえば「あんたらバカじゃないの?」である。でも人間は得てして大まじめに、真剣な気持ちでバカなことをしでかすのである。そのバカっぷりには共感してしまう。僕もバカだからね。

(原題:Celeste & Jesse Forever)

5月25日(土)渋谷シネクイントほか全国ロードショー

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2013.04.10

映画|パパの木

13031002 父が急死して母と4人の子供たちが残された家。家のすぐ脇に立つ巨大な木を、家族は亡くなった父であるかのように感じて、時に語りかけ、その声に耳を傾ける。だが大きくそだった木は四方八方に枝だと根を広げ、家の屋根を突き破り、土台を壊しはじめる。それは亡くなった父の声のようでもあった……。シャルロット・ゲンズブール主演のドラマ作品で、愛する人を失った喪失感と心の傷が、少しずつ癒されていく様子を描く。巨大な木は亡くなった父親の亡霊のように家族を見守るが、それは家族を縛り付け支配しようとする。オーストラリアの自然がとにかく美しいのだが、自然の中で暮らすことの難しさもたっぷり描かれている。僕にはとても、あんな暮らしはできそうにないなぁ……。

(原題:The Tree)

6月上旬 シネスイッチ銀座

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映画|じんじん

12041001 俳優の大地康雄が自ら企画主演したヒューマンドラマ。大道芸人をしている主人公の姿はどう見ても『男はつらいよ』の車寅次郎だ。この映画は、あり得たかもしれない、もうひとりの車寅次郎の物語に思えてならない。寅さんがどこかの段階でマドンナと結ばれて所帯を持ち、放浪暮らしをやめて堅気の勤め人になったとしたらどうだろう。たぶん寅さんにそんな暮らしは似合わない。新しい暮らしに馴染めないまま、またフラフラともとの浮草暮らしに戻ってしまうだろう。この映画の主人公・立石銀三郎は、そんな寅さんなのだ。佐藤B作が演じる幼馴染みは、寅さんシリーズにおける妹さくらの役回りだ。マドンナは若村麻由美。寅さんである銀三郎は形通りにマドンナに恋をして、形通りにマドンナに振られるのだ。映画の最後に、旅先の主人公の威勢の良い商売の声が響くのも寅さんシリーズと同じ。

7月13日(土)シネマート新宿ほか全国順次公開
※5月18日(土)より北海道先行上映

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2013.04.09

映画|藁の楯

13040901 「BE-BOP-HIGHSCHOOL」の作者でもあった小説家・木内一裕の同名小説を三池崇史監督が映画化した、バイオレンス描写たっぷりのアクション・スリラー映画。10億円の懸賞金がかけられた連続殺人犯を、福岡から東京まで護送する刑事とSPの奮闘を描く。次々に危機が訪れて、それをひとつクリアするとまた次の危機が訪れて……という話の展開に息つく間もない。話の構成としては、黒澤の『隠し砦の三悪人』に似ているのだ。だが『隠し砦』と違って、この映画には最後の最後まで爽快感がない。護送される容疑者を演じた藤原竜也が、最後の最後まで食わせものなのがいい。ひょっとすると、最後の最後まで観客の予想をいい意味で裏切ったのは彼かも。大沢たかおはともかく、松嶋菜々子でハードボイルドというキャスティングも意外性があっても面白い。伊武雅刀も今回は役者としての底力を見せた。これはハリウッドでリメイクするならどんな配役かな。山崎努の役はクリストファー・プラマーかな……などと思いながら見ていた。

4月26日(金)公開劇場

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2013.04.03

映画|ウィ・アンド・アイ

13040302 学年最後の1日を終えて帰宅のためのバスに乗る高校生たち。映画は学校で終業のベルが鳴るところから始まり、バスが高校生たちを乗せて動き出し、最後の高校生を降ろすところまでを時系列に描いていく。ロードムービーであり群像劇。そして観客たちは高校生たちと一緒に1時間半以上もバスで長旅をすることになる。アメリカの高校生たちは、こんなに長距離のバス通学をしてるのだろうか。なんだか大変だなぁ……という気持ちにもさせられる。高校生集団が少しずつ人数を減って行く中で、身にまとっていた重いヨロイのようなものを下ろして、裸の自分をさらけ出していく。しかしこの高校生たちの乱暴狼藉には目を覆いたくなる。まるでパーティ会場だ。大声で叫ぶ。食べ物をまき散らす。他の乗客をからかい、禁煙の社内でタバコをプカプカ。こんなバスには絶対に乗りたくないなぁ……。

(原題:The We and the I)

4月27日(土)シアター・イメージフォーラム、シネ・リーブル梅田

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映画|愛さえあれば

13040301 『ある愛の風景』や『未来を生きる君たちへ』のスサンネ・ピア監督による、ちょっとほろ苦い味わいのする大人のためのラブコメディ。主演はトリーネ・ディアホルムとピアース・ブロスナンだが、この映画をブロスナンの視点で見るとあちこちに不自然な点が出てきてしまう。これはデンマーク映画なのだから、デンマーク人のヒロインの視点で映画を観ればいい。そうすればこの映画は、それなりに面白く観られるはず。映画としての弱点はブロスナン扮する実業家の男が、なぜヒロインに惹かれたのかなのだ。どちらかと言えば欠点の多いヒロインだから、なおさらそう思ってしまう。でもヒロインの視点でこの映画を観れば、そうした欠点には目をつぶれるはず。だってイケメンのお金持ちが自分に惚れてくれて、嫌な気分になる女性なんていないでしょ? 理由なんてどうだっていいじゃん!

(原題:Den skaldede frisør)

5月17日(金)TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館

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2013.04.01

映画|箱入り息子の恋

13040102 年齢35歳。彼女いない歴35年。童貞。趣味はカエルの飼育とゲーム。特技はカエルの鳴き声の物まね。そんな主人公が初めての見合いで出会った相手は、色白美人の深窓の令嬢。だが彼女は子供の頃から目が見えなかった。彼女の父親は「お前のような男に娘が守れるのか!」と息巻くが、彼女の母はこの見合いにむしろ乗り気であれこれと二人のために世話を焼く。何度かのデートを重ねて関係を深めて行くふたり。だがこのことが、彼女の父にばれてしまい……。これは面白かった。今年になって観た映画の中ではナンバーワンで、たぶん今年この後にどんな映画を観ても、これが5本の指からこぼれ落ちることはないだろう。吉牛(吉野家の牛丼)でこれほど泣かせる映画がこれまであっただろうか。「そんなものはない!」と断言しよう。そしてそんな映画はこれからも「絶対に現れない!」と断言できるのだ。恋をするって素晴らしい。年甲斐もなく、素直にそう思える映画だ。

6月8日(土) テアトル新宿、HTC有楽町ほか

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映画|極道の妻たちNeo

13040101 家田荘子原作の人気シリーズ「極道の妻たち」の最新作。タイトルは「妻(おんな)たち」と読ませていたのに、略称が「ごくつま」だった作品だが、今回は原作と同じく普通に「妻(つま)たち」と読ませる。主演は黒谷友香で、敵役に原田夏希。製作配給は東映ビデオで、基本的にはビデオ市場向けの作品を劇場公開するというスタイルだろう。「極妻」という素材にも、こうした劇場公開の手法にも「今さら」という感じがするが、映画の内容はそれ以上に「今さら」の感が漂うものになっている。ヤクザ組織内の内輪もめで、昔気質のヤクザだった夫を殺されたヒロインが、復讐のためにドスを振るって大暴れ。いったいこれはいつの時代の、どこの話なんだろうか。映画の中だけに登場するファンタジーとしての関西。(今回の映画は舞台が京都になっているらしい。)普段は洋装のヒロインが、殴り込みの時だけなぜかわざわざ和服に着替えて乗り込んでいくのも不自然かつ不合理だが、このあたりは様式美と言うことか……。老舗看板シリーズの復活だが、これはこの1本で終わりそうだなぁ。

6月8日(土)全国ロードショー

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2013.03.24

映画|シュガー・ラッシュ

13032401 ディズニーの新作アニメーションは、アーケードゲーム版の『トイ・ストーリー』のような作品。レトロゲームの悪役キャラクターが、ヒーローになろうと他のゲーム世界に入り込んでしまう……という話。夜になってゲームセンターから人影がなくなると、ゲームのキャラクターたちが一斉に仕事を離れてくつろぎはじめるという展開は『トイ・ストーリー』と同じ。主人公たちがいる「フィックス・イット・フェリックス」というゲームは架空のものだが、ディズニーのHPに行くとプロモーション用に制作されたゲームで遊ぶことができる。雰囲気が懐かしい。8ビットのゲームにも面白いものはたくさんあったと思うんだよな。というか、僕がゲーセンでゲームをしていたのは8ビットの時代まででしかないんだけどさ。ゲームファンなら、映画に登場する実在のゲームキャラクターがいくつも見つかると思う。

(原題:Wreck-It Ralph)

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2013.03.17

映画|映画 プリキュアオールスターズNewStage2 こころのともだち

13031701 歴代プリキュアが全員登場する『プリキュアオールスターズ』シリーズの最新作。前回から『NewStage2』に突入したが、内容的にはいつもと同じパターン。同じパターンを踏まえていても、だんだん人数が増えて行くからこのシリーズは大変だ。チラシやポスターに全キャラクターを入れるだけでも大変なことになっている。妖精学校の腕白小僧が自分自身の影を解放してしまうという設定は「ゲド戦記」的というかユング心理学的というか……。自分の影を暴走させてしまった妖精グレルを、プリキュアの敵からプリキュアの一員になったキュアパッションとキュアビートが励ますシーンは感動的。「俺も昔はグレててさぁ……」と自慢げに語る大人は多いが、本当にグレてた人は恥ずかしくてそんなこと話せないし自慢もしない。ただ黙って、道から外れそうになる人を支え、力づけるだけなのだろうなぁ。

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2013.03.08

映画|アンナ・カレーニナ

13030801 トルストイの同名長編小説を、キーラ・ナイトレイ主演で映画化した恋愛ドラマ。過去に何度も映画化されている作品だが、直近の映画は1997年のソフィー・マルソー版。同じ原作だから同じ話なのだが、映画としてはこちらの方がさまざまな趣向を凝らしてあって楽しめるかもしれない。(マルソー版はもうほとんど憶えてないけど。)全体が芝居小屋の中で起きる話のように演出してあって、人物の出し入れや美術に工夫がある。ヒロインのアンナは前回の映画を観ていてもその行動にまったく共感も理解もできなかったのだが、それは今回の映画でも同じ。今回の映画では夫のカレーニン(ジュード・ロウ)のキャラクターが掘り下げてあって、何の落ち度もないのに妻に裏切られて家庭を破壊される彼に同情してしまった。アーロン・テイラー=ジョンソン扮するヴロンスキーが軽薄なつまらない男なので、ますますカレーニンへの同情が高まるのだなぁ。映画の中で面白いのはアンナの話ではなく、それと平行して語られるリョーヴィンとキティのラブストーリー。リョーヴィンが彼女に二度目のプロポーズをして、彼女がそれを受け入れる場面の美しさ!

(原題:Anna Karenina)

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2013.02.28

映画|ザ・マスター

13022802 ポール・トーマス・アンダーソンの新作は、新興宗教サイエントロジーの教祖をモデルにした男と、その家族や信奉者たちが織り成す人間ドラマ。主人公は第二次大戦をきっかけに酒浸りになった青年で、彼が偶然「コーズ」という新興宗教グループと関わりを持ったことから、団体の教祖であるマスターとの愛憎に満ちた日々が始まる。モチーフはぜんぜん違うのだが、アンダーソン監督の映画としては、ポルノ業界を舞台にした『ブギーナイツ』に似ているのかな……という気もする。閉鎖的な小さな世界があって、そこにひとりの青年が迷い込んで大きな役割を担っていくようになる。そこは家族的な平和な世界ではあるが、社会的にはいろいろと風当たりの強い世界でもある。フィリップ・シーモア・ホフマンは『ブギーナイツ』にも出てたなぁ……。

(原題:The Master)

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映画|ベルヴィル・トーキョー

13022801 タイトルに「トーキョー」の文字があるが、この映画には東京が出てこない。この映画は主人公が東京に行く話ではなく、主人公の夫が東京に行かなかった……という話なのだ。若い夫婦が夫の浮気が原因で別れそうになるが、一度よりを戻したものの、やはり関係がギクシャクしてしまうという話。ヒロインが働いているのがアメリカ映画専門の名画座だったり、夫の仕事が海外での映画の買い付けだったりするのが、映画ファン的には面白い展開になりそうなのに、結果としてあまり面白くなっていない。基本的に恋愛映画というのはしんどいもので、それでも「結ばれる話」はしんどさの先に幸せがあるから我慢できるが、「別れる話」というのはしんどい思いをしても先に得るものが何もない。1時間15分しかない短い映画だが、なんだか疲れたなぁ……。

(原題:Belleville-Tokyo)

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2013.02.26

映画|三姉妹 〜雲南の子

13022602 中国雲南省の山間部にある小さな村。村は貧しく、村人たちはブタやヒツジ、ヤギなどの家畜を飼いながら、痩せた土地にジャガイモを作ってどうにかこうにか生活している。この映画はそんな小さな貧しい村で、母親に去られ、父親が町に出稼ぎに行って、幼い子供たち3人が残されている様子を描いたドキュメンタリー映画。親に捨てられて子供が可哀想とか、そういう話ではない。子供たちは親戚の支援を受けて暮らしているし、学校にも行くし、仕事もあるし、友だちもいる。ただし、とんでもなく貧しい村の中でも、この子供たちの家がことさら貧しいのは事実だろう。学校の前で子供たちが群がるお菓子の露天の前で、お金を持っていない10歳の少女がうらやましそうに立ち尽くしている様子が印象的。しかし貧しくて不潔な生活(子供たちはシラミだらけ)を描いたこの映画の、なんと美しいことか。柔らかい光に包まれた映像はとてつもなく綺麗なのだ。

(原題:三姉妹 Three Sisters (San-Zimei))

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映画|ヒッチコック

13022601 サスペンス映画の神様アルフレッド・ヒッチコックが、代表作『サイコ』をいかにして作ったかというメイキング映画。単なる映画裏話ではなく、ヒッチコックと夫人アルマの夫婦愛と葛藤をからめた物語にしてあるところがミソだ。夫妻には娘のパトリシアがいて『サイコ』にも出演しているのだが、この映画では娘の存在について一切何も語らない。それはこの物語を「夫婦のドラマ」に収斂させていくためなのだ。なお『サイコ』はパラマウントの作品だが、今回の映画は20世紀フォックスの映画。そのため『サイコ』の本編映像やサウンドトラック(音声)は一切使われていない。この映画を観るためには、事前に『サイコ』を観ておかなければならない。しかし『サイコ』が好きな人にはたらまない映画。残念なのは本編の引用がないことではなく、むしろ主演のアンソニー・ホプキンスがヒッチコック本人にあまり似ていないことだろう。共通点はイギリス人だということぐらいだったりして……。なお音楽はバーナード・ハーマンがヒッチコックのために作曲した楽曲を随所に使っている。これもヒッチコックのファンには嬉しい!

(原題:Hitchcock)

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2013.02.25

映画|ガレキとラジオ

13022503 津波で壊滅的な被害を受けた南三陸町で震災から間もない5月から翌年3月まで、町の臨時職員として雇われた9人のメンバーによるローカルFM局「FMみなさん」が開局していた。この映画はその立ち上がり直後から解散までを、1年近く取材したドキュメンタリー映画。素人ラジオ局のドタバタぶりは滑稽であると同時に、その必死さが観ているこちらに感動を与える。1時間10分しかないコンパクトな映画だが、ナレーターに役所広司を起用したり、空撮カットを挿入するなど作りは贅沢。ラジオ局のメンバーや何人かのリスナーを南三陸町の縮図にして、復興に向かう人々の前向きな姿を描いている。クライマックスはFM局の解散を間近に控えた2月に行われた「出発式」の様子。それからちょうど1年たつわけだが、メンバーたちは今どうしてるんだろうか。そんなことがちょっと気になったりする映画だった。

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映画|百年の時計

13022502 ミッキー・カーチス演じる天真爛漫なモダンアートの巨匠が、故郷香川で回顧展を企画した美術館学芸員を振り回すというドラマ作品。高松琴平電気鉄道(ことでん)が撮影に全面協力した鉄道映画でもある。楽しい映画ではあるが、江戸っ子口調のミッキー・カーチスが香川県出身に見えないという欠点も。言葉はその土地のローカルな雰囲気を醸し出す重要なツールなので、なんとなくそれらしくしてくれるとよかったんだけどな。若い頃に海外に行っちゃった人は、離日前の言葉遣いが抜けないので、この映画のミッキー・カーチスは40年前の古い言葉を使っているはず。映画はこういう細部が大事だと思うのだな。でも映画自体は面白かった。アートをモチーフにした映画ではあっても、アート作品ではなく一般的な娯楽映画。でも技法としては映画ならではの表現を多用して、この映画自体がアートであることを主張している感じ。

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映画|ゼロ・ダーク・サーティ

13022501 ビンラディンを追い続けたCIAの女性分析官を主人公にした、実録インテリジェンス・サスペンス映画。映画は2001年の9.11テロから始まり、その2年後にヒロインが物語に登場し、2011年にビンラディンを暗殺して終わる。2時間40分かけて10年間の歴史とヒロインの成長を描いていく大河ドラマだ。物語の視点がほぼヒロインの一人称に徹していて、大きな政治の話などに広げていかないところがストイックでタイトでシャープな印象を与える。最初は捕虜の拷問に涙ぐんでいたヒロインが、少しずつタフで図太くなっていく。最初は同僚から美人だがまだ子供だなどと言われていたのが、最後の方では最前線の兵士たちからも一目置かれる肝っ玉姉ちゃんに変貌している。だがそんなヒロインも、すべてが終わってひとりになると涙がポロリ。この涙の意味は何なのか?というのが、おそらくはこの映画のテーマに深く関わってくるものなのだろうなぁ……。

(原題:Zero Dark Thirty)

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2013.02.15

映画|愛してる、愛してない

13021503 離婚を決めた若い夫婦。妻が荷物をまとめて家を出て行くというその日、家の外は大雨になって、妻はなかなか家を出て行けない。そんな破綻したカップルの風景を、1時間45分かけて描写する韓国映画。原作は井上荒野の短編小説「帰れない猫」だというが未読。基本的に何も事件が起こらない映画なので、観ていて辛い。これで1時間45分は長すぎる。同じ話は普通なら20分あれば描けるはずで、それを1時間45分に伸ばすなら、伸ばすだけの内実がなければならない。そこに何らかの企みや意図がほしいのだ。でもこの映画からはそれが見えない。だらだらと、ただ長い。その長さには必然性がない。おそらく演出に力のある監督が撮れば、同じ1時間45分がもっと充実したものになるのだろう。でも僕はこの映画に、そうした充実を感じることはできなかった。

(英題:Come Rain, Come Shine)

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映画|ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの

13021502 モダンアートの個人コレクターとして4,000点もの作品を集めたハーブとドロシーのボーゲル夫妻。コレクションの散逸を防ぐためすべてを国立美術館に寄贈したのだが、結局そこでも全コレクションの保管展示は不可能で、コレクションのうち2,500点を、50点ずつ、全米50州50ヶ所の美術館に寄贈することになった。これが「50×50」というプロジェクト。この映画はそのプロジェクトが立ち上がり、全米各地の美術館で実際に展示が行われる様子を追いかけていくドキュメンタリー映画。前作を観ていなかったのだが、それはあまり支障にならなかった。ただし前作を観ていれば、主人公ふたりの人柄などがより深く理解できて、映画の楽しみもまた大きくなったように思う。さほど広くない試写室だったが、ほぼ満員の盛況ぶり。映画のあとに監督の挨拶もあって、来場者は拍手喝采だった。

(原題:Herb & Dorothy 50X50)

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映画|ブルーノのしあわせガイド

13021501 試写室に駆け込んだのが上映開始直前で、場内に入った時はもう明かりが落ちていた。ほぼ満席で空き席を探すのも先に来ている方々の迷惑になると思い、そのまま試写室の一番後ろで立って観た。映画を丸々1本立ち見するなんて、いつ以来のことだろうか。最近はシネコンも指定席入れ替え制だから立ち見なんてできないもんな。映画は初老のB級作家が、元恋人から15年前に生まれたという息子を押しつけられて右往左往する話。ところがその少年は落第寸前の成績で、何やらよからぬ友だちと付き合ってヤバイ状況になっているらしい。主人公ブルーノが売れない物書きという点で、もう何となく感情移入してしまうのだが、彼がセクシーなポルノ女優と親しくなるあたりは「こんなことがあってよいものか!」と思ってしまった。僕の焼き餅ですね。

(原題:Scialla!)

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2013.02.14

映画|汚れなき祈り

13021402 2005年にルーマニアで起きた悪魔祓い事件を映画化した作品。モデルになった事件では、悪魔祓いを受けた若い女性が疲労と衰弱で死亡し、神父や修道女長が逮捕されて実刑判決を受けている。映画に登場する神父や修道女たちは、迷信深い中世の人間ではない。しかし精神疾患の人間を間近に見た時、彼らはそれを「悪魔憑きだ」と信じてしまう。いや、そう信じることで自分たちを納得させ、何らかの打開策が見つかると信じたかったのだ。このあたりは悲劇と言うしかないが、その悲劇は亡くなった女性の悲劇でもあり、何の因果か彼女を受け入れざるを得なかった修道院の悲劇でもある。弱い人間が社会の歪みのしわ寄せを受けて苦しみ、その苦しむ人間を宗教が受け入れる。それは宗教のひとつの機能ではあるのだろうが、この映画で修道院に押しつけられている役目はあまりにも負担のかかりすぎるものだった。悪魔祓いはナンセンスだが、では彼らはそこでどうすればよかったのだろうか? たぶん似たようなことは、日本の中でも形を変えて起きているような気がする。

(原題:Dupa dealuri)

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映画|シャドー・ダンサー

13021401 北アイルランド問題は今ではすっかり落ち着いて過去の扮装になってしまった気配だが(実際にはまだ時々散発的に事件が起きる)、北アイルランドが最もきな臭かったのは1970年代だった。この映画は1970年代の紛争で家族を失ったアイルランド系一家の20年後を描く。イギリスの対テロ諜報組織MI5に捕らえられ、IRA側からの内通者になるよう強要されたヒロインを中心に、スパイを巡る冷酷非情な駆け引きを描いていく。主演はアンドレア・ライズブローとクライヴ・オーウェン。「X-ファイル」シリーズのジリアン・アンダーソンガ、クライヴ・オーウェンの上司役で出演しているのだが、ぜんぜん気付きませんでした……。なぜ今になってIRAと北アイルランドなのかという気もするが、映画の中では1973年のあと20年後の1993年になるが、そこからさらに20年たつとちょうど今年なのだ。(映画の製作は2011年だけど。)20年で時代は変わる。だが人の心に刻みつけられた傷跡は、たかが20年程度で癒えることはない。

(原題:Shadow Dancer)

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2013.02.13

映画|桜並木の満開の下に

13021303 成瀬巳喜男最後の作品『乱れ雲』(1967)の現代版みたいな映画だが、物語の舞台が地方の小さな町工場なので、物語のスケールが45年前の映画よりずっと小さくなっている。結婚してささやかな幸福を手に入れたヒロインが、突然の事故で夫を亡くしてしまう。だが事故を起こした加害者の青年は無罪に。加害者はヒロインに謝罪するが、彼女は相手を許さない。だがやがて彼の誠実な態度に少しずつ心を開き、やがてふたりは互いに愛し合うようになっていた……という話。本当に『乱れ雲』と同じなのだ。最後に加害青年が遠方に引っ越すことになり、ヒロインの心が強くかき乱されるというのも同じ。『乱れ雲』は随分昔に一度観たきりなので内容はうろ覚えだが、男女それぞれの感情のあやにメリハリが付いたいい映画だったと思う。この『桜並木の〜』はどうもそのへん、煮え切らないというか、全体にぼんやりした映画なのが気になる。

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映画|世界にひとつのプレイブック

13021302 主人公は妻の浮気相手を半殺しにしたことから警察に逮捕され、躁うつ病と診断されて精神病院に入院していた男。退院して両親と一緒に暮らし始めたものの、彼はいまだに逃げた妻と愛し合っているという妄想の中にいる。感情の起伏も大きく、夜中に大騒ぎを起こして警察が飛んでくることだってある。そんな彼が出会ったのは、少し前に夫を亡くして未亡人になったばかりの若い女。彼女はそのショックでやはり精神療法を受けており、今でも少し情緒不安定なのだ……。かなり風変わりなラブストーリーだが、主人公たちがとにかく真剣なのがいい。変わっている。ぶっ飛んでいる。しかし彼らは大まじめなのだ。主演のブラッドリー・クーパーとジェニファー・ローレンスが素晴らしい。しかし父親がロバート・デニーロ、母親が『アニマル・キングダム』のジャッキー・ウィーヴァーって、これはすごい家庭だな……。

(原題:Silver Linings Playbook)

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2013.02.12

映画|ダークホース リア獣エイブの恋

Darkhorse 出来のいい弟に比べてパッとしない兄エイブ。35歳にもなって両親と同居し、給料のほとんどをフィギュア購入に注ぎ込むオタクだ。そんな彼が、友人の結婚式で出会った美女に一目惚れ。彼女に猛然とアタックするのだが……という話。主人公のダメっぷりに、まるで自分を見ているかのような嫌な気持ちになってしまう。何と言ってもこの映画、主人公の両親が立派すぎる。母がミア・ファローで、父がクリストファー・ウォーケンだよ。こんな両親と同居していたら、息子がダメになるに決まっているじゃないか。主人公が惚れ込む美女を演じたのはセルマ・ブレア。最初から最後までずっと情緒不安定な顔をしているのがいい。不機嫌な顔が似合う女優なのだ。でも少し年取ったな……。主演のジョーダン・ゲルバーも上手かった。

(原題:Dark Horse)

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映画|コズモポリス

Cosmopolis デイヴィッド・クロネンバーグ監督の最新作。ドン・デリーロの同名小説を、ロバート・パティンソン主演で映画化している。若き大富豪がリムジンに乗ってニューヨークを走り回り、その間にいろいろな人や事件に出くわすという話。物語は朝から始まって夜に終わる。幾多のエピソードをリムジンの移動で串刺しにしているのだが、全体を通して何らかの大きな物語があるかというと、特にない。各エピソードがどのように関連してどんな作用を起こしているかというと、それも特にない。窓の外でどんな大事件が起きようと、リムジンの中は無風状態。周囲から閉ざされた、自分だけの世界。主人公がさまざまな人と語る言葉はいつも空回りし、どこでも噛み合うことがない。離人症的な光景だと思うのだが、この感覚は現代人なら誰もが経験したことのあるものかもしれない。ロバート・パティンソンは先日の『ベラミ』もそうだったが、感情を表に出さない冷血な役柄が続く。これを乗り越えないと、役柄が広がらないだろう。ここしばらくが俳優としての正念場だろうな。

(原題:Cosmopolis)

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2013.01.24

映画|故郷よ

13012402 HPのアドレスにkokyouyoとあるので、タイトルは「こきょうよ」と読むのだろう。「ふるさとよ」とも読めるので、こういう映画はタイトルにルビを振っておいてほしい。チェルノブイリ原発事故についての映画だ。物語の舞台になっているのは、原発から3キロほど離れたプリピャチの町。自然に囲まれた小さな町は、住民のほとんどが原発で働いている。その中で映画の主人公になるのは、事故の起こった日に恋人と結婚式を挙げたばかりの若い女性。事故の前日に父親と川辺でりんごの樹を植えた少年。少年の父親の原発技術者。映画は原発事故当日の町の様子と、町民たちがバスに乗せられて強制的に避難させられていく様子が描かれる。それが全体の3分の1ぐらい。それが終わると、映画は10年後の廃墟になった町の様子を描く。町から離れても、町に住んでいた人たちの心はそこから離れられない。事故で結婚したばかりの夫を亡くした女性は、原発ツアーのガイドをしている。幼い少年は青年になり、事故の日以来行方不明になった父を探している。家族と別れた原発技師は精神に異常をきたし、町に戻る道を見失って今も旅を続けている。原発事故という見えない脅威と、それが破壊してしまう人々の暮らしは、日本の福島原発事故にも通じるものだ。映画に登場するプリピャチの廃墟は本物。その印象を一言で表現すれば「むごたらしい」と言うしかない。

(原題:La terre outragée)

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映画|カルテット! 人生のオペラハウス

13012401 引退した音楽家が集まる老人ホームを舞台に、ホームの運営資金集めのコンサート準備をする元音楽家たちの姿を描くコメディ。中心になるのは、マギー・スミス、トム・コートネイ、ビリー・コノリー、ポーリーン・コリンズの四人組。ダスティン・ホフマンの監督デビュー作だが、本人は監督に専念して今回は出演なし。本人もそれなりの年なんだから、どこかにワンシーンぐらい出演してくれればファンサービスになったろうに。IMDbで確認したが、匿名での出演もなかったようだ。主役クラスの4人や芝居の多いマイケル・ガンボンなど数名を除くと、ホームの老人たちのほとんどは本物の元音楽家たち。引退したとはいっても彼らにとって音楽は生活の一部なので、ホームのあちこちで即興的な演奏がいつでも行われているという設定だ。そんなわけで、この映画の演奏シーンはほとんどが本物だと思う。では主人公たちの歌声はどう再現するかというと……、それは映画を観てのお楽しみ。なお老人ばかりが登場するイギリス映画というと、つい先日『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』を観たばかりだが、どちらの映画にも出演しているのはマギー・スミスだ。

(原題:Quartet)

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2013.01.22

映画|よりよき人生

Yoriyoki_jinse 一流の料理人として独立開業することを夢見てきた男が、恋人と一緒に湖畔の廃屋を改造したレストランを作る。だが開業資金のために借金を重ねてしまい、レストラン開店は暗礁に乗り上げてしまう。だが男は店を手放すことができない。恋人は息子を男に預けて海外まで働きに行くが、やがて連絡が取れなくなってしまう。慣れない子育て。音信不通の恋人。そして借金の重圧。男はどんどん身動き取れなくなってしまう……。セドリック・カーン監督の新作で、主演はギヨーム・カネ。夢を諦めきれないそのため男が借金苦に陥り、恋人やその子供までも不幸にしてしまうという暗い話だが、困難な中で新しい家族の誕生を描く映画の後味は悪くない。主人公が必ずしも品行方正な好青年ではなく、我がままで、向こう見ずで、時には暴力を振るったり、暴言を吐いたり、女にだらしなかったりする、欠点だらけの人間として描かれているのもいい。彼の恋人にも欠点はある。息子にもだ。どれほど欠点だらけでも、幸せを求める権利はある。映画の最後に、彼らは当初自分たちが思っていなかったような形で、本当の幸せを手にするのだ。

(原題:Une vie meilleure)

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映画|バチェロレッテ あの子が結婚するなんて!

Bachelorette 独身最後の夜に、花婿となる男とその友人たちが馬鹿騒ぎをするバチェラーパーティー。バチェラーは独身男のことだが、そこから派生した独身女性を意味する言葉がバチェロレッテ。独身最後の夜には花嫁になる女性がやはり馬鹿騒ぎをして、これをバチェロレッテパーティーと呼ぶらしい。バチェラーパーティをモチーフにした映画と言えば『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』だが、この『バチェロレッテ あの子が結婚するなんて!』はいわばその女性版。ストーリーはまったく異なるが、主役であるはずの花嫁そっちのけで、友人の独身女たちがてんやわんやの大騒ぎを繰り広げるという点は同じだ。どちらの映画もアルコール度数がかなり高い。そして卑猥で下品。男が卑猥で下品なのは笑って見ていられるが、同じことを女性がやるとあまり笑えないというのがこの映画の発見だ。女性たちが酔っ払って締まりのない顔を見せたり、嫉妬や怒りで顔を引きつらせる姿はまるで美しくない。可愛くもない。少しも魅力的に見えない。映画の中の女性たちに、常に美しくあれ、可愛くあれ、魅力的であれと要求するのは、一種の女性差別だろうか……。女性が観ると面白いのかなぁ。

(原題:Bachelorette)

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2013.01.21

映画|フライト

Flight 骨太のドラマ作品で、いい映画だと思う。しかしロバート・ゼメキスの実写映画は『キャスト・アウェイ』以来12年ぶりだそうで、監督としての腕が多少錆び付いているような気がしないでもない。悪くはないが、秀でて素晴らしい場面というのがあまりないのだ。映画としてもジャンルが不明確な作品で、演出家としては力を入れるべきポイントがわかりにくいのかもしれないし、観客の側もどこで面白がればいいのかわかりにくいという面もある。飛行機事故にまつわるパニック映画でもないし、事故の真相究明を巡るミステリーでもないし、異色の法廷ドラマというわけでもない。あえて言うなら、これは人間の弱さについての物語だ。アル中でヤク中の主人公が、いかにしてそれを克服するかという、きわめてパーソナルなドラマなのだ。そのどうしようもなくパーソナルな物語が、乗員乗客102名を乗せたジェット旅客機が事故を起こして不時着するという大事件に接ぎ木されている。映画の予告編を見て劇場に足を運んだ人の多くは、「あれれ? こんな映画だとは思わなかったぞ」と思うに違いない。

(原題:Flight)

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2013.01.18

映画|愛、アムール

Amour パリの高級アパートに、警官隊が飛び込んでくるオープニング。人の気配がない室内には異臭が漂い、やがて警官たちはベッドの上に横たわる老女の遺体を発見する。だがそれ以外に、室内に人はいない。物語はここから文字だけの簡素なタイトルを経て過去に戻り、年老いた音楽家夫婦の暮らしを描き出していく。妻が病にかかり、半身不随になる。病院に戻りたくないという妻の必死の願いを聞き入れて、夫は妻を自宅で介護することに決めるのだが……。フランス版老老介護の物語であり、その先にある悲劇が映画の冒頭で明示されている。だがこれは老人たちが老老介護の果てに疲れ果ててしまったという映画ではない。彼らには別の選択がいくらでもあったが、あえて自分たちで苦しい道を選んだのだ。そうすることが夫の妻に対する愛情であり、妻はその夫に対してすべてを委ねる。監督のミヒャエル・ハネケは何かと物議を醸す作品ばかり撮る監督だが、今回の映画で一番挑発的なのは、映画の最後をハッピーエンドとして描いていることだろう。異論もあると思うが、僕はこれをハッピーエンドだと思う。イザベル・ユペールが部屋に入ってくる場面が、とても爽やかに描かれているものね。

(原題:Amour)

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2013.01.17

映画|先祖になる

Senzoninaru 東日本大震災の津波被害で、多くの集落が丸ごと流されることになった陸前高田市。そこに避難所や仮設住宅への移転を拒み、被害を受けた自宅を新たに建て直そうとする77歳の老人がいた。池谷薫監督のドキュメンタリー映画だが、ニュース報道では見落とされがちな被災地住民の個性にピンスポットを当てる面白さがある。映画の主役となる佐藤老人は、強烈な個性の持ち主だ。本人曰く頑固一徹。こうと決めたらテコでも動かない。これは個性などと生ぬるい言い方をせずに、強烈なエゴの持ち主だと言った方がいいかもしれない。この場合のエゴは、悪い意味で言っているいるわけではない。この強烈なエゴが、77歳の老人の生きるエネルギー源でもあるのだ。だがその強烈なエゴは、結果としては周囲の人間を振り回していく。老人は仮設住宅への転居を拒んで、津波被害で穴だらけになった自宅に住み続け、そんな夫に愛想を尽かした妻とは別居することになってしまった。妻は全壊した家が嫌で出ていったわけではない。その証拠に、家が新築されても妻は戻ってこない。老人の強烈なエゴに、ほとほと嫌気がさしてしまったのだろう。家が再建されて、家族が再会して和解すれば大団円のハッピーエンドになっただろうに、そうならないところにこの映画の面白さ、想定されたシナリオ通りには動かない人間の面白さがあると思う。

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映画|横道世之介

Yokomichi 主人公の横道世之介が東京の大学に進学するため上京するところから物語が始まり、1986年頃から1988年頃までの彼の大学生活と、彼と関わりを持った人たちの15年後を描いていく。主人公の横道は「普通の人」だ。特別な能力があるわけでもないし、特別な人徳があるわけじゃない。どこにでもいる、普通の大学生。でもそんな彼が、周囲の人たちの記憶の中に少しずつ、小さな人生のかけらのようなものを振りまいていく。親友だった旧友とは音信不通になり、恋人とも別れて長く連絡を取らなくなる。学生時代には人間関係の大部分を占めていた濃密な存在感は、その一時期を過ぎてしまえば疎遠なものになり、人生の中の小さなエピソードの断片になってしまうのだ。だが、それが忘れ去られることはない。思い出すことは少なくなっても、その記憶はずっと残り続ける。この映画は誰もが通り過ぎる「取り立てて自慢することもない普通の青春時代」の物語であり、「通り過ぎれば思い出すこともない仲間たち」の物語だ。僕も世之介と同じ時代を、ほぼ同世代の人間として過ごしている。世之介は1968年生まれで、僕は1966年生まれ。世之介が大学に入った年、僕は東京のデザイン会社に入社した。世之介が呼吸した東京の空気を、僕も同じように呼吸していた。それから20数年たって、僕はその頃のことを思い出すことも少なくなっている。だが忘れたわけじゃない。この映画を観て、四半世紀以上前の自分のことを、ちょっと思い出したりした。

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2013.01.16

映画|王になった男

Ouninattaotoko アイヴァン・ライトマンのコメディ映画『デーヴ』(1993)を、韓国の時代劇に翻案した作品と考えるべきだろう。ただし『デーヴ』はコメディだったが、『王になった男』はそれよりずっとシリアスな歴史ドラマだ。企画の核としては『デーヴ』があり、それをあれこれいじくり回しているうちに別方向に発展したのか、それとも元々は別の企画からスタートしたものが、脚本を作る過程で『デーヴ』を参考にしたのかは不明。影武者を主人公にした映画にはもちろん黒澤明の『影武者』などもあるわけで、この映画ではそのアイデアも一部借用している。まあそういう意味であちこちのアイデアに新鮮味はないが、豪華なセットと衣装でまったく別の世界観に仕立て直し、立派な歴史ドラマにしているのは大したもの。なお『デーヴ』に似ているという指摘は当然韓国でも上がっていたようだが、この点について質問された監督は、それについて強く否定はしていないようでもある。僕は『デーヴ』の方が好きだけど、この映画の製作者たちもきっと『デーヴ』が好きで、その韓国版を作りたかったんだろうな。本家の『デーヴ』より少しウェットで、悲観的で、血なまぐさいのが、韓国的なのかもしれない。

(原題:광해, 왕이 된 남자)

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映画|キャビン

Cabin ホラー映画のパターンを熟知しながら、それをひっくり返したり、逆手を取ったり、フェイントをかけたりして観客をビックリさせたり驚かせたりするというのは、『スクリーム』以来のホラー映画のひとつの流れ。その行き着く先に、こういう映画ができちゃいました……という作品。物語の大きなアイデア自体は、諸星大二郎の短編作品に似たようなものがあったので、特に大きな衝撃を受けるとか、物凄く新鮮に感じるということはない。発想としてはポランスキーの『ローズマリーの赤ちゃん』や『ナインスゲート』も同系統の作品かもしれない。あまり言うとネタバレになりそうなのでやめておくが、いずれにせよ、このアイデア自体はこれ1回しか使えない。あっと驚く新境地だ。ホラー映画が好きな人は、必ず見ておいた方がいい。安っぽいえいがかと思って舐めているとさにあらずで、冒頭からいきなりアカデミー賞にノミネートされたこともある名優リチャード・ジェンキンスと、ベテラン俳優ブラッドリー・ウィットフォードが出てきていい芝居をする。それだけでなく、映画の終盤には誰もがあっと驚くような有名俳優がワンシーンだけ出演してびっくり仰天。このシーンでは映画を観ながら「えっ?なんで??」と、あっけにとられてしまった。IMDbなどを調べれば誰が出てるかはすぐわかるはずだが、プレス資料にも名前はあえて表記されていないので、これについてはここでは伏せときます。映画観て驚いてください。

(原題:The Cabin in the Woods)

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映画|ダイナソー・プロジェクト

Dainasoproject アフリカで発見された未確認生物の正体を探るため、イギリスの探検家チームがテレビクルーを引きつれて現地入り。だが彼らの消息はそのまま途絶え、バックパックに入れて川に流された映像記録だけが発見される。この映画は100時間に及ぶその映像を再編集したものである……。という体裁のモキュメンタリー(フェイクドキュメンタリー)だが、ドキュメンタリー映画らしさという点でまったくリアリティに欠け、見ていて最初から最後まで白けてしまった。例えば「この映画は発見された映像だけで構成されている」と言った途端に、画像データの入ったザックを回収する場面が出てくる。このシーンはどう考えても、発見されたデータの中にはないよね。また映画の最後には、データ入りのHDDを厳重に梱包して川に流すシーンが出てくる。でもこの映像は流してしまったザックの中には入っていないわけだから、いったいどこからどうやって発見されたんだろうか。内容もくだらない親子の対立と確執を延々見せられたりして、100時間もビデオがあるならもっと恐竜をたくさん見せろっての。恐竜を見せずに、ずっとカメラに向かって語りかけ続ける絵が続くのもおかしいだろう。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や『パラノーマル・アクティビティ』、『REC』など、この手の映画には成功作がいくつもある。だがこの映画は、そうした先行事例にまったく学んでいないのだ。

(原題:The Dinosaur Project)

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2013.01.15

映画|八月の鯨

Hachibatsunokujira 日本では1988年に岩波ホールで公開され、ミニシアターブームの中で大ロングランを記録した作品。今回は日本公開時の字幕を再現し、画面サイズはスタンダードでの上映。これはIMDbを見るとアスペクト比が1.85:1(アメリカンビスタ)になっていて、昨年発売されたDVDは1.78:1(ハイビジョンサイズ)になっている。本来の画面サイズが何なんだかよくわからないが、たぶんスタンダードで撮影して上下マスクかけてビスタ。日本公開版はマスクなしなのだろうか。いずれにせよスタンダードサイズでこの映画が観られる機会はそうそうなさそうだが、舞台劇風に人物が出入りし(原作は舞台劇なのだ)、ベテラン俳優たちのしっとりした芝居を積み重ねていく作りは、テレビ映画みたいだなぁ……と思ったりはする。俳優たちの演技が素晴らしいのはよくわかるが、映画のテーマである老いの問題が僕にはまだぴんと来ない。直前に『草原の椅子』を観ていて、その50歳の男たちはよくわかったのだが、『八月の鯨』は僕にはまだだいぶ距離がある映画だった。リリアン・ギッシュはこの映画の完成時に89歳。それでもグリフィスの映画に出ていた頃の面影がまだ片鱗として残っている、じつにチャーミングなおばあちゃまでした。

(原題:The Whales of August)

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映画|草原の椅子

Sogennoisu 宮本輝の同名小説を成島出監督が映画化したドラマ作品。佐藤浩市扮する主人公がカメラメーカーの社員で、その親友がカメラ販売店の社長という設定。主人公が想いを寄せる女性が新しくカメラを買って、主人公との距離が縮まっていく。いろいろなところで、カメラが重要な役回りを果たす作品。劇中に登場するカメラは、主人公が若いカメラマンにプレゼントしたのがキヤノンのF-1。主人公が使っているのは一眼レフで、ストラップを見る限りではキヤノンのEOSのようだ。ヒロインが使っているのはオリンパスのPEN(当然デジタル版)。カメラ屋の社長が使っているのは、RICOHのような気もするけど、機種まではよくわからなかった。そのうちカメラ雑誌に記事が出るかも(既に出ているかな)。この映画を観ていると、カメラを持ってどこか遠くに旅行に出かけたくなる。ドラマ作品としてもなかなか面白かった。50歳という年齢は僕にとってもすぐ近くに迫っている年齢で、ぜんぜん他人事じゃないのだ。古瀬美智子はこういうちょっと影がある役が似合うね。

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2013.01.11

映画|ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日

Lifeofpi 太平洋上で難破した船から、救命ボートで何とか脱出することができたインド人の少年パイ。だがそのボートの上には、凶暴なベンガルタイガーが同乗していた。物語も面白いのだが、映画は映像がすごい。この映像美は一見の価値ありだ。アカデミー賞では映像関係の賞(美術賞や特殊効果賞)を受賞するのではないだろうか。嵐で船が沈没するシーンなどは当然CGだろうが、登場するベンガルタイガーもほとんどCG。これがもう本物にしか見えないクオリティなのには驚いてしまう。CGアニメの技術的な進歩もすごいが、その技術を使って本物にしか見えないトラを作り上げたアニメーターたちもすごいし、実際の撮影で見えないトラを相手に組んずほぐれつの熱演をしたスラージ・シャルマも大したものだ。有名な俳優がほとんど出てこない映画だが、ジェラール・ドパルデューがワンシーンだけ登場する。しかしながらこのワンシーンだけで強烈な印象。これが映画の結末で語られるエピソードの伏線になっているのには驚いた。原作の邦題「パイの物語」もいいタイトルだと思うが、映画は原題をそのままカタカナにしたもの。「Life」という言葉が持つ多様な意味(命、人生、生活、伝記など)が、このタイトルの中に込められていると思う。

(原題:Life of Pi)

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映画|マリーゴールド・ホテルで会いましょう

Marigoldhotel ジュディ・デンチ、ビル・ナイ、トム・ウィルキンソン、マギー・スミスなど、豪華キャストのアンサンブルが楽しめるヒューマンコメディ。イギリスからインドのおんぼろホテルにやってきた7人の老人たちが、昔の恋人と再会したり、新しい仕事を始めたり、新しい恋に出会ったりする物語。中心になるのはジュディ・デンチだが、他の人物たちのエピソードもバランスよく配置されていて面白い。老人たちの話ばかりだと重たくなりそうだが、そこにホテル再生の夢に邁進する青年とその恋人の話がからめてあるのもうまい。監督は『恋に落ちたシェイクスピア』のジョン・マッデン。インドは訪問した人がインド大好きになるか、逆にインド大嫌いになるかのどちらかだと聞いたことがある。この映画はもちろん映画を観た人が「インド大好き」になるわけだが、登場人物の中には逆にインド大嫌いになる人もいたりして、そのあたりはウソがない映画だと思った。

(原題:The Best Exotic Marigold Hotel)

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2013.01.09

映画|きいろいゾウ

Kiiroizo 向井理と宮崎あおいが、田舎暮らしを始めたばかりの若い夫婦を演じるドラマ作品。そこでふたりの過去がいろいろあって、ふたりの抱えた心の傷みたいなものや、互いの秘密みたいなものがあってドラマが展開していくわけだが、それより映画を観ていて思ったのは、「よくもまあ、何もない田舎暮らしをここまでおしゃれに撮るものだわい」ということ。古びた民家があり、目の前に小川が流れていて、食卓に載る食材は豊かで、タイル張りのテーブルや、蚊帳を吊った寝床があって、蔵の中には古道具が一杯詰まってて、羽釜でご飯を炊いて、庭の畑で野菜を作って食べる。荻上直子監督が『かもめ食堂』や『めがね』でやってみせた「おしゃれな暮らし」が、普通の日本の田舎でも成立してしまうという面白さ。こういう映画を観ると、田舎で暮らすのも悪くないかなぁと思っちゃう人が出てくるかも。いや、田舎暮らしも悪くはないと思うけどね。僕はできないけど。田舎は車が必需品だけど、僕は免許がないもんで……。

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映画|ジャッジ・ドレッド

Dredd シルヴェスター・スタローン主演の『ジャッジ・ドレッド』から17年たってのリブート作品。主人公のドレッドが最初から最後までずっとヘルメットを被っているため、主演のカール・アーバンは顔が一度も出てこない。一方で女性ジャッジを演じたオリヴィア・サールビーは、最初から最後までヘルメットなしで通すという対称的な姿。映画は3D公開なのだが、今回試写を行った東映試写室は3D対応になっていないのか2D版での映写。でもこれは3Dで見てみたかった。1時間35分の上映時間が最初から最後まで徹底してアクションのみで埋め尽くされるという映画なので、3Dだと見栄えがしそうだ。映画のストーリーは主人公たちがギャングの巣窟であるビルに監禁状態隣、大勢の敵たちを相手に戦うというもの。これは少し前に観たインドネシア映画『ザ・レイド』に似た設定。『ザ・レイド』はハリウッド・リメイクの話もあったようだけど、ハリウッド版『ザ・レイド』の前に『ジャッジ・ドレッド』を観ちゃえば、それで十分かもしれない。

(原題:Dredd)

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2013.01.08

映画|奪命金

Datsumeikin ギリシャの金融危機に右往左往する香港の人々を描いたジョニー・トー監督作。立場がまったく異なる複数の人物を同時に動かしていくグランドホテル形式で、主人公になるのはヤクザ組織で使い走りをさせられている義理堅い男ラウ・チンワン、事件捜査に振り回される刑事リッチー・レンとその妻ミョーリー・ウー、金融商品セールスのノルマに苦しめられる銀行員のデニス・ホー。これらの人物を結びつけるのが、高利貸しのロー・ホイパンが持つ大量の現金。香港ドルなのでとっさに価値がわかりにくいのだが、現在の為替レートだと1香港ドルが11円ぐらい。500万香港ドルは5,500万円になる。これは確かに大金だ。結局最終的には、地道に、素朴に、正直に生きてきた人間が報われるという、結構道徳的な結末になっている。この手の群像劇は登場人物の誰かに自分を重ね合わせるようにできているのだが、僕が今回とても同情してしまったのは、老後の資金をハイリスクの金融商品ですっかり失ってしまうおばあちゃん。あ、でも彼女は最後に結局救われたということなのかな……。

(原題:奪命金 Life without Principle)

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映画|アウトロー

Outlaw トム・クルーズ主演のシリーズ・アクション映画第1弾。最近は映画の企画段階で「シリーズ化可能か否か」が重要視されるそうだが、この映画は原作がまだまだたくさんあるのを当て込んでのものだろう。『ミッション・インポッシブル』シリーズのイーサン・ハントは国家権力の内部で最新ツールとチームプレイを駆使して強敵に挑んでいたが、こちらはそうした縛りを徹底的に嫌う一匹狼。難事件を推理する「探偵もの」の体裁になっているが、主人公が体制側のルールを平気ではみ出して行動するのが面白い。ただしその面白さが、トム・クルーズの大スター・オーラを前にして霞んでいる部分がなきにしもあらずか。映画の終盤で主人公が「え?なんで??」という振る舞いに出るあたりは、本来なら主人公の自由人たる面目躍如なのだが、そのへんのいい意味での我が侭さや傲慢さが、トム・クルーズの笑顔でかき消されてしまっている部分もあるんじゃないだろうか。アウトローであり、危険なヒーローであるはずが、この1作目からもう体勢順応型になりはじめているようで、それがちょっと気になったりはする。まあ安心して観ていられるけど、これだとイーサン・ハントが休暇中に片付けた事件みたいに見えちゃうんだよな。

(原題:Jack Reacher)

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2013.01.07

映画|ある海辺の詩人 小さなヴェニスで

Umibenoshijin 中国からイタリアに働きに来ているシングルマザーの中国人女性が、働きはじめた港町の酒場で仲間たちから詩人と呼ばれる初老の漁師と知り合いになる。彼は旧ユーゴスラビアからの移民であり、ヒロインも親の代までは先祖代々漁師という家柄。ふたりは急速に親しくなるが、そんな関係を周囲の誰も歓迎しなかった……。恋愛ドラマと呼ぶにはあまりにも淡い、異郷の地で知り合った大人同士の心の交流。中国語と片言のイタリア語でヒロインを演じたチャオ・タオが好演。老漁師を演じたのはハリウッド映画でも活躍しているラデ・シェルベッジア。映画の舞台になっている港町、キオッジャの風景が魅力的。

(原題:Io sono Li)

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2012.12.31

映画|レ・ミゼラブル

Lesmiserables ビクトル・ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」は何度も映画化されているが、これは1985年に初演され、今なお世界中でロングランしている舞台ミュージカル作品の映画化。吹替を使わず、出演する俳優たちが実際に歌っているというのが売りだが、そのために必ずしもミュージカル向きの声量を持っていない俳優も歌わされている。ジャン・バルジャン役のヒュー・ジャックマンはミュージカル俳優でもあるが、ジャベール警部を演じるラッセル・クロウは声量が足りないように思う。これはフォンティーヌを演じたアン・ハサウェイなども同じ。ただしこの映画は朗々と歌って観客にメッセージを伝えるのではなく、俳優の感情表現の延長で歌を聴かせるという作りになっている。アン・ハサウェイが歌う「夢やぶれて」は最初かすれた声でささやくように歌われ始め、そこに感情が乗って力強い歌声に変わっていく。クロースアップで彼女の微妙な表情をとらえながら、感情の揺れ動きがそのまま歌として聴かせる演出は感動的だ。

(原題:Les Misérables)

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2012.12.26

映画|天使の分け前

Angels_share コンスタントに新作を発表しているイギリスのベテラン監督ケン・ローチの新作。裁判所から社会奉仕を命じられた素行不良の青年が、自分のために親身になってくれる監督官や仲間たちとの出会いを通して更生していくまでを描く。ただし「いいこと」を通して更生するのではなく、「悪いこと」をすることで更生するという部分に皮肉のパンチが効いている。しかしこれは、それだけ若者たちの置かれている現実が厳しいということでもある。普通の方法ではもう、底辺の生活から抜け出せないのだ。主人公のロビーを演じたポール・ブラニガンはまったくの演技初心者だったそうだが、存在感のあるいい芝居をする。社会奉仕の監督官ハリー役のジョン・ヘンショーもうまい。映画を観ているとスコッチウィスキーが飲みたくなる。

(原題:The Angels' Share)

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映画|ベラミ 愛を弄ぶ男

Belami モーパッサンの長編小説「ベラミ」を、『トワイライト』シリーズでイケメン吸血鬼を演じたロバート・パティンソン主演で映画化した文芸ロマンス映画。主人公の男はイケメンで人当たりがいいという以外に何の才能も取り柄もないが、人並み外れた自尊心と上昇志向の持ち主。彼が出会った女性を次々手玉に取りながら、ブルジョワ階級内で富と権力を手中にして行く。ユマ・サーマンが演じるマドレーヌという女性のキャラクターが出色。人並み外れた学識と才能と野心を持ちながら、19世紀末のフランス女性は社会的な地位が低かった。彼女は自分の夫を傀儡にしてジャーナリズムを操作し、政治家たちを操って政界の黒幕のように振る舞う。周囲の男に愛を求めないという点で、彼女は一番主人公に似ているのだ。もっとも彼女はヴォードレック伯爵のことを心から愛していて、その点で主人公にない弱味を見せてしまうのだが……。愛することは弱味を見せること。しかし人はそんな弱味のある人間を好きにならずにいられない。

(原題:Bel Ami)

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2012.12.25

映画|塀の中のジュリアス・シーザー

Cesare_deve_morire イタリアの刑務所で行われている演劇実習プログラムをモチーフにしたドラマ作品。映画が撮影されているのは本物の刑務所で、出演者もほとんどが本物の囚人と元囚人。彼らが刑務所のあちこちを使って、シェイクスピアの戯曲「ジュリアス・シーザー」の稽古をする様子が綴られていく。ほとんどドキュメンタリーのように見える場面もあるが、映画は台本に沿って演じられるフィクションだ。劇中ではイタリアのさまざまな方言が使われているそうだが、残念ながら字幕ではそのあたりのニュアンスがわからない。それでも登場する役者たち(囚人たち)の面構えは一癖もある者たちばかり。シーザー暗殺後のアントニーの演説は戯曲のクライマックスだが、映画の中ではその後の戦闘シーンにアイロニカルな迫力があって面白かった。かつて社会の中で本物の暴力を振るっていた男たちが、芝居の中で小道具の剣を振るって戦争を行うのだ。しかし本当の修羅場をくぐったことがある連中の演技は迫力がある。

(原題:Cesare deve morire)

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2012.11.29

映画|リトル・マエストラ

Littlemaestra 解散の危機に瀕したamateurオーケストラが、ひとりの少女の尽力で再生するという往年の名画『オーケストラの少女』と、炭鉱町のブラスバンドが鉱山閉鎖にもめげずコンクールでの優勝を目指す感動作『ブラス!』をくっつけて、舞台を日本にしたような音楽映画。日本海に面した小さな港町のアマチュアオーケストラが、新しい指揮者として招聘したのは、アメリカの有名音楽大学で学んでいるという天才少女指揮者(リトル・マエストラ)だった。だがこの経歴は紹介者の誤解(あるいはウソ)があった。彼女は高校のブラスバンドで指揮をしているだけだったのだ……。映画の中で演奏されるのがエルガーの「威風堂々」で、これは『ブラス!』でも使われていた曲なので、ますます映画は『ブラス!』に似てきてしまう。『ブラス!』は映画の出演者たちが本当に演奏していたけど(映画のモデルになったグライムソープ・コリアリー・バンドがメンバー役で出演して演奏もしている)、この映画は演奏が吹替なんだよなぁ。「威風堂々」も有名なサビの部分だけへんにループさせて、全曲通しての演奏がないしなぁ。ストーリーは悪くないけど、脚本はもっと細部を煮詰めないとな。せっかく地方ロケまでしているのにもったいないよ。

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映画|グッモーエビアン!

Gummoevian 受験を控えた中学3年生ハツキの家に、父親代わりの母の恋人ヤグちゃんが1年半ぶりに帰ってきた。母のアキとヤグちゃんは仲のよいバカップルぶり全開で大騒ぎしているが、かつては心地よかったそんな家の中の様子が、今のハツキにはいちいちしゃくに障るのだった。麻生久美子と大泉洋、三吉彩花主演のヒューマンコメディ。血のつながらない父親代わりのパンクロッカーと、多感な女子中学生の濃密で不思議な疑似親子関係が描かれる。物語の舞台は名古屋で、登場人物も「ニュアンスとしてちょっと名古屋弁」みたいな言葉を喋るのだが、これが登場人物たちのキャラクターをふっくらと膨らませていていい感じだ。映画の最後はライブハウスでの演奏シーンだが、麻生久美子も大泉洋もバンド経験などはまったくないそうで、そのわりには堂に入ったライブシーンに仕上がっている。「いいねえ、いいねえ」「よかったねぇ」と、主人公たちを祝福したくなる素晴らしい後味のハッピーエンドだった。

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2012.11.28

映画|同じ星の下、それぞれの夜

Onajishoshi タイ、フィリピン、マレーシアを舞台に、それぞれの土地に関わる日本人と現地の人たちの関わりが生み出す小さな物語3編を集めたオムニバス映画。各エピソードに必ず印象的な流れ星が登場するあたりが、『同じ星の下〜』たるゆえんなのだろう。短編集でエピソードごとに監督や出演者も違い、話につながりもないが、予算規模が小さいことで、結果として「低予算インディーズ映画」のテイストが全体の雰囲気を揃えることになっているのかもしれない。こういうオムニバス映画ではエピソードのどれかひとつがまあまあ面白ければ御の字なのだが、この映画はどのエピソードもわりと面白い。売れない役者がタイに行ってモテモテになる第1話も「こんなウマイ話(?)があるはずない」と思いながらもヘンな魅力があるし、第2話も「公共の電波の私物化やろ!」となぜか関西弁で突っ込みを入れながらニコニコして見られるし、第3話は子供と動物という禁じ手の二重奏にコロリとやられて最後はちょっと感動しちゃうのである。まあパンチ不足なところもあるけど、この映画を観るとタイやフィリピンやマレーシアに行ってみたくなる。

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映画|マリー・アントワネットに別れをつげて

Wakarewotsugete フランス革命の発火点となったバスティーユ監獄襲撃から、マリー・アントワネットの寵愛を受けたポリニャック夫人の逃亡までを、アントワネットの朗読係として働く下働きの女官の視点から描いた歴史ドラマ。映画を観ている側は、国王ルイ16世と王妃アントワネットが、やがて断頭台の露となって消えることを知っている。しかし彼らの周囲にいる側近の貴族や女官たちは、革命が始まってもまだ王に拝謁することに大喜びし、王妃のご機嫌取りに右往左往している。この映画を観始めてすぐに、この映画が以前観た別の映画に似ていると思ったのだが、これはブルーノ・ガンツが主演した『ヒトラー 〜最期の12日間〜』に似ているのだ。あれはヒトラーが最後を迎える塹壕の中で働いていた若いタイピストの視点から、いよいよ最後を迎えるヒトラーと側近たちの姿を描いた歴史再現ドラマだった。『マリー・アントワネットに〜』も宮殿で働く無名の女性の視点から、フランス王室の崩壊を描いているという点で共通点がある。ただし王や王妃の処刑まではまだ長い時間がかかるので、物語をポリニャック夫人の宮殿脱出で打ち切っているわけだが、この物語の引き際も鮮やかだと思う。主演のレア・セドゥと、王妃を演じたダイアン・クルーガーが素晴らしい。ポリニャック夫人を演じるのはヴィルジニー・ルドワイヤン。

(原題:Les adieux à la reine)

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映画|悪人に平穏なし

Akuninni 飲んだくれの駄目刑事が、泥酔して立ち寄った飲み屋で店主や店員を射殺。慌てて証拠隠滅をするが、目撃者をひとり逃がしてしまう。防犯カメラの映像から逃げた男の行方を追う刑事は、店が国際的な麻薬取引やテログループと深い関わりを持っていたことを知る。一方この事件を捜査しはじめた判事たちも、店の背後にある麻薬取引やテロとの関わりから犯人像を絞り込んでいこうとする。自らの犯罪をもみ消すため目撃者を追う刑事と、殺人事件をきっかけにテログループを追い始めた判事たちは、並走する2本のレールのように交差することなく同じゴールに向かって動いていくことになる。スペインのアカデミー賞であるゴヤ賞で、主演男優賞、監督賞、作品賞、脚本賞など6部門を受賞した作品。登場人物たちの内面描写や説明的な台詞をギリギリまで削り取り、映画を観ていても登場人物たちが何を考えているのか、何が目的で行動しているのか、事件捜査がどこまで進んでいるのかといった動機がさっぱり見えてこない。これは普通の映画だと欠点なのだが、この映画はそれを徹底しているため、それ自体がひとつのスタイルになっている。映画を観ている人間が、登場人物たちと一緒に行動して事態推移の目撃者になっているような雰囲気だ。それでいながら各キャラクターの造形は緻密にできており、それぞれの人物に生々しいリアリティがある。

(原題:No habrá paz para los malvados)

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2012.11.27

映画|しんしんしん

Shinshinshin テキ屋の男の家に集まる、身寄りのない若い男と若い女たち。オヤジと呼ばれる男は不思議な磁場で子供のような若者たちを引き付け、そこには疑似家族のような関係が生まれる。やがてテキ屋と家族たちは仕事を求めて旅に出る。映画によくある疑似家族ものであり、ロードムービー。疑似家族ものは行くあてのない者たちが家族になることで幸福をつかむのだが、この映画にそれはない。家族が壊れ、家族を失い、家族に傷つけられても、現代の我々にはもう疑似家族という安らぎの場は用意されていないのだ。疑似家族はバラバラに解体し、ひとりひとりが孤独な個として生きて行かざるを得ない現実。彼らは再び「本物の家族」を取り戻すのか。それとも新しい「疑似家族」の幻想の中に安らぎを見出すのか。映画のラストシーンにそのヒントがあるような気もするが、僕はこれを削除して、すべてを観客に投げ出してしまった方がよかったように思う。

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映画|SUSHi GiRL スシガール

Sushigirl ダイヤ強奪に失敗して逮捕された男。刑務所暮らしを模範囚で勤め上げ、6年後に出所してきた男を昔の仲間たちが取り囲む。出所祝いのパーティ。テーブルの上には女体盛りの寿司。だがこれがただの出所パーティのはずがない。男たちの目的は、男の逮捕と同時に消えたダイヤの行方にある。「ダイヤはどこだ」「分け前を寄こせ」と開始される凄惨な拷問。出所したばかりの男はここで、刑務所の中にいたとき以上の地獄を味わうことになるのだが……。二重三重に観客をはぐらかし、騙しながら、映画の最後には「ああなるほど!」と納得させる犯罪映画。ただし僕はこの映画の拷問シーンにちょっとゲンナリ。暴力描写が嫌だとか、不道徳だとか言うつもりはないし、これにはこれで映画の意図があってのことだとはわかるのだが、それでもちょっと途中で嫌になってしまった。昨日は『デッド寿司』。今日は『SUSHi GiRL』。寿司の映画が続く。

(原題:Sushi Girl)

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2012.11.26

映画|デッド寿司 DEAD SUSHI

Dead_sushi 『ハイキック・ガール』の武田梨奈が主演した、デタラメでハチャメチャなファンタジーホラー・バトルアクション・コメディ映画。監督は井口昇で、ハードな肉弾戦を戦うヒロイン、血しぶきが飛び散るスプラッタ描写、目玉が飛び出たり顔面が引きちぎられ穴があけられるという肉体破壊、オナラや金蹴りといった下ネタなど、井口監督ならではのファンキーな描写が次々に登場する。小学生の落書きみたいな、奔放な想像力と妄想力が炸裂する様子はじつに楽しい。武田梨奈は『ハイキック・ガール』以降も何本か映画に出ているようだが、僕はそれらを観ていないので(観ているものもあるが彼女の存在を意識していないのだ)、急に演技慣れしているのに驚いてしまった。映画は最初から最後までアクション続きだが、『ハイキック・ガール』に比べるとアクションのキレは悪いな。まあアクションが目的の映画というわけではなく、アクションは作品中のアクセントなのだが。でもアクセントとしては津田寛治のブチ切れた芝居の方が面白かったな。

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映画|名無しの十字架

Nanashino 高額な報酬目当てに、都市伝説化している地下ビデオ「トラVS人間」を探しはじめた男。手がかりは「10年程前にビデオを見た男がいる」という話と、同じ頃に行方不明になったひとりの天才キックボクサーの存在だった。男は消えたボクサーの周辺を調べ始めるが、ジムの会長は事故死しており、恋人だった女も死んでいるという。これで手がかりは途切れたかに思えたのだが、男がビデオを探しているという噂を聞きつけて、動き始めた者たちがいた……。格闘技をテーマにした一種の探偵映画だが、探偵ものとしてはミステリー部分がだいぶ弱いのが弱点。横浜でのロケ撮影を多用するなど、絵作りのムードは悪くないのだが、それが物語と有機的に結びついていかない。本物のトラを撮影するためにわざわざハリウッドまで出かけているのに、トラと人間のツーショット映像がほとんどないのも残念だ。主人公がやばそうなところから多額の借金をしているという設定を、もう少し物語に生かせたような気もするのだけれどなぁ。

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2012.11.20

映画|ゾンビデオ

Zombideo 映画やマンガなどサブカルチャー分野ではすっかりゾンビがジャンルのひとつとして定着しているが、これもそんな和製ゾンビものの1本。日本に突然ゾンビが現れて社会全体が大パニックになる中、ヒロインが生き残りをかけて戦うという王道パターン。血しぶきが飛び散る残虐シーンのオンパレードだが、これはゾンビ映画のパロディ。異色女芸人の鳥居みゆきが「40年前からゾンビになりかけてなりきっていない女」を演じているのだが、その扮装は『女囚さそり』の梶芽衣子ばりの黒装束。つばの広い帽子を目深にかぶって顔を隠しているが、その帽子の下には……というメチャクチャな設定に笑っていいのか悪いのか。いや、これは笑うべきなのだろう。低予算映画なので配役が全体にチープで芝居に力がなく、ゾンビが世界中を埋め尽くしているはずなのに人数が少なくてスカスカ、鮮血描写のシーンでは周囲が血糊で汚れないようにビニールで囲ってあるという手作り感満載。でもこの手作り感覚が、むしろこの映画には似合っている。「アイアムアヒーロー」みたいなシリアス路線もいいんだけど、あれも最近ちょっと煮詰まってきたような気がするしな。ゾンビはどこかファニーな存在であってほしい。ちなみに僕は「アイアムアヒーロー」より、相原コージの「Z~ゼット~」の方が好きだ。

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映画|いま、殺りにゆきます

Imayari_2 平山夢明の短編ホラー小説集から、5編のエピソードを映画化したオムニバス映画。最初のエピソードである「わたしのししゅう」には、「侍戦隊シンケンジャー」のシンケンイエロー/花織ことは役の森田涼花が主演。シンケンレッド/志葉丈瑠の松坂桃李がすっかり売れっ子になっているが、ことはもがんばってます! でもこのエピソードは、最後に謎の男がつぶやく台詞がほとんど聞き取れないのが欠点。第2話「おまけ」は偶然入手したDVDに恐ろしい映像が入っていたという話で、途中までは『リング』みたいな呪いのビデオのDVD版かと思っちゃったよ。第3話「やあ、カタオカ!」は通勤途中に小学校時代の同級生らしき男に出会ったヒロインが、恐ろしい出来事に巻き込まれていくという物語。第4話「さよなら、お〜える」は公園の公衆便所でOLが恐怖体験をする話。最終話の「いま、殺りにゆきます」はストーカーの話。僕の印象としてはどれも話のきっかけばかりで、僕が思うところの「恐さ」にはたどり着いていないような印象。不可解なことが起きて、「なぜ?」「どうして?」というところからはじめる映画は多いが、本作はそのはじまりのところで話をすぐ打ち切ってしまう。寅さん映画の最初の夢のシーンばかりを集めたようなもので、それぞれ面白くはあるけれど、それ以上に物語やドラマを掘り下げない。こういう映画の作り方もあるんだろうけど、いつどこからでも観始めて、いつどこからでも観終われる、DVD世代向けの構成なのかな。

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2012.11.12

映画|ダーケストアワー 消滅

Darkesthour 『世界侵略:ロサンゼルス決戦』のロシア版みたいな映画。仕事のためモスクワを訪れていたアメリカ人青年ふたりが、宇宙人による地球侵略に遭遇するという話。人間たちは完全に劣勢で、世界はあっと言う間に無人の荒野のようになってしまうが、生き残ったわずかな人間たちが力を合わせて敵に立ち向かう。物語はご都合主義でリアリティはまるでないのだが、生き残った人間たちの中で誰が生き延びるかを予想するのは楽しいかも。「え? この人をここで消しちゃうわけ?」みたいな場面があちこちにある。直前に『ヒンデンブルグ 第三帝国の陰謀』を見ていたが、なんと2作品続けて「ファラデー・ケージ」が出てきた偶然に驚いてしまった。金網で囲むと電磁波が通らなくなるという原理だが、それでも軍用無線は通じるのだから苦笑するしかない。要するにご都合主義なのだ。無線機を鳥かごに入れるなど、電磁波を通さないという設定を生かしたらしい描写もあるんだけどなぁ。『ヒンデンブルグ』もそうだったが、これも話は二の次で映像が面白い。現実のモスクワが完全に無人になるという場面はどうやって撮影したんだろうか。そういう技術的なところばかりが気になってしまう。

(原題:The Darkest Hour)

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映画|ヒンデンブルグ 第三帝国の陰謀

Hindenburg 1937年に起きたドイツの飛行船ヒンデンブルグ号の爆発墜落事故をモチーフにした歴史アクション映画。IMDbを見るともともとはドイツで作られたテレビドラマで、本来の尺は180分(3時間)、使用言語はドイツ語とのこと。これを映画用に再編集して110分(1時間50分)に縮め、英語に吹き替えてある。ヒンデンブルグ号については1975年にロバート・ワイズが『ヒンデンブルグ』という映画を作っているが、僕はそちらは未見。YouTubeで1975年版の予告編を見ると、今回の映画(ドラマ版)もアクションシーンなどで似たようなものが多々織り込まれているようだ。モチーフが同じだから、どうしても見せ方としては同じようなものになってしまうんだろうな。映画の感想としては、飛行船関連の描写はものすごく細かく作ってあって面白かった。格納庫から巨大な飛行船がぬっと現れる場面だけでもドキドキする。今では見られなくなった大型飛行船の客席内部の様子も丁寧に再現してある。ただしドラマ部分はひどい。吹替のせいもあるかもしれないが、これは学芸会レベルだろう。演技は平板で迫力不足だし、筋立て自体も陳腐だ。でも飛行船だけは、素晴らしいんだよなぁ……。

(原題:Hindenburg)

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2012.11.11

映画|スマイルプリキュア! 絵本の中はみんなチグハグ!

Puricure2012 現在放送中の女の子向けアクションアニメ「スマイルプリキュア!」の劇場版。今回は主人公たちが絵本の国に入って戦うのだが、その相手となるのは、誰からも忘れ去られた孤独から、人を憎むようになってしまった少女ニコちゃん。しかしニコちゃんの背後には、その恨みと怒りのエネルギーを使って絵本の国の支配を狙う魔王の存在があった。このシリーズは入場時に子供たちに小さなペンライトを配布し、主人公たちがピンチの時に、子供たちがそのライトを点灯させて主人公たちを応援させるというギミックがある。演劇では「ピーターパン」に似たような趣向があるし、プリキュアと同じ東映のヒーローものだと、後楽園のシアターGロッソで公演されているスーパー戦隊ショーで、主人公たちがピンチの時に客席から大きな声で声援を送るという演出がある。でもこれは映画では難しく、黒澤明が『素晴らしき日曜日』で客席に拍手をねだった時に、見事にズッコケているのだ。(これは名画座などもいまだにズッコケ続けている。)でもこのスクリーンと客席の一体化が、プリキュア・シリーズでは見事に成功しているのだ。「みんなもライトを使ってプリキュアを応援するくる〜」というスクリーンからの声に合わせて、真っ暗な客席にパーッとライトの明かりが広がっていく様子は感動的だ。この風景を黒澤明にも見せてあげたかったなぁ。

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2012.11.06

映画|007は二度死ぬ(TV放送吹替初収録特別版)

007yolt テレビ放送時の日本語吹替を収録した007シリーズ22作(最新作『007 スカイフォール』を除く)がDVD発売されるのを記念して、TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた特別上映イベントで『007は二度死ぬ』を観て来た。製作は1967年だが、テレビ放送されたのは10年以上たった1978年。この映画は日本を舞台にしていて、丹波哲郎がMI6と協力関係にある日本版スパイ組織の総帥、若林映子と浜美枝がボンドガールとして出演している。ボンドカーとして、伝説のスポーツカーTOYOTA 2000GTが登場したことでも有名だ。オリジナル版では丹波哲郎の台詞が別の声優に吹き替えられていたそうだが、このテレビ放送版では丹波哲郎本人が改めて自分自身の声をアフレコしている。登場に「君がボンドくんか」などといかにも大物の貫禄を漂わせて上から目線。ところがテレビ放送は放送時間に合わせた短縮版だったため、吹替未収録部分は既発のDVD日本語吹替音声で補っている。このため丹波哲郎も声が時々変わるのが玉に瑕ではあるが、これはこれで面白い。古い映画を観ると、当時の日本の風景そのものが面白い。東京もまだ高いビルなどがなくて、空が広いのだ。ボンドが繁華街を歩くシーンは、東宝あたりから銀座のパーマネントセットを借りたんだろう。当時の日本映画でよく見かける「銀座の風景」を、ボンドが歩いているのが面白くて仕方ない。

(原題:You Only Live Twice)

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2012.10.30

映画|007 スカイフォール

Skyfall ダニエル・クレイグ主演の007シリーズ3作目。シリーズとしては23作目だが、1作目の『007/ドクター・ノオ』が1962年製作なので、シリーズ誕生からちょうど50年目という記念すべき作品になっている。試写の前に「ネタバレはやめて」と配給会社に念押しされたが、こういうのは一体どこからどこまでがネタバレなんだろうか? 今回の映画では007の「老い」や「衰え」がひとつのテーマになっているが、報道によればダニエル・クレイグ本人も「ボンド役をやるには自分は年を取りすぎてきている」と言っているとのこと。それでもあと2作品の出演契約が残っているそうだから、最終的には50歳ぐらいまでボンドを演じるのだろうか。ちなみに歴代ボンドが正規シリーズの中で何歳までボンドを演じていたかというと、ショーン・コネリーは53歳(『ネバーセイ・ネバーアゲイン』でボンド役に復帰した時の年齢)、ジョージ・レーゼンビーは30歳(1作のみ)、ロジャー・ムーアは58歳、ティモシー・ダルトンが43歳、ピアース・ブロスナンが49歳といった具合。こうして並べると、クレイグが「もう次のボンドはない」と言うのも何となくわかる。ボンド役としては、引退してもおかしくない年齢なのだ。でもこの映画を観ると、次も必ず観たくなるよ。

(原題:Skyfall)

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2012.10.25

映画|シルク・ドゥ・ソレイユ 3D 彼方からの物語

Cds3d 映画は貧乏人の娯楽だ。劇場で観れば何万円も取られかねない一流のショーを、2千円に満たない入場料で観られるのだから。この映画はラスベガスで上演されているシルク・ドゥ・ソレイユの7つのショーから見どころを抜粋し、ひとつの物語風にまとめ上げたスペクタクル・エンタテインメント。もちろん実際のショーを生で見た方が迫力はあると思うが、この映画は同時に複数のショーのハイライトシーンが観られるのに加え、クロースアップからロングショット、あおりや俯瞰など、さまざまな角度からショーを観ることができる。3Dだから臨場感もたっぷりだ。ところどころにハイスピード撮影やCGによる世界観の描写など映画ならではの演出も加え、冒頭からラストまで見どころ満載の構成になっている。これを観れば、シルク・ドゥ・ソレイユのショーを実際に観た気分になれると同時に、本物のシルク・ドゥ・ソレイユのショーを観たくもなる。台詞は英語で日本語字幕が入るが、全体に台詞は極端に少ないパントマイムの世界だ。

(原題:Cirque du Soleil: Worlds Away)

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映画|ゲットバック

Getback 銀行強盗で8年の服役を終えた主人公。だが彼を待っていたのは、「隠した金から俺の分け前を寄こせ」とごねるかつての仲間たちだった。奪った金は逮捕される直前に、証拠品になるのを避けるため焼き捨ててしまった。分け与える金などないのだ。だが昔の仲間は主人公の娘を誘拐して、分け前がないなら娘を殺すと脅迫する。男に残された道は、再度の銀行強盗しかなかった……という物語。ストーリーは面白いのだが、2度目の強盗があっさり成功しすぎてしまって拍子抜け。ここが後半最大の見せ場になりそうなのに、そうならないので映画が尻すぼみになっているような気がする。そうは言っても十分満足できる内容ではあるが、満足と満腹は違うんだよな。2度目の強奪シーンがもっとしっかり仕上がっていれば、映画を観た後に満腹になれたのになぁ……。

(原題:Stolen)

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映画|少女と夏の終わり

25tiff かつて林業が栄えた山間部の村で、中学生の少女たちが少し大人への一歩を踏み出して行く。大人になって行くことへの憧れや楽しさではなく、大人になって行くことに対する不安や恐れを描いている作品。いつまでも子供のままでいたいと思っていても、否応なしに少女たちは大人になっていく。自分も変わり、それに連れて周囲も変わっていく。その変化に抗おうとしても、抗い続けることは出来ない。そんな人生の節目の時期を、小さな事件を積み重ねながら描いていく作品だ。村は平穏な場所ではあるが、10年前に起きた忌まわしい事件を通して、この物語の背後には目に見えない「死」がじわりと暗く不吉な影を落とす。寂れて行く林業。枯死して行く森。死んだ熊。村は少しずつ死んでいくのだ。この暗さが、この映画の特徴でもある。だが映画はこの村がそのまま滅んでしまうと言っているわけではない。村の再生に向けたかすかな希望を見出したところで、映画は幕を閉じるのだ。

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映画|恋の紫煙2

Loveinthebuff 2年前の東京国際映画祭で上映された香港中国合作映画『恋の紫煙』(原題:志明與春嬌 Love in a Puff)の続編。僕は前作を未見だが、続編が作られるぐらいだからおそらくヒットした人気作なのだろう。今回の続編だけ観てもとても面白く、これはぜひ前作も観てみたい。どこかで配給権を買って、2部作同時上映にしてくれないだろうか。仲の良かった恋人同士が気持ちのすれ違いから別れてしまい、男はひとり北京に赴任して行く。現地で新しい彼女も出来て、それなりに充実した毎日。ところがそこに、偶然北京に赴任してきた元カノがやって来て、映画のような偶然の再会となったことから(映画なんだけど)焼けぼっくいに火が付いてしまう。男は新しい彼女と元カノの二股交際。女の方もそれはそれで割り切ろうとする。だってまた付き合っても、前と同じようにダメになるのは目に見えている。ところが会ったり離れたりしているうちに互いの思いは募り、お互いが今一番必要としているのが誰なのかが見えてくる……という、実際にありそうなストーリー。僕自身は元カノとぐだぐだという経験はないんだけど、男の未練がましい気持ちはわかるような気がしました。

(原題:春嬌與志明 Love in the Buff)

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2012.10.24

映画|あかぼし

25tiff 夫が突然失踪して戸惑いと悲観と絶望と怒りで心をすり減らしていた主婦が、新興宗教に勧誘されて家庭集会に参加し、週末ごとに小学生の息子と行う戸別伝道活動の中に自分の居場所を見出す。だが自分が勧誘した新会員が自分以上の勧誘成績を上げると、自分の居場所がなくなることを恐れて組織を飛び出し、独自の活動を始めるようになる。母親の宗教活動にウンザリしている息子ではあるが、母親を愛するがゆえにその活動と行動を共にする……という映画。劇中に登場する新興宗教は「しるべの星」という架空の名前になっているが、子連れの戸別訪問や教団パンフの配布などのスタイルからは、エホバの証人をモデルにしていることが明らか。ただし映画の作り手の関心はエホバの証人の活動や信仰にあるわけではなく、家庭の中で疎外されながらも親の愛にすがろうとする子供の姿を追うことにある。低予算ながら2時間20分の大作。見応えのある映画だった。

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映画|ブワカウ

Bwakaw 一人暮らしをしているゲイの老人レネと、彼の飼う愛犬ブワカウの物語。レネは糖尿病の持病があるようだが、それ以外は至って健康。しかし身辺の荷物を整理したり、遺品の分配について遺言状を準備したり、挙げ句には死んだ時のために自分の棺まで買っておくなど、自分が死ぬことばかり考えている。死に取り憑かれた男なのだ。そのレネが、いかにして生きる気力を取り戻すかというのがこの映画の筋立てだが、全編笑いあり涙ありの人情ドラマで、観ていて実に楽しい。決して豊かに暮らしているわけではない種々雑多な人々が、ゴチャゴチャと入り交じりながらひとつの世界を作っていくのは、昔の日本映画によくあったコメディのパターン。寅さん映画などにも通じる世界かも。犬の映画なので、犬好きはたまらんだろうと思う。登場する役者たちは皆芸達者な芝居を見せるが、一番の演技派は犬のブワカウだろう。これは映画の完成度も高いし、社会情勢や歴史についての予備知識も不要。日本人にもちゃんとわかる映画だと思う。日本でも公開してほしい。観られて良かった。

(原題:Bwakaw)

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映画|兵士、その後

Iniavan 1983年から2009年まで断続的に続いたスリランカの内戦。独立を目指すタミル人武装勢力は政府軍に敗北して長い内戦はようやく終わり、かつての兵士たちは故郷の村や町へと帰還する。この映画の主人公もそんな帰還兵のひとりだが、彼は故郷で快く迎え入れられたわけではない。「お前が声をかけて戦場に連れて行った男たちはみんな死んでしまったのに、なぜお前だけが生きて帰ってきたのだ!」と非難され、石つぶてを投げられる暮らしが待っている。将来を誓い合った恋人は別の男と無理やり結婚させられた挙げ句、子供を生んで未亡人になっている。仕事はない。金がない。近所の住人たちからは嫌がらせを受ける。そんな彼がようやくつかんだのが、貴金属店のガードマンの仕事だったのだが、この店の店主には裏の顔があった……。主人公が非合法な商売に巻き込まれていくあたりからは、かなりハードボイルドなタッチ。「なぜ自分は戦争で死ななかったのだろうか」と気に病む主人公と、「何が何でも生き抜いた者が勝ちだ」と啖呵を切るヒロインの対比。サスペンス映画としてはぬるいところもあるが、これはこれで面白いのだ。

(原題:Him, Here After)

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2012.10.22

映画|ニーナ

25tiff バカンスシーズンのローマ。人影もまばらになった市内でペットシッターのアルバイトをしているヒロインが、ひとりの青年に出会って恋をするという物語。しかしこの恋は成就しない。彼女が交際のわずらわしさを嫌って、彼との関係に距離を置いてしまうためだ。誰かと新しい関係を作ることで、自分自身を変えたくないし、変えられない。この映画のヒロイン像は、結婚したいと婚活に精を出しつつ、いつまでたっても結婚できない多くの日本の女性たちに相通じるところがあると思う。誰かと付き合えば、自分の生活は、自分の生き方は、否応なしに変化するだろう。その変化を受け入れて自分の予期できない世界に踏み出して行くより、自分自身の足で、自分の思うように人生を歩いて行く快適さを選ぶ。付き合うとしたら年下の男の子がいいかも。そうすれば、男に振り回されることなく、自分のペースで仕事も趣味もエンジョイできるしね……。この映画は交際に踏み出せないヒロインの「悲劇」を描いているわけじゃない。交際に踏み出さない生き方もアリだよね、と、ヒロインの生き方を肯定しているのだ。まあ若いうちはそれでもいいけどさ、このヒロインも40歳になったら考え方が変わるかもね。

(原題:Nina)

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映画|アクセッション — 増殖

Accession 何度か関係を持った女友達から「あたしHIVに感染してんの。あんたも調べた方がいいわよ」と言われた青年が、病気への恐怖からとんでもないことをしでかすという話。全編主人公の青年のクローズアップが延々続き、それ以外のショットがほとんどない。映像は最初こそカラーだが、主人公が心理的に追い詰められて行くにつれて荒涼としたモノトーンの映像に変化し、最後は完全にモノクロームになってしまう。作り手の狙いはわかるが、観ていてもぜんぜん楽しくない映画。楽しくない映画があってもいいし、アンハッピーエンドでもいいし、主人公が人倫に反する行為をしたって構わない。そんな映画はこれまでに山のように作られていて、その中には傑作だってあるだろう。しかしこの映画はやりきれない。結局これは、映画的に楽しいところがないからなのだ。映画的な興奮。映像作品としての醍醐味。スクリーンを観ていて「まさにこれが映画だ!」と唸るような場面が、主人公周辺にひとつもない。主人公は徹底して嫌なやつで、嫌悪感しか感じられない。その嫌悪感はどんどん高まり、殺意すら感じてしまう。まあそういう意味では、映画が観客の期待に応えるという意味で、これは一風変わったハッピーエンドなのかもしれないな。

(原題:Accession)

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2012.10.21

映画|宇宙刑事ギャバン THE MOVIE

Gyaban メタルヒーロー30周年を記念して作られた、往年の人気特撮ヒーロー番組「宇宙刑事ギャバン」の映画版。今回はリブートではなくテレビ版の続編になる。テレビの続編は主演の大葉健二を招いて映画『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』が作られているし、今回の『THE MOVIE』とのコラボ作品として現在放送中の「特命戦隊ゴーバスターズ」へも新ギャバン役の石垣佑磨がゲスト出演している。これらのゲスト出演作がかなり盛り上がっていたので今回の映画は大いに期待していたのだが、結論から言えば少しガッカリさせられた。地球の危機だ、宇宙の危機だと大きな風呂敷を広げながら、やっていることが幼なじみ同士での女の取り合い。しかも女性本人の気持ちをまったく無視して、男たちだけが勝手に盛り上がっているというバカバカしさ。男ふたりと女ひとりの三角関係というのは、『突然炎のごとく』や『冒険者たち』などでも取り上げられている定番の人物配置だから、作りようによってはもっとドラマチックに、面白い映画が作れたと思うんだけど。

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2012.10.17

映画|推理作家ポー 最期の5日間

The_raven 実在の作家エドガー・アラン・ポーが、自らの小説を模した連続殺人事件に巻き込まれて命を落とすというサスペンス・ミステリー映画。ポーの死は実際に謎めいたものだったそうだが、この映画は彼の死の謎と、不幸に付きまとわれてアルコールに溺れたポーの実人生、探偵小説、冒険小説、耽美的なゴシックホラーまで手掛けたポーの作品世界を一望しつつ、ロマンスと冒険と苦渋に満ちたポーの最期の数日を虚構を交えて描いていくエンタテインメント作品だ。ポーの作品を知らなくても楽しめるとは思う。僕もポーの「大鴉」(この映画の原題)は読んでいない。でも多少ポーの作品を読んでいると、より面白いのだろう。映画の中で引用元とはされていなかったけれど、主人公が自分の分身のような男に追い詰められていくという筋立ては「ウィリアム・ウィルソン」だろうな。

(原題:The Raven)

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2012.10.11

映画|恋のロンドン狂騒曲

Koinorondon ウディ・アレン監督のラブコメディ。最近は年に1本ペースで新作を発表しているアレンだが、これは2010年製作で、順序としては既に公開されている『ミッドナイト・イン・パリ』の前に製作されている。恋のときめきを求めた登場人物たちが、どんどん不幸になって行くという目も当てられないほど悲惨な喜劇だ。ドツボにはまった当人たちにとっては悲劇としか言えない話だろうが、他人の悲劇は赤の他人にとっては喜劇になる。それにしてもまあ、よくもまあ、ほんとにまあ、意地悪な話だよなぁ……。こんな話をうっかりカップルで観に行ったら大変なことになるぞ。……といった理由で、日本公開が遅くなったのかもしれないけどね。でもこういう映画を観ながら、一緒に仲良く笑える相手となら楽しい時間が過ごせるかも。というか、幸せなカップルというのはこういう話を観ていても、自分たちとは関係のない他人事だと思っているんだろうけどね。ウディ・アレンの映画は最近すっかりご無沙汰だったのだが(単に試写にも劇場にも行かなかっただけだけど)、アレンの映画はストーリーより話術で見せる映画になっている。そこにあるアレン作品のたたずまいだけでもう面白いのだ。

(原題:You Will Meet a Tall Dark Stranger)

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映画|009 RE:CYBORG

009recyborg 石ノ森章太郎の「サイボーグ007」を原作にした長編3DCGアニメ。僕は原作のそれほど熱心なファンではなかったけれど、今回の映画は違和感ありすぎだ。映画の冒頭からラストシーンまで、9人のサイボーグが一度も勢揃いしない009なんて許せるか? お馴染みの赤いユニフォームと黄色いマフラー姿で、9人がずらりと勢揃いする場面が見たいのに、なぜそれを見せてくれないのだ。ファンがこの勢揃いを見たがっていることは、映画の作り手だって知っているはずだ。だからこそ映画の予告編でも、9人が赤いユニフォームで勢揃いした場面を見せている。なぜこれが本編中にないのだろうか。映画を観終わった印象は、長い長いパイロットフィルムを見せられたような気分。登場人物たちの背景が見えてこないし、ばらまかれた伏線も回収されないまま映画自体が終わっている。009の原作も過去のアニメ作品も知らず、いきなりこの映画を観た人には内容が理解できるのか?

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2012.10.09

映画|合衆国最後の日

Gasyukoku_saigo 1977年に製作されたバート・ランカスター主演のポリティカル・サスペンス映画。脱獄囚たちが軍のミサイル基地を乗っ取って、米国政府に対して莫大な身代金と秘密文書の公開を迫る。その秘密文書とは、冷戦で敵対するソ連に米国の断固たる姿勢を見せつけるため、米軍が不必要な人員を戦地に投入して犠牲にしているという事実を記したものだった。軍はこの秘密を守るため、ミサイル基地乗っ取り犯たちを抹殺しようとするのだが……。2時間半近い大作だが、現在の視点で見ると照明の当て方がフラットでセットが安っぽく見えてしまうし、画面分割もありふれた手法に見えてしまう。しかしアメリカという国が体質的に戦争を欲する、戦争なしに成り立たない国だという描写や、大統領すらこうした国の体制に抗うことができないという描写は今日でも通用するような気がする。

(原題:Twilight's Last Gleaming)

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2012.10.05

映画|JAPAN IN A DAY [ジャパン イン ア デイ]

Japaninaday 『LIFE IN A DAY 地球上のある一日の物語』『ブリテン・イン・ア・デイ』に続く、投稿動画をもとにしたドキュメンタリー映画の第3弾。製作はフジテレビとスコットフリー。東日本大震災からちょうど1年後の、2012年3月11日に起きた出来事をつないで1時間32分の映画にしている。これはいい。とてもいい。すごく感動的。帰宅してからネットでこの映画の予告編を見たが、別にエルトン・ジョンの「僕の歌は君の歌」とか使われてませんけどね。あと予告編に登場する動画素材の半分以上は、実際の本編には使われていない。この予告編は、映画のために動画を投稿しながら本編に採用されなかった人に対する、製作者側からのごほうびみたいなものですね。短い投稿動画をつないでいく、編集の技に感心。また映画全体にぴったり寄り添うように流れる音楽もよかったなぁ。

(原題:Japan in a Day)

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映画|リンカーン/秘密の書

Lincoln 今年はスピルバーグのリンカーン伝も製作されているが、こちらはティム・バートン製作のファンタジックなリンカーン一代記。丸太小屋からホワイトハウスへと登り詰めたリンカーン大統領には、人々に知られていないもうひとつの顔があった。幼い頃にヴァンパイアに母親を殺されたリンカーンは、その復讐のためヴァンパイア・ハンターになったのだ。特製の斧を振り回しながら、ヴァンパイアたちをバタバタとなぎ倒してゆく アクションが映画の見どころ。しかしヴァンパイアは自分の同族を殺せないというのは面白い設定だと思いつつ、それなら人類全体がヴァンパイアになってしまった方が、世界は平和になるんじゃないだろうか……と思ったりもする。まあ実際にはそうならず、ヴァンパイアは自分たちの食料調達のために、一定数の人間を奴隷として飼っておく必要があるんだけどね。

(原題:Abraham Lincoln: Vampire Hunter)

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2012.09.27

映画|ザ・レイド

Theraid インドネシアの麻薬王を逮捕するため、犯罪者たちの巣窟となっている古いアパートを急襲した20人の警官たち。だが敵はこの事態を予期していたかのように、鉄壁の守りで警官たちを撃退する。外部との交信を遮断され、次々と敵弾に倒されていく警官たち。脱出も不可能。応援もない。孤立無援のまま生き残った警官たちが、生き残りのためにできることは何か……。映画冒頭がいきなりイスラムの祈りで始まるという、インドネシアならではの描写。警官たちが敵陣に乗り込むまでがプロローグで、その後は情け容赦のない銃弾の雨。銃弾がなくなればナイフ、ナタ、棍棒が振り回され、それも尽きれば拳や蹴りが飛び交う肉弾戦。これも手数が半端じゃない。立ち回りでは、敵の急所をナイフで素早く何度も繰り返し刺すというリアルな描写もあるが、格闘対決になると殴ろうが蹴ろうが何度も立ち上がって死闘を繰り広げるわけで、このあたりはリアリズムを超えたファンタジーになっている。それでもこの映画は面白い。最初から最後まで手に汗握って、一瞬たりとも目が離せない。

(英題:The Raid: Redemption)

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映画|ユニバーサル・ソルジャー 殺戮の黙示録

Us4 銀座シネパトスで公開される、ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演映画2本立てのうちの1本。もう1本は『ハード・ソルジャー 炎の奪還』だ。メールで届いた最終試写の案内に、「トキメ筋肉祭り」という惹句があって、これに心引かれてしまった。他の試写を観に行く予定にしていたのに、つい観てしまいましたよヴァン・ダムの新作ユニソル。どういうわけか僕はこのシリーズを全部観ているのだが、今回の映画は前作『ユニバーサル・ソルジャー:リジェネレーション』と同じジョン・ハイアムズ監督作。だとすれば前作の続編ということなのだろうが、ユニソルの設定も含めてこれまでの作品とはだいぶ毛色が違う。映画のクライマックスを観てびっくりしたのだが、これって『地獄の黙示録』じゃん。そうか。『Day of Reckoning』は黙示録に書かれている「審判の日」のことでもあるが、それって『Apocalypse Now』という意味だったのね……。今回の映画はシリーズの中でも最も残酷で血なまぐさい描写が続く。何しろ映画の冒頭で、小さな女の子がいきなり頭に大型拳銃の弾を撃ち込まれて殺されるのだ。その後も拳銃の弾を食らう、至近距離から撃たれたショットガンで体ごと壁に吹っ飛ばされる、斧で指先や足を切り落とされる、山刀がアゴから頭に貫通する、バットで頭を半分吹き飛ばされるなど、血糊のオンパレード。もうこれ1本でお腹いっぱいになってしまい、2本目の『ハード・ソルジャー』を観ないまま別の試写室に行っちゃいました。

(原題:Universal Soldier: Day of Reckoning)

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2012.09.26

映画|ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋

We 映画『英国王のスピーチ』でも描かれた、英国王エドワード8世とアメリカ人女性ウォリス・シンプソンの恋物語。「王冠をかけた恋」として知られるこの有名な物語を、マドンナがシンプソン夫人の視点から描いた作品だ。映画はウォリス・シンプソンの生涯をたどりつつ、それに思いを馳せる現代の若い女性の物語を同時進行させていく構成。こうした構成にすることで、シンプソン夫人の物語が20世紀初頭の昔話ではなく、現代女性にも共通する物語になっているわけだ。エドワード8世とシンプソン夫人の晩年が、必ずしも幸福ではなかったという描写はショッキングなものかもしれない。人々に愛された英国王を退位に追い込み、ウィンザー公爵夫人になったシンプソン夫人はシンデレラ物語の主人公ではなかった。恋とは、結婚とは、いずれにせよ何かを犠牲にすることである。なぜこんな映画をマドンナが監督したのか、それが一番の謎だったりして……。

(原題:W.E.)

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映画|ワンナイト、ワンラブ

Onenight_onelove 偶然の巡り合わせで出会った若い男女が、最初はケンカして、やがて仲直りして、恋に落ちて、またケンカして、最後に仲直りするという、ありふれたラブストーリー。しかしこれがロックフェスの会場を舞台にしているというのがミソで、映画は実際のロックフェスの中で撮影されたドキュメンタリータッチ。これは面白かった。ロックフェスの舞台裏や客たちの様子は、古いジャズフェスのドキュメンタリー映画『真夏の夜のジャズ』や、伝説のウッドストック・フェスティバルの舞台裏を再現した『ウッドストックがやってくる!』にも通じる世界。ロックフェスのお祭り騒ぎの中に、自分も足を踏み入れたような気分が味わえるのだ。でも僕自身はこの映画の中で、主人公たちの駄目マネージャーに自分を重ねていたりしました……。このマネージャーは最後の最後までまったくいいとこなしなんだけど、まあ憎めない人ですね。

(原題:You Instead)

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2012.09.25

映画|ロック・オブ・エイジズ

Rockofages 物語の舞台は1987年のロサンゼルス。ロック歌手を夢見てこの町にやって来たヒロインが、同じ夢を持つ青年に出会い恋に落ちるのだが、仲違いして夢を見失ってしまう。しかし再会したふたりはよりを戻し、自分たちの夢を思い出して、最後は一緒に夢を手に入れるという話。1980年代は日本でも洋楽ブームだったので、この映画に取り入れられている楽曲は耳に馴染んだものが多い。でもなまじ当時をリアルタイムで知っているだけに、そして当時の自分自身がちょうど主人公たちと同世代だっただけに(僕は21歳だった)、気恥ずかしい部分もあったりして見るに堪えない映画だった。面白かったのは主人公のドリューがやり手のマネージャーから、「ロックはダメだ。アイドルグループにしろ」と言われて、それ風のファッションでPVを撮ったりするくだり。そうそう。1980年代はそうだったよね。デビュー時期は違うけど、チェッカーズは地元の久留米じゃ革ジャンにリーゼントのロカビリースタイルだったのに、東京でメジャーデビューする時はチェック柄のファッションでアイドル路線にしたのだった。ゴリゴリのハードロックが受けている一方で、同じチャートにはオシャレなテクノ調のサウンドの曲が混じったりしてたなぁ。まあそういった風俗描写も含めて、懐かしいなぁと思いながら、同時に恥ずかしい。いやいや。参りましたよ。

(原題:Rock of Ages)

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映画|踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望

Odoru_final 異色の刑事ドラマ「踊る大捜査線」の映画版第4弾(スピンオフは除く)であり、テレビシリーズ放送から15年目の完結編。しかしこの映画、内容的には特に何も完結していないのだ。僕はこのシリーズをあまり熱心に観ているわけではないが、劇場版の1・2作ぐらいは面白かった。しかし一昨年の第3弾からはもう食傷気味だった。続編映画なんて同窓会みたいなものだから、お馴染みの登場人物たちをずらりと揃えることにまず意味がある。しかしこの映画は物語の中でどんどん時間がたっていくので、その間に登場人物たちが少しも成長していかないことに困ってしまうのだ。お決まりのネタ。お決まりのギャグ。そりゃ観ている人には「またやってる!」と嬉しくなる面もあるのだが、そのお決まりの世界だけにこの映画が閉じこもってしまうと、そうしたお決まりの世界が登場人物たちの行動を制約することになる。つまり成長できなくなってしまうのだ。この映画の印象を一言でいえば「セルフ・パロディ」だ。シリーズに登場した数多くの登場人物を結集させて、それぞれの持ち芸を披露させたことで、その印象はますます高まっていく。まあこれで終わりだから、ファンサービスのつもりなのかもしれない。ヒットもしているようだし、ファンはこれで満足なんだろう。詰まらない映画だが、ファンは嬉しくて、製作者や出演者もやっとこの作品の呪縛から解き放たれて嬉しい。そして映画会社も嬉しくて映画館も嬉しい。誰が文句を言う筋合いでもないんだろう。でもなぁ、やっぱり詰まらないよ。それは間違いない。

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2012.09.07

映画|ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館

Wib 1950年代から70年代にかけて、フランケンシュタインやドラキュラなど数々の怪奇映画を製作したハマー・フィルム・プロダクションの新作映画。『ハリー・ポッター』シリーズのダニエル・ラドクリフが、古い屋敷で女の亡霊に取り憑かれる若い弁護士を演じている。古い屋敷の中で奇妙なことが次々起こるという、びっくり箱的な仕掛けが映画の主たる見せ場。単純に驚かせるシーンもあるが、雰囲気を盛り上げてじりじりと冷や汗をかかせるような描写も多い。ゴシックホラーのムードはよく出ていると思う。ただし物語は弱い。死んだ女の呪いから我が子を守ろうとする父親というストーリーは、鈴木光司の「リング」に似ているかもしれない。呪いを解くために主人公があることをする……というエピソードも「リング」っぽいなぁ。

(原題:The Woman in Black)

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映画|アウトレイジ ビヨンド

Outrage2 2010年に公開された『アウトレイジ』の続編。2011年クランクイン直前に東日本大震災が発生して完成が遅れたが、映画の中に奇妙な虚無感が漂うのは震災の影響だろうか。前作では主人公の大友が中心になって物語を攪乱し牽引していく内容だったが、今回の映画では大友が物語の全面から一歩下がり、代わりに前に出てくるのが小日向文世演じる刑事片岡だ。彼は前作にも出ていたが、今回の映画の方がずっと役柄が大きくなっている。前回の映画で北村総一朗が演じた山王会会長関内のような役回りを、片岡が担っていると言ってもいいだろう。ヤクザ同士の抗争と、それを利用しつつ暴力組織を叩こうとする警察の戦いという図式は、深作欣二の『仁義なき戦い』にも通じる世界。映画のラストシーンは、『仁義なき戦い』1作目ラストシーンの菅原文太の姿にだぶる。「山守さん、弾はまだ残っとるがよ」。新しい映画を作ろうとしても、結局は『仁義なき戦い』の世界に回収されていくのが『アウトレイジ』なのである。『仁義なき戦い』は偉大であった!

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2012.08.30

映画|アイアン・スカイ

Ironsky 第二次大戦後にナチスの残党が南米に第4帝国を作っているとか、南極に秘密基地があってUFOを飛ばしているとか、過去にいろいろな話が語られてきましたが、これは月の裏側にナチス残党の秘密基地があり、そこからUFOを飛ばして地球に攻めてくるという荒唐無稽なバカ映画。UFOの母船になるのが巨大な飛行船型の宇宙船だったりすると、そうか、葉巻型宇宙船というのは飛行船のことだったのか……と思ったりする。『チャップリンの独裁者』の10分間の短縮版を作り、総統のヒトラーを誉め称える映画だと説明するくだりには笑わせられた。馬鹿な映画なんだけど、スペクタクルシーンなんかは結構派手にきちんと作ってるんだよなぁ。

(原題:Iron Sky)

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映画|高地戦

Kochisen 朝鮮戦争末期の1953年。休戦協議が長期間膠着する中で、両軍が対峙する最前線では、小さな高地を奪っては奪え返す血みどろの激戦が繰り返されていた。戦力は拮抗し、将棋の千日手のように毎日繰り返される陣取り合戦。プレス資料に「朝鮮戦争の“ハンバーバー・ヒル”」と書いてあるのだが、今の若い人には『ハンバーガー・ヒル』なんてわからんだろうになぁ……。1987年の映画だから今から25年前の映画なんだなぁ……。『ハンバーガー・ヒル』はずいぶん昔に映画館で観たきりだが、鬱蒼としたジャングルが戦闘でずたずたにひき裂かれ、最後は丸裸になってしまうのがすごいと思った。ジャングルひとつを丸裸にしてしまうほどの壮絶な物理的暴力の前に、生身の人間たちが放り込まれているという不条理。それに比べると『高地戦』は丸裸になってしまった山に主人公がやってくるので、そうした間接的な暴力描写は薄い。韓国軍視点で物語を綴るだけでなく、北朝鮮側の視点も少し入っているので、どうしてもドラマがウェットになっているような気もする。金大中以降の南北融和ムードの中では、北朝鮮を顔の見えない純粋な敵としては描けないということかもしれない。

(原題:고지전 THE FRONT LINE)

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映画|バイオハザードVリトリビューション IN 3D

Baiohazado5 ミラ・ジョヴォヴィッチ主演のSFホラー・アクション映画だが、1作目の公開が2002年なので、今回の5作目で10年目となる。次回作が完結編になるようだが、今回は単純明快な脱出アクションで楽しめる。主人公のアリスがアンブレラ社の巨大施設に閉じ込められ、そこから脱出するためにいくつかのシミュレーション用ステージをクリアしながら外部に向かうというストーリー。筋立ては単純だが、過去のシリーズに出てきた人物たちがゲスト的に次々登場するなど、これまでのシリーズを観ていた人にとっても楽しめる内容になっているはず。ただし劇場公開に合わせてリアルタイムで映画を観ている立場だと、1作目のキャラクターなんてもう忘れていたりもする。これは公開時期に関わらずDVDなどで映画を観ている、現代の観客層があればこそ成り立つシリーズなのだと思う。

(原題:Resident Evil: Retribution)

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2012.08.28

映画|鍵泥棒のメソッド

Kagidorobo 記憶喪失になったプロの殺し屋と売れない役者が入れ替わるというコメディ映画で、主演の香川照之と堺雅人が相変わらず達者な芝居を見せる。しかし僕が一番感心したのは広末涼子だ。雑誌編集長という役なのだが、殺し屋よりも役者よりも浮き世離れしている。この映画、殺し屋や売れない役者は別の俳優が演じても成り立つかもしれない。でも広末涼子が演じた役は、彼女以外が演じるとまったく別種のものになってしまっただろう。この映画の中心軸となり、この映画のムードを作り上げている立役者は広末涼子なのだ。もっといろいろな映画やドラマに出て演技者として活躍すべきだと思うけど、CMタレントみたいな仕事が多いのが残念。役者としての欲がないのか、事務所の方針なのか、一体何なんでしょうね……。

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2012.08.10

映画|バレエに生きる 〜パリ・オペラ座のふたり〜

Ballets フランスのバレエダンサー、ギレーヌ・テスマーと、振付師ピエール・ラコットの夫婦が歩んだバレエ人生を、本人たちのインタビューや貴重な映像で綴るドキュメンタリー映画。ふたりが関わったさまざまな作品からハイライトシーンを抜粋して次々見せてくれる。ただし画質が悪くてがっかりすることが多い。最初は画像の元素材が悪いのかと思ったが、インタビュー映像などでも画質が悪いから元素材の問題ではない。では上映環境の問題かというと、シーンによっては画質が乱れず観られるのだからおそらくそれも違うだろう。映画フィルムやビデオなど複数の映像素材を編集用に変換する際、画像が著しく乱れてしまったのかもしれない。ノイジーでジャギーな映像に、どのバレエの名場面もちょっと残念なものになってしまった。ひょっとすると劇場上映時には、もう少しきれいな映像のデータに差し替えられるかもしれない。

(原題:Une vie de ballets)

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2012.08.09

映画|最強のふたり

Saikyo2 実話をもとにしたヒューマンドラマ。頸椎損傷の事故で首から下が麻痺した大富豪と、その介護人になった男の交流を描く。実話をものすごく脚色していることは一目瞭然だが、そんなことはどうでもいい。映画の中では対照的な人物をぶつけることで面白いドラマを生み出す定番の手法が何度も使われているが、この映画もそうした手を使っているに過ぎない。だから映画では、介護人の青年をあえて黒人にしている。その方が対比が引き立つからだ。これを「事実の歪曲」だなどとは誰も言わない。映画はしょせんフィクションだからだ。しかしそのフィクションの中に、人間の真実がある。大富豪のフィリップは富と名声のすべてを手に入れながら、心が死んでいる男だ。彼の生活は日々を死なないように過ごすこと。しかし介護人のドリスが現れて、フィリップの生活は一変する。毎日の暮らしが、再び生き生きと輝き始める。そしてドリスの生活も、フィリップとの交流の中で変化してゆく。これは人間と人間が出会うことで生まれる、素敵な化学反応の物語なのだ。

(原題:Intouchables)

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映画|くろねこルーシー

Kuroneko 山本耕史と京野ことみ主演で制作放送された連続ドラマ「くろねこルーシー」の劇場映画版だが、映画はドラマ版にも登場する主人公の父親を主人公にしたプリクエル(前日譚)。映画の冒頭とラストシーンに山本耕史と京野ことみが登場してドラマ版との連続性を作っているのだが、映画でいきなりこれを観た僕には意味がわからず、どこから回想シーンになったのかがよくわからなかった。ドラマ版を見ていれば塚地武雅が登場した時点で「父親の話だ!」とすぐ合点できるのだろうが、僕は山本耕史がなぜいきなり塚地になってしまったのか首をかしげながら、映画の中盤以降まで過ごしてしまった。そういう意味では、この映画は1本の独立した作品として少々問題ありだ。映画の舞台は昭和末期らしいが(劇中にガンプラが出てくる)、これといった風俗描写もないので何年頃なのかは不明。もっともこの映画を観ていて一番の謎は、塚地武雅のようなどんくさそうな男が、なぜ安めぐみのような美女と結婚できたのかなのだが……。

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映画|のぼうの城

Nobou 和田竜の同名小説を映画化した歴史時代劇だが、原作者自らが脚本を担当している。もっとも「のぼうの城」という小説は、和田竜が城戸賞を受賞した映画用のシナリオ「忍ぶの城」をノベライズしたもの。今回の映画も「のぼうの城」の脚色映画化ということではなく、城戸賞受賞シナリオ「忍ぶの城」の映画化なのだろう。上映時間2時間半。映画のあちこちに黒澤映画の引用やオマージュが観られるのが、いささかウザイような気がしないでもない。例えば打楽器を打ち鳴らすオープニングタイトルの音楽や、村人たちが楽しげに歌う歌詞の内容意味不明の田植え歌などは、まるっきり『七人の侍』だろうな。勝ち気なお姫さまは『隠し砦の三悪人』だろうけれど、この役は榮倉奈々じゃないような気がするんだけど。映像的にはすごいのだが、水攻めのシーンは3.11の津波を思い出してちょっと嫌な感じがした。実際の水攻めの場合、水は徐々に水位を増していくものだと思うしね。

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2012.08.08

映画|トータル・リコール

Totalrecall フィリップ・K・ディックの短編小説「追憶売ります」の再映画化ではなく、1990年にアーノルド・シュワルツェネッガー主演で最初に映画化された作品のリメイクだ。僕は原作を最初の映画が作られる前に読んでいるが、映画版はそれをかなり拡張してまったく別のものに仕立て上げている。今回の映画はその「まったく別のもの」から出発しているので、原作からはより遠ざかっている次第。ただしコロニーのビジュアルデザインは『ブレードランナー』の匂いがぷんぷんするし、普通の男が強烈な個性の女に振り回されるという話自体はディックの世界だろう。これは最初の映画化でも同じだが、何しろ主演がシュワルツェネッガーでは相手がシャロン・ストーンでもびくともしない。今回は主演がコリン・ファレルというのが良かった。あと良かったのはヒロインのキャスティング。僕は前作で夢の中の美女を演じたレイチェル・ティコティンがぜんぜん美女には思えず、「こんなことなら騙されたままシャロン・ストーンと夫婦をやってたほうがいいんじゃないの?」と思ったぐらいだ。今回は偽の妻を演じるのがケイト・ベッキンセールで、夢の中の美女を演じるのがジェシカ・ビール。これならOK。

(原題:Total Recall)

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2012.08.06

映画|カルロス(1部・2部)

Carlos 世界最凶の国際テロリストとして悪名高い「カルロス」ことイリイッチ・ラミレス・サンチェスのテロ人生を、オリヴィエ・アサイヤス監督が事実に沿って映画化した5時間半の大作。もともとTVのミニシリーズとして制作された作品で、全部で3つのパートに分かれている。ただし今回は試写の時間の都合があって、僕は第3部を観ないで試写室から出てきてしまった。試写状には18時40分で終映となっていたのに、途中で2回休憩を入れて終映が19時になっていたからだ。それならそうと、最初から試写状にそう書いておいてくれればいいのに……。まあ試写を回し始めてから、いろいろと不都合が出てきたのかもしれないけどね。松竹の試写室はトイレが遠いので、短い休憩時間だと戻ってこれなくなっちゃうんだよな。映画はエドガー・ラミレスが熱演していて、世界を股にかけるダークヒーローを快活に演じている。第1部でカルロスが売り出し、第2部で頂点を極め、第3部で転落していくわけだが、この第3部を観られなかったのが残念。

(原題:Carlos)

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2012.08.05

映画|仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ!/特命戦隊ゴーバスターズ THE MOVIE 東京エネタワーを守れ!

Foze_gobasuta 「特命戦隊ゴーバスターズ」と「仮面ライダーフォーゼ」の2本立て上映。「ゴーバスターズ」は東京エネタワーこと東京タワーが舞台のアクションで、東京タワー以外にも東京ゲートブリッジや勝どき橋など、東京の実景映像があちこちに盛り込まれていて楽しい。東京タワーでは高度差を生かしたアクションや、展望台でのアクションなど、東京タワーに行ったことがある人なら馴染みの場所がいくつも出てくる。一方「仮面ライダーフォーゼ」は次期ライダーの「仮面ライダーウィザード」が助っ人に駆けつけるお馴染みの展開に、これまでに番組に出演した多くのキャラクターがからんでくるという、1年間のテレビ番組の集大成的な内容。最終的に登場する宇宙ステーションXVII(エックスブイツー)は、ローマ数字だと17になる。これ「大鉄人17(ワンセブン)」なんですね。敵のロボットコンビは「宇宙鉄人キョーダイン」だとのこと。でも僕はキョーダインはあまり強い印象がないんだよなぁ。

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2012.08.02

映画|るろうに剣心

Rurouni 人気漫画を実写映画化すると必ず賛否両論になるわけで、中には肯定的な意見が出ようもない『デビルマン』のような悲惨なことになることもあるわけだが、この『るろうに剣心』は結構イケテルのではないだろうか。もちろん否定的な意見もあろうが、僕はこの映画はOK。主演の佐藤健と武井咲は結構原作やアニメ版のムードを出してると思う。チャンバラが荒唐無稽になることを心配したわけだが、それもまあ許容範囲内。監督の大友啓史は「龍馬伝」でリアリズム演出をやっていた人なので、この映画でも原則的にチャンバラはリアリズムの範囲でやっているようだ。とは言えリアリズム一辺倒でもない。アクション監督の谷垣健治は香港映画の世界で養った「映画のウソ」をしっかりと作品に持ち込んでいて、これがきちんと形になっている。左之助が斬馬刀を振り回しても、それがウソっぽく見えないのは立派なもんだ。原作が良かったのだろうが映画でもしっかりキャラ立ちしているし、原作はまだまだあるので、続編を期待したいところだ。

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映画|ハイザイ 〜神さまの言うとおり〜

Haizai 2010年に沖縄の北谷町にオープンした複合商業施設、デポアイランドを舞台にしたドタバタコメディ映画。東京から観光旅行にやってきた代理店勤務のチャラ男と売れないグラビアアイドル。評判のユタに間違われて若いやくざに拉致されたアラサーの看護婦。コックリさんで余命10年と予言されてしまった女子高生と友人。彼らがデポアイランドの中で行ったり来たりしながら日常から半歩だけ非日常に踏み出してゆく。遊園地やショッピングモールを使って映画を撮るというアイデアはこれまでにもあったが、これはそれに比べると撮影場所がかなり限定されているように感じる。外観から想像できる施設の規模の割には、同じ場所ばかりが何度も何度も出てくるのがわかる。空間的な広がりはあまり感じられないが、会話のテンポやノリがなかなか面白くて、コントや漫才がずっと続いているような感じだ。何カ所かでついクスクス笑ってしまった。施設とまるで関係がない「カモ〜〜ン」とか、そういう場面だったりもするけど。

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2012.08.01

映画|桐島、部活やめるってよ

Kirishima この映画を観ると「高校生の生活ってこんな感じなんだろうなぁ」というリアリティを感じると同時に、このどうしようもない閉塞感と息苦しさにウンザリしてしまう。金魚鉢のような小さな世界は、微妙なバランスの上に成り立っている。そこにちょっとした変化が起きると、酸欠になった金魚のように高校生たちは水面に顔を出してパクパクと苦しそうにあえぐのだ。この映画はそのパクパク状態を延々描いているようなもので、観ているだけでこちらまで息が詰まりそうになる。金魚鉢を飛び出せばまた別の世界があるのになぁ。同じシーンを違う視点から何度も何度も繰り返すシナリオの構成も、出口のない高校生の日常生活を巧みに表現しているように思うのだが、その出口なし状態がまた嫌になってしまう。よくできた映画だが、個人的にはまったく好きになれない映画。ついでに言うなら、映画部の生徒が8ミリにこだわるのも現実的じゃない。生徒の撮る映画のシナリオにいちいち口を突っ込む教師が、コスト的に割の合わない8ミリ撮影をなぜ許可しているのは不可解だ。

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映画|コンフィデンスマン ある詐欺師の男

Confidence 長い刑務所暮らしを終えて出所した男が、血なまぐさい世界から足を洗って堅気になろうと決意する。しかしかつての彼の腕前を知っている悪党たちは、彼を放っておかない。愛する者がみすみす悪党たちの手で破滅するのを見るに忍びず、男は再び以前歩いた修羅街道を歩んでいくのであった……という東映やくざ映画みたいな映画。しかしこの映画の主人公は暴力犯ではなく優秀な詐欺師。もっとも映画の中でこの男が詐欺師である必然性があるのかというと、それはイマイチよくわからない。詐欺話でなく、殺し屋でも、マフィア組織の幹部でも、たぶん何でもこの話は成り立ってしまうのだと思う。主人公の詐欺師という経歴が物語の中核に心棒として通っているのではなく、単なる味付けに終わっている映画なのだ。

(原題:The Samaritan)

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2012.07.31

映画|神弓 KAMIYUMI

Kamiyumi 1936年に発生した丙子の乱で、李氏朝鮮は清の猛攻を受けて降伏。このとき多くの人々が捕虜となり、清に連行されていったという。映画はこの史実をもとに、愛する家族を清の捕虜にされた男が、得意の弓を手にして清軍に立ち向かうというアクションドラマ。試写で配布された資料には「1人 VS 10万人!!」などの文字が踊るが、実際には丙子の乱という大きな戦いの中で生じた、両者合わせて10数人規模の戦いを描いた内容だ。主人公は朝鮮軍とは無関係な弓の名手で、清軍にさらわれた妹を救出するためゲリラ戦を挑む。彼を迎え撃つのは従軍した王子を警護する親衛隊の精鋭で、こちらもまた弓の名手ぞろい。野山を駆け巡って弓対弓の戦いが繰り広げられる様子はこれまでの時代劇アクションにはないユニークさ。弓は飛び道具なので銃撃戦のような距離感がある一方、射る矢の数は限られているし、射られる側も飛んでくる矢をかわしたり、払い除けたり、楯で防いだりという防御もできる。銃器と刀剣の中間にある武器なのだ。これは面白かった。

(原題:최종병기 활)

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映画|私の少女時代

Cmf2012 10月に新宿K's cinemaで開催される「中国映画の全貌2012」で、オープニングロードショー作品として公開される作品。文化大革命の下放政策で農村部に移住した15歳の少女が、独学で医学を学んで無医村の医師になるという実話の映画化。しかしこれは奇妙な映画だった。映画の導入部とエンディングに成長して中年女性になった現在のヒロインが登場するのだが、このヒロインと回想劇の中のヒロインを結ぶエピソードや説明が何もない。ヒロインは本物の医者になれたのか? 恋人との関係はどうなったのか? 都会に戻ってからの暮らしはどうなったのか? ヒロインは今、何をしているのか? また劇中ではヒロインの心象風景として、突然彼女が草原でバレエを踊ったり、子供たちと一緒に歌ったりするシーンが挿入されるのもビックリする。ヒロインの声が妙に甲高くて、少女のあどけなさを表現するための作り声なのかとも思ったのだが、これが地声なのかもしれない。日本語吹替版を作る時は、ぜひはいだしょうこに吹替をお願いしたい。(歌の場面のあるしね。)

(原題:我的少女時代 My Girlhoot)

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2012.07.27

映画|人生、いどろり

Jinse_irodori 山間部の小さな町の年寄りたちが、料理のかざりに使う葉っぱを集めて出荷し、地元の産業にしたという徳島県上勝町の実話を映画化。映画の中では事業の企画から、初期の挫折、葉っぱをただ採集してくるのではなく、出荷用に葉や花を栽培するようになるまでが順を追って再現されていて、この地域の変化の様子がわかりやすく解説されている。この話自体はテレビ報道や新聞雑誌の記事で知っている人も多いと思うのだが、映画ではこの事業が軌道に乗るまでの地元の抵抗感や家族内で生まれる軋轢を取り上げて、良質のホームドラマに仕立て上げている。これは葉っぱビジネスで大儲けという、地域のサクセスストーリーではない。時代の流れの中で家族が揺れ動き、夫婦や、親子や、嫁と姑の絆が確かめられるという話なのだ。主演クラスの役者たちが田舎のジイサンやバアサンにしては立派すぎるという嘘っぽさはあるものの、じゃあこれをリアルに地味な人が演じれば面白いかというと、それじゃ映画にならないだろう。このあたりは映画の難しさだなぁ。

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映画|ウェイバック -脱出6500km-

Wayback 第二次大戦でドイツとソ連に分割占領されたポーランドから、スパイの濡れ衣を着せられてシベリアの収容所に送られた男。彼は生き延びるため数人の仲間たちと共に収容所を脱走し、モンゴルへの国境を越え、さらに中国に入り、さらにチベットを経由して、1年がかりでインドに脱出した。踏破距離は6,500キロ。なんとも恐るべき話だが、これは実話がもとになっているという。極寒のシベリアからユーラシアの森林地帯を抜け、灼熱のゴビ砂漠、さらにヒマラヤへ。大自然の中で人間はあっさり死んでしまう一方で、なかなかにしぶとくしたたかなところも持ち合わせている。監督はピーター・ウィアーだが、『マスター・アンド・コマンダー』以来7年ぶりの映画。9月から銀座シネパトスで公開されるが、パトスは来年春に閉館が決まっているとのこと。

(原題:The Way Back)

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2012.07.26

映画|ヴァンパイア

Vampire 劇場用長編映画としては8年ぶりとなる岩井俊二監督の新作は、アメリカ・カナダ・日本合作となる風変わりな吸血鬼映画。ネットで知り合った自殺志願の女性に「一緒に死のう」と持ちかけた上で彼女を殺し、その血を採取して飲むのがこの映画の主人公サイモン。彼はこれまで小説や映画の中で繰り返し描かれてきた吸血鬼とはまるで違う。超自然的な力は使えず、ただ「血を飲まずにはいられない」「相手の命を奪う」という点でのみ吸血鬼なのだ。映画の惹句は『映画史上誰も作らなかった吸血鬼映画』だが、これは映画史上最も地味な吸血鬼映画であることは間違いなさそうだ。ホラーでもないし、サスペンスもあまりない。途中で1ヶ所、主人公が頭のいかれた連続殺人鬼に出会う場面があってハラハラさせられるが、話はそこから特に大きく進展していかない。もう少し映画らしい見せ場とかが欲しいよなぁ。試写室は満席。さすが岩井俊二! しかしこれが、劇場でもウケルかどうかは微妙だなぁ。

(原題:Vampire)

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映画|コッホ先生と僕らの革命

Kohhosense ドイツ・サッカーの父と呼ばれる教育者コンラート・コッホ(コンラット・コッホ)の実話をもとにした、型破り先生と受け持ち生徒たちの交流と成長を描く学園スポーツ青春ドラマ。映画は教員のコッホがドイツにサッカーを紹介したという事実以外はほとんどフィクションなのだが、それでもこの映画を観た人は「コッホ先生」の名前と業績を決して忘れることがないだろう。この映画は実話をもとにした映画ではあるが、実話にもとづいた映画ではない。現実の人物を借りたフィクションだ。ちなみに「コッホ先生」で有名なのは細菌学者のロベルト・コッホだろうが、この2人の「コッホ先生」はほとんど同時代人。コンラート・コッホは1846年生まれで1911年没。ロベルト・コッホは3歳年上の1843年生まれで1910年没。ちなみにサッカーの父のコッホ先生は、ハンドボールのルール考案者でもあるらしい。

(原題:Der ganz große Traum)

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2012.07.25

映画|凍える牙

Kogoerukiba 日本のテレビ局で過去2回ドラマ化されている乃南アサの同名小説を、韓国で映画化したサスペンス・ミステリー。原作も過去のドラマも未読未見だが、WikipediaやAmazonの書籍データを見たところ女性刑事が主人公になっているようだ。映画はどちらかと言うとソン・ガンホ演じる中年刑事が主人公。警察内部の人間的軋轢や、女性刑事に対するあからさまな差別と蔑視など、どれも韓国映画らしい世界観になっているけど、これは原作もこんな感じなんだろうか。ミステリー映画にしては情緒的なところが目立ち、刑事や被害者たちの非情な世界がある一方で、犯人とその周辺だけがメソメソ泣いているような雰囲気。しかしこれは、最近のハードボイルド・ミステリーにありがちなパターンかもしれない。それに最後の方はちょっとご都合主義的だなぁ……。

(原題:하울링)

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2012.07.22

映画|放課後ミッドナイターズ

Asm 深夜の学校で人体模型と骨格標本が歌って踊って大暴れするという、フルCGの新作長編アニメーション映画。映像のユニークさが海外でもウケて、日本以外にも香港、シンガポール、台湾、韓国の5カ国で同時公開されるという。子供にいたずらされてブチ切れた人体模型が子供たちに復讐するという話が、途中から子供たちを使って3つのミッションを完遂しようとする話になり、さらに学校内に40年間封印されていたモンスターがからんでくるという脚本の構成にはちょっと疑問もある。物語が一直線に進まず、あちこちで屈折していくのだ。1本の映画の中に、3本分の映画のアイデアが無理やり同居しているような雰囲気。これはもう少し話を整理して、話をシンプルに、スピーディーに展開させることができたと思う。ただし登場するキャラクターはどれも強烈。子供のキャラクターには多少紋切り型のところもあるが、学校にいるオバケたちはみんな面白い。これはシリーズ化できるような素材だと思うけど、そのためにはまずこの1本目をそこそこ当てないとね。

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2012.07.13

映画|プロメテウス

Prometheus リドリー・スコット監督が自ら手掛けたSF映画の古典『エイリアン』のプリクエルだが、過去に製作されたシリーズに直結する作品というより、細かな設定をリファインして仕切り直したリブート作品と考えるべきかもしれない。サム・ライミの『スパイダーマン』三部作に対する『アメイジング・スパイダーマン』みたいなものだ。ピーター・パーカーの恋人がメリー・ジェーンからグウェン・ステイシーに変わっても、それがどうしたって言うんだい? 手首からクモの糸がピピッと出るのではなく、ハイテクのウェブシューターを使って糸を出す仕掛けになったからと言って、それがどうしたって言うんだい? 『エイリアン』シリーズを観ていれば、『プロメテウス』を観ていて「アレレ?」「コレは!」と思う場面がいくつもあると思う。でもそれがどうしたって言うんだい? いいじゃん、映画なんだからさ! 問題はそれで映画が面白くなったかどうかなのだが、う〜ん、それはどうだろうか……。

(原題:Prometheus)

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映画|白雪姫と鏡の女王

Mirrormirror 『スノーホワイト』に続いて公開される「白雪姫」のアダプテーション作品。『スノーホワイト』ではシャーリーズ・セロンが意地悪な継母を演じていたが、この映画で継母を演じるのはジュリア・ロバーツ。しかしそうしたキャスティングよりも注目すべきは、この映画がターセム・シン監督とデザイナーの石岡瑛子にとって最後のコラボレーション作品になっている事だろう。ふたりは『ザ・セル』でコンビを組み始め、その後ターセム監督のすべての劇場用長編映画でコンビを組んでいる。石岡瑛子のコスチュームは単なる衣装ではなく、映画の世界観を強く支配していることは間違いない。ターセム監督は次回作『マルコ・ポーロ』を準備中のようだが、そこでどんな世界を展開するのかが今から楽しみだ。あ、ちなみに『白雪姫と鏡の女王』のジュリア・ロバーツはとても良かった。彼女の持つコミカルで明るい個性が、この映画の中で光っている。この映画は白雪姫の映画と言うより、ジュリア・ロバーツ演じる女王の映画だね。

(原題:Mirror Mirror)

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2012.07.10

映画|王様とボク

Osamatoboku 「仮面ライダーW」のフィリップくんこと菅田将暉、同時期に放送していた「侍戦隊シンケンジャー」のシンケンレッド/志葉丈瑠こと松坂桃李、同じく「シンケンジャー」のシンケンブルー/池波流ノ介こと相葉弘樹が共演する青春映画。この顔ぶれが揃うと、日曜朝のお子さま番組を見ている身としてはワクワクしてしまうのだが、映画自体はそれほどでもなかったなぁ……という感じ。子どもから大人への一歩を踏み出して行く主人公の目の前に、子どものまま成長を止めたかつての親友が現れるという話なのだが、最近各方面で活躍している松坂桃李は(シンケンジャーの時からだけど)子どもと大人の間にいる宙ぶらりんの状態よりずっと大人びて見えている。脚本には原作者のやまだないとが加わっているのだが、(原作未読ながら)これは映画の脚本としてヘンテコな形になっているのではないだろうか。相葉裕樹や二階堂ふみのポジションがいまひとつ不明確だし、松田美由紀もただの便利屋さんで終わってしまっているような気がする。原作がこんな感じなのかなぁ。

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映画|かぞくのくに

Kazokunokuni 日本で暮らす在日朝鮮人一家のもとに、25年前北朝鮮に「帰国」した家族が戻ってくる。16歳の時、地上の楽園と喧伝されていた北朝鮮に、たった一人で渡った兄ソンホを、妹のリエは笑顔で迎える。ソンホの来日は日本で最新医療を受けるための一時的なものだが、北朝鮮の担当者はその行動を四六時中監視している。だがソンホの来日には、家族にも秘密にしているもうひとつの目的があった……。監督・脚本のヤン・ヨンヒが自らの経験をもとにして作った映画だが、ジャンルとしては「ホームドラマ」ということになるのかもしれない。遠く離れて暮らしていた家族が再会し、また別れていくというストーリーの枠組みは「ホームドラマ」によくあるものだろう。兄が家に戻り、家族や友人たちとのすったもんだがあり、妹がそれをハラハラしながら見守っているという人物配置は、『男はつらいよ』と同じかもしれない。内容は監督自身の実体験に根ざしたものが多いようだが、フィクションならではの表現も交えているのだと思う。兄の監視役で登場するのは、『息もできない』に監督主演したヤン・イクチュン。

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2012.07.06

映画|夢売るふたり

Yumeurufutari 09年に『ディア・ドクター』を発表して絶賛された西川美和監督の新作。阿部サダヲと松たか子が夫婦で営んでいた小料理屋をぼやで失い、新たな開店資金をかき集めるために思いついたのは結婚詐欺だった……という物語。結婚詐欺をするのは夫の阿部サダヲで、松たか子はその仕込みをする役回り。金を貯め込んでいそうなカモを探し出し、さりげなく出会いをお膳立てし、恋の駆け引きのシナリオを周到に準備してやる妻。夫は妻に命じるままに女性に接近し、相手の懐に飛び込んで金をさらって行く。夫は妻の操り人形。しかしいつしか夫の側は、女を口説いて騙すという行為に、妻も本人も思っていなかったような意外な才能を発揮し始める。阿部サダヲが調子はいいくせに精神的には弱い男を好演。松たか子の屈折した悪女ぶりも素晴らしい。

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映画|マダガスカル3

Madagascar3 2005年の『マダガスカル』、2008年の『マダガスカル2』に続く3作目。じつは2作目を見落としているのだが、それは特に大きな問題にはならないようだ。ニューヨークの動物園を逃げ出してアフリカに戻ったはずの動物たちが、故郷の動物園を懐かしんで戻ろうとする物語。今回の映画では主人公たちが無事にニューヨークに戻るのだが……。今回の映画から3Dになっているが、これが抜群の効果を生み出すのは動物取締官の女性警部デュボアとの追いかけっこと、途中から合流した動物サーカスと繰り広げるスペクタクルショー。パラマウント映画はこの秋に『シルク・ドゥ・ソレイユ3D 彼方からの物語』という映画を公開するので、『マダガスカル3』の前にもその予告編を流していたのだが、それに匹敵するめくるめく体験。(もちろんこっちは3Dアニメであちらは3Dの実写映像なんだけどね。)『マダガスカル3』の中では「カナダのサーカス団は動物の出てこないサーカスを作って大人気だ!」とシルク・ドゥ・ソレイユを引き合いに出した台詞もあって、対抗意識がむき出しなのがまた楽しい。

(原題:Madagascar 3: Europe's Most Wanted)

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2012.06.18

映画|アメイジング・スパイダーマン

Amazing_spiderman トビー・マグワイア主演でサム・ライミが監督した三部作から仕切り直し、新たにアンドリュー・ガーフィールド主演、マーク・ウェブ監督でリブートした新シリーズの第1弾。ピーターのガールフレンドがメリー・ジェーン(MJ)からグウェン・ステーシーに交代しているなど、基本的な設定が以前の三部作と少し変わっている。ただしこれらは映画のオリジナル設定ではなく、原作にもあるもの。原作は何十年も連載している間に、時間が行ったり来たりしたり、仕切り直して別のシリーズを並走させたり、それでいながら敵役(ヴィラン)が作品間で使い回されたりと、かなり複雑な状況になっている。まるでパラレルワールドなのだ。映画版もそうしたパラレルワールドのひとつだろう。グウェンは原作シリーズだと途中で殺されてしまうそうだが、映画版はまた別の展開になるのかもしれない。

(原題:The Amazing Spider-Man)

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2012.06.08

映画|依頼人

Irainin 妻殺しの疑いで逮捕された容疑者を巡り、法曹界同期の弁護士と検事が火花を散らす。死体なき殺人事件のミステリー。事件の影に見え隠れする怪しい人物たち。事件当日の被告の不可解な行動。事件当日に起きたという事故の目撃者探し。被告人は犯人なのか。それとも別の真犯人がいるのか。物語は何度も大きく蛇行しながら、意外な(そうでもない?)結末に向けて動いていく。韓国では大ヒットしたらしい。ライバルである弁護士と検事のキャラクターや関係性には映画に使っていない裏設定などもありそうで、これはシリーズ化させようと思えばできそうな素材だと思う。主人公の弁護士が検事を辞めるきっかけとなった事件とか、ライバル検事と父親の関係とか、それぞれの私生活とか、掘り下げていく余地はまだまだある。法廷ドラマはある程度パターンが決まっていて、この映画もそのパターンを大きく抜け出すものではないが、キャラクターが魅力的なら物語なんていくらでも作れる。

(原題:의뢰인)

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映画|ネイビーシールズ

Navyseals アメリカ海軍の特殊部隊、ネイビーシールズ(Navy SEALs)の活躍を描くアクション映画。出演しているのが現役のシールズ隊員で、登場する武器もみんな本物という、ミリタリーマニアにはたまらん映画になっているのだろうが、作品としては華やかさに欠ける。ひとりぐらいプロの俳優を入れておくと、印象が大分違ったと思うんだけどなぁ……。映画は前半と後半で2つの山場がある。前半はテログループに拉致されたCIAエージェントの救出作戦。後半はアメリカ国内に密入国しようとする自爆テロ犯を阻止するため、国境に近いメキシコのメヒカリ(魚の名前じゃないぞ)にある犯罪グループの本拠地に、シールズたちが突入して行く。これ以外にも、映画冒頭にある自爆テロだの、麻薬王のクルーザーを洋上で襲撃確保するシーンだの、冒頭からラストまで見どころは満載の映画になっている。巨大な力を持つ組織は、その組織の中で組織の歯車に徹する者たちがいればこそ、その力を存分に発揮することができる。この映画はそんな名もない歯車たちを讃えるものなのだ。

(原題:Act of Valor)

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2012.06.07

映画|画皮 あやかしの恋

Gahi 聊斎志異の中の一篇「画皮」を、豪華キャストで映画化したアクション・ファンタジー映画。原作からは人間の皮を被った妖怪、妖怪が人間の心臓を食べる、夫と妻と妖怪の三角関係、妻の献身によって夫が救われるという筋立てを借りているが、あとはほとんど映画のオリジナル。この原作は過去に何度か映画やドラマになっているので、あるいはそうした過去作品の脚色を借りている部分があるのかもしれない。憂い顔のジョウ・シュンが妖狐を演じ、『レッドクリフ』でおてんばな王女様を演じていたヴィッキー・チャオが貞淑な妻、『小さな中国のお針子』のチェン・クンが妖狐の化身に手玉に取られる将軍を演じている。この3人は一応原作を踏まえたキャラクター。これに対して、スン・リー演じる女道士、チー・ユー・ユー演じるトカゲの化身、ドニー・イェンの剣士などは映画オリジナルのキャラクター。これが物語を大きく膨らませている。

(原題:Painted Skin 畫皮)

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映画|ぱいかじ南海作戦

Paikaji 離婚して、失業して、住んでいたマンションを引き払った男が、向かった先は沖縄の西表島だった。そこで地元のホームレスたちと仲良くなった男は、気を許した隙に身ぐるみはがれて一文無し。男は自分と同じように島にやって来た若い男を取り込んで、今度は自分が彼の荷物を盗もうとするのだが……という物語。超常現象も超自然な出来事もないけれど、これはファンタジー。「沖縄=癒しの島」というのではなく、これは何もない南の島で、大人が子供に返る物語なのだ。秘密基地を作り、自給自足の生活をして、落とし穴を作って敵を待ち伏せ、手製のランプで明かりを灯す。そういう野性的な男の子のまわりには、きれいな女の子たちもやってくる。男たちにとっては夢のような暮らしだ。だからといって、西表島でキャンプ生活をしたいとは思わないけどね。安部サダヲがじつにいい感じ。

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2012.06.06

映画|だれもがクジラを愛してる。

Daremoga アラスカの氷原で氷に閉じ込められた3頭のクジラが発見され、テレビがそれを報道したところ世界中が大騒ぎ。環境保護団体、ジャーナリスト、石油会社、州知事、大統領、ソ連まで巻き込んで、クジラを脱出させるための大作戦が繰り広げられる。1988年に起きた実話の映画化だが、出来事の詳細や人名などは映画向けにアレンジされている。ただし映画のエンドクレジットにはモデルになった人たちが出てきているので、映画に取り上げられているエピソードの多くは、実際の出来事をそのまま再現しているのだろう。登場する人たちがクジラを助けたいと考える動機が、それぞれの私利私欲であるところがリアルだ。環境保護団体は自分たちのPRのためにクジラを利用したい。石油会社は企業のイメージアップに利用したい。州知事や大統領は選挙対策に使いたい。ソ連は米ソ冷戦の雪解けをアピールするのに使いたい。ジャーナリストたちはここで一発スクープを出して出世の糸口にしたい。地元民たちは集まった人たち相手に商売に余念がない。美談の裏側にうごめく政治的な駆け引きや打算の数々。面白い。

(原題:Big Miracle)

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映画|屋根裏部屋のマリアたち

Yaneurabeyano 祖父の代から証券会社を経営しているという資産家夫婦のアパートに、若いスペイン人のメイドがやって来る。家の主人はこれをきっかけにして、屋根裏部屋に暮らすスペイン人メイドたちの世界に引き込まれて行く。ファブリス・ルキーニ演じる主人公が、スペインに惹かれて行く理由がわかりにくいのが弱点。マリアに一目惚れしたということなのだろうが、それが素直にマリアへの思いに結びつくことなく、スペイン人メイドたちの世界全体に広がっていく。このあたりは映画としては綱渡りなのだが、それをファブリス・ルキーニという俳優がうまく演じきっていると思う。マリアを演じたナタリア・ベルベケがチャーミングだったが、主人公の妻を演じたサンドリーヌ・キベルランのコミカルな持ち味があまり生かされていないのは残念。

(原題:Les femmes du 6ème étage)

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2012.06.01

映画|スリープレス・ナイト

Sleeplessnight 犯罪組織による麻薬取引の情報をキャッチした刑事が、この麻薬を横取り。だが相手に顔を見られて身元がばれ、一人息子を誘拐されてしまった。息子の命が惜しければ、麻薬を返せというのだ。だが受け渡し場所のナイトクラブに行った刑事を、内務調査の女刑事が尾行していた。彼女は刑事が隠した麻薬を見つけて別の場所に隠してしまう。刑事は息子を取り戻すために必要な麻薬が消えたことで、パニックになるのだが……。刑事が麻薬を奪うのが朝で、映画が終わるのは翌日の朝。お宝を巡って、主人公の刑事、犯罪組織、それと取引のある別の犯罪組織、主人公を追う刑事などがぐるぐる動きまわるサスペンス・アクション映画だが、映画の中では麻薬の入ったバッグと、人質になっていた刑事の息子という2つのお宝があり、これが物語の展開を鈍くしているような気もする。麻薬入りのバッグはどこに消えたのだ? クロースアップを多用し、時として小型ビデオカメラなども利用した撮影が、テレビ時代の臨場感を生み出すわけだが、試写室の最前列で映画を観ていると結構しんどいなぁ……。

(原題:Nuit blanche)

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2012.05.29

映画|ぼくたちのムッシュ・ラザール

Lazhar モントリオールの小学校で担任を受け持つ女性教師が自殺し、代用教師として雇われたアルジェリア人移民のバシール・ラザール。前任教師の死をタブー視して不可視化してしまおうとする学校側に対して、ラザールは「子供たちを死と向き合わせるべきだ」と主張する。だがそのラザールにもまた、学校側に隠している大きな秘密があった……。映画のテーマは「愛する人の死をどう乗り越えて行くか」であり、人が親しい人の死を受け入れて消化して行く通過儀礼についての映画だと言える。子供たちにとってラザールと過ごした時間が通過儀礼となり、ラザールにとっても子供たちと過ごした時間が通過儀礼となる。体罰はもちろんハグなども禁じられ、子どもにどう接していいか戸惑う教師たち。あれこれと権利を要求する親たちなど、日本でも共通しそうな問題がいろいろと描かれていて面白い。

(原題:Monsieur Lazhar)

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2012.05.28

映画|ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して

Bigyear 1年に何種類の野鳥を観測できるかという記録に向けて、3人の男たちがドタバタレースを繰り広げるコメディ映画。奇想天外な話のようだが、映画は実話にもとづいているという。記録に挑む3人の探鳥家を演じるのは、ジャック・ブラック、オーウェン・ウィルソン、スティーブ・マーティンの3人。これだけでもかなり豪華なキャストだが、それを支えるキャスティングも豪華。ブライアン・デネヒー、アンジェリカ・ヒューストン、ロザムンド・パイク、ダイアン・ウィースト、ジョベス・ウィリアムズなどなど。監督は『プラダを着た悪魔』でファッション誌の内幕をコメディにしたデイビッド・フランケル。原作は日本でも翻訳出版されて、国内の探鳥家たちにも話題になっていたようだ。当時はスピルバーグがドリームワークスで映画化するという話があったらしいが、結局20世紀フォックスで映画化。2010年に製作されて日本未公開のままだったが、今回エスピーオー配給で日本公開。楽しみにしていた方々には朗報であろう。

(原題:The Big Year)

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映画|プンサンケ

Poongsan 北朝鮮と韓国を遮る非武装地帯を自由自在に往復し、北から南へ、南から北へと物品を、時には人間までも運ぶ男がいる。本名も出自も誰も知らない。ただ吸っているタバコの銘柄から「プンサンケ」と呼ばれている無口な男だ。その噂を聞きつけた韓国情報部は、北朝鮮政府の機密情報を持って亡命した高官のリクエストに応えて、彼の若い愛人を韓国に入国させる。だが命の危険があるこの軍事境界線横断の中で、プンサンケと女の間には絶ちがたい絆が生まれていた……。韓国と北朝鮮の南北対立を描いた映画だが、そこにどちらの陣営にも属さず、それでいて韓国や北朝鮮から離れることもできない男を主人公にした面白さ。男の正体は最後まで不明で、彼は最後まで一言も言葉を発しない。彼は一種の幽霊のような存在だが、その幽霊が、ひとりの女の前でだけ人間に戻るというラブストーリー。

(原題:풍산개)

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2012.05.24

映画|The Lady ひき裂かれた愛

Thelady ミャンマー(ビルマ)の民主化運動指導者であり、1991年のノーベル平和賞受賞者でもある、アウンサンスーチーの伝記映画。監督はリュック・ベッソン。主演はミシェル・ヨー。監督がベッソンで大丈夫かなぁ……という心配はあったが、思いがけず立派な映画に仕上がっていた。ミシェル・ヨーは渾身の役作りで、テレビ報道などで見かけるアウンサンスーチーに成りきっている。顔の作りは同じアジア系と言いながら、仕草や立ち居振る舞いの様子が「これって本人なんじゃないの?」と思わせるほどだ。主人公の夫をデヴィッド・シューリスが演じていて、こちらが物語の狂言回しのような役目。あまり報道されることのない、アウンサンスーチーの私生活や、彼女の活動を家族が同サポートしたかといった話は興味深い。シューリスはミシェル・ヨーとはまた別の意味での大熱演だった。

(原題:The Lady)

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2012.05.19

映画|テルマエ・ロマエ

Thermaeromae 独特のユル〜イ笑いが人気を呼んで、ベストセラーになった同名コミックの実写映画版。連作短篇をどうやって長編化するのか気になったが、上戸彩扮するヒロインが現代日本から古代ローマに逆タイムスリップするという設定を持ち込んで、長丁場の物語に一貫した物語を作っている。しかし主人公ルシウスとこのヒロインの間にロマンスが生まれるわけでなし、後半の歴史ドラマもサスペンス不足で盛り上がりに欠けるなど、どうにもテンションが下がってしまう映画なのだ。原作がユル〜イ笑いだとすれば、映画版はヌル〜イ笑いの作品だとでも言うべきだろうか。炭素年代法で麻の繊維の成分を調べるという無茶苦茶なことをやるかと思えば、「ねえねえ今何年?」「135年だが」という会話まであって萎えまくり。なんで古代ローマ人が西暦使ってるんだよ! ちなみにこの時ハドリアヌスが戦っていたのはユダヤ戦争で、原作コミックにはちゃんとそれが明記してあるが、映画はなぜかそれをぼかしてるんだよなあ……。

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2012.05.17

映画|ブラック・ブレッド

Blackbread スペイン内戦の傷跡がいまだ深く残る1940年代のカタロニア。山間部の小さな町で父と息子が乗る馬車が何者かに襲われ、事件の第一発見者となった少年の父が警察から取り調べを受けることになる。彼は警察の手を逃れるため村を出て、残された妻とまだ幼い息子は親戚の家に預けられることに。物語はこの息子の視点を通して、事件の背後にある過去の事件と、事件の真相をあぶり出してゆく。登場人物が多くてエピソード盛り沢山の割に、上映時間は1時間53分という標準サイズ。もう少し各エピソードをゆったり描けると、映画の印象はまたぜんぜん違ったものになったように思う。理想を語り、妻に対しては良き夫、息子に対しては良き父であろうとしながら、それと裏腹な生き方しかできない父親に同情してしまう。人間とは何という矛盾した存在であろうか。

(原題:Pa negre)

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映画|スープ 〜生まれ変わりの物語〜

Soup 突然の事故でこの世を去った冴えない中年サラリーマン渋谷。あの世に行った渋谷は、現世に残してきた中学生の娘のことが気がかりだった。どうしてももう一度娘に会いたい! そう考えた渋谷は、記憶を残したままもう一度現世に生まれ変わることを決意するのだが……。個性派俳優の生瀬勝久が主演する、ファンタジックなホームドラマ。設定はファンタジーなのだが、中に描かれている個々のエピソードはかなり残酷で手厳しい。父親を失った15歳の娘が直面するさまざまな困難を、手加減なしにきっちり描いていく部分に見応えがある。この少女に親友が漏らす「私たちって片親じゃん。グレたら負けなんだよね」という台詞がちょっとすごい。映画は終盤でこの世に戻って来た主人公の物語になるのだが、あの世でのあれやこれやより、この人生リスタート、中学生やり直し編がじつに面白い。松方弘樹がねぇ……みたいな。主人公の娘を演じた若い女優や、この中学生やり直し編に出てくる若い俳優たちは、これから伸びてきそうだなぁ。ちょっと注目しておきたい。


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2012.05.14

映画|少年は残酷な弓を射る

Shonen_zankoku 生まれた時から(生まれる前から)母親を手こずらせ、敵対し続けてきた子どもが起こした大事件。それによって母は、それまで築いてきた一切を失う。周囲のすべての人たちは彼女の敵となり、彼女は人々の好奇心と敵意と嫌悪感の入り交じった視線にさらされながら生きなければならない。いったい彼女と子どもの間に何があったのか? 子どもを持つ親なら同情し共感せずにいられない映画。でもこの映画を観て、「母親のここが悪い」とか「ここで子育てに失敗した」などと言う人もいるんだろうなぁ……。脚本も演出も俳優の芝居も最高で、映画としての完成度は物凄く高い。しかし救いのない映画なので、観終えた後は気分が滅入ってしまう。まあそういう映画があってもいいんだけど……。

(原題:We Need to Talk About Kevin)

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映画|メン・イン・ブラック3

Mib3 前作の公開が2002年だから、じつに10年ぶりとなるシリーズ最新作。トミー・リー・ジョーンズ演じるKと、ウィル・スミスのJがコンビを組んで、凶悪宇宙人の犯罪計画を阻止するといういつもの話だが、今回はトミー・リー・ジョーンズが導入部と終盤にだけ登場して、物語の中で主に活躍するのは1969年の「若いK」なのだ。演じているのはジョシュ・ブローリン。設定上の年齢は29歳だというが、それにしてもちょっと老けすぎのような気が……。タイムスリップ・テーマの映画だが、せっかく主人公のJが1969年のニューヨークに行っても、風俗描写がそれほどないのは勿体なかった。ただしこの年には有名なアポロの打ち上げがあって、それがこの映画にとって最大の見せ場になっている。シリーズ初の3D映画だが、この映画はアポロ打ち上げを3Dで見せるために作ったのかもしれないなぁ……。

(原題:Men in Black III)

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2012.05.05

映画|名探偵コナン 11人目のストライカー

Meitantei_konan16 劇場版「名探偵コナン」の16作目で、Jリーグ20周年記念プロジェクトとのコラボレーション作品。Jリーグの選手が実名で声優として出演するなど、サッカーファンにも嬉しい内容になっているんでしょうか? 僕はまったくサッカーに疎いのでよくわからないんですけどね……。劇場版コナンを最後に観たのはいつだろうか。ずっと昔にはじめて日比谷の映画館で観た時は、客が若いOLだらけだったのに驚いたけれど、あれは場所柄だったんだろうか。今回の客はほとんど子連れのファミリー層。まあ連休中の映画館だからこんなものか……。それにしても、公開から4週目に入るのに劇場が満席だったのには驚いた。人気作品なんだなぁ。まあスペクタクル重視でリアリティゼロではあるけれど、物語としてのリアリティの欠如を、実在のJリーガーの登場で補っているのかもしれない。

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2012.04.26

映画|まだ、人間

Madaningen 東京のど真ん中で一人の男が殺され、男が持っていたはずの金が消える。男に金を預けていた達也は、男の婚約者だったルカを訪ねて手がかりを探す。同じ頃、達也の部屋に居候しているリョウは、達也に対する抑えきれない思いに苦しんでいた……。「金はどこに消えたのか?」「男を殺した犯人は誰なのか?」というミステリーの体裁から始まる物語だが、ストーリーは途中からそれを無視して主人公たち3人の愛憎劇へと脱線していく。殺された男についての手がかりを求め、達也とルカが関係者の間を調べて回るくだりは『市民ケーン』みたいだが、映画の軸足が別のところに移動してしまうので、こうした序盤のエピソードはまるで意味のないものに思えてしまう。物語は最後の最後に殺された男のエピソードに回帰してくるのだが、前半の押しがいまひとつ弱いのでこの回帰がストンと腑に落ちない。物語の本筋がまったくわからないまま、散りばめられた数々のエピソードが未回収のまま残るというヘンな映画。

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映画|ちりも積もればロマンス

Chiritsumoroman 就職できずに一文無しになっている男が、小銭をちびちび貯めて資産作りに精出す女と知り合って、二人であれこれいろいろな商売に手を出すという物語。見栄っ張りの男が貯めたお金をデート資金に散財するかと思えば、女の方はケチケチしたデートでひたすら節約に励むという対比の面白さ。この二人は「金の使い道」についてはまったく指向を異にするものの、金儲けの方法や金銭感覚についてはへんに似通ったところがあるという面白さ。やがて二人の間にはロマンスが……という定番の展開。新手のスクリューボールコメディとしてまあまあ面白く観たのだが、映画導入部の引きの弱さや、物語の転がりの悪さといった脚本上の難点が多々見える。しかしそれを主演俳優たちの魅力でカバーしているのだろう。映画を観終わった印象はそれほど物足りないものでもない。

(原題:티끌모아 로맨스)

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2012.04.25

映画|プレイ ‐獲物‐

Laproie マイケル・クライトンに同名小説があるようだが、映画はそれとはまったく無関係なサスペンス・スリラー映画。強盗事件で得た金を隠して刑務所に入っている男が、連続殺人鬼から妻子を守るため刑務所を脱獄する。主人公は警察に追われ、連続殺人鬼は巧みな罠を仕掛けて、自分の犯した罪を主人公に押しつけようとする。二転三転どんでん返しというタイプの映画ではなく、ストーリー展開はゆるやかなカーブを描いてスピーディに突き進んで行く。主人公が警察と犯人の両方に追われるという展開はヒッチコック映画など巻き込まれ型サスペンスの系統だが、主人公が善良な罪なき男ではなく、強盗事件の犯人という一癖も二癖もある男である点がフランス映画だなぁ。最後が素直なハッピーエンドにならないところも含めて、アメリカ映画じゃあこうは行くまい。

(原題:La proie)

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映画|映画 紙兎ロペ つか、夏休みラスイチってマジっすか!?

Kamiusagi_rope TOHOシネマズの映画館で、本編前に上映されていた短編アニメの劇場版……つか、もともと短編も劇場で上映してた「短編映画」だったんですけどね。紙兎のロペと紙リスのアキラ先輩のゆるゆるな関係が、だらだらと1時間半続くのだ。どうでもいいけど、映画本編の長さよりタイトルの方が長いんじゃないのかね。この映画のタイトルを1度では覚えきれない。だいたいプレス資料を見ても、タイトルの表記がバラバラだったりするんだよな。僕は短編を「カレー編」しか見ていなかったのだが、まあ世界観としてはそれがそのまんま長編になっている感じ。会話のだらだらした感じは、まあ高校生はこんな感じなんだろうなぁ……という感じかも。自分も高校生の頃はあんなだらだらな話し方をしていたような気がする。

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映画|HESOMORI ‐ヘソモリ‐

Hesomori 越前和紙の産地である福井県越前市の五箇集落。そこから近い山の中に「へそ」の入口はある。細い通路が複雑に入り組んだ洞窟だが、これは単なる洞窟ではない。その正体は過去と未来をつなぐタイムトンネルなのだ。この「へそ」の秘密を守り、外部からの侵入者を防いでいるのが、「へそ守」を自称する紙漉職人の一族だった。だが今から40年ほど前、地元の小学生5人組がこの「へそ」の秘密を知ってしまったのだった……。伝統工芸である越前和紙と、タイムトラベルSFがドッキングした異色のファンタジー映画。幕末の福井藩の侍が現代日本にタイムトラベルし、自分の守ろうとした世界の変わりように愕然とするシーンは見ていて切なくなる。キャスティングが豪華なためチープな感じがせず、荒唐無稽な物語に奇妙なリアリティが生まれている。

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2012.04.22

映画|仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦

Rider_vs_sentai 歴代仮面ライダー全部と、歴代スーパー戦隊全部が、互いの存亡を賭けて戦うというウソみたいな企画の映画。この手の「○○VS××」は実際には戦わず、タッグを組んで巨大な悪と戦うというパターンが多いのだが、この映画は(少なくとも映画の中盤までは)本当の本気で双方が戦いに火花を散らせているのが異色であり異様だ。話としては「仮面ライダーディケイド」と「海賊戦隊ゴーカイジャー」が互いの能力を使って戦うのがメインで、それ以外のライダーや戦隊はそこに巻き込まれていく形になる。しかしシリーズ1作目の「仮面ライダー」や「秘密戦隊ゴレンジャー」から、最新作で現在放映中の「仮面ライダーフォーゼ」や「特命戦隊ゴーバスターズ」までが次々登場する様子は圧巻。特に両陣営が左右に分かれて一斉に戦うシーンには言葉を失う。絵柄的には運動会の騎馬戦なのだが、戦っているのが全部仮面ライダーやスーパー戦隊なのだから口アングリだ。

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2012.04.18

映画|私が、生きる肌

Watashigaikiruhada ペドロ・アルモドバルの新作は、主演にアントニオ・バンデラスを迎えた豪華版。しかし中身は思い切り変態。どのくらい変態かというと、アントニオ・バンデラスが『悪魔のいけにえ』のレザーフェイスを演じているようなものだと思えばいい。バンデラス演じる外科医宅はレザーフェイスの家のようなゴミ屋敷ではないが、その中にいる人間たちがみんなどこかオカシイという意味では共通している。こんな家に連れ込まれたら最後、もう無事に生きては出られない。バンデラスはこの映画の中で最大のモンスターなのだ。物語自体はシンプルだが、やっていることが無茶苦茶なので、細かく分析して批評しようとすると手間がかかりそう。セクシャリティを取り上げているのは相変わらずなのだが、その描き方が強烈。このアイデアはすごいと思うけど、たぶんもう誰も使えない。

(原題:La piel que habito)

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映画|ベルフラワー

Bellflower 『マッドマックス』が大好きな男二人組が、中古のポンコツ自動車を改造して作り上げた究極の車をぶっ飛ばす!みたいな話かと思ったら、中身はどうしようもなくウブな失恋ラブストーリーだった。酒場で出会った女と半同棲に近い幸せな日々を送っていたら、彼女が別の男とデキてしまってあっけなく失恋。身もだえするような苦しみの中で、男の狂気じみた妄想が突っ走っていく。映画終盤はどこまでが現実でどこからが妄想なのかまったく区別がつかず、たぶんそうした区別をすることすら意味がないのだろうと思わせるプチ・デヴィッド・リンチ状態。火炎放射器とか特殊改造の車とかが出てくる割には、それがあまり活躍しなかったのが残念と言えば残念か。これらのアイテムは男性の何らかの欲望を象徴しているわけで、それらが活躍しないということは、要するにそういうことなのかなぁ……と思ったりもする。デジタル撮影だがカメラに特殊な改造をしているらしく、全体に荒々しいタッチの物凄い映像になっている。

(原題:Bellflower)

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2012.04.16

映画|サニー 永遠の仲間たち

Sunny 40代の主婦ナミが母を見舞った病院で偶然再会した高校時代の親友チュナ。彼女はガンに冒され余命2ヶ月と診断されていた。「昔の仲間たちに会いたい」という彼女の願いをかなえようと、興信所を使ってひとりずつ高校時代の仲間たちを探し出すナミ。しかし25年の月日はかつての少女たちの姿を大きく変えていた……。いろいろと不自然なところもある物語だが、随所にある映画的な映像マジックに引き込まれてそれを忘れさせられてしまう作品。主人公が母校に向かう坂道を歩いていると、そこからカメラがぐるりとパンして時間が25年前に戻るところなど、月並みな演出ではあるがドキドキしてしまう。話のアイデアとしては『再会の時』(1983)あたりに似ているわけだが、僕は彼女たちとほとんど同世代なので他人事ではないなぁ……という感じだ。(チュナの生年が1968年という設定だが、僕は1966年生まれ。)

(英題:Sunny)

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2012.04.13

映画|ライジング・サン 〜裏切りの代償〜

Risingsun デビッド・バウティスタ主演のアクション映画。元警官で違法カジノの用心棒をしていた主人公が、カジノを襲撃した強盗犯の行方を追う中で巻き込まれて行く陰謀。警官と組織の両方に追われる主人公に、抜け出す道はあるのか? 元プロレスラー主演の映画だが、アクションが売りというワケではない。超人的なアクションはなくて、わりとリアルな格闘やガンアクションが続く。物語はミステリー仕立てだが、ミステリーとしての面白さはあまりない。最初に怪しいと思われる人間が、結局怪しいからだ。主人公を裏切る意外な人物も、映画の割と早い段階でバラされてしまう。では何が面白いかというと、これは無実の主人公がひたすら追い込まれ、追い詰められていく、巻き込まれ型スリラーのような面白さだろう。

(原題:House of the Rising Sun)

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2012.04.09

映画|どんずまり便器

Donzumari 小栗はるひ監督の長編劇場映画デビュー作。両親を早くに亡くしてふたりきりで生きてきた姉と弟。だが姉は傷害事件を起こして服役し、出所して来ると弟と同棲中の恋人にあれこれとひどい仕打ちをするようになる。姉は弟の恋人に言う。「わたしは弟とセックスしたことがある」と。弟はそれを否定するのだが……。姉を演じた菜葉菜がじつにいい。いつも怒っていて、ふて腐れていて、出会う人たちすべてを挑発する。たいへんなトラブルメーカーで、凶暴にして凶悪。しかしそれでもどこか可愛いところが残っているのが彼女の魅力なのだろう。

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2012.03.30

映画|ラム・ダイアリー

Rumdiary 『ラスベガスをやっつけろ』の原作者でもあるハンター・S・トンプソンの自伝的な小説を、ジョニー・デップ主演で映画化したもの。1960年のプエルトリコを舞台に、飲んだくれ新聞記者の目の前で展開する支離滅裂でデタラメな日々を描く。当時のプエルトリコの様子や新聞社の様子などが興味深く再現されているのだが、映画としては高く飛翔することなく低空飛行。1937年生まれのトンプソンが1960年にプエルトリコに行った時は、まだ20代前半の若造だった。若造ライターだからこそ成立する話を、間もなく50に手が届こうかというジョニー・デップが演じるのは苦しい。これは主人公を別の若い俳優に演じさせて、ジョニー・デップが出演するなら別の役を演じればよかったのだ。劇中でアーロン・エッカートが演じた怪しいブローカーのサンダーソンでもいいし、マイケル・リスポリが演じたカメラマンでもいい。何ならリチャード・ジェンキンズが演じた編集長役だってよかった。たぶんそんなことはジョニー・デップも百も承知なんだろうけど、この企画を実現するためには自分が出演しないと出資者が集まらないと判断したんだろうなぁ……。

(原題:The Rum Diary)

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2012.03.22

映画|ももへの手紙

Momoheno 『人狼 JIN-ROH』の沖浦啓之監督の新作は、瀬戸内の小さな島を舞台にしたファンタジー映画。劇中に出てくる汐島は架空の存在だが、舞台のモデルになっているのは広島県呉市の大崎下島だという。本作は良くも悪くも『となりのトトロ』のフォロワー作品。『トトロ』のフォロワーとしてはレベルの高い作品だと思うが、『トトロ』を凌駕するのは難しい。しかし「昭和30年代ノスタルジー」抜きに、現代の日本を舞台にして『となりのトトロ』を再現して見せたのは大したもの。小学生の女の子が、田舎に行って妖怪に出会う話は今でも作り得るのだなぁ……と感心してしまった。実写で作ってもいいような映画だと思うが、『トトロ』におけるネコバス的クライマックスシーンはやはりアニメならではのものか。(これもネコバスに勝っているかというと微妙だが……。)CGを使えば何でもできてしまうけれど、瀬戸内を舞台にファンタジーを作ると、大林宣彦の『あの、夏の日-とんでろ じいちゃん』みたいになってしまうかも。

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映画|アポロ18

Apollo18 1972年12月に打ち上げられたアポロ17号を最後に、人類の月着陸計画は中止された。映画『2001年宇宙の旅』では月面に恒久的な大型基地が建設されているが、そんなことは今となっては夢のまた夢。アポロは20号まで計画されていたが、なぜ中断されてしまったのか。予算不足が表向きの理由になっているが、それは本当なのか。ソ連は宇宙開発競争に敗れて月面への有人旅行を断念したとされているが、それは事実か。そんな米ソ宇宙開発史の謎や疑問にメスを入れる、極秘映像が発見されていた……という前提ではじまるフェイク・ドキュメンタリー。以前も似たような映画を観たと思って映画瓦版を検索したら、出てきたのは『アルマズ・プロジェクト』という映画。これは映画のコンセプトもほぼ同じ。違うのは『アポロ18』がアポロ計画という超メジャーな宇宙開発の秘話という体裁なのに対して、『アルマズ・プロジェクト』はソ連の有人宇宙ステーションが舞台になっていることぐらい。『アポロ18』は当時の映像のムードをかなり忠実に再現しているのだが、当時の環境では任務の全行程を音声付きのムービーカメラで記録し続けることは不可能。1970年代を舞台にするなら、静止画やインタビューや当時のニュース映像を用いて前半を組み上げ、後半で「当時の記録映像らしきもの」を挿入した方がよかったかも。

(原題:Apollo 18)

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映画|道 -白磁の人-

Hakujinohito 日本統治下の朝鮮半島に渡り、荒れ果てた朝鮮半島再生のための植林事業と、朝鮮の伝統的な生活道具の中に息づく美の周知に努めた浅川巧の伝記映画。日韓合作映画で、韓国側の主役として浅川の仕事を手伝った朝鮮人技師チョンリムをペ・スビンが演じている。映画は浅川巧という人物の視点を通して、当時の日本人が持っていた朝鮮人に対する蔑視感情、植民地支配の合理化、日本支配に反発する朝鮮の独立運動などを描いて行く。扱っている題材が多岐にわたっているためか、物語の焦点が絞りきれず、主人公たちの人物像も曖昧になっている部分が感じられた。周辺のエピソードが多すぎて、結果として主人公のエピソードが痩せてしまった印象だ。主演の吉沢悠は韓国語の台詞などもあってがんばっているのだが、彼の演じる浅川からは多くの人を引き付ける人間的な魅力、カリスマ性のようなものが伝わってこない。美を愛する理想主義の青白いインテリのように見えてしまうのだ。巧の母を演じた手塚理美が、貫禄たっぷりでじつに良かった。

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2012.03.21

映画|SR サイタマノラッパー3 ロードサイドの逃亡者

Sr3 『SR サイタマノラッパー』『SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』に続く、『SR』シリーズの3作目。僕は1作目を観ていなくて、2作目から観始めている。2作目は1作目と世界観を共有させつつ、話が直接はつながっていない番外編のような作品だったが、今回の映画はもろに1作目の続編。登場人物たちの関係やキャラクターがいまいち飲み込めなかったが、ストーリー自体はわかりやすて混乱なし。ただしこれはやはり、1作目を観といた方がいいんだろう。2作目は関係なし。1から2が派生し、1の続編が3という関係。1作目の埼玉から、2作目の群馬、そして今回の舞台は栃木。これで『SR』の北関東三部作が完結し、次回作を作るならまた全然違ったたちになるだろうとのこと。

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2012.03.15

映画|別離

Betsuri ベルリン国際映画祭で金熊賞(最高賞)と銀熊賞(男優賞・女優賞)など5つの賞を受賞したほか、世界各地の映画祭や映画賞で次々大きな賞を受賞しているイラン映画。アメリカでもゴールデングローブ賞とアカデミー賞の外国語映画賞を受賞している。2時間強の映画だが、離婚協議で口論する主人公夫婦の姿をとらえた冒頭のショットから、裁判所で裁定を待つラストショットまで、一瞬たりとも緊張感が途切れない。互いに愛し合っているであろう夫婦が、何度もやり直す機会を持ちながら結局は破局してしまう悲劇。そこにある愚かさに誰もが気づいているのに、それを改められない不条理。誠実に生きようとしながら、保身のために、あるいは相手を傷つけまいとして口をつく小さな嘘。しかしそれが周囲の人を傷つけ、自分自身を傷つける。個々の問題は小さなことなのに、それが重なり合って込み入った話になってしまう奇々怪々な現実。生活を律する宗教の存在。イランの普通の人々の暮らしぶりが、丁寧に描かれているという意味でも面白い映画。

(原題:Jodaeiye Nader az Simin)

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2012.03.13

映画|ジェーン・エア

Janeeyre シャーロット・ブロンテの代表作「ジェーン・エア」の映画化。過去に何度も映画化されている古典だけに、今回また映画化する意義が問われるのだが、古典を丁寧に映画化しているという以上の意味はあまり感じられなかった。細かなエピソードがぎっしり詰め込まれていて、いかにも長編のダイジェストという印象になっているのも気になるところ。例えば学校で親友が死ぬエピソードは原作では大切なものだろうが、この映画には不要かもしれない。物語のクライマックスであるロチェスターからの逃走から物語をはじめ、セント・ジョンに保護されてから回想シーンになるという構成。しかしこの序盤は時間があちこちに飛んでわかりにくく、話の流れもギクシャクしているように思う。せっかくジュディ・デンチが出ているのだから、このベテラン女優にもう少し見せ場がほしいとも思う。マイケル・ファスベンダーが演じるロチェスターが、複雑なキャラクターとして見事に仕上がっているのに比べると、ヒロインのジェーンには説得力がやや欠けるような気もする。

(原題:Jane Eyre)

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映画|ベイビーズ 〜いのちのちから〜

Bebes アメリカ、アフリカ、モンゴル、日本。別々の国、別々の文化の中に生まれ落ちた、人種も民族も異なる赤ちゃん4人を取材したドキュメンタリー映画。赤ちゃんが生まれてから、ひとりで歩き始めるまでの約1年ほどを取材している。ところ変われば赤ちゃんの育て方もさまざまで、おむつの当て方から既に大違いなのに驚かされる。この映画を観ると、「子育てに正解はない」ということがよくわかるはず。生まれたての赤ん坊を厚手のタオルでぐるぐるに縛り上げ、おむつも股に当てずに腰から下をぐるりと包み込むように布を当てるモンゴルの赤ちゃん。赤ん坊の頃から頭をツルツルにそり上げて、スキンクリームがわりに泥を塗りつけられるアフリカの赤ちゃん。赤ん坊が遊んでいる環境もさまざまなら、離乳食もいろいろだ。正直アフリカの子育ては僕にはもう理解不能。アメリカも日本とあまり変わらず面白味に欠け、結局僕にとって一番面白かったのはモンゴルだった。

(原題:Bébés)

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2012.03.12

映画|REC/レック3 ジェネシス

Rec3 スペイン製のPOVホラー映画『REC』は恐かった。しかし僕は2作目の『REC2』を観ていない。で、やってきたのが3作目。事前に『REC2』をレンタルDVDで観ておこうとも思ったのだがあいにくその時間が取れず、少し不安に感じながら試写室へ。しかしこれは全然問題なかった。『REC』や『REC2』と同時刻に起きている別の事件という設定なので、1・2作を観ていないままいきなりこの3作目から観ても構わないはず。しかし作品テイストのギャップを味わうなら、これはやはり1作目か2作目を観た上でこれを観た方がいいと思う。この映画はサム・ライミの『死霊のはらわた』シリーズみたいなものだ。僕は『死霊のはらわた』も1作目を観た後に2作目を飛ばして、3作目の『キャプテン・スーパーマーケット』を観た。1作目が低予算のシリアスなホラー映画だったのに対して、3作目は完全にコメディになる。本作と『死霊のはらわた』シリーズの共通点は多いので、比較すると面白いと思う。チェーンソーを振り回すのは一般的には『悪魔のいけにえ』なんだろうけど、男性主人公が甲冑を着込むのも含めて、これは『死霊のはらわた II』や『キャプテン・スーパーマーケット』だな……。いや〜、笑った笑った。久しぶりにこの手の映画を観て大満足なのだ!

(原題:[REC]³ Génesis)

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映画|カエル少年失踪殺人事件

Kaerushonen 1991年に韓国大邱で起きた小学生5人の失踪事件を映画化した作品。この事件は韓国でマスコミの脚光も浴びて、誰も知らぬもののない社会的大事件だったらしい。消えた小学生たちが最後に「カエルを捕まえに行く」と言って姿を消したことから、「カエル少年事件」などと言われているらしい。映画はテレビ局の敏腕プロデューサーを主人公にして、彼が埋もれかけていたこの事件に首を突っ込むところから話を始める。ソウルの本社で悪質なヤラセ番組を作り地方に左遷された主人公は、ここで事件の真相を暴く番組を作って本社に返り咲く手土産にしたいと願うのだ。彼と共に事件の真相を探る相棒となるのは、独自のアプローチから理知的に事件の隠された真実をあぶり出そうとする心理学者。彼らは証拠の再検証と独自調査の末に、それまで誰もが見落としていた意外な犯人像を割り出すのだが……というのが映画の前半。この前半に比べると後半はやや失速気味なのが残念。

(英題:Children...)

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2012.03.06

映画|孤島の王

Kotonoou マーティン・スコセッシの『シャッターアイランド』はひとつの島が丸ごと全部精神病院という話だったが、この映画はひとつの島が丸ごと少年院という話。1900年から1970年までこの島は実在していて、映画はそこで起きた実話がベースになっているという。少年院の所長をステラン・スカルスガルドが演じている以外は、日本ではまったく無名のキャスティング。しかしこれが、先々何が起きるかわからないというサスペンスを盛り立てる。入所者に対する虐待が恒常化して、入所者たちが無気力になっているところに、反抗的な新参者が入ってきて全体が活気づくという展開は『カッコーの巣の上で』にも似ている。古参の入所者が何かと新入りの世話を焼き、やがて親友のような関係になるというのは『ショーシャンクの空に』だろうか。キリスト教主義の施設で子供たちが大人に苦しめられるという点では、『マグダレンの祈り』の少年版みたいでもある。孤島の刑務所は『アルカトラズからの脱出』だ。しかしこの映画をこの映画たらしめているのは、雪や霜に包まれ凍てつく島の風景だろう。

(原題:Kongen av Bastøy)

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映画|アーティスト

Artist 今年のアカデミー賞で、作品賞・監督賞・主演男優賞・音楽賞・衣装デザイン章の5冠を達成した話題のフランス映画。映画界がサイレントからトーキーに移行する1920年代末から1930年代初頭のハリウッドを舞台に、サイレント映画の大スターがトーキーを拒絶してあっと言う間に過去の人になり、彼に恋する新人女優がみるみるうちに大スターへと駆け上がっていく様子を描く。プロットだけ見ると過去に何度も映画化された『スタア誕生』の焼き直しみたいだが、ヒロインが人気スターの手助けなしに自力でスターになってしまうあたりが現代の映画かもしれない。全編モノクロサイレント(音楽がシンクロするサウンド版)で、スクリーンサイズもスタンダードというのがオールド映画ファンには嬉しいではないか。サイレントからトーキーに差し掛かる時代のハリウッドを描いた映画としては『雨に唄えば』が有名だが、『アーティスト』の導入部はまるっきり『雨に唄えば』をなぞっている。映画史的には『雨に唄えば』の方が正確に当時の様子を描いていて、『アーティスト』はちょっと時代背景をごまかしてるけど、まあそれはそれとして許容範囲だろうな。

(原題:The Artist)

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2012.03.02

映画|第九軍団のワシ

Theeagle ローズマリー・サトクリフの同名歴史小説を、『ラストキング・オブ・スコットランド』のケヴィン・マクドナルドが映画化した歴史アドベンチャー映画。物語の舞台はローマ帝国の属州だった2世紀半ばのブリタニア。小さな砦の守備隊長として赴任してきた百人隊長のマーカスは、20年前に5,000人の部下を率いたまま行方不明になった父と紛失した大隊のシンボルであるワシの行方を捜していた。戦闘で負傷したマーカスは、奴隷のエスカとたったふたりでハドリアヌスの長城を越え、ローマに服属することのないスコットランドに潜入する……。時代考証がじつに丁寧に行われているようで、当時のローマ人の暮らしや戦いぶりがリアルに再現されている。こういうリアルさはその時代の知識がなくても、映像の緻密さで観る者に伝わってくるのだ。ただし物語の方は、脚本の構成が悪いようでいまひとつうまく転がっていかないんだよなぁ……。

(原題:The Eagle)

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映画|キリング・ショット

Killingshot 若い女3人組が一攫千金を狙って、麻薬取引が行われるという街道沿いのさびれた食堂を襲う。ところがそれが、とんだ思惑違いになってしまった……という、話としてはそれだけの映画。しかし物語を襲撃シーンからはじめて、そこに至る過程に時間を巻き戻し、そこからまた襲撃シーンにして、さらにまた過去を描くという、時間軸を行ったり来たりしながら少しずつ物語を先に進めて行く構成が面白い。サスペンスの基本は結論を先延ばしすること。しかし現代の観客は結論を先延ばしされると待ちきれなくて飽きてしまうので、ある程度の結論はあらかじめ観客に知らせておかなければならない。そのためいろいろな構成上の工夫をするわけで、この映画もそうした工夫を凝らした映画と言えそうだ。オスカー俳優のフォリスト・ウィテカーが、奇っ怪な殺し屋をオーバーアクト気味に演じているのが見もの。アーロン・ハーヴェイ監督はこれが2本目の監督作だが、演出センスに才気を感じさせる。語りのテクニックで映画を最後まで引っ張っていく。

(原題:Catch .44)

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2012.02.29

映画|トガニ(原題)

Togani 2005年に韓国光州市の聾学校で発覚した児童に対する性虐待事件の映画化。この映画がヒットしたのをきっかけに事件が再び注目されることとなり、事件の起きた聾学校は廃校になり、子供たちを守るための法整備も行われることになったらしい。映画が世論を動かし、政治を動かしたのだ。『トガニ』は原題なので、夏公開までに邦題は変わりそう。原題の意味は「るつぼ」だが、英語のタイトルは「沈黙」になっている。さて、邦題はどうなることか。ちなみに「るつぼ」はセーラムの魔女裁判をモチーフにしたアーサー・ミラーの戯曲が有名(映画の邦題は『クルーシブル』)。アーサー・ミラーの「るつぼ」では裁判に巻き込まれた人々が疑心暗鬼からあらゆることをしゃべりまくるのだが、韓国版「るつぼ」では逆に、誰もが犯罪の事実を知りながらそれについて沈黙する。聾唖の子供たちの雄弁な告発を前にして、大人たちが固く口を閉ざすという皮肉。

(英題:Silenced)

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映画|青い塩

Bluesalt イ・ヒョンスン監督が『イルマーレ』以来11年ぶりに発表した新作は、ソン・ガンホとシン・セギョン主演のハードボイルド・サスペンスだった。血なまぐさい世界から身を引いて田舎でレストランを開こうとする伝説のヤクザが、料理教室で出会った若い女。その正体は、対立組織から男の動向を探るよう依頼された便利屋だった。組織の内紛が起きて男は再びヤクザの世界へ。女には男を殺す命令が下されるのだが……。ストーリーラインはそれほど複雑ではないはずだが、エピソードの組み立てがギクシャクしていて話がしばしばひっかかる。男がいた組織、敵対グループ、殺し屋組織、内通者など、うまく整理すればもっと話がスムーズにテンポ良く流れて行くと思うのだが……。アクション映画としては見せ場が少なく、ラブストーリーとしては煮え切らず、ミステリー映画としては話がよく見渡せないという、いろんな点で中途半端な映画だが、主人公を補佐する若いヤクザを演じるチョン・ジョンミョンがなかなかよかった。

(英題:Hindsight)

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2012.02.28

映画|SHAME -シェイム-

Shame 俳優のマイケル・ダグラスが「セックス中毒」の治療を受けているというニュースを聞いたのは、もう20年も前のことだった。その時はバカにしていたのだが、その後これが「セックス依存症」「性依存症」というかなり深刻な病気らしいということで、最近はニュースなどでも興味本位や野次馬趣味ではなく真面目に取り上げられるようになってきたように思う。この映画もそんな性依存症の男を主人公にしたドラマ。性依存症は誰彼構わずセックスやりまくり!というわけではなく、マスターベーションやポルノへの耽溺も性依存症の症状なのだという。この映画の主人公も不特定多数の相手とのセックスだけではなく、ポルノ雑誌、ポルノサイト、インターネットのアダルトチャットのヘビーユーザーだ。こういう人は、結構多いんじゃないだろうか。主演のマイケル・ファスベンダーがとてもよい。妹役のキャリー・マリガンも相変わらず上手い。

(原題:Shame)

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2012.02.24

映画|×ゲーム2

X_game2 いじめられっ子が元いじめっ子たちを学校のような施設に閉じ込め、過酷なゲームと残忍な罰ゲームを強いるという映画の第2弾。1作目がわりと面白かったのだが、この2作目も楽しめた。基本的に「悪さをした奴を懲らしめる」という勧善懲悪の物語なので、おどろおどろしいタッチにしても後味は悪くない。残虐描写はいろいろあってゾッとすることもあるのだが、最終的にはスッキリと溜飲を下げられる。じつに教訓的で、道徳的な映画なのだ。1作目と同じく低予算のB級映画だし、見た感じでは前作よりワンランク低予算になっているような気もする。廃校に閉じ込められた5人の話と、雑誌記者の話の時間軸がどう考えても合いそうにないし、教室に隠された拷問器具が一度に見つからずその都度発見されるのもナンセンス。しかしこういうバカバカしい穴がたくさんあるから、このひどく凄惨な話を平気で観ていられるという面もあるのかも。続編も作ってさらにシリーズ化してほしい。

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映画|アンネの追憶

Annenotsuioku 世界一有名な日記の著者、アンネ・フランクの伝記映画。アンネの父オットーの視点から物語を語っている作品にしてあり、アンネの書いていた日記の中身は出てこない。誕生日に日記を渡す場面があり、隠れ家での暮らしが始まる。日記には逮捕以降のことは書かれていないが、この映画の中心はそこからだ。収容所への移送、収容所での選別、収容所での生活、再移送、粗末なキャンプでの生活、そして死。ところどころにアンネの親友だった別のユダヤ人少女の視点をはさんでいることから、時間が前後してわかりにくいところがないでもない。もともとイタリアで作られたテレビドラマだったようだが、台詞は英語で、俳優たちも英語でしゃべっているように見える。国際市場向けに最初から英語で作って、放送用にはイタリア語に吹き替えたのかもしれない。輸送列車がアウシュビッツに到着してから人々が選別され、家族が離れ離れになる場面は息苦しくなるような迫力があった。

(原題:Mi ricordo Anna Frank)

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2012.02.23

映画|トテチータ・チキチータ

Totechita 借金まみれになって東北の被災地でリフォーム詐欺をすることになった中年男、父と二人で福島の学校に転校することを決めた小学生の女の子、震災をきっかけに地方が進んだおばあさん、震災で家族を失った男子高校生。彼らが疑似家族を形成してゆく話だが、これは普通の疑似家族ものとはだいぶ違う。痴呆症で少女に戻ってしまったおばあさんを中心に、小学生の少女がお母さんになり、中年男がお兄さん、高校生がお父さんになる。これはおばあさんの中では紛うことなき現実なのだが、現実と虚構を混同しているというわけではない。おばあさんは自分の家族が既に死んでいることを知っている。小学生の少女には霊感のようなものがあって、自分たちは前世で家族だった者たちの生まれ変わりのようなものだという。だが中年男と高校生はそんなことがまるで信じられない。信じられないまま、失った自分たちの家族を埋め合わせるようにこの疑似家族との関係にのめり込んでゆく。そして自分たちが本当の家族だと信じるようになる……のかな? 自分の目や耳では何も感じられないのに、何かを信じる人たち。しかしもう一方で、確かに自分の目と耳で確かめているはずなのに、それを信じられない人もいる。「信じること」についての寓話。

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2012.02.15

映画|父の初七日

Chichi7days 父親が急死して葬儀を出すことになった兄妹のドタバタを、笑いをたっぷり交えながら描く台湾映画。伊丹十三の『お葬式』という映画があったが、その台湾版みたいな雰囲気もある。愛人も出てくる。ただし主人公の愛人ではなく、父の愛人だったのではないかという女姓だけれど。映画は真夏という設定なのだが、納棺が3日後で、火葬と納骨が7日後。『父後七日』という原題に『父の初七日』という邦題が付いているが、これは日本人が良く知っている法事として初七日の意味ではなく、父が亡くなって葬儀を終えるまでの7日間という意味だろう。真夏に遺体が痛まないのかと心配したら、そこはよくしたもので、葬儀用の冷蔵庫というものがあるのだ。これなら棺の中にドライアイスを詰めるより、ずっと高率がよさそうだ。ただし映画の中にはその冷蔵庫の現物が出てこなかったのが残念。映画は葬儀のディテールより、葬儀の周囲にいる人々のドタバタが描きたいらしい。道教の葬儀なんて日本じゃそうそう見る機会がないから、僕は葬儀の細部がもっと見たかったんだけどなぁ……。

(原題:父後七日)

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映画|マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙

Ironrady イギリス初の女性首相マーガレット・サッチャーを、メリル・ストリープが演じた伝記映画。映画の冒頭、食料品店で牛乳と新聞を買い、よろよろと自宅に向けて歩く腰の曲がった老婆が、かつての英国首相サッチャーの今の姿。自宅の中では亡き夫の面影と語り合い、過去の思い出の中に浸るメランコリックな老人だ。伝記映画にはいろいろな描き方があり、老いた主人公が過去を回想するという手法も定番のひとつ。しかし主人公が認知症になっていて、映画を観る観客までその幻覚に付き合わされるという映画は珍しいかもしれない。サッチャーは首相在任期間も長く、誰もが知る世界の顔のひとりだった。演じるメリル・ストリープはメイクや服装、しゃべり方や身のこなしで、世界中が知っている首相時代のサッチャーを再現している。これがじつに見事。ストリープはかつて「女デニーロ」の異名を持つ技巧派の女優だったが、大スターになるとその技巧を凝らした演技をなかなか見る機会がなかった。今回は彼女の超絶技巧が久しぶりに見られただけでも嬉しい。映画の内容はともかく、このストリープは一見の価値がある。

(原題:The Iron Lady)

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2012.02.13

映画|friends after 3.11【劇場版】

Friendsafter311 岩井俊二が監督・出演し、昨年末に朝日ニュースターとスカパーで放送されたドキュメンタリー映画の劇場版。2012年3月11日に起きた東日本大震災と福島第一原子力発電所事故の後に、さまざまな場所で発言しているキーパーソンや、周辺の同業者たちを取材したもの。観ればすぐわかるが、作り手の意識は完全に「脱原発」「反原発」だ。国内の世論はこの問題について賛否両論なので、こうして両論のうちの一方だけを取材した映画が、この問題についての客観中立なポジションを示しているわけがない。しかしこれは報道ではなくドキュメンタリー映画だ。タイトルからもわかるとおり、これは岩井俊二が3.11後に自分の「友達」と語り合った私的な記録という体裁でまとめられている。構成としてはインタビューが数珠つなぎになっているだけだが、ややハイキーでシャロウフォーカスのやわらかい映像はいかにも岩井俊二作品。聞き手である岩井俊二や松田美由紀が旅人となって各地を回る、ロードムービー風の作品に仕上がっていて面白く観られた。

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2012.02.09

Blu-ray|エクリプス/トワイライト・サーガ

Eclipse 『トワイライト』シリーズの3作目。ベラは卒業を迎えていよいよエドワードと結婚かと思わせつつ、そこにシアトルから吸血鬼軍団がやってきて大乱闘となる。ジェイコブもぎりぎりまでベラを振り向かせようと猛アタックを繰り返し、今回のエドワードはちょっと気の毒。それにしても、ベラがそれほど魅力的なヒロインだとは思えないのは僕が男だからだろうか。素直にヒロインの気持ちにより添って映画を観ていれば、イケメンの2人のヒーローに愛されてこれほど気持ちのいい設定はないと思うのだが、僕は同じ男としてベラに夢中になって命まで賭けるエドワードとジェイコブの気持ちがよくわからない。ま、いいか。それが映画だし。一節によるとこのシリーズはモルモン教の価値観が色濃く反映されているそうで、まあそう言われてみればそうなのかもなぁ……。

(原題:The Twilight Saga: Eclipse)

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Blu-ray|ニュームーン/トワイライト・サーガ

Newmoon 「愛しているから別れよう」という、月並みだが切実な別れの台詞を残してベラのもとを去って行くエドワード。その面影を追って半狂乱になる彼女だったが、やがて幼なじみジェイコブの存在が彼女の心を癒していく。しかしベラに猛アタックしていたジェイコブが、ある日突然姿を消した。じつはジェイコブの一族は狼男の血を引いていて、ジェイコブにも狼男に変身する能力が現れたのだ。同じ頃、エドワードに復讐する機会をうかがっていたヴィクトリアが再び町に現れるのだった……。吸血鬼と狼男の両方に愛されるとんでもないヒロイン。「私のために争うのはやめて!」とベラがふたりの間に割って入るところでは、頭の中で竹内マリアの「けんかをやめて」がリフレイン。違うタイプの人を好きになってしまう、揺れる乙女心だよなぁ。

(原題:New Moon)

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Blu-ray|トワイライト 初恋

Twilight アメリカのティーン向け人気小説の映画化で、日本では2009年4月4日に公開されている作品。じきに完結編『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン』が公開されるが、今回はTSUTAYAで旧作DVDのレンタルが100円だったので、シリーズの過去3作をまとめて借りてきた。でも観るには時間が必要だから、それなりのコストはかかってしまうわけだけれど……。ま、今週は体調があまりよくないのでちょうどいいか。物語の枠組みとしては学園ものの世界があるのだが(「仮面ライダーフォーゼ」はこれをだいぶ意識しているかも)、学校内でのイジメだの何だのという人間側のドロドロした部分がなくてさっぱりしているのが、この映画の人気なのかもなぁ……と思ったりもした。ヴァンパイアものとしては吸血鬼の性格や位置づけを再定義していて、そこがこの作品のオリジナリティなのだろう。

(原題:Twilight)

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2012.02.07

映画|僕達急行 A列車で行こう

Boku9 森田芳光監督の遺作となった、鉄オタふたり組を巡るコメディ映画。随所に森田監督らしい遊びが見られる明るく楽しい作品で、これが遺作と言われてもまるでぴんと来ない。鉄道映画は『RAILWAYS』などがシリーズ化されているし、この映画も原案・脚本・プロデュースだけ森田監督が勤めて続編を何本か作れそうなもの。「今度は四国がいい」「北海道だ」とう台詞で終わるなど、いかにも続編がありそうな気配だけに残念。しかし映画を観ていて気になったのは、主人公たちふたりの関係がホモセクシャルなものに見えたこと。どちらも女性に奥手であまり積極的でないという部分があるわけだが、それより演出でふたりの関係を怪しげな感じに見せている。これは明らかに作り手の作為としてそのように見せていることが明らか。男同士の友情というホモソーシャルな世界を描いているように見せつつ、じつはホモセクシャルな世界を描いている映画なのだと思う。

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映画|映画 桜蘭高校ホスト部

Ouranhosuto 原作は少女漫画で、アニメ版があり、昨年ドラマ版が作られて、今回の映画はドラマ版と同じスタッフ&キャストによるものだというが、僕はどれもまるで知らなかった作品。この手のものは原作なりドラマ版なりを知っていた方が楽しいのだろうが、僕は今回の映画だけでも結構楽しめた。とはいえ昼食直後だったせいもあるのか、最初の30分ぐらいは少しウトウトしていたのだが……。ま、物語はシンプルなので理解に支障はなかったはず。タイトルにあるホスト部というのは高校の中で水商売をやろうという話ではなく、イケメンの男子生徒たちが集まって女子生徒向けにおもてなしするというもの。そこになぜか、男装した女子生徒がひとりだけ紛れ込んでいるという設定。話はともかくとして、学校内のロケーションとかはどこで撮影しているんだろうか。どこかの結婚式場とかかなぁ。主人公たちが川の近くで語り合うシーン(大トロの指輪が出てきたりする場面)は、隅田川の永代橋のすぐ近くで撮っている。僕は以前近くに住んでいたので懐かしい場所だ。

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映画|アンダーワールド 覚醒 IN 3D

Uw_kakusei ケイト・ベッキンセール主演の人気シリーズ最新作。太古の昔から続くヴァンパイア一族と狼一族の戦いを描いた作品だが、今回の映画はそこに人間たちが加わって三つ巴になる。物語が3次元化するなら映像も3次元化。このシリーズは今回から3Dになって、アクションシーンの迫力が増している。ヒロインのヴァンパイアは強靱な肉体と常識外れの運動能力を持ち、ダメージを受けてもさほど傷つかず、傷ついてもすぐに回復してしまうので、狼男たちと戦ってもその物理的な破壊力がわかりにくい。この映画はそれを観客に感じさせるために、車を壊したり、壁を壊したりして、戦闘のパワーを見せつける。ぶっ飛ばされたヒロインが壁に激突すると、壁に貼られたタイルがモルタルごとはげ落ちる。物語は過去の歴史や因縁を一度切り捨てて(設定としては生きている)、シンプルな追いかけっこに徹している。シンプルでスピーディ。続編にも期待したい。

(原題:Underworld: Awakening)

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2012.02.05

映画|琉神マブヤー THE MOVIE 七つのマブイ

Mabuya 沖縄のローカルヒーロー「琉神マブヤー」の劇場版。テレビ版は沖縄ローカルキャストのゆる〜い番組だったのだが、映画版は主人公マブヤーに山田親太朗、相棒ガナシーにISSA、悪役ハブデービルにガレッジセールのゴリなど、沖縄出身の全国区タレントを揃えて大幅にアップグレード。途中ワンシーンだけ、仲間由紀恵が出てきたりもする。ただしこうした気合いの入れ方とは裏腹に、ストーリーはやっぱりゆる〜い感じなので、そのあたりのギャップが少し気にはなる。琉神マブヤーと龍神ガナシーは出てくるのに、凰神カナミーが出てこないのはテレビ版のファンには寂しいかも。マジムン軍団もハブクラーゲンやヒメハブデービルが出てこない。画面が大きくなってキャストもグレードアップされているのに、全体の規模は少し縮小されるというちぐはぐさ。ロケ場所も風光明媚な観光地に行くでなし、べたべたに沖縄ローカルな場所が出てくるでなし。どうにも全体的に中途半端なんだよなぁ……。

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2012.02.01

映画|へんげ

Henge かつては優秀な外科医として将来を嘱望されていた門田吉明は、しばしば襲われる原因不明の発作のため、今では外出すらままならない。夜中にも突然奇声を上げて悶絶する吉明の横で、妻の恵子はただおろおろと見守るしかない。だが発作は徐々に激しくなり、発作中の吉明の体は異様な姿に変形する。家ではとても手に負えないと考えた恵子は、吉明の後輩坂下のつてを頼って、吉明を大学病院に入院させるのだが……。上映時間わずか54分の短編映画だが、このコンパクトさがドラマの展開にスピード感を生み出している。物語が余計な横道にそれることなく、ひたすら一直線にエスカレートして行くのだ。同じ話で1時間半以上の長編にしようとすれば、周辺の人物をもっと増やすとかエピソードを膨らませるとか、途中にストーリーの屈折を作るとかして、ドラマに起伏を作らなければならないだろう。だがこの映画はひたすら右肩上がり。「なぜ?」とか「どうして?」とか「それからどうなるの?」という観客の疑問に答えることなく、映画はクライマックスですっぱりと断ち切るようにして終わる。痛快!


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2012.01.30

映画|幸運の壺 Good Fortune

Goodfortune NHKの朝ドラ「カーネーション」でもいい感じの演技を披露しているほっしゃん。が、妻殺しの容疑をかけられることを恐れて右往左往するコメディ映画。「カーネーション」で炸裂する関西弁を封印し、標準語で演じているのが残念と言えば残念ではあるが、このヨソ行きの台詞回しが主人公の不器用さや実直さを感じさせもする。ただし映画はあまり面白くないのだなぁ。映画というより、小劇場の芝居を観ているような雰囲気。人物の出し入れが、どうも舞台劇のような感じなのだ。だったらいっそのこと舞台劇風の演出を徹底して、カメラをマンション内部から一切出さずに話を完結させるなど、作り方や見せ方にもう少し工夫があってもよかったと思う。(役者としての姿はテレビなどで見せられる。最低限の回想シーンなどもOK。)こうして場所を固定してしまう方が、主人公の追い詰められた閉塞感が出ただろう。

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映画|FLY! 〜平凡なキセキ〜

Fly 大阪の町工場で働く平凡で冴えない三十男が、偶然出会った宇宙人を自宅に連れ帰り世話することに。宇宙人は地球に遊びに来て、仲間たちからはぐれてしまったのだ。男はなんとか宇宙人を故郷に帰してやろうとするのだが……。スピルバーグの名作『E.T.』を見事に換骨奪胎した、SFラブ・コメディ。『E.T.』のフォロワー作品としては昨年J・J・エイブラムス監督の『SUPER8/スーパーエイト』が公開されているが、それよりはこの映画の方が面白いと僕は思った。主演の小薮千豊は吉本新喜劇の座長で、関西方面では名の知れた芸人らしいが僕はまったく知らなかった。これから先、全国区になって行く人かもしれない。大柄で存在感があり、画面に出てきても見栄えがする。

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2012.01.24

映画|おとなのけんか

Otonanokenka 日本でも上演されているヤスミナ・レナの戯曲「大人は、かく戦えり」を、ロマン・ポランスキー監督が映画化。原作はフランスが舞台だが、映画はニューヨークに舞台を移している。出演しているのは4人の俳優たち。ジョディ・フォスター、ケイト・ウィンスレット、ジョン・C・ライリー、クリストフ・ヴァルツ。もちろん英語作品。ただしポランスキー監督はアメリカに入国できないので、撮影はパリで行われているとのこと。オープニングタイトルとエンドロール以外は完全な室内劇で、登場人物も少なく、劇中の時間に省略がないリアルタイム進行。思い切り「舞台劇でございます!」という感じの映画だが、これはそれを狙って映画にしているのだと思う。前作『ゴーストライター』は移動の多いサスペンスだったが、これはそれと正反対のコメディ。役者たちの丁々発止のやりとりは舞台劇を目の前で観ているような迫力があり、なかなか面白く観ることができた。舞台劇が好きな人にはお薦め。川島雄三の『しとやかな獣』をちょっと思い出したりもする。

(原題:Carnage)

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映画|アフロ田中

Afurotanaka ビッグコミックスピリッツに連載されている「アフロ田中」シリーズを、松田翔太主演で映画化したコメディ映画。何となく高校を中退して、何となく上京してきた主人公田中の悶々とした青春模様を描く。主人公のアフロヘアのボリュームは原作の数倍に膨れ上がっているが、このぐらいにしておかないと映画を観ているうちに慣れてしまうのでこれは正解。最初からクスクス笑いが止まらないのだが、途中に何カ所か爆笑ポイントがあって、映画を観ながら試写室のイスから転げ落ちそうになってしまった。松田翔太は二枚目役が多いのだが、今回は思い切り三枚目方向にずらして爆笑を誘う。キャスティングが豪華で画面に厚味があるのがいい。これは毎回ヒロインを替えてシリーズ化してほしいなぁ。とりあえずこのノリのまま、あと2本ぐらいは映画を観てみたい気がする。

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2012.01.22

映画|海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン

Gokai_gyaban 年明け恒例の劇場版スーパー戦隊だが、今回は30年前に放送された「宇宙刑事ギャバン」とのコラボレーション作品。ギャバンに主演していた大葉健二はスーパー戦隊ものでもバトルフィーバーJとデンジマンにも出演しており、ゴーカイジャーでもそれらの役で既にゲスト出演を果たしている。今回は代表作であるギャバンも合わせて、大葉健二が一人三役だ。既に56歳なのだが、とてもそうとは思えないアクションの切れの良さ。スーツを着てしまうと別のスーツアクターに交代するようだが、今回の映画はギャバンこと一条寺烈が素顔で出演しているところも多く、そこはアクション俳優大葉健二が自慢のアクションをたっぷりと見せてくれる。劇中のゴーカイシルバー伊狩鎧ではないが、作り手の大葉健二へのリスペクトが全編にあふれる作品。これは事実上、大葉健二の主演映画だと思う。

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2012.01.17

映画|ファミリー・ツリー

Familytree 妻がパワーボートの事故で植物状態になり、残された娘たちと新しい生活を始めようとした主人公。ところがそこで知ったのは、妻が浮気しており、離婚も考えていたという驚愕の事実。祖先から相続した土地の処分問題もからんで、主人公は右往左往しながらそれまでの人生を決算して新しい生活を作り上げようと奮闘する。ジョージ・クルーニー扮する主人公の等身大の悩みや葛藤が、きめ細かに描かれたヒューマンドラマ。4月GW公開予定だからタイミング的にはずいぶん先に公開の映画だが、今この時点から試写を回しているのはアカデミー賞がらみの話題があるから。先行するゴールデン・グローブ賞ではドラマ部門の作品賞と主演男優賞を受賞し、アカデミー賞にも期待がかかるのだろう。試写室ではハワイ産のミネラルウォーターを配布。隣に座った人が映画が始まった瞬間に寝始め、途中でいびきが気になったのでヒジで体を押して起こす。

(原題:The Descendants)

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映画|最高の人生をあなたと

Saikonojinsei ウィリアム・ハート演じる初老の建築家が、自分自身の老いに抗おうとして周囲と軋轢を生み出してゆく物語。長年連れ添った妻は夫より先に「わたしは年を取った」と開き直り、夫にもその自覚を持ってもらおうとあの手この手の策を講じるのだが、そのことがかえって夫をかたくなにさせてしまう。人間が年を取ることの難しさを描いた映画。劇中には「年を取るには勇気が必要だ」という言葉があって(しかもこの台詞を言うのはどちらかというと軽薄な男なのだ)、いろいろと考えさせられてしまった。人間にとって年を取ることは自然なことではない。それは子供が大人になる時もそうだろうし、大人が老人になる時も同じように難しい問題が立ちふさがる。主人公の妻を演じるのはイザベラ・ロッセリーニ。『ブルーベルベット』の妖艶な美女も60歳に近いわけだが、自らの加齢をそのままカメラの前にさらけ出せるのは大した女優根性だなぁと思う。まだ撮りようによっては、10歳や20歳は若く見せられるわけだからね。

(原題:Late Bloomers)

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映画|DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on少女たちは傷つきながら、夢を見る

Akb48 国民的な人気アイドルグループAKB48の2011年を記録した長編ドキュメンタリー映画。2011年は東日本大震災のあった年であり、AKB48がこの未曾有の災害にどう対応したかというのがこの映画のひとつのテーマ。被災地出身の研究生が上京してくるところから映画が始まり、彼女が被災地慰問のツアーに参加するところをひとつのクライマックスにして、最後のレコ大と紅白になだれ込んでいく。中盤の山場は西武ドームのコンサートで、まとまりのない初日を2日目でどう挽回するかという戦場のようなステージ舞台裏を見せてくれる。そこで強調されているのは、AKB48というグループが持つ体育会系のノリ。酸素吸入を受けながら、熱中症でフラフラになり、過呼吸の発作と闘いながら、それでもステージに飛び出してファンに向かってにこやかに微笑みかけるメンバーたちの力強さ。総選挙での悲喜こもごも。新チームのキャプテンがいきなり謹慎になるというトラブル。いろいろとスゴイ映画でした。

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2012.01.13

映画|TSY タイムスリップヤンキー

Tsy お笑いコンビ、ピースの綾部祐二(背が低くてイケメンの方)が、タイムスリップして高校時代の自分の両親に会うというSF青春映画。要するに日本版『バック・トゥ・ザ・フューチャー』なのだが、主人公が喧嘩ばかりしている不良高校生なので、タイムスリップした先でも昔の高校生と喧嘩をしている。綾部祐二が不良高校生という映画は『喧嘩番長 劇場版〜全国制覇』があり、その前には『ドロップ』もあった。この人、映画では年齢不詳でいつもこんなことばかりやっている。実年齢は30歳代半ばだが、映画では年齢が半分になって17歳という役どころ。いいのかこれで。いいのだこれで。これぞ映画だ。どうせなら宇梶剛士や木下ほうかにも、そのまま17歳の高校生をやってもらえばよかったのに。なお主人公がタイムスリップする先は昭和57年(1982年)のバレンタインデーで、その時主人公の両親は17歳だったのだから1964年か65年生まれということか。僕より1つか2つ年上という設定なのだが、時代的にはどうだったったかなぁ……。

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映画|ジャックとジル

Jackandjill 感謝祭の休暇を祝うため、兄ジャックの家にやって来た妹のジル。しかしジルの正直で天真爛漫な人柄は、周囲に大混乱を巻き起こしていく。CMプランナーのジャックは仕事ために、名優アル・パチーノに出演交渉をしなければならない羽目に。ところがなぜかパチーノが、出会ったばかりのジルに一目惚れしてしまうのだった……。アダム・サンドラーが一人二役で双子の兄妹を演じるコメディ映画。アル・パチーノの他にも、ジョニー・デップやジョン・マッケンローなどが当人役でゲスト出演している。騒々しくて下品な映画だが、僕はこういうのも嫌いじゃない。最初はよくできた「一人二役」でしかなかったジャックとジルが、徐々に独立したふたりの人間に見えてくるのがミソ。最後の方はもう「二役」などということを忘れて映画に見入ってしまった。ジャックとジルはユダヤ人で、養子の子供がインド人で、庭師がメキシコ人でと、アメリカの雑多な人種事情を反映した設定になっている。

(原題:Jack and Jill)

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2012.01.12

映画|Coming Out Story カミング アウト ストーリー

Comingoutstory 年末にサンプルDVDを受け取っていたにも関わらず、観る時間が取れないままずるずると日がたってしまい、年明けにはもう劇場での映画公開がはじまってしまいました。どうもスイマセン。映画はトランスジェンダーの不具合を解消するため男性から女性への性適合手術を受けた京都の高校教員・土肥いつきの話から始まるのだが、これは彼女の物語ではない。取材中のスタッフが突然、自らもトランスジェンダーであることを自覚してしまったことから、話は二系統に分かれて複雑なものになっていく。男性である体に違和感を持ちながら、ついに女性へと変身してしまった高校教員と、男性である体に本当は違和感を持っていたことをはっきりと自覚し、本当の自分らしさを求めて悩み迷う青年の姿。それは「男性から女性へ」という点ではひとつのキャラクターの現在と過去、あるいは現在と未来の姿のように見えるが、じつはぜんぜん別々の「わたし」と「あなた」という個人の物語なのだ。他人の生き方は自分の生きる道を探す上での励ましにはなる。でも参考にはならない。自分の道は自分で探し求めるしかない。カミングアウトは自分自身と向き合うプロセスでもある。

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2012.01.10

映画|グッド・ドクター【禁断のカルテ】

Good_doctor オーランド・ブルーム主演の医療サスペンス。孤独な研修医が入院してきた女子高生患者に好意を持ち、彼女を独占するために病気を再発させて入院させ、さらに入院を長引かせようとする。物語の中には強引なところや苦しいところがあるのだが、仕事を通じて充実感や自己肯定感を持てない主人公の気持ちには何かしら共感できないところがないわけでもない。主人公のヒロインへの気持ちが結果としては彼女を死なせることになるのだが、主人公は彼女を殺したかったわけではなく、少しでも自分の手もとに置いておきたいという気持ちから病気を悪化させて行く。彼女の病気が悪くなればなるほど、「あいつは若いのに苦労してがんばっている」と主人公の医師としての評価が高まり、患者が死んでしまうと「患者の死を乗り越えてこそ医者は一人前だ」と言われる不条理。サスペンス映画としては盛り上がりに欠けるのだが、異色の心理スリラーとしては面白い着想かもしれない。でも映画としては小さな世界だなぁ。

(原題:The Good Doctor)

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映画|ペントハウス

Penthouse 超高級タワーマンションに暮らす大富豪と、彼らのために働く優秀なスタッフたち。ところが最上階のペントハウスに住むウォール街の大物投資家が、スタッフたちが貯めたなけなしの年金基金を騙し取ったことが発覚。マンションのマネージャーをしていたジョシュは、この金を取り戻そうと、マンションを追い出された男やクビになったスタッフ、幼なじみの泥棒などに声をかけて部屋の隠し金庫を狙う。キャスティングが豪華な割に小粒な印象の映画になっているのは、登場人物たちの行動半径が狭くて、誰ものびのびと羽を伸ばして活躍していないからかもしれない。話が小さなところで収まってしまい、映画ならではの飛躍がないのだ。この小ささがこの映画の面白さではあるのだろうが、なんだか無理に小さな話に押し込めたような窮屈さを感じるなぁ……。

(原題:Tower Heist)

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DVD|桜田門外ノ変

Sakuradamongainohen 子供の頃に彦根に住んでいたので、幕末の大老井伊直弼は鎖国日本を開国に導いた功労者だと教えられていた。井伊直弼のビジュアル・イメージは、大河ドラマ「花の生涯」の尾上松緑か、松竹映画版の松本幸四郎という立派なもの。しかしその後のさまざまなドラマや映画をみる限り、井伊直弼というのは安政の大獄で多くの有能な人材を死に至らしめた極悪人であり、明治維新と近代化への道を大きく遅らせた守旧派ということになっているらしい。この映画の井伊大老は伊武雅刀で、イメージとしてはやはり悪人顔だなぁと思う。水戸の徳川斉昭を時代劇顔の北大路欣也が立派に演じて見せているのに対して、伊武雅刀は貫禄が足りないのだなぁ。映画は桜田門外ノ変がクライマックスではなく、襲撃犯たちのその後を事細かに描いた異色歴史劇だ。主人公も含めて同志たちが次々に捕らえられ、殺されて行くので、物語としてはどんどん尻つぼみになって行く。大老を暗殺して世界は変わったのか。自分たちはひょっとすると間違っていたのではないかと自問自答しつつ死んでゆく男たちの末路は憐れで、映画を観終えた後の爽快感はない。

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2011.12.27

映画|マイウェイ 12,000キロの真実

Myway12000 予告編を観ると面白そうなんだけど、実際に映画を観てみると「あれれ?」という映画がたくさんある。この映画もそんな映画のひとつだ。すごく詰まらないわけではないが、「もうちょっと何とかなったんじゃないの?」と思う。せっかくお金をかけて作るのだから、脚本段階でもうちょっと内容を煮詰めておけばいいのに。戦前の朝鮮半島でマラソン選手としてオリンピック出場を競い合う、オダギリジョー扮する日本人と、チャン・ドンゴン扮する朝鮮人の敵対心と絆を描く物語。ところがこの日本人があまりにもエキセントリックな人物で、まったく同情もできないし感情移入もできない。憎たらしい日本人は周辺にいくらでも配置できるのだから、主人公であるオダギリジョーぐらいはもう少し好感が持てる人物にしておかないと映画にならんよなぁ。ゲストとして中国からファン・ビンビンを呼んできたのに、すぐ引っ込めてしまうのももったいない。

(原題:My Way)

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2011.12.25

映画|仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦 MEGA MAX

Rider20111210 タイトルがやたら長いのは同コンセプトの前作『仮面ライダー×仮面ライダー オーズ&ダブル feat. スカル MOVIE大戦 CORE』と同じだが、今回はタイトルに『フォーゼ&オーズ』とあるものの、内容的には『仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ&ダブル』だろう。加えて『feat. 伝説の7人ライダー&アクア&なでしこ』であり、『VS ポセイドン』だ。伝説の7人ライダーは、仮面ライダー1号&2号、V3、ライダーマン、X、アマゾン、ストロンガーなのだが、この7人が勢揃いするとセンターはストロンガーなのであった。直近のライダーたちの中では、仮面ライダーダブルのフィリップ君が少したくましくなった感じ。仮面ライダーオーズからはアンクの再登場が嬉しい。ゲストでは仮面ライダーなでしこがかわいいのだが、登場シーンはまるで『天空の城ラピュタ』。「彼女キター!」というのは、映画を観ている人の多くが感じたのではなかろうか。

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2011.12.22

映画|ヒミズ

Himizu 『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』『恋の罪』など、このところ新作が公開されるごとに話題となる園子温監督の新作。最終試写にようやく間に合って観てきたけど、これは良かった。2時間9分はあっと言う間。後半は涙がポロポロでて止まらなくなってしまった。主演のふたりはこれでヴェネチア国際映画祭の最優秀新人俳優賞を受賞したのだが、そうした受賞が仮になかったとしてもこのふたりは凄かった。映画とはエモーションだ!とヒッチコックは言っていたが、まさにエモーションをかき立てる熱演。「体当たりの演技」と言うと女優の場合は脱ぐことや濃厚なラブシーンの言い換えだったりするのだが、この映画にはそれとはまったく異質の体当たりの演技がある。とにかく真っ直ぐぶつかっていく熱い気持ちのほとばしりが、相手を突き飛ばし、ひっぱたき、蹴飛ばし、投げ飛ばし、殴り倒し、殴り殺すのだ。こんなに熱い映画は久しぶりに観た。「がんばれ!」「夢を持て!」「みんな特別なひとつだけの花なんだ!」という安っぽい台詞に、とめどなく涙があふれる。

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2011.12.20

映画|ヤング≒アダルト

Youngadult 「昔の恋人とよりを戻したい!」と元カレのもとに突進して大騒動を巻き起こすヒロインの話と言えば、ジュリア・ロバーツ主演の『ベスト・フレンズ・ウェディング』(1997)があったが、『ヤング≒アダルト』のヒロインが突進するのは元カレの結婚式ではなく子供の出産パーティだ。彼が独身のうちに婚約者から元カレを取り戻すのではなく、妻も子もある既婚男性を、相手の意志など関係なしに略奪してしまおうという計画。大胆不敵というか、思い込みが激しすぎるというか、頭がどこかおかしいというか……。たぶん正解は一番最後なのだろうけれど、その頭のおかしなヒロインをシャーリーズ・セロンが演じると、『モンスター』の連続殺人鬼なみの恐さがあるぞ。まあ一応コメディなんだけど、これはイタイ、イタスギル……。美人女優のシャーリーズ・セロンが衰えはじめた30代半ばの体を惜しげもなくさらしての熱演。いや〜、参りました。

(原題:Young Adult)

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映画|ヒューゴの不思議な発明

Hugo 1930年代のパリ。駅の時計係をして暮らす孤児ヒューゴの宝物は、死んだ父が残してくれた古い自動人形。彼は駅の売店を営む老人と知り合うが、修理した自動人形が紙の上に描いた絵とサインを見て仰天する。人間の顔をした月に突き刺さったロケットと、ジョルジュ・メリエスという名前。それは売店の老人の名前だったのだ。マーティン・スコセッシ監督初の3D映画は、世界初の映画監督ジョルジュ・メリエスと彼の自動人形を巡るファンタジー・アドベンチャー。映画に登場するメリエスは実際のメリエスとは多少違うのだが、メリエスのスタジオ(スターフィルム)の様子や、撮影風景、当時のカメラや映写機、晩年のメリエスが営んでいた駅売店の様子などは、残っている写真などからよく再現されていると思う。晩年のメリエスが手もとで育てていた少女は、メリエスの伝記を書いたマドレーヌ・マルテット=メリエスがモデル。メリエス夫人は晩年のメリエスの伴侶となったかつての主演女優ジュアンヌ・ダルシーがモデルだろうか。マドレーヌの「魔術師メリエス」を読み直して、一度内容をまとめてみようかな……。

(原題:Hugo)

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2011.12.16

映画|忍道 SHINOBIDO

Shinobido 映画が始まって15分ぐらいで試写室から出たくなってしまった。これほどダメな映画を観たのは久しぶりで、むしろなぜこうした映画が成立してしまうのかの方に興味がある。製作はEDO WONDERLAND 日光江戸村。江戸村で行っている忍者ショーの劇場版を作りたかったのかなぁ。時代劇には時代劇のフォーマットというものがあるので、それを踏まえた上で作らないと目も当てられないシロモノができてしまうという悪い見本。どんな映画にも主人公の周囲にある「大きな物語」と、主人公が作り出す「小さな物語」がある。時代劇は歴史的な事実や封建的な身分制度などを使って「大きな物語」を作りやすく、その中で「小さな物語」の輪郭をくっきりと引き立てることができる。しかしこの映画には「大きな物語」らしいものがまったくない。ダメな脚本。身分を隠した忍者と、その忍者を駆り出すことが任務の侍が、互いの正体を隠しながら惹かれ合うという物語も、映画を観ている側には正体がバレバレで白けることおびただしい。「大きな物語」のカセが弱いから、「小さな物語」が締まりのないものになるのだ。

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2011.12.14

映画|ピラミッド 5000年の嘘

Pyramid5000 ピラミッド「5000年の謎」ではなく、「5000年の嘘」と言い切ってしまうところがタダゴトではない。我々が一般的に知っていたピラミッドについての知識は、すべて嘘だったというのだ。一体誰が何のために嘘をつく必要があるのか。原題は『The Revelation of the Pyramids』だから、「5000年の嘘」ほどの衝撃度はないのだが、それでも「ピラミッドの新事実」というのはやはり大上段に構えたものだと思う。映画の内容と印象については、一言で言えば「詰め込みすぎ」なんじゃないだろうか。最初から最後までナレーションと字幕で延々自分たちの仮説や新事実と称するものを語り続けるので、観ていて眠くなってしまった。内容が面白いか詰まらないか以前に、ここには見せ方の演出も何もないのだ。最初から最後までずっと同じタッチで、作りとしてはメリハリがなくて平板なのだなぁ。試写室には吉村作治さんなど専門の学者さんたちも何人か招待されていたようで、映画の後にはそうした人たちが「一度計算してみないとなぁ」などと笑いながら話してました。吉村先生のホームページで映画の感想が読めるかと思ったら、まだ何も書かれていなかったようなのが残念。

(原題:The Revelation of the Pyramids)

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映画|ゾンビ・アス

Zombieass 奇才井口昇の最新作は、宇宙からやって来た謎の寄生生物によって、山奥の小さな村が全員ゾンビになってしまうという侵略ジャンルのSFホラー映画……ではあるのだが、全編オナラとウンコにまみれたスカトロ大作になっている。突然腹を下してウンチが漏れそうになるとか、トイレに駆け込んだらそれがメチャクチャに汚いとか、とっとと用事を済ませてトイレから出たいのに、いざとなったら出るべきものが出ないなど、日常感覚の延長で「あるある」と納得できるイントロ部。しかしトイレの中から次々に排泄物まみれのゾンビが登場して襲いかかってくるあたりから、この映画は一足飛びに日常を突き破って非日常のアナーキーな世界に突入する。ヒロインがセーラー服でポニーテールというのは、僕の世代だと斉藤由貴の「スケバン刑事」なのだが、それがウンコまみれのゾンビと戦う壮絶なバトル。異色と言えばこれほど異色な映画はないが、あえてこれを観たい人がどれだけいるかというと首をかしげてしまう、最初からカルト映画になるべくカルト映画化した異形の作品。配給の日活は創業100周年の記念すべき年に、この作品を世に問うのである。やってくれるよなぁ……。

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2011.12.12

映画|マジック・ツリーハウス

Magictreehouse 日本でも30巻まで発売されているメアリー・ポープ・オズボーンの児童書シリーズ「マジック・ツリーハウス」を原作にした、長編アニメーション映画。たぶんこの映画の最大の話題は、主人公兄妹の声を北川景子と芦田愛菜がアフレコしていることだろう。ただし映画作品としてはぜんぜんダメだと思う。「こんな本がある」ということはわかるし、ひょっとしたら原作は楽しいものかもしれないが、映画はまるでダメダメ。脚本がダメだし、アニメーションとしてもダメ。絵の動きに不自然なところが多すぎて、物語の中に入って行けない。例えば主人公たちがマジック・ツリーハウスの縄ばしごを上るシーンは、縄ばしごのはずなのに人が登っても揺れたりたわんだりしない。脚本にも不自然なところがたくさんあるのだが、それ以前に物理法則を無視した動きが目立って、見ていて白けてしまうのだ。訪れた世界のディテールが細かく紹介されることなく、説明がすべて省略されてしまうのももったいない。作り手のねらいがどこにあるのかよくわからない、中途半端な印象の映画だった。

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映画|デビルズ・ダブル —ある影武者の物語—

Devilsdouble イラクの独裁者サダム・フセインの長男であり、その粗暴で常軌を逸脱した行動から「狂気のプリンス」と呼ばれ恐れられたウダイ・フセイン。1987年から1991年まで足かけ5年間、彼の影武者としてその狂気じみた行動の数々を間近に見ていたのが、この映画の原作者ラティフ・ヤヒアだ。映画はイラン・イラク戦争から湾岸戦争に至る時代を背景に、ウダイの乱暴狼藉と放蕩の日々を描いていく。この映画を観ると、イラク戦争でサダム・フセインと家族が権力の座から排除されたのは結構なことだったなぁ……という気分にさせられる。主演のドミニク・クーパーが熱演で、一人二役が完全に2人の別々のキャラクターにしか見えないほどだ。ただしキャラクターとして魅力的なのは暴君ウダイの側で、本当なら観客が感情移入しなければならないラティフの存在感が弱い。ヒロイン役はリュディヴィーヌ・サニエだが、フランソワ・オゾン監督作に出ていた頃の美少女の面影はもうないなぁ……。イラクを舞台にしたベルギー映画で、監督はニュージーランド人のリー・タマホリ、使用言語は全編英語。こうした成り立ちもまた、映画に少し浮き世離れしたムードを付加してしまったかも。

(原題:The Devil's Double)

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2011.12.07

映画|アニマル・キングダム

Animal_kingdom 母親が麻薬の過剰摂取で死んだことから、祖母の家に引き取られた17歳の高校生ジョシュア(通称ジェイ)。しかし祖母の息子たちは、強盗や麻薬取引を行う札付きの悪党ばかり。そこに放り込まれたジェイは自分自身が生きるために、伯父たちの犯罪を少しずつ手伝わざるを得なくなるという話。ちらしには「実在の犯罪一家をモデルに」などと書かれているが、モデルになったのがどこのどんな一家なのかが書かれていないので、実際のところがよくわからない。まあ実話かどうかは映画の面白さとは別であって、この映画はこの映画として面白ければそれでいいのだけれど。肝心の映画は主人公ジェイも含めて全員が逮捕された後、一家を束ねていた祖母がにこやかな顔に隠されていた凶暴な本性を見せ始めてからが面白い。なんとなく中途半端な顔つきだったジェイも、ひきしまた大人の男の顔になってくる。

(原題:Animal Kingdom)

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映画|ドライヴ

Drive ライアン・ゴズリング主演のクライム・サスペンス映画。ハリウッドでカースタントの仕事をしながら、時として犯罪者を逃がす雇われドライバーの仕事もしている若い男。彼はアパートの隣室に住むアイリーンと親しくなり、刑務所から出てきたばかりの彼女の夫が犯罪がらみのトラブルに巻き込まれていることを知ると、彼のために自分の腕を貸すことにする。ところがこの仕事には裏があった。彼はマフィアがらみの大きな犯罪と、その隠蔽工作の中に巻き込まれてしまう。『ドライヴ』というタイトルからもわかるとおり自動車が重要な小道具として何度も登場するのだが、それより情け容赦ない暴力描写にはびっくりするが、それが映画全体のバランスを壊していないというのもすごい。主人公の過去は原作に細かく描かれているようだが、映画はそれをバッサリと省略してしまう。しかしライアン・ゴズリングの醸し出す虚無感は、彼の過去に何かとてつもない出来事があったことをうかがわせる。周辺のキャスティングもいい。中でもアルバート・ブルックスがいい味を出している。

(原題:Drive)

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映画|pina ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち

Pina 2009年に突然亡くなった、コンテンポラリー・ダンスの巨人ピナ・バウシュ。ガン告知を受けて5日後に亡くなったと言うから、これは本人にとっても周囲の人たちにとっても突然のことだっただろう。この映画は彼女の生前に企画され、準備中に突然ピナの死という衝撃に見舞われたと言う。映画は生前のピナの出演場面や、演出シーン、演者達のインタビューなどが織り込まれているが、映画という利点を生かして、演劇的と言われるピナ・バウシュ作品を一部屋外に飛び出させている。映画の中で大きく取り扱われているのは「春の祭典」「カフェ・ミュラー」「コンタクトホーフ」「フルムーン」などだが(これらはステージで演じられている)、他にもさまざまな作品の断片が映画全編に散りばめられているので、ピナ・バウシュを知らない人も(僕も知らないのだが)、その作品世界が垣間見られる映画になっているのではないだろうか。全編3D撮影。

(原題:Pina)

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2011.12.05

映画|ロンドン・ブルバード -LAST BODYGUARD-

Londonboulevard コリン・ファレルとキーラ・ナイトレイ主演のギャング映画。刑務所から出て人生を真っ当に生き直そうと考えている男が、有名女優のボディガードの仕事に就く。しかしギャング社会は彼が堅気になることを許さず、何が何でもギャングに引き戻そうとする。それでも何とかこの誘いを断っていた主人公だったが、出来の悪い弟分が起こしたヘマのおかげで、とうとうギャングの世界に逆戻り……という、東映やくざ映画みたいなストーリー。ギャングの世界の話は話に厚みがあって見応えがあるのだが、主人公とヒロインのロマンス部分が弱い。キーラ・ナイトレイは「モニカ・ベルッチの次にレイプされる役が多い女優」と説明されるが、それを納得させるだけの肉体的存在感がないのが欠点だ。キーラ・ナイトレイ自身はイギリスを代表する若手女優なので、ではこの役に他に誰がいるかというと考え込んでしまうのだけれど……。

(原題:London Boulevard)

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2011.12.01

映画|フラメンコ・フラメンコ

Furamenko2 カルロス・サウラの新作フラメンコ映画。全部で21の楽曲が次々に登場し、この映画のために選ばれたアーティストたちが歌って踊って演奏する。その様子を何の説明もなしに、次から次に連続して紹介して行くだけの映画。要するにフラメンコのミュージックビデオみたいなものだが、だらけたイメージカットなどは存在せずに、ひたすらアーティストたちの姿に肉薄して行く映像には迫力がある。パフォーマンスのライブ感はまるで目の前で本物の舞台を見ているようなのだが、映像としてはカットを割っているので、同じパフォーマンスを何度かに分けて撮影しているはず。しかしそれをまったく感じさせない、テンションの高さに驚かされる。個人的に面白いと思ったのは、ピアノデュオによるフラメンコ演奏とか、ベールをかぶった女性たちの群舞、伴奏なし歌なしのダンス、赤いドレスを着た女性たちの群舞、土砂降りの雨を降らせての歌とダンス、そしてパコ・デ・ルシア! フラメンコにも随分といろいろな表現があり、幅が広く奥が深いジャンルなのだなぁと痛感させられた映画でした。でもこれ、きっと観る人を選ぶよなぁ。

(原題:Flamenco, Flamenco)

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映画|ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル

Mi4 前作『ミッション:インポッシブル3』から5年振りとなるシリーズ第4弾。1作目が公開されたのが1996年だから、もう15年越しのシリーズになっているのだ。1作目から2作目までの間隔が4年、2作目から3作目までが6年、今回が5年ぶりだから、このシリーズは5年に1本がだいたい平均なのかもしれない。その分どんどんトム・クルーズは年を取っていくわけだが、アクションシーンを全部自分でこなしているのは立派。1962年生まれだからもう中年のオッサンで、このシリーズに次回作が作られるとしたらもう50過ぎだよ。毎回世界中を飛び回るこのシリーズだが、今回はロシアを振り出しに、ドバイ、ムンバイへと移動して、最後はアメリカに戻って終わる。ドバイにある世界最高層ビルでの高所スタントは、何らかの撮影トリックがあるとわかっていても手に汗握る名シーン。立体駐車場を使ったアクションは、『モンスターズ・インク』などアニメの世界をそのまま実写にしたような面白さ。監督はアニメ出身のブラッド・バード。ハラハラドキドキさせて、最後にちょっとホロリとさせる、じつに楽しい映画でした。パート5に期待。

(原題:Mission: Impossible - Ghost Protocol)

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2011.11.30

映画|マシンガン・プリーチャー

Machingunpreacher 荒れた生活から立ち直って牧師になった男が、ウガンダやスーダンで住民を恐怖に陥れているゲリラ組織と戦うという、実話にもとづいたヒューマンドラマ。酒・麻薬・強盗など、悪事は何でもござれの男が、突如回心して生活を建て直すという話もドラマチックだが、そこから振り子が反対に振りきれるように、今度はアフリカで孤児となった子供たちのために献身的に働き始めるというのも極端な話。しかしこれがすべて実話だというから驚く。僕はキリスト教に興味があるので、ひとりの男の回心の物語として映画を面白く見ていた。一度は回心してアフリカでのボランティア活動に精を出すようになり、やがて目の前の悪と武器を取って戦うようになった主人公。しかしそこで見た暴力のあまりの凄惨さに、「神などいない!」と言うようになる。彼は最後に再び神に出会えたのだろうか? 映画を観ていてもそこがちょっとわからないのが残念。

(原題:Machine Gun Preacher)

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2011.11.29

映画|瞳は静かに

Hitomiwasizukani 映画『エビータ』で主人公エビータの夫だったフアン・ペロンは、アルゼンチン大統領に3度就任した政治家。しかし3度目の任期開始直後に死去し、その後継者となったイゼベル・ペロン(エビータの死後ペロンの3人目の妻になった)の政治的な無策で国内は混乱した。この機に乗じてクーデターで政権を奪取したのがホルヘ・ラファエル・ビデラ将軍で、軍事政権はこれ以降「汚い戦争」と呼ばれる反対派の徹底した弾圧を行うことになる。この弾圧によって1万数千人から3万人が犠牲になったと言われている。映画は1977年の夏からの1年間を、少年アンドレスの視点から描いたホームドラマ。この映画を観ると言論弾圧や警察国家というものが、人間の生活をいかに歪め、心を蝕んでいくのかがわかる。その影響を一番に受けるのは、幼い子供たちなのだ。

(原題:Andrés no quiere dormir la siesta)

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映画|三国志英傑伝 関羽

Sangokueiketsuden 三国志に登場する英雄・関羽が、曹操の捕虜の身から劉備のもとに戻る過程を描いた歴史アクションドラマ。ドニー・イェンが関羽を演じるのはイメージがだいぶ違うと思うのだが、知的で物静かで忠義心に熱く、しかも武芸の達人という関羽を、ドニー・イェンなりに演じて新しい関羽像を作り上げている。この映画の骨子は西洋の騎士道ロマンス。武勇と忠義心に優れる男が、主君の妻や許嫁に恋をして不倫関係になるのが騎士道物語で、トリスタンは伯父の許嫁であるイゾルデと相思相愛になり、円卓の騎士ランスロッドは主君アーサー王の妃グィネヴィアと不倫関係になる。この流れで、関羽も主君であり義兄弟である劉備の許嫁に想いを寄せて苦しむのだ。こうしたバタ臭さを三国志に持ち込むことで、ドニー・イェンの関羽が成り立っているような気もする。リアリズムではなく、異種交配みたいなものだ。

(原題:関雲長 The Lost Bladesman)

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2011.11.22

映画|月光ノ仮面

Gekkonokamen 芸人であり最近は俳優としての活躍が目立つ板尾創路が、『板尾創路の脱獄王』に次いで撮った監督第2作目。タイトルは『月光ノ仮面』だが、映画の最後には画面にでかでかと『板尾創路の月光ノ仮面』と出る。昭和22年の東京落語界が舞台。戦死公報が届いていたにもかかわらず、ひょっこりと日本に戻ってきたひとりの男。彼は戦前の東京で大人気を博していた噺家らしいが、当人は戦争ですっかり記憶を失っている。師匠は彼が記憶を取り戻す助けになればと、寄席の高座に少しずつ復帰させようとするのだが……。なんとも奇妙な映画で、話自体はわからなくもないが、なぜこんな事になってしまったのかがよくわからない。ベースにあるのは古典落語「粗忽長屋」だが、この映画に登場する人々は全員が揃いも揃って粗忽者ばかり。板尾創路と浅野忠信を、どうやったら見間違えるというのだ。しかしこの全面的にズレた感じが、この映画の面白さだ。師匠を演じた前田吟のとぼけた感じ、石原さとみの大まじめにボケているところがいい。笑える映画ではないが、奇妙な後味の残る映画だ。

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映画|運命の子

Unmeinoko 古代中国の史書に書かれ、その後もさまざまな形で脚色・劇化されている「趙氏孤児」を、『さらば、わが愛/覇王別姫』のチェン・カイコーが映像化した大作時代劇。宮廷闘争に巻き込まれて皆殺しにされた将軍一族の遺児を、我が子の命と引き替えに育てることになった医者の男。15年後、成長した子供は父や一族を殺した男に復讐する。2時間8分の大作だが、子供が生き延びるまでを詳細に描く前半1時間は見応え十分。後半は感傷的なメロドラマに流れているような所もあるが、主人公たちを単なる正義の志士とせず、敵役を単なる悪党にすることなく、人間的な陰影に富んだキャラクターとして描き出しているところが見どころ。ただし運命に翻弄される将軍の息子の影が薄くなってしまったのが、大きな弱点だと思う。本当はこの子供が後半の主役にならなければならないのに、大人たちの思惑であちこち右往左往させられるばかりだ。

(原題:趙氏孤児 Sacrifice)

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2011.11.21

映画|はさみ hasami

Hasami 理容美容専門学校で講師を務めるヒロインを主人公に、学校内で起きるさまざまなエピソードを綴っていく青春学園ドラマ。撮影に使われたのは東京中野にある窪田理容美容専門学校(劇中では学校名が変えてある)。撮影は校内や校外も含めて中野のさまざまな場所が使われているようで、生活感のある学内や街頭の風景が物語に奥行きを与えている。熱血講師を演じる池脇千鶴は物語の狂言回しで、彼女を中心にして何人かの生徒の物語がゆるやかにつながっていく構成。僕自身が分野は違えど専門学校出身だったこともあるし、専門学校で少し教えていたこともあるので、この映画に出てくるいろいろなエピソードは身近でリアルなものに感じた。大学乱立で学校を選ばなければ高校生は誰でも大学に入学できる時代だが、不況の今は二流以下の大学を出ても就職がおぼつかないのが現実だ。こういう時代だからこそ、職業訓練に特化した専門学校はもっと脚光を浴びてもいいはず。専門学校を舞台にした映画がもっと増えてもいいと思うんだけどなぁ。

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2011.11.18

映画|アーサー・クリスマスの大冒険

Arthur_christmas サンタクロースが1日で配らなければならないプレゼントの数は20億個。最新のハイテク装備と忠実な妖精たちのチームワークもあり、毎年大きな事故もなく仕事を済ませているサンタだったが、その年はちょっとしたミスで大きな失敗をやらかした。プレゼントを1個だけ、配達し忘れてしまったのだ。これに気づいたサンタの息子アーサーは、おじいさんサンタと一緒に残ったプレゼントを届けに行こうとする。ところがこれが、とんだ大騒ぎを巻き起こしてしまう……という物語。サンタたちが気のいい妖精でもなんでもなく、自己顕示欲と名誉欲に取り憑かれた人間くさいキャラクターに描かれているのが面白い。サンタが出てくる映画はたくさんあるが、ここまでスーパー・ハイテク仕様のサンタも初めてだと思う。妖精たちの一糸乱れぬチームワークに舌を巻き、ひとりの少女がプレゼントを受け取って大喜びする姿にホロリと涙する。

(原題:Arthur Christmas)

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2011.11.17

映画|果てなき路

Roadtonowhere 伝説の映画監督モンテ・ヘルマンが21年振りに監督した作品。実在に起きた事件を映画化しようとする映画監督が、ヒロインとして見出した若い女優と恋仲になり、やがて決定的な破滅が訪れるという物語。単純そうな話なのに、どうにも話がわかりにくい。映画の中には3つの世界が描かれる。劇中で撮影される映画のもとになった事件そのものの世界。映画撮影を進めるスタッフやキャストの暮らす現実の世界。そして映画の中で撮影されている映画の世界。これらが特に何の説明もなく次々に入れ替わっていくので、ストーリーが追いにくいのだ。僕は映画を観ていて最後まで、ヒロインが何者なのかがよくわからなかったし、監督がどんな映画を撮りたいと考えているのかもよくわからなかった。

(原題:Road to Nowhere)

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映画|断絶

Danzetsu スティーヴン・ジェイ・シュナイダーの「死ぬまでに観たい映画1001本」はこの映画について、『モンテ・ヘルマン監督による、ヒッピー時代の到来を告げるロードムービーは、ハリウッドでの『イージー・ライダー』(1969)後の熱狂から生まれた作品群の中ではおそらく最高の出来だろう。しかし、映画会社の重役と、哀しむべきことにほとんどの観客は理解できなかった』と紹介している。この映画が撮られた1971年というのは、『時計じかけのオレンジ』や『ギャンブラー』『コールガール』『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』『フレンチ・コネクション』『ダーティハリー』『スウィート・スウィートバック』『ラスト・ショー』『わらの犬』が撮られたのと同じ年だ。各地でカーレースの賞金を稼いで回る若者二人組(ジェーム・テイラーとデニス・ウィルソン)と、最新型のスポーツカーを乗り回す中年男(ウォーレン・オーツ)が車を賭けて長距離レースをする話だが、ここにヒッチハイクの旅をする少女がからむ。

(原題:Two-Lane Blacktop)

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2011.11.16

映画|風にそよぐ草

Kazenisoyogu アラン・レネは映画史の中の人物と言ってもいいお爺ちゃん監督だが、それでも衰えぬ創作意欲と才気に打ちのめされる作品。軽妙洒脱な語り口で巧みなアクロバットを見せ、のらりくらりと観る者を煙に巻く。スリラーのような、メロドラマのような、ファンタジーのような、コメディのような、それらすべてのような、それらすべてでないような、奇妙な浮遊感と、映画的な高揚感。映画を観ながら、取り立てて何か意味があるわけでもないのに、最初から最後までハラハラドキドキさせられてしまった。ストーリーが入れ子構造になっていたり、突然物語が突拍子もない方向に進んでいったり、わけもなく不安感をあおったりするのは、デヴィッド・リンチの映画にも通じる世界。ただし『二十四時間の情事(ヒロシマ・モナムール)』や『去年マリンエバートで』のアラン・レネの方がずっと先輩なんだろうけど……。

(原題:Les herbes folles)

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2011.11.14

映画|ピザボーイ 史上最凶のお客様

Pizza_boy 2003年にアメリカで起きた、ピザ配達人爆死事件をモデルにしたであろう映画。電話で呼び出されたピザ配達人が見ず知らずの男たちから取り外しのできない時限式爆弾を取り付けられ、「銀行強盗をしないと爆発させる」と脅される。実際の事件ではこのあと男が銀行強盗をした直後に警官に取り押さえられ、その後テレビカメラが取り囲む中で爆死してしまうのだが、映画は時間の猶予をもう少し作っていろいろなエピソードを散りばめて行く。基本的にはアクションコメディなのだが、これはモデルとなった事件があることがあまりにもあからさまで、それがじつに不気味で後味の悪いものだけに(犯人は一応逮捕されたのだが内容には未解明の部分も多い)、この映画も素直に笑えないような気がするのだ。モデルになった事件を知らなければもう少し笑えたのだろうか。どうなんだろう。よくわからないなぁ……。

(原題:30 Minutes or Less)

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映画|永遠の僕たち

Eienno_bokutachi 加瀬亮が特攻隊員の幽霊役で出演しているガス・ヴァン・サント監督の新作。事故で両親を失って以来「死」に取り憑かれ、犯罪現場の死体に扮して寝そべった自分の体の周囲にチョークで線を引いたり、葬儀場や墓地で見知らぬ人の葬儀に出席したりしている少年イーノック。彼は葬儀場で出会ったアナベルと付き合うようになるが、彼女は脳腫瘍で余命いくばくもない体だった……という物語。加瀬亮はイーノックにしか見えない友達(イマジナリー・フレンド)なのだが、それはイーノックの心が生み出した空想の存在なのか、それとも実際に何者かの幽霊なのか微妙で、それがこの役柄のひとつの魅力になっていると思う。主人公の少年が死体ゴッコや葬式めぐりを繰り返すというエピソードは、『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』に似ている。主人公たちが残された日々の中で、いろいろな新しい経験に挑戦するのも同じ。ただし少年の恋人になるのはおばあさんではなく、まだあどけなさが残る美少女(ミア・ワシコウスカ)なんだけど。主演のヘンリー・ホッパーはデニス・ホッパーの息子で、本作がデビュー作とのこと。

(原題:Restless)

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2011.11.10

映画|歴史は女で作られる

Lola_montes 実在の高級娼婦ローラ・モンテスの生涯を、マックス・オフュルス監督が映画化した1955年製作のフランス・西ドイツ・ルクセンブルクの合作映画。公開当時はあまりヒットせず、監督に無断でプロデューサーたちが再編集してしまったという曰く付きの映画だ。その後監督は亡くなってしまい、1960年代に原型に近い形に一度復元。その後デジタル技術も利用して原型に復元されたのは2008年だという。今回は年末年始に3週間限定上映。たぶん劇場にかかるのはそれきりオシマイで、すぐDVDなりBlu-rayなりが発売されるのだろう。映画は全盛期を過ぎたローラがアメリカのサーカスで自分自身の人生を演じる出し物に出演し、そこで過去を回想するという形式。このサーカスの描写にかなり力が入っていて素晴らしい。貧しい少女が踊り子を経て最後は王様の愛妾になるというシンデレラストーリーと、下世話で俗悪の極みのようなサーカスの対比。彼女が檻の中で大勢の男たちのお慰みになるラストシーンは哀れを誘う。映画はその後の彼女について何も述べていないが、彼女オーストラリアで極貧の中で死んだという。

(原題:Lola Montès)

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2011.11.09

映画|ミツコ感覚

Mitsuko_kankaku 東京郊外の一戸建てにふたりで暮らす妹ミツコと姉エミの、「不穏な日常」を描いたスリル満点のホームドラマ。この映画の肝は、姉妹に近づく謎の男・三浦にある。彼は少なくとも善人ではない。(善人がはじめて上がった他人の家で、いきなりパンツ一丁になって若い女性に抱きつくはずがない。)言っていることは嘘ばかり。姉と称する女も、本当に姉なんだかよくわからない。しかし彼らが悪人なのかというと、それもよくわからない。三浦と姉はこの物語の中で特別何らかの役目を果たしているわけでもないのだが、このふたりの登場によって、この映画の持つムードが決定づけられている面があると思う。姉の不倫話にせよ、妹の就職や恋愛にまつわる話にせよ、父の再婚にせよ、不倫相手の妻との修羅場にせよ、それらを個々に取り上げれば月並みでありきたりな話なのだ。この映画を月並みなものにさせないのは、三浦である。舞台中心に活躍している俳優をずらりと揃えて醸し出される、見事なアンサンブル。今年観た映画の中では、掛け値なしに一番面白かった!

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映画|孤独な惑星

Kodokuna_wakusei アパートの隣室に住む若い男を、行きがかりから自分の部屋のベランダに住まわせることになったヒロイン。ガラス戸1枚を隔てた交流は、やがて恋に発展していくのだろうか。それは本当の恋であろうか。風変わりでリアリティのないシチュエーションだとは思うが、それが人間同士の絆が希薄な現代人の心をリアルにうつした一片の寓話になっている。スタンダードサイズのカラー画面。フィルムの質感。映画の内容とはチグハグなSE。ヒロインが勤めるシュールな職場。これらが物語の舞台装置になっている。

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2011.11.08

映画|フィフティ・フィフティ

5050 ひどい腰痛で医者にかかったら、脊髄にできたガンだと診断された27歳の主人公。とりあえず抗がん剤治療を受けることになったが、その後手術をしても生き残る確率は50%。かくして、恋人、親友、家族などを巻き込んでの闘病が始まる……。試写室の混雑にびっくり。予定時間の15分ほど前に到着したら、もう補助椅子で、しかもスクリーンのすぐ前だった。公開まで間がなくて試写が終わりに近いということもあるが、それでも空いている試写はガラガラの時もある。試写室が混むのは映画の評判がいいからで、確かにこの映画は面白い。「難病もの」「闘病もの」ではあるのだが、映画の随所に笑いがある。といって悪ふざけをして病気を軽んじているわけではない。病気は病気で、じつに深刻なのだ。実際にガンにかかってそれを克服した脚本家の実話にもとづいた物語。

(原題:50/50)

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2011.11.07

映画|無言歌

Mugonka 1956年の「百花斉放・百家争鳴」政策によって共産主義政権に対する批判を奨励した毛沢東は、翌年手のひらを返すように「反右派闘争」を開始し、政府を批判したり意見を述べたりした人々を「右派」として捕らえた。捕らえられた人々は辺境の農場で労働改造という名の強制労働に従事したが、折からの干ばつで大地は干からび(同時期の大躍進政策の影響とも言われる)、人々への食糧配給は途絶した。次々に栄養失調で倒れてゆく男たち。彼らは配給の食糧だけでは不足する栄養を補うため、ネズミから野の雑草まで食べ尽くし、さらには死んだ仲間たちの肉を食べて生き延びようとする。この映画に描かれているのはすべて実話にもとづいている。

(原題:夾辺溝 THE DITCH)

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映画|パーフェクト・センス

Perfectsense 謎の感染症によって、世界中の人々が互換を失っていくというスリラー映画。最初は嗅覚が消え、次に味覚が、次に聴覚が消える。次に消えるのは……。悲惨この上ない映画なのだが、それでもこの映画には希望がある。感覚が次々に失われていっても、人々は生きることを諦めない。ユアン・マクレガー扮する主人公はレストランのシェフ。彼は嗅覚が消えても新しい味覚を追求し、味覚が消えても他の感覚で味わう料理を開発する。絶望的な状況の中でも希望を捨てない人々が、最後の最後につかみ取ったものは愛の喜び。悲惨な映画かもしれないが、映画の後味は悪くない。

(原題:Perfect Sense)

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2011.10.30

映画|スイートプリキュア♪ とりもどせ! 心がつなぐ奇跡のメロディ♪

Suite_precure 映画版「スイートプリキュア」は、時系列で見ると10月23日放送回と10月30日放送回の間に挿入されるエピソードだ。10月23日放送回で悪の総裁だったメフィストがメイジャーランドの国王だったことが明らかになり、謎のプリキュアだったキュアミューズの正体も明かされたことを受けて本作があり、さらに30日放送回につながる構成。つまりテレビと映画を通して各エピソードを順番通りに見るには公開初日の29日に映画館に行くしかなかったわけで、一歩遅れて30日に観たのはなんだかとても残念なことであった……。このシリーズは入場時に子供たちに小型のライトが配られて、映画の中で主人公たちがピンチになると、子供たちがそのライトを点灯させて応援するという趣向になっている。これは単純な仕掛けなのだが、映画館の中であちこちにパッパッと明かりが付いて、子供たちが必死に打ち振りながら主人公を応援する姿は感動的。黒澤明は『素晴らしき日曜日』で主人公たちが客席に向かって「私たちのために拍手してください」という演出を行ったことがあるが、これがまるっきり日本では空振りしてガッカリしたらしい。でも『プリキュア』ではそれがちゃんと機能している。映画の最後には客席から自然と拍手。じつに楽しい映画“体験”ができました。

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2011.10.28

映画|もしもぼくらが木を失ったら

Tiff2011 環境テロ組織と呼ばれるELF(Earth Liberation Front、地球解放戦線)のメンバーとして数カ所の放火事件などに関与し、逮捕後は実刑判決を受けて現在服役中のダニエル・マクガワン。彼はなぜ環境テロリストとなったのかを、本人や周辺の取材によって説き明かして行くドキュメンタリー映画。合法的・平和的・被暴力的な手段で地球環境保護を訴える運動が権力によって次々に弾圧されて運動が行き詰まりを迎える中で、非合法な活動でそこに風穴を開けたのがELFだった。環境保護活動をそこに追いやったのは権力組織だが、暴力的な活動は一般社会の支持も支援も受けることなく「テロリスト」扱いされることになる。かつて学生運動が過激化して非合法活動に流れ、一般の指示を失ったのと同じ歴史を、環境保護運動もたどっていることがわかる。日本の反原発デモも逮捕者を出すなどいろいろなことが起きているようだが、権力側の狙いはこうした激しい取り締まりによって運動側の大多数が萎縮すると同時に、一部が非合法活動に向かうことを期待しているのかもしれない。それにして、アメリカの警察はやることがえげつない。催涙ガスを至近距離から体中に噴霧したり、捕らえた活動家たちの目に直接薬物を塗り込んだり。まあ日本も似たようなことはしているのだろうけれど。

(原題:If a Tree Falls: A Story of the Earth Liberation Front)

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映画|大草原の独身男

Tiff2011 このタイトルにはちょっと問題がある。主人公の「独身男」が住んでいるのは、大草原ではなく山の上だからだ。セルビアの山の中で祖先から守った農業の仕事を続ける三兄弟が、何とかして嫁さんをもらおうとする話。農家の嫁不足はセルビアも同じで、農家の跡取り息子たちは結婚に苦労している。日頃の仕事の忙しさにかまけて「いつかそのうち」と思っているうちに、年齢は30を過ぎて頭も禿げ上がってくる。近隣の若い女たちは都会に行ったまま帰ってこない。かくなる上は、外国から花嫁をもらおう……となる。日本だと昔は韓国や中国、最近だとフィリピンとかタイから女性が嫁いでくるわけだが、セルビアの男たちは隣国アルバニアで嫁取りをするのである。ところがこれがまた一苦労。お見合いパーティで不首尾に終わった主人公が友人宅で仲介業者の不誠実さをぼやきつつ、それでも家に帰ると弟たちに精一杯見栄を張って見せるラストシーンは、笑いながらも身につまされるものがある。彼は結局、結婚できたんだろうか?

(英題:Village without Women)

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映画|香港四重奏+香港四重奏II

Tiff2011 プレスパスをもらっているのに、なかなか足を運べない東京国際映画祭。プレス向けのID上映がある最終日にすべり込みで観た3本の映画は、見事に全部コンペ作品以外だった。ま、コンペだけが映画祭ではない。これはこれで、映画祭の楽しみではある。というわけで1本目は本作『香港四重奏』と『香港四重奏II』の2部作だが、これは1エピソード15分ほどの短編映画を4本ずつ、合計8本まとめたもの。オムニバス映画なので作品ごとに内容のバラツキはあるのだが、『香港四重奏』が手堅くまとめた感じなのに対し、『香港四重奏II』は実験映画風の作品がまとまっている。個人的にはハーマン・ヤオの「もち米炒飯」に胃袋を刺激され、フルーツ・チャンの「黄色いサンダル」からにじみ出る映画愛に感動させられた。どちらも『香港四重奏』の作品。これに比べると『香港四重奏II』はどれも今ひとつかなぁ……。

(原題:香港四重奏 Quattro Hong Kong/香港四重奏II Quattro Hong Kong 2)

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2011.10.19

映画|1911

1911 17世紀から20世紀初頭まで、300年近くに渡って中国を支配してきた清王朝を倒した辛亥革命から今年で100年。それを記念して製作された歴史スペクタクル大作。革命の父・孫文の政治的な戦いと、その親友であり軍事面を担当した黄興の友情、後に皇帝を自称することになる清の将軍・袁世凱との駆け引きなどを軸に、中国の歴史の大きな転換点となる時代を描いている。ジャッキー・チェンの出演100本記念作という触れ込みだが、この映画でジャッキーが演じているのは革命軍の総司令官である黄興。中学や高校の世界史教科書で孫文や袁世凱の名前ぐらいは知っている人も、黄興の名前については初めて知る人が多いはず。僕もそうだ。孫文や黄興など辛亥革命の中心人物たちは、自分たちの革命を日本の幕末維新になぞらえていたらしい。中国人にとって辛亥革命の話は、日本における幕末維新ものの時代劇と同じように馴染み深いもので、登場人物の説明も特に必要ないのかもしれない。でも日本人が観ても、黄花崗七十二烈士なんて何だかよくわからない。この映画を観てから各登場人物についてWikipediaなどで調べ、さらにもう一度映画を観るといいのかも。

(原題:辛亥革命 1911 Revolution)

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2011.10.18

映画|パラノーマル・アクティビティ3

Paranormal3 『パラノーマル・アクティビティ』は観たが、『パラノーマル・アクティビティ2』は観ないまま、今回『パラノーマル・アクティビティ3』を観た。内容的には『パラノーマル・アクティビティ』の前日譚が『パラノーマル・アクティビティ2』で、『パラノーマル・アクティビティ2』の前日譚が『パラノーマル・アクティビティ3』という位置づけのようだ。『パラノーマル・アクティビティ3』は『パラノーマル・アクティビティ2』に出てくるクリスティとケイティの少女時代がモチーフになっている。それにしても映画のタイトルが長い。それでも『ファイナル・デスティネーション』シリーズのように、タイトルがころころ変わらないだけマシか。映画はまあ、それなりにちゃんと面白くはあるのだが、あれこれ理屈を付けてしまうとやや白けたりはする。『パラノーマル・アクティビティ』が面白かったのは、問答無用に何か不思議なことが起きていたからだと思うのだけれど……。

(原題:Paranormal Activity 3)


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映画|ラブ&ドラッグ

Love_drugs 口八丁手八丁の巧みな話術と女性を口説くテクニックを武器に、家電店の売り場係として華々しい活躍をしていた男が、製薬会社の営業担当に転身して最初は抗うつ剤を、次にバイアグラを売って売って売りまくる話。もともとは実話がベースらしいのだが、映画は主人公の男にパーキンソン病の恋人をあてがって「難病もの」のラブストーリーに仕上げている。医者を主人公にした映画はこれまでにも数多く作られているし、製薬会社を舞台にした映画もあったが、製薬会社の営業職(MR、医薬情報担当者)を主人公にした映画は珍しく、そういう点では面白い素材に目をつけたと思う。ただし映画が途中から「難病もの」に乗っ取られてしまったのは、薬の営業マンの話だけではやはり映画にならないからだろう。営業マンの実体は、この映画でオリバー・プラットが演じているような地味なものなのだろうと思う。主演のジェイク・ギレンホールも良かったが、パーキンソン病のヒロインを演じたアン・ハサウェイがじつにいい。ヒロインの強さ、もろさ、不安、勇気、優しさ、恐怖などを、情感たっぷりに演じている。『レイチェルの結婚』も良かったけれど、これも最高だ。(ヌードも多いしな。)

(原題:Love and Other Drugs)

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2011.10.14

映画|家族の庭

Kazokunoniwa 『秘密と嘘』や『ヴェラ・ドレイク』のマイク・リー監督最新作。60代のトムとジェリーの夫婦宅を舞台に、そこに集う家族や友人たちとのつながりを1年という時間の中で描く。原題が『Another Year』で映画の最初が「春」から始まるので、この映画がそこから1年間の出来事を描くことになるという狙いはすぐわかる。季節ごとに、短く区切られた時間(数日か数週間程度)のエピソードを描いては、次の季節にバトンタッチしてゆく。春のエピソードでは話題としてしか登場していなかった息子が、夏のエピソードには登場する。夏のエピソードでは恋人がいないことを嘆いていた息子が、秋のエピソードで可愛い恋人を家族に紹介する。この暖かい家族の物語と並走するのが、結婚に破れ、その後も恋人に恵まれない20年来の友人メアリーのエピソード。順風満帆な人生と、何をしてもうまく行かない人生の対比。人生の明暗がくっきりと浮かび上がるラストシーンの残酷なこと!

(原題:Another Year)

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映画|ゴメンナサイ

Gomennasai 女性アイドルグループBuono!が初主演する学園ホラー映画。原作は日高由香の同名携帯小説(本としても出版されている)。原作者の名前と映画の語り手であるヒロインの名前が同じで、物語自体が「著者自身の体験した実話」という体裁になっている。原作は未読だが、映画は最初と最後にBuono!たち3人による作品紹介のプロローグとエピローグが付いている他、物語も3部構成。全体の半分がヒロインの少女の目から見た恐怖物語。その後の四半分が、呪いの脚本を書いた少女の日記。残り四半分がその後日談になっていて、これが映画のプロローグとエピローグに繋がっていくという仕掛け。映画の中身自体より、僕はこうした仕掛けを面白がっているので、それだけで1時間半はちゃんと楽しめた。恐いかと問われると別に恐くはないのだが、映画を観ていて「なるほどそういう仕掛けになってるわけね」という面白さはある。ただし仕掛けが全部わかってしまった後は、エピローグの長さが少々気になるけど。

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2011.10.13

映画|ラビット・ホール

Rabbithole 交通事故で幼い息子を亡くした夫婦が、苦しみながらその痛手を乗り越えて行こうともがく姿を描くヒューマンドラマ。主演はニコール・キッドマンとアーロン・エッカート。監督は『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のジョン・キャメロン・ミッチェル。交通事故による死は誰にでも起こりえるメロドラマ的素材だが、そこから後の話は人間の心の中の葛藤が生み出す悲劇になる。息子のことを思い出せば苦しみが増す。だから息子の面影をできるだけ早く家の中から消し去ってしまいたいと願う妻。一方で夫は息子の生きていた証を大切にしたいと願う。少しずつ広がって行く夫婦の間の溝。互いに愛し合い、どちらも同じぐらい息子を深く愛していたのに、喪失に対する態度で決定的に食い違ってしまう夫婦関係。もともと舞台劇で空間的な広がりがそれほど大きな映画でもないのだが、夫婦の心の中を深く掘り下げた密度の濃い映画だと思う。夫婦って何だろう、と思わされる作品。未婚のカップルで観るより、夫婦で観るといろいろ考えることも多いと思う。

(原題:Rabbit Hole)

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2011.10.11

映画|ひまわり

Himawari 1970年にヴィットリオ・デ・シーカが監督した戦争メロドラマ。戦争で引き離された新婚夫婦。夫はロシア戦線に送られて行方不明となり、妻は夫の帰りを待ち続ける。やがて戦争終了。雪解けムードの中で妻はロシアに渡り夫を探すが、彼はロシアで現地の女性と結婚して子供まで作っていた。衝撃を受けて帰国する妻。しかし夫は再会した妻の面影が忘れられず帰国を決意する……。15年ほど前に英語版のプリントを観たが、原語のイタリア語版をスクリーンで観たのはこれが初めてだろうか。吹替だろうが何だろうが内容は変わらないので、感動するポイントはほとんど同じ。駅のホームでの別れの場面が2度繰り返されるのだが、ロシアで夫の顔を見た瞬間に汽車に飛び乗り、客車のシートに崩れ落ちるように座り込んで号泣するソフィア・ローレンの姿を見るとやはりホロリとくる。ミラノの駅で別れるラストシーンは、背景に大きくオリベッティの看板があるのが気になったりして。オリベッティのタイプライターは憧れの的だった。今でも売ってるんだけど、今さら買う気にはなれないなぁ。

(原題:I girasoli)

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映画|クリスマスのその夜に

Xmasnoyoru クリスマスを誰とどう迎えるかをテーマに、複数の物語が同時進行して行くオムニバスドラマ。物語をエピソードごとに区切るのではなく、すべての物語を切り替えながら少しずつ前に進めて行く。この映画を一言で言えば、ハッピーエンドにならない『ラブ・アクチュアリー』だろうか。しかしクリスマスだからといって特別な奇跡が起きるとか、みんながハッピーになるとは限らないわけで、むしろクリスマス映画としてはこのほうが等身大の現実だろうか。クリスマスは華やかで、晴れやかで、それだけに、その華やかさや晴れやかさから疎外された者の持つ闇は深い。周囲の明るさと、心の闇の強烈なコントラスト。しかしそれもまた偽らざる人生。

(原題:Hjem til jul)

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2011.09.30

映画|アンダー・コントロール

Unterkontrolle 脱原発に向かって進むドイツの現状を取材したドキュメンタリー映画。今もなお稼働する原子力発電所の状況から始まり、運転中止で廃墟になった原発や、廃炉となって解体作業を行っている原発施設の様子を淡々と紹介してゆく。福島原発事故以前に作られた(取材された)映画なのだが、この映画が福島原発や日本の原発の今後について考える際の大きな材料になることは間違いない。この映画を観ると、原発は建設や運転よりも、廃炉や解体作業の方がよほど手間がかかることがわかる。原発から出る使用済み燃料も大問題だが、これは規格化されたゴミなので、処分方法もある程度考えられている。ところが原発というのは使い終わると、建物の中心部が放射能汚染されたゴミのかたまりになる。これは一定の大きさに切断した後、物によっては一定期間保管して放射線レベルが下がってから通常のスクラップと同じように処理し(それでも50年以上は保管が必要)、その他のより高濃度な汚染物質は深い穴を掘って埋めるしかないのだ。現在は日本で脱原発を求める声が大きくなっているし、それはある意味では当然のこと。しかし脱原発の後に、より大きな問題があることにも目を向けるべきだと思う。

(原題:Unter Kontrolle)

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映画|不惑のアダージョ

Fuwaku 普通の人より早い更年期を迎えた中年の修道女が、何人かの男性たちの出会いと別れを通して危機を脱してゆく話。ある種の「通過儀礼」の話だが、性や肉体といった問題とはまったく異なった次元に住まう存在であるはずの修道女に、人間なら誰しも関わりを持たざるを得ない人間関係のしがらみや、老いの問題をぶつけているのが面白い。それによってテーマになっている問題が、物語の中からスッキリと浮かび上がってくる。よくできた映画で演出も安定しているが、演出技法が古風でレトロな感じさえする。これがある種の狙いなのか、それとも監督の個性なのかは不明だが、同時上映された短編『大地を叩く女』を見ると、これもちょっと古風な装いの映画なのだなぁ……。ただし『不惑のアダージョ』に関して言えば、この古風なムードが映画の内容にマッチしていたと思う。

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2011.09.29

映画|スマグラー おまえの未来を運べ

Smuggler 違法な荷物を運ぶスマグラー(運び屋)に雇われた青年が、中国マフィアの殺し屋と暴力団の抗争に巻き込まれて大変な目に遭うという話。石井克人の映画では一番バイオレンス描写がキツイと思うのだが、そのバイオレンス描写にいくばくかのユーモアがまぶしてあって、飛び散る血しぶきを見ながらついクスクス笑ってしまったりする。出演俳優の中には我修院達也など、石井組とでも言いたくなるような顔ぶれもいるわけだが、主演の妻夫木聡含めて全員がなかなかいい感じ。高島政宏にはぶっ飛んだ。役者としての新境地だ。松雪泰子や永瀬正敏もさすがに上手い。舞台設定が1999年で、小道具としてポケベルが出てくるのが懐かしい。携帯電話も出てくるけどデカイ。だからといってレトロというわけでもない、今現在とは違う、異世界の感じがいいのだ。

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映画|GOMORRA ゴモラ

Gomorra イタリアの犯罪組織カモッラの実態を描いた、ノンフィクション小説の映画化。原作の著者はカモッラの内情を暴露したことで、組織から暗殺のターゲットになっているらしい。映画に描かれていることのすべてが実話というわけではないにせよ、かなりの部分が実態に沿った内容になっているのだろう。『ゴッドファーザー』と『シティ・オブ・ゴッド』を合わせたような映画というのが売り文句だが、映画の印象はこれらの先行作品とは大きく異なっている。中心となる主人公がいない群像劇で、しかも登場人物の誰にも共感できないし、感情移入もできないのだ。これは映画の作り手がわざわざ、狙いとしてそのような手法をとっているのだろう。ドキュメンタリーを見ているようなリアリティがある。映画の中で比較的感情移入しやすいのは、中国人と取引して制裁を受ける仕立て職人の男と、違法な産廃投棄に足を踏み込む若い男。あとは組織に加わるのを拒んで暴れ回るバカな二人組。どうやら僕は、組織に馴染めない男たちに共感してしまうらしい。

(原題:Gomorra)

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2011.09.28

映画|ヴァンパイア・ストーリーズ CHASERS編

Vs_chasers メロドラマは事件がすべて外部から主人公の身に降りかかるが、悲劇は主人公の自発的な考えや行動によってもたらされる。『BROTHERS編』がヴァンパイアの血を引く兄弟たちのメロドラマだとしたら、この『CHASERS編』は己の身に降りかかった運命を自らの力で打破して行こうとする男たちの悲劇だ。しかしこれも脚本が弱すぎる。話のアイデアとしてはこちらの方が『BROTHERS編』よりずっと面白いのだが、ディテールの詰めが甘くて日常のリアリティがない。日常描写の足もとがしっかり固まっていないと、ファンタジーはそれを土台にして飛躍できないのだ。『BROTHERS編』同様、川本直弘のアクション演出はスピード感があってなかなかいい感じだ。カメラがやたらと動きまわるのはうっとうしいが、俳優がアクション専業ではない人たちだから、それを補う意味合いもあるのかもしれない。

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映画|ヴァンパイア・ストーリーズ BROTHERS編

Vs_brothers かつて金子修介監督は「日本人に絶対似合わないのが吸血鬼だ!」という確信を持って、普通のサラリーマンが突然吸血鬼になってしまうコメディ映画『咬みつきたい』を作った。それから20年たって吸血鬼映画のバリエーションも随分と増え、日本人が大まじめに吸血鬼を演じる映画が作れるようになったらしい。しかしこれは、話としては随分と物足りない。太古からの吸血鬼の血を引く純血種の兄弟と、彼らの血を狙う混血種の群れ。生き別れの肉親。血のつながらない兄妹の純愛。血の宿命。盛り込まれているアイデアがいちいちメロドラマ調なのだ。同じ発端から物語が『BROTHERS編』と『CHASERS編』の2系統に分岐して行くのだが、これは両方を1時間ちょっとの長編2本に無理矢理仕立てず、ひとつのエピソードを50分ぐらいにして1本の映画にまとめてしまった方がよかったと思う。(ひょっとすると、もともとはそういう映画だったのを2本に分けたのかもしれないけれど……。)

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2011.09.18

映画|スパイキッズ4D:ワールドタイム・ミッション

Spykids4d 前作『スパイキッズ3-D:ゲームオーバー』が日本で公開されたのは2003年10月。それからほぼ8年振りに公開された、仕切り直しの第4弾。前作までの3部作でシリーズが一度完結し、アントニオ・バンデラスやカーラ・グギノの出演はなし。しかし3作目まで主役の子供スパイを演じたアレクサ・ヴェガとダリル・サヴァは、成長したカルメンとジュニ役で再登場。他には秘密兵器担当のダニー・トレホが、1シーンだけ特別出演しているのも嬉しい。今回の映画は『スパイキッズ』と言っても、子供スパイ単独での活躍はあまり多くないし、登場する秘密兵器も新作はほとんど出てこない。これは新シリーズの次回作以降のお楽しみだろうか。今回の売りはこするとニオイの出るシートだが、これの効果がどの程度あったものか……。ただし映画に観客を参加させるギミックとしては楽しい。画面に数字が出てくると、映画館のあちこちでシートをごしごしこする音が聞こえるので、映画館全体が一体感に包まれる。3D映像は『スパイキッズ3-D』のアナグリフ式とは比較にならないほど進歩して、映像技術の進歩を痛感させられた。いずれニオイの出る映画もより技術的に洗練されて、「昔はシートこすってたよね〜」なんてことになるのかも。

(原題:Spy Kids: All the Time in the World in 4D)

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2011.09.17

映画|アジアの純真

Pureasia 通勤通学客が多い駅の地下道で、暴漢に姉を殺された在日朝鮮人の少女と、その出来事を目の前にしながら何もできなかった日本人の少年。ふたりは旧日本軍が遺棄した毒ガスを使って、日本社会に復讐しようとする。自分たちの手では社会の有り様を何も変えられそうにないという閉塞状況に、無差別テロで風穴を開けようとする一種の「テロ容認映画」なのだが、この閉塞感と行き場のない怒りには共感せざるを得ない。「こんな腐った世の中なんてぶっ壊れちまえばいい!」という中二病的な破壊願望であり終末願望だが、そうした思いをこれまで一度たりとも持ったことがないという大人は、生育環境に何らかの欠陥があったに違いない……と僕などは考えてしまうのだ。そういう意味で、僕はこの映画の主人公たちに共感する。無差別テロ、大いに結構。しかし僕がこの主人公カップル以上に共感してしまうのは、毒ガスを手にしながらそれをついに社会に向けては使用できなかった青年のヘタレっぷりだ。社会をぶっ壊せない時、人は自分自身をぶっ壊してしまう。

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2011.09.16

映画|密告・者

Mikkokusya 警察に協力する密告者になるべく犯罪組織内部に送り込まれた男と、彼を通じて組織の情報を得ようとする警官の苦悩を描くサスペンス・ドラマ。主演はニコラス・ツェーとニック・チョン。監督はダンテ・ラム。一種の潜入捜査ものなのだが、仕事が終われば警官の身分に戻れる潜入捜査官と違って、密告者の立場は不安定。警察からそれなりの報酬をもらって仕事をしているとはいえ、一歩間違えれば犯罪組織と警察の双方から命を狙われかねない。犯罪組織の報復は、自分の家族や縁者にも及ぶのだ。警察はこうしたリスクをすべて告発者に負わせる。彼らはいつでも使い捨てられる存在なのだ。「告発者とは友人のように振る舞え」「友人になるのではなく、友人のようになるのだ。彼らとは常に距離を取れ」と後輩の警官たちに説く主人公ドンが、配下の密告者たちを切り捨てられずに苦しむ様子をニック・チョンが好演。彼が颯爽としたエリート刑事ではなく、よれよれのしょぼくれたスーツ姿なのもいい。

(原題:綫人 The Stool Pigeon)

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映画|マネーボール

Moneyball 貧乏球団オークランド・アスレチックスが、2000年代に導入したセイバーメトリックス理論によるチーム編成。それまでの野球の常識を覆すこのチーム編成は「マネーボール」と呼ばれ、これを強硬に押し進めたGMのビリー・ビーンは球界の異端児扱いされた。だが「マネーボール」は着実な成果を出し、今では多くの球団がこの理論を取り入れてチーム作りをしているという。映画はブラッド・ピットがビリー・ビーンを演じ、彼の野球人生を追いながら、「マネーボール」の導入にまつわる周囲との軋轢を描いて行く。野球映画ではあるが、これはチーム編成や球団経営というマネジメントにまつわる映画。「マネーボール」はビジネス書としてもかなり読まれているようなのだが、この映画はそうした組織論やマネジメント論ではなく、ビリー・ビーンという個人のキャラクターを掘り下げていく映画になっている。終盤のまとめがあまりうまく行っていないような気もするが、全体としては好印象。ブラピも渋い大人の役者になってきた。

(原題:Moneyball)

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2011.09.14

映画|やがて来たる君へ

Yagatekitaru 第二次大戦末期の1944年9月から10月にかけて、北イタリアのボローニャ近郊で、パルチザン掃討を名目に住民700人以上が虐殺される事件が起きた。この映画は村に住むひとりの少女の視点から、事件が起きるまでの村人たちの暮らしを描いた実録ドラマ。1940年代のイタリアの貧しい農民たちの暮らしを丁寧に再現しながら、平和な暮らしの中に少しずつ戦争が忍び寄り、やがて大殺戮が始まる様子を描いている。映画の「視点」になるのは8歳の少女で、彼女の視点で大きな物語の一部を切り取っている。この映画を観ると「ナチスってひどいね」ということになるわけだが、アフガニスタンやイランなどで、今も戦争の犠牲になっている一般民間人がいることも、作り手の視野に入っている。

(原題:L'uomo che verrà)

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2011.09.09

映画|ブリッツ

Blitz ジェイソン・ステイサム扮する暴力刑事が、警官ばかりを狙う連続殺人犯を追跡するサスペンス・アクション。犯人が早々に姿を現してしまうので、ひねったミステリー映画ですっかりスレてしまった僕は「他に犯人がいるのかも」と思ってしまったのだが、そういうひねりは特にない。性格異常の連続殺人犯を暴力刑事が追い掛けるという展開は、クリント・イーストウッドの『ダーティハリー』(1971)と同じ。今回は犯人がスコルピオではなくブリッツなのだ。暴力刑事ブラントと、ゲイの上司ナッシュのコンビが面白い。キャラクターが面白いので、シリーズ化してもいけるかも。ライオンズゲートUKの第1回製作作品とのこと。日本もそうだが、ハリウッドの映画会社は多拠点化している。ハリウッドの映画会社が、MADE IN USAの作品を世界中に輸出するという一元体制は、少しずつ変化しているようだ。

(原題:Blitz)

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映画|ハートブレイカー

Heartbreaker 狙ったターゲットは必ず落とす百戦錬磨の「別れさせ屋」が、恋を仕掛けた相手に本気で惚れてしまう……というありきたりなお話。「別れさせ屋」という設定は新しいが、これは偽の恋を相手に仕掛けてお金に換えるわけだから、一種の結婚詐欺みたいなもの。結婚詐欺師が本当の恋に落ちる話は、プレストン・スタージェスの『レディ・イブ』からこちら枚挙にいとまがないほど作られているに違いない。シガニー・ウィーバーとジェニファー・ラブ・ヒューイット主演で、同じ『ハートブレイカー』という映画も作られている。しかしながらこの映画、手垢の付いた素材に思えてなかなか面白い。「別れさせ屋」が次々に繰り出すあの手この手の手練手管に笑い、ピンチを切り抜けるチームワークに舌を巻く。ミステリーとサスペンスがあり、ちょっぴりお色気があって、恋の行方にハラハラドキドキ。ヴァネッサ・パラディの前歯の隙間が気にならなくなった頃には、観ているこちらもすっかり映画に引き込まれてしまうのである。

(原題:L'arnacoeur)

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2011.09.08

映画|ちづる

Chizuru 立教大学現代心理学部映像身体学科の学生が、卒業制作として製作したドキュメンタリー映画。自閉症の妹、母親、そして自分自身。映画の中では、妹と母は何も変わらない。しかし監督は学生から社会人になる時期であり、否応なく変化を求められる。親に庇護されて育ってきた子供が、自分自身で人生の第一歩を踏み出そうとする、これはひとつの青春映画だ。そして映画の最後に、母親が突然下したある決断にも驚かされる。人は変わっていく。家族も変わっていく。その変わっていく様子を、この映画はリアルタイムに記録してゆく。しかし主役であるはずの「ちづる」は変わらない。彼女はこの物語のトリックスターなのだ。監督の赤﨑正和は、卒業後に福祉関係の仕事に就いたとのこと。彼が今後も映画を撮り続けるのかどうかはわからないが、撮影編集機器がデジタル化して低価格化していることで、絵を描いたり小説を書いたりするのと同じ程度には、映画作りについてもプロとアマチュアの差はなくなっているのかもしれない。

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映画|ステイ・フレンズ

Stayfriends LAで働くアートディレクターのディランは、ヘッドハンターのジェイミーに誘われてNYの雑誌社に移籍。ふたりはすっかり意気投合して親友になるが、どちらも恋人に振られたばかりのふたりは「テニスのようにセックスも楽しむ」関係に。その関係はとても理想的なものに思えたのだが……。ラブコメは主人公の男女が最終的に恋人同士になるのは誰にでもわかっているので(『ベスト・フレンズ・ウェディング』など少数の例外はある)、そこまでの紆余曲折をどうやって見せていくかに作り手の手腕が問われる。この映画は物語がはじまって早々に、主人公たちがベッドを共にしてしまうというところにヒネリがあるわけだが、これも別にものすごく新しいというものではない。もっともこの映画を観ていると、セックスの問題というのは実際にものすごく軽いものになっているのだなぁ……とは感じるけれど。セックスの問題が物語作りの中で「しばり」として使えないというのも、映画の作り手にとってはいろいろと難しい課題ではあるのかもしれない。ところで映画に登場する「フラッシュモブ」というものを僕はぜんぜん知らなかったのだが、YouTubeで検索するといろいろと動画が出てくる。これは楽しいや。

(原題:Friends with Benefits)

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2011.09.02

映画|MADE IN JAPAN—こらッ!—

Madeinjapan 高橋伴明監督が、京都造形芸術大学映画学科の学生と一緒に作ったホームドラマ。おばあちゃんが死んだことで、夫婦と娘ひとりの3人家族が崩壊して行く。僕はこのプロットからすぐに石井聰亙の『逆噴射家族』を思い出したが、あれは親子で暮らしている家庭におじいさんがやってくることで、家族間の軋轢が高まり家族崩壊する話だった。本作はそれとは逆に、おばあさんが抜けることで家族が崩壊する。家族や家庭という「幻想」を持っていた世代はこの映画の両親と祖母世代までで、そこではまがりなりにも「親子」を軸とした家族が成り立っている。ところがこの祖母が抜けてしまうと、両親は「夫婦」という単位で家族を維持できないし、子供との間に「親子」としての確固たるつながりも持てない。結果として家族はバラバラに崩壊して行く。映画にはもうひとつの崩壊する家族が登場するので、それについても少し考える必要はありそう。

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映画|新少林寺 SHAOLIN

Shaolin 中国・香港映画史上初めて、本物の嵩山少林寺が協力して作られた少林寺映画。少林寺はロケ撮影への全面協力を快諾したが、現在は少林寺が世界各地からの観光客を集める中国有数の観光地になっており、1928年の大火で消失した伽藍がここ数十年で続々再建されていることもあって、建物には数百年の風雪に耐えた雰囲気がない。そんなわけで映画では2億円以上かけて実物大のオープンセットを作り、そこで思う存分撮影している。このセットがじつに立派。エンドロールに登場するのもセットだというのだが、まるで本物の古寺だ。美術監督は『孔子の教え』と同じイー・チュンマン。この大がかりなセットは、映画の最後に木っ端微塵に吹き飛ばされる。降り注ぐ砲弾の中で続くアクションシーンはやや大味だが(監督は『ジェネックスコップ』のベニー・チャン)、もちろん水準以上の大迫力。アンディ・ラウ、ニコラス・ツェー、ジャッキー・チェンと出演者も豪華。ドラマ部分にも厚みがあって、セットやアクションに負けていない。

(原題:新少林寺 SHAOLIN)

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2011.09.01

映画|孔子の教え

Koshinooshie 古代中国の思想家・孔子の生涯を、チョウ・ユンファ主演で描く伝記映画。ユンファ主演なら孔子がいきなりカンフー技で政敵や刺客を血祭りに上げたり、ワイヤーアクションで空を飛んだりするのかといらぬ期待をしてしまったが、そんなことは一切なく、内容はいたってオーソドックスな伝記映画になっている。魯の有力政治家として頭角を現すが、権力闘争に敗れて国を追われることになる孔子。彼が10数年の諸国放浪に疲れ果て、再び魯に帰国するまでを描く。「西の聖書、東の論語」などと言われ、イエス・キリストと同じぐらい立派だと称される孔子だが、これまできちんとした伝記映画は作られたことがないとのこと。映画の中に描かれている歴史的な事実は必ずしも史実に沿っているわけではないようだが、挫折の多い孔子の生涯をドラマチックに描いている。一番弟子の顔回や長年の弟子だった子路を相次いで失う場面は、観ているとちょっと涙が出る。しかしこの涙には、半分ぐらい中島敦の「弟子」が混じっているような気がするけれど……。

(原題:孔子 Confucius)

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2011.08.31

映画|カウボーイ&エイリアン

Cowboyandarien スピルバーグ製作のSFウェスタン。先日同じ試写室で観た『ランゴ』も西部劇だったけれど、こちらの方がずっと西部劇としての濃度が高い。典型的なグッド・バッドマンものだ。流れ者の名無しのガンマン。有力者に牛耳られた西部の町。荒くれ者の牧師。カウボーイ。酒場での乱闘。黄金のハートを持つ娼婦とのロマンス。列車強盗をたくらむアウトローたち。ダイナマイトの導火線に葉巻で着火。インディアンの襲撃。秩序を取り戻した町から、名無しのガンマンはいずこともなく立ち去って行くのであった……。西部劇のルーティンを巧みに取り入れつつ、そこに異星人の襲来というSF要素が同居している不思議さ。これは面白かった。

(原題:Cowboys & Aliens)

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映画|サルトルとボーヴォワール 哲学と愛

Tetsugakutoai 実存主義哲学者であり戦後最大の知の巨人と言われるサルトルと、「第二の性」でフェミニズムの理論的土台を作り上げたボーヴォワール。彼らは学生時代に知り合って事実上の夫婦関係になるが、正式に結婚することも、子供を作ることもなく、互いに自立し尊敬し合う関係を保ち続けた理想のカップルだったとされている。この映画はそんな「理想のカップル」の裏にあったドロドロとした愛憎関係を、ボーヴォワールの視点から描いている。この映画を観ると、サルトルとボーヴォワールの関係が、1970年代に提唱された「オープンマリッジ」を先取りするものだったことがわかる。互いに束縛も拘束もされることなく、パートナーとの関係を尊重しながらそれ以外の自由恋愛を楽しむという形だ。時代は1920年代末から30年代。同時代に似たような関係を維持していたカップルには、クルト・ヴァイルとロッテ・レーニャがいる。ひとつの時代性なんだろうなぁ……。

(原題:Les amants du Flore)

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2011.08.25

映画|ランゴ

Rango 偶然車から放り出されたペットのカメレオンが、口八丁手八丁で動物たちの町の保安官になるが、その町はひどい水不足に悩まされていた……。ゴア・ヴァービンスキー監督のCGアニメで、主人公ランゴの声をジョニー・デップが演じている。ヴァービンスキー&デップは『パイレーツ・オブ・カリビアン』のコンビ。CGを使って動物たちの西部劇といえば、ピクサーの『バグズ・ライフ』を思い出す。あれは『荒野の七人』や『サボテン・ブラザース』を下敷きにしていた。『ランゴ』は主人公が「名無しの男」であることや、ランゴという名前がジャンゴのもじりであることなど、いろいろな西部劇の引用をしているのだが、具体的に何かの映画を引っ張っているというわけでもなさそうだ。(僕が知らないだけかもしれないが。)

(原題:Rango)

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